チェルニー30番17 演奏解説

 チェルニー30番17を録音した。それほど苦労したという記憶もないのだけど、やけに時間がかかったのはあんまり真面目に取り組んでいないためだと思う。ともかく、例によって解説をする。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。例によって、演奏する上で特に注意するべきことは楽譜の解説に書いてあるので、その部分は割愛し、もっと瑣末なメカニカルな部分を始め低レベルな解説をする。まともな解説はピティナが行っているのでそちらを参照されたし。なお、このピティナの解説をまとめた「チェルニー30番」の秘密という本が先日発売された。

テンポ
 装飾音が練習課題となっているため、速いテンポは求められておらず、4分音符で108bpsとチェルニーの練習曲にしてはゆっくりめ。普通にやる気を出せば指定の速度は出せる程度。

装飾音
 装飾音のの弾き方については、次の例に示すように弾くことを勧める[1]


1小節~

 ■この曲のメインの課題であるトリル。
 3指でキーを押してすぐに指を上げるのだが、指を上げることばかりに意識が向いて打鍵しないうちから指を上げてしまい、音が出ていないということがしばしば起こる。3指を突き出し4指を引っ込めるというような手の形を予め作っておいて、その手の形のまま鍵盤に落とすと音が出ないということはなくなるのだが、弱音が出しづらいし上部雑音の元となる。
 別の解決法として、手の高さを鍵盤に触れるかそれよりも低いくらいにして3,4指を少し伸ばし気味にする。手がもっと高い位置にある場合よりも遊びが少ないので、指の動きに対して敏感にキーが反応することでミスが減る。
 ※2小節後半~4小節右手。この間ずっと裏拍でDを押さえるので、1指をDのキーの上に置いたままで動かさないこと。

13小節右手

 ●この部分、やけに弾きにくく感じるのは多分脱力できていないせい。
 リズム変奏で色々と改善されるが、脱力できるようにはならない。
 一音一音に全体重をかけてゆっくり練習して手を極度に疲労させた後だと脱力できるようになるけど、一時的なものに過ぎず、次の日には元に戻ってる。毎日やってるとそのうち良くなるかもしれない。
 1拍ごとに腕を上から下ろすようにすると割とうまく弾ける。始めの4音で腕を下げ、5,6音目で腕を上げにかかる。この方法で上手くいくのは多分5指の動きが悪いためだと思う。5指の動きの悪さを腕の動きで補っているに過ぎない。まあ、これで弾けるようになるならいいんじゃないかと思う。どうしても指の動きだけでクリアしたいと思う方もいるかもしれないけど、徒にこの部分を練習するばかりでは効率が悪いので、一通りチェルニー30番を攻略した後で改めて試みるとか、ハノンでも練習してもう少し自由な動きを習得するとかしたほうが良いと思う。

15小節右手

 ◎1指をまたいだ後の4,3指について。Cis-Hは少し距離があることと、指をまたいだ直後の忙しいタイミングなのでHの打鍵を急ぐあまり不正確な位置取りで打鍵し、結果CとHを一緒に押してしまうということがある。Cis-Hの距離を意識すること。
 どうしても外すようなら手元を見たら良い。

17小節~右手

 2種類目の装飾音である前打音。この演奏法は上で示した通りだけど、2音を同時に弾き、前打音の方のキーを直ちに上げるという変な演奏法を提案している人もいる[2]


21小節右手

 ✡Eis-Fisの繋がりではFisが黒鍵で高い位置にあるためEisよりもFisを先に引いてしまうことがある。そうならないように4指は曲げて5指は伸ばすというような手の形を作って、手がまっすぐ鍵盤に落ちたときに先にEisを押せるように工夫する。
 もちろn指が完全に独立してそれぞれのキーを任意のタイミングで押せるのならそれにこしたことはない。

25~28小節右手

 ここのトリルの演奏法は上に示した通り。通常と異なる表現だけど、チェルニーが装飾音の表記を端折ったものと思われる。

29~30小節

 ✡右手の半音階上昇は肘を右に向け手が左を向くようにする。指くぐりの2つ前の音が白鍵であり、キーの上に指が乗ったままだとじゃまになるので離鍵の勢いで指を上げて1指の通るスペースを確保する。1指は他の指に引っかからないように鍵盤の真上から離さずに鍵盤の上を滑るように移動させる。
 指使いを変更して指くぐりの回数を減らした。その結果、黒鍵と黒鍵の隙間を3指で弾かなければならない音が2箇所生じている。この部分で躓きやすい。特に後半は体の中心からより遠い位置にあって外しやすいので集中しなければならない。
 黒鍵-白鍵の指すべりを多用して攻略することで指くぐりをさらに減らし、その上黒鍵と黒鍵の隙間を避けて手前の部分で弾くようにすることもできるのだけど、イマイチ指使いが覚えられなかったので止めた。

33~34小節右手

 手の位置を低くして、4,5指を伸ばし気味にすると弾きやすい。

35~36小節右手

 Fisを5指で取る関係上、音域はそれほど広くないのに手は大きく広げなければならない。
 33~34小節と同じようには指を伸ばすことができないので、どうしても弾きにくくなる。
 E-Fis-Eの部分とC-G-Cの部分とではそれぞれ同じポジションでは弾けないので、横着しようとせずに、3音毎にポジションを移動すること。

37~40小節右手

 この4小節の間同じ動きをし続けるので、しっかり脱力できていないと疲労が溜まって途中で音が崩れる。

45~47小節右手

 ☆チェルニー40番の解説では5指の前が3度以下のときは4指を用い、4度以上のときは3指を用いると、4指を使うように書いている[3]
 1指の跳躍距離は最大3度とそれほど離れているわけではないのだけど、手がかりが少ないのと白鍵ばかりであることで外しやすい。正確に弾けるようにならないなら手元を見るようにしたら良い。

参考文献
 [1]根津栄子, チェルニー30番 30の小さな物語・下巻, 東音企画(2013)
 [2]岳本恭治, ピアノ・脱力奏法ガイドブック Vol.2 <実践編/チェルニー30番を使って>, サーベル社(2015)
 [3]ツェルニー40番練習曲, 全音(2005)

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