マウス型スキャナMSC20買ったよ

 スキャナマウスと呼んでるんだけど、マウス型スキャナMSC20を買った。
 書類なんかの上をマウスで掃引することでスキャンするという道具だけど、KING JIMの紹介ページにある画像を見てもらえばどういう道具かは分かると思う。

 面白い道具だと思って買ってみたけど、実際のところ使い勝手はイマイチ。上手くスキャンが出来ないことも多い。
 練習がてら、○本の住人の1巻の帯をスキャンしてみた。

 この本、帯の裏にまで何か書いてあって、どうしてくれようかと思った。
 それはそうと、上の画像はクリックすると300dpiでスキャンしたオリジナルのサイズになる。結構重い。
 スキャナマウスではスキャン中にそれまでにスキャンした部分と合致する部分を補完する形で全体を捉えるので、似たような部分があると現在スキャンしている場所を見失う。上の画像で表の方は失敗しているのだけど、これは失敗した後に修正に成功したもの。例えば、酷く折り目の付いた書類なんかをスキャンしようとするとどうにも手の施しようがなかったりする。
 20160420に紹介した明治用水管内水路位置図は当初明治用水百年史の付録についている地図をMSC20でスキャンしようとしたのだけど、まったく上手くいかずに、結局疏通千里・利澤萬世―生命を育むからトリミングする羽目になった。
 さて、肝心の読み取り品質だけど、例によって1万円札をスキャンしてみた。これも大したことはなく、所詮はスキャナマウスと言われてしまう程度である。

 これまでに紹介したEP-806ABScanSnap SV600LiDE40なんかと比較すると、SV600よりちょっとマシというレベルの品質であり、フラットベッドタイプの真面目なスキャナなんかには敵うべくもない、という代物である。
 もしかしたら、フラットベッドの弱点であるのどのスキャンでちょっと有利かと思うけど、それならSV600でバッチリスキャンすればよいし、あるいは最近ではEZ4-SCN033や、400-SCN038といったフラットベッドでありながら端まで読み取れる装置も存在する。
 そんなわけで、我が家ではあんまり出番のないスキャナマウスである。
 なお、普段からマウスとして使うこともできるのだけど、読み取り面に傷がつきそうなのでスキャナとしてしか使っていない。
 そういえば、以前光学マウスをスキャナとして使ってみようと試みている人がいた(魚拓)。バカっぽい試みだけど、こういう発想は好きだよ。


20190226追記
 年に1回か2回くらいちょっと使いたくなる用事があるのだけど、使おうとする度にデバイスをインストールする。


 とても鬱陶しい。ただでさえ、使うのに結構肩がこるってのに。

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江戸時代の生没表

 20151208 平安時代の生没表に引き続き江戸時代を作ってみた。
 江戸時代は結構長くて人物も多いので、作成にあたっては大胆に斧鉞を振るわなければならなかった。
 同時代人については各々の知識で補完してもらうしかない。
 なお、天下繚乱は遊ぶ際に時代考証とか気にする必要はないのでとてもよろしい。
 表作成にあたっては以下の人物を選んだ。

天海、 徳川家康前田慶次郎直江兼続真田信繁沢庵宗彭宮本武蔵狩野探幽天草四郎円空関孝和松尾芭蕉近松門左衛門新井白石与謝蕪村田沼意次、 平賀源内、 本居宣長杉田玄白伊能忠敬葛飾北斎、 都築弥厚、 間宮林蔵大塩平八郎千葉周作水野忠邦宇田川榕庵緒方洪庵井伊直弼、 伊豫田与八郎、 勝麟太郎西郷隆盛土方歳三福沢諭吉坂本龍馬伊藤博文斉藤一乃木希典、 高木兼寬、 嘉納治五郎森林太郎、 菅虎夫、 夏目金之助


DL:江戸時代生没.xlsx

 こういう表だと、天皇か将軍を並べることで一つの指標とすることができるのだけど、それだけでかなりの人数がいるのと、どうしても在位期間も示したくなるので割愛しなければならなかった。
 「生」「没」がそれぞれ生没の年だけど、はっきりしている人は右に○、複数の説がある人は一番範囲が広くなる年を選んで右側に×を付けた。平安時代と比べて大分史料がはっきりしているので、よくわからないという人はそういなかった。東洲斎写楽は謎の人物のままだが。
 与謝蕪村新井白石の間、1657年から1718年に生れた人がいない。平安時代のときにはもっと露骨な空白時代があったけど、特にイベントがなかったんだと思う。
 列の数が256を余裕で超えてしまっているので旧バージョンの拡張子が.xlsのエクセルでは対応していない。

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チェルニー30番14 演奏解説

 チェルニー30番の14番を録音・公開した。
 テンポの早いタイプの解説は9番以来となる。テンポの速いタイプとはいっても4分音符で80bpmなので、もっと速い曲はいくらでもある。それでも速いことに変わりはなく、自分で弾いておきながらもヤケクソ感が強い。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。例によって、演奏する上で特に注意するべきことは楽譜の解説に書いてあるので、その部分は割愛し、もっと瑣末なメカニカルな部分を始め低レベルな解説をする。

全体的に
 ゆっくり弾く場合、椅子は低いほうが綺麗にスケールを弾ける。指くぐりのときに2指を上に向けやすくなるためだと思う。しかし、テンポを速くすると一々指を上げている余裕がなく、2指を離鍵する前に手をひねって1指を指くぐり先のキーに近づけるようにして弾くしかなくなる。2指は引き摺るようにして離鍵することとなり、奇しくも岳本恭治氏が主張するようにアップリフトに頼ることになる。こうなってくると椅子の高さは関係なくなる。
 指定の速度で弾こうとすると、打鍵し終わってから次のキーを押そうとしても到底間に合わない。打鍵しようと指を振り下ろしている最中に次の指を下ろし始めなければならない。しかし、そうなると打鍵のタイミングが更に合わせづらくなる。指を振り下ろす前、準備状態の指の高さでタイミングを制御することができる。
 岳本恭治氏はピアノ脱力奏法ガイドブック 2で次のようにポジション奏法を提案している[1]
 この奏法は、第1指が他の指の下をくぐる、または他の指が第1指を飛び越えるところで、フレーズを切り離し、手全体を移動させポジション移動する奏法です。
 この奏法を指定のテンポで行うのは物理的になかなか難しいことを次に示す。

 ポジション移動に際してどれほどの力が求められるかを調べる。以下にポジション移動の速度から加速度、力を求める。
 ポジション移動の際の指使いが例えば1234123という場合、4-1の移動距離は5度となる。先程ピアノに定規を当てて測ったところCの左端からGの左端までの距離は9.4cmだったので距離はこれを使う。
 この曲は4分音符で80bpmであり、パッセージは32分音符で書かれているので、1分間に80bpm×8=640回の打鍵を行う。1秒あたりの打鍵回数は10.67回であり、1音あたりに要する時間は1秒÷10.67=0.09375秒である。
 0.09375秒で9.4cm移動する速度は0.094m÷0.09375s = 1.00267m/sとなる。
 これは平均の速度なので、実際は0m/sから加速を初めて最大速度を経て減速して最終的に0m/sにならなければならない。加減速の加速度を一定とすると次のイメージとなる。

 スタートが0秒でゴールが0.09375秒。その中間地点の0.046875秒が最高速となる。0秒から0.046875秒で加速、0.046875秒から0.09375秒で減速する。
 このグラフと横軸が作る三角形の面積が移動距離であり、0.094mとならなければならないので、0.046875秒時点での速度をvとすると、0.09375s×v÷2 = 0.094mという式が成り立つ。これを解くと、v = 0.094m÷0.09375s×2 = 2.00534m/sとなる。実際は平均速度の1.00267m/sの二倍になることは一見して分かるのでこんな余計な計算はしない。
 0.046875秒で2.00534m/sまで加速することがわかったので加速度は2.00534m/s÷0.046875s = 42.78m/s2となることがわかる。
 42.78m/s2がどの程度のものかってちょっと想像しづらい。Wikipediaの加速度の比較を見ると40.22m/s2岩手・宮城内陸地震地震による世界最大加速度)としているけど、やっぱり分からない。
 そんなわけで、真面目にこの値を見つめることにする。地球上の重力加速度が9.8m/s2なので、42.78m/s2というのは重力の4.365倍、つまり4.365Gということになる。
 人間の腕の重さが3kgということなので[2]、この重量物を加速するのに必要な力は4.365G×3kg = 13.096kgwとなる。"kgw"という単位は地球上でのその重さの質量を支えるのに必要な力である。つまり、ピアノの鍵盤の上で13kgの重量物を支えるだけの力で加減速しなければならないことになる。
 13kgの重量物って咄嗟に思いつかないのだけど、結構な重さになる。18Lの灯油が14.4kgなのでそれよりもちょっと軽いくらいといったら大体想像がつくかなと思う。これだけの力をピアノを演奏する姿勢で発揮するのはそう簡単ではない。
 ピアニストなんてアスリートみたいなものだから、訓練したらできるようになるのかもしれないけど、僕みたいな軟弱な素人では試してみようかという気にもならない。
 ここで書いたのはあくまで指定のテンポでは難しいという話であって、ゆっくり演奏する際の脱力の練習という点においては有効なのかもしれない。
 指定の速度で弾こうとする場合、脱力は不可欠だが、ポジション奏法は不適である。結局、滑らかに指くぐりできるようにならなければならない。

 右手のスケールの練習なので左手が疎かになりがちだけど和音のタイミングをバラけさせずにpの部分でもしっかり鍵床まで押し込むこと。特に1指で2音押すときはキーの慣性抵抗が倍になるので指が押し負けないようしっかりと手の重みを支えられるだけの力を込めること。
 出来るだけ手元を見ずに弾く練習をしているのだけど、どうしても手元を見なければ位置がわからない部分も当然あって、そういうところは楽譜に*印を書いて手元に視線を誘導するようにしている。

5小節右手

 ☆上りのスケールで3指の下を1指がくぐるときに2指がキーの上に残っていると凄く邪魔なので、3指が打鍵するのと同時に離鍵するだけにとどまらず積極的に指を上げて1指の通り道を開ける。5小節は黒鍵が良い位置にあるのでまだ引きやすいが17小節などは意識しないと指が引っかかる。どうしても速度が出せない場合は手元を見ると速く弾ける。

6~8小節

 ※sfによるアクセント。
 曲にスイングをつける役目のアクセントという解釈がある[3]。確かにその音を強く弾くばかりがアクセントではなく、その部分でわずかに停滞することで強調することができるのだけど、ここではフォルテの記号が付いているだけに強い音で強調したい。

13~22小節
 D dur→A dur→E durと5度ずつ上に転調して緊張感を上げていき、20小節で最高に盛り上がる。そして、22小節で5度下がりA durとなって弛緩する。
 この部分は次のような和音進行となっている。

小節番号 調性 主調(A dur)との関係 和音
13 D dur 下属調/サブドミナント(S)  \mathrm{ V_7 }
14  \mathrm{ I^6_4 }
15  \mathrm{ V, I^6_4 }
16  \mathrm{ V_7 }
17  \mathrm{ I, V^6_5 }
18 D dur
A dur
下属調/サブドミナント(S)
主調/トニカ(T)
 \mathrm{ I \\ V_2 }
19 A dur 主調/トニカ(T)  \mathrm{ I_6, V^6_5 }
20 A dur
E dur
主調/トニカ(T)
属調/ドミナント(D)
 \mathrm{ I \\ V \! I \! I }
21 E dur 属調/ドミナント(D)  \mathrm{ I \! V_6 }
22 A dur 主調/トニカ(T)  \mathrm{ V_7 }


22小節右手

 ※5指のDにアクセントを付けffであることを主張する。このD以外の音はキーの位置と指の使い方の関係上、なかなか強い音は出せないため。
 Gisだけ黒鍵であり、これを弾くためには鍵盤の奥の方に移動しなければならない。手を外側に向けて2指をGis、5指をDに同時に乗せるポジションだと、Aが非常に引きづらくなってしまう。ここは、手はまっすぐ正面に向けてDHAと順に弾いていく内に徐々に奥に移動する。そして、Gisを押したら素早く元の位置に戻ってその勢いでDを叩く。

25小節左手

 ☆このCis-Aの和音から2小節の間、左手は暇をすることになるのだが、だからといって鍵盤の上から手をどけてはいけない。左手は離鍵したまま動かさないでおく。27小節で左手で再度打鍵するときに同じキーを押すので、手を動かさないでいれば押さえるキーを探す必要はなくなる。

28小節右手最終音

 普通に弾こうとするとA音を黒鍵と黒鍵の隙間で弾かなくてはならず、ミスタッチしやすい。できるだけ体を左に移動し、右手を外側に向けることで黒鍵のない手前の部分を5指で押さえることができる。

参考文献
[1] 岳本恭治, ピアノ脱力奏法ガイドブック 2 <実践編/チェルニー30番を使って>, サーベル社(2015)
[2] 小川 鑛一, イラストで学ぶ看護人間工学, 東京電機大学出版局(2008)
[3] 室井摩耶子, チェルニーってつまらないの?, 音楽之友社(2002)

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nD6を振ったときのクリティカル率

 先日、神我狩アリアンロッドを立て続けに遊んで、クリティカルのルールが同じだと気付いた。
 基本は2D6を振るのだけど、どちらも振るサイコロの数を増やすことがあって、振ったサイコロのうち、2個以上6が出たらクリティカルとなる。
 サイコロを増やしていったときにどれくらいの確率になるのかなと思い、計算してみたところこうやってエントリーを上げるくらいには複雑だったのでこの算出を紹介する。

 思考の方向性として、いきなり一般項を求めるようなことはせずに、1D6から順にクリティカルする組み合わせから求めてみて、どういう計算方法で求めたら良いのかを模索する。
 なお、サイコロ出目の組み合わせについて、(123)とかいう書き方をするけど、これは1,2,3の目が出たという意味で使う。

1D6の場合
 6が2つ出ることはないので確率は0。

2D6の場合
 (66)のときのみクリティカル。
 1パターンなので確率は1/36。

3D6の場合
 (666)(66X)(6X6)(X66)だけど、Xは1~5のどれでも良い。それぞれの組み合わせの数は、
(666):1
(66X):5
(6X6):5
(X66):5
となるので、合計は1+5+5+5=16となり、確率は \frac{16}{6^3} = \frac{2}{27} = 0.074である。
 もう少し、丁寧に書くと \frac{1+ {}_3 \mathrm{ C }_2 \times 5}{6^3} = 0.074と表記することが出来る。
 ここで(666)ではなく、Xを1~6とすると(666)が重複するので(666)のときは独立して表現しなければならない。

4D6の場合
 (6666)(666X)(66X6)(6X66)(X666)(66XX)(6X6X)(6XX6)(X66X)(X6X6)(XX66)となり大分多い。
 この場合は6が2個の場合、3個の場合、4個の場合と分けて考える。
・6が2個の場合
 (66XX)(6X6X)(6XX6)(X66X)(X6X6)(XX66)であり、4つのサイコロの中から2つを選んで、他の2つは1~5とする。
 4つの中から2つを選ぶ組み合わせは4C2= 6個。
 (66XX)が出る確率は、 \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{5}{6} \times \frac{5}{6}
 従って、4D6を斑って6が2個出る確率は {}_4 \mathrm{ C }_2 \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{5}{6} \times \frac{5}{6} = 6 \times \frac{5^2}{6^4}となる。
・6が3個の場合
 (666X)(66X6)(6X66)(X666)であり、5つのサイコロの中から3つを選んで残りの1つは1~5とする。
 2個の場合と同様に、 {}_4 \mathrm{ C }_3 \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{5}{6} = 4 \times \frac{5^1}{6^4}となる。
・6が4個の場合
 (6666)だけなので確率は1/1296となるのだけど、上の2つと同様に表記すと、 {}_4 \mathrm{ C }_4 \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} = 1 \times \frac{5^0}{6^4}となる。
・合計
 以上より、6の数が2~4個の場合を足し合せると4D6のクリティカル率が得られるのだけど、一般項を得られるようにまとめてみる。
  \displaystyle {}_4 \mathrm{ C }_2 \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{5}{6} \times \frac{5}{6} + {}_4 \mathrm{ C }_3 \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{5}{6} + {}_4 \mathrm{ C }_4 \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \times \frac{1}{6} \\ \displaystyle = {}_4 \mathrm{ C }_2 \left( \frac{1}{6} \right)^2 \left( \frac{5}{6} \right) ^2 + {}_4 \mathrm{ C }_3 \left( \frac{1}{6} \right)^3 \left( \frac{5}{6} \right) ^1 + {}_4 \mathrm{ C }_4 \left( \frac{1}{6} \right)^4 \left( \frac{5}{6} \right) ^0 \\ \displaystyle = \sum_{ k = 2 }^{ 4 } {}_4 \mathrm{ C }_k \left( \frac{1}{6} \right) ^k \left( \frac{5}{6} \right) ^{4-k}

・nD6のとき
 4D6の場合で殆ど求めているので、4の部分をnに変えるだけとなる。
 \displaystyle \sum_{ k = 2 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_k \left( \frac{1}{6} \right) ^k \left( \frac{5}{6} \right) ^{n-k}
 折角なので、コンビネーションを展開すると次の様になる。
 \displaystyle \sum_{ k = 2 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_k \left( \frac{1}{6} \right) ^k \left( \frac{5}{6} \right) ^{n-k} \\ \displaystyle = \sum_{ k = 2 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_k \frac{1}{6^k} \cdot \frac{5^{n-k}}{6^{n-k}} \\ \displaystyle = \sum_{ k = 2 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_k \frac{5^{n-k}}{6^n} \\ \displaystyle = \frac{1}{6^n} \sum_{ k = 2 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_k 5^{n-k} \\ \displaystyle = \frac{1}{6^n} \sum_{ k = 2 }^{ n } \frac{{}_n \mathrm{ P }_k}{k!} 5^{n-k} \\ \displaystyle = \frac{1}{6^n} \sum_{ k = 2 }^{ n } \frac{5^{n-k}}{k!} \cdot \frac{n!}{(n-k)!} \\ \displaystyle = \frac {n!}{6^n} \sum_{ k=2 }^{n} \frac{5^{n-k}}{(n-k)! \cdot k!}

 Σの展開は諦めているので計算はこれで終了。
 実際にエクセルで計算すると次の様になる。

個数 確率
1 0.0000
2 0.0278
3 0.0741
4 0.1319
5 0.1962
6 0.2632
7 0.3302
8 0.3953
9 0.4573
10 0.5155
11 0.5693
12 0.6187
13 0.6635
14 0.7040
15 0.7404
16 0.7728
17 0.8017
18 0.8272
19 0.8498
20 0.8696
21 0.8870
22 0.9022
23 0.9155
24 0.9270
25 0.9371
26 0.9458
27 0.9534
28 0.9600
29 0.9656
30 0.9705
31 0.9747
32 0.9784
33 0.9815
34 0.9842
35 0.9865
36 0.9884
37 0.9901
38 0.9916
39 0.9928
40 0.9939


 ダイスの増加による確率の上昇率が上がる変曲点のような部分があるのは気になるが、こんな風になるみたい。
 5割以上の確率でクリティカルするのは10Dから、9割以上だと22Dから、99%は37D以上となる。
 例によってエクセルファイルを置いておく。
nD6クリティカル率

尿素樹脂の重合反応

 尿素樹脂というプラスチックがある。ユリア樹脂ともいうのだけど、化学の教科書には食器、雑貨類、瓶の栓、接着剤なんかが用途として挙げられている。給食の食器に使われているのを見たことのある人は多いと思う。
 同じアミノ樹脂の仲間でメラミン樹脂というものがある。同じような物性であり、食器、家具、電気器具、塗料、接着剤として使われる。教科書の使用例には上がっていないけど、激落ちくんの正体は材料にメラミンフォームと書いてあることから分かるように、メラミン樹脂である。ドイツで開発された新素材ってうたってるけど、メラミン樹脂はアメリカの化学者が1938年に開発したらしいぞ。スポンジとして作ったところに新規性があるということなのだろうか。
 アミノ樹脂の合成法は、例えば尿素ホルムアルデヒド塩基性条件で混合して、メチロール尿素として溶解し、酸を加えてpHを下げて酸性条件で重合させるという合成法がある。
 アミノ樹脂の重合反応がどのような反応機構なのか気になったのだけど、あまり詳細な説明が見つからない。例えば、ブックオフで105円で買ってきて以来僕の本棚に収まっている高分子の化学には次に示すように重付加の説明で一例として軽く触れていたり、

6.2.3 重付加
 2, 6-トリレンジイソシアナートは、アルコールやアミンのような活性水素化合物と容易に付加反応して高分子を生成する。ポリウレタンやポリユリヤの生成はその例である。

OCN-R-NCO + H2N-R'-NH2 → -[CONH-R-NHCONH-R'-NH]n-

付加重合の項で、フェノール樹脂のついでに書かれているだけである[1]

 尿素あるいはメラミンはホルムアルデヒドと反応し、-HN2または>NH基のメチロール化を経て付加重合が進行する。塩基性で生成するメチロール尿素、メチロールメラミンは熱硬化してユリヤ(尿素)樹脂、メラミン樹脂となる。
 ホルムアルデヒド活性水素を有する化合物(酸成分)とアミンを酸触媒で付加させるとMannich反応に似た反応が起こり、結合が繰り返されて直鎖状高分子が生成する。

とのことである。マンニッヒ反応というのが出てくるけど、「似た反応」ということなのでこれを参考にするには躊躇われる。
 実験科学講座には次のように書いてある[2]

 アミノ樹脂は、尿素、メラミン、グアナミン類などとホルムアルデヒドとの反応により得られる樹脂の総称である。これらのプレポリマーは一般に水溶性であるため使いやすく、無色透明で着色性に優れており、硬化樹脂は合成、耐摩耗性、耐熱性などの優れた性質を示すことから、接着剤や塗料、成型材料などの用途に使用されている。
 アミノ樹脂においても、フェノール樹脂と同様に反応条件により生成物が異なる。たとえば、尿素ホルムアルデヒドとの反応においては、酸性条件下ではメチロール基の縮合反応が起こりやすくなり、メチロール基を持たない直鎖状のメチレンポリ尿素が生成するが、この化合物は水や有機溶媒に不溶である。塩基性条件下においては付加反応が優先するので、メチロール基を持つ水溶性の尿素樹脂オリゴマーの混合物が得られる。このメチロール化尿素類は、酸触媒存在下で加熱することによりメチレン化が進行し、架橋して尿素樹脂硬化物となる。メラミン樹脂などについても、塩基性条件下でのホルムアルデヒドとの反応によりメチロール体を形成させた後に、無触媒または酸触媒存在下で加熱することにより、硬化反応を進行させる。

NH2CONH-(CH2NHCONH)n-CH2NHCONH2

 そういうことで、アミノ樹脂の重合反応の反応機構についてまとめてみた。
 メラミンだと2種類のアミノ基があって面倒なので、尿素について思索した。

 古い論文とか漁るのはやってられないので、検索してテキトーに見つけたものをソースにまとめた。なお、反応機構では面倒なので非共有電子対は描かない。正負の符号だけで判断してもらいたい。
① 塩基性条件では尿素プロトン水酸化物イオンに引き抜かれる。

② ①でプロトンを引き抜かれたアミノ基の電子がホルムアルデヒドのカルボニルに攻撃し、メチロール化する。

③ 酸性条件にするとオキソニウムイオンからプロトンが供給され末端のO-水酸基になる。この部分、水からプロトンが供給されることはない、筈なんだけど、エネルギー計算するとH2OからH+が引っこ抜かれてしまう。違うのかな。

④ もう1個プロトンが供給される。

⑤ プロトン化した水酸基に電子を引っ張られたことで電子密度の低くなった隣の炭素に別のメチロール化尿素のアミノ基が攻撃し、プロトン水酸基共有結合していた電子を引き連れて水となって脱離する。


 こんな感じになっている。
 やっぱり、非共有電子対を描かないと変な感じがするなあ。
 今後はこれらの反応について無理なく行けるのか計算して検証しようと思う。また、今回は尿素をモデルとしたが、メラミンの6員環にある3級アミンでもメチロール化して同様の反応が行くのかを調べたい。
 しかし、そんなことよりも、ブラウザでPDFを開けない問題が不便でたまらない。どうなってんだ。

参考文献
 [1] 土田英俊, 高分子の科学, 培風館(1975)
 [2] 日本化学会, 第5版 実験化学講座26 高分子化学, 丸善(2005)
 [3] 蜷川栄作, 尿素-アルデヒド負荷反応機構について
 [4] Borregaard LignoTech(魚拓)