チェルニー30番20 演奏解説

 チェルニー30番20を録音した。今回はいつも以上に時間がかかった。これを練習している間にショパンの練習曲25-9がほぼ完成してしまったくらいである。この曲が難しいからというわけではなく、曲に魅力がなくてモチベーションが上がらないというのと、僕の練習方法がいくらかまずかったというのもあったかもしれない。本エントリーはその反省を踏まえての演奏解説でもある。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。音楽性とかいった曖昧で難しい部分は割と閑却して、メカニカルな部分を中心に低レベルな解説をする。

テンポについて
 テンポは付点4分音符で60bpmと、19番と同じ速度の指定になっているため19番→20番と順に演奏する場合はとっつきやすいかもしれない。とはいっても、初めて練習するときはゆっくり弾くところから始めるので、19番と同じ速度であることによるお得感はあんまりない。
 僕の演奏はそれよりも少し早めのテンポになっている。テンポを早くして演奏がふらつくくらいならゆっくりにしたらいいのにと思うのだけど、演奏中に自分のテンポを認識できないのでメトロノームに合わせて弾くくらいしか対策がとれない。あるいは、さらに長大な時間をかけてテンポが安定するまで練習するか。ただでさえ時間をかけまくってるのに、チェルニー30番ごときにこれ以上時間を取られたくないというのが正直なところ。
 過去何度も書いてると思うけど、弾けていないと思ったら間違いなく弾ける速度までテンポを落とすという勇気は必要である。弾けてないのに徒に弾いても、練習した気になるだけで実際は練習になっていない。そうやって弾ける速度を少しずつ引き上げていく中で、引っかかる部分を分析して、何故引っ掛かるのか、どうやったら解決できるのかを考えるのが重要である。

曲全体について
 全体的に音域が高めなので真ん中よりも右に座ると良い。具体的にはGの辺りが体に中心に来るくらい。11~12小節が少し弾きにくくなるので、このときだけは上体を左に移動して弾きやすい姿勢を取る。11~12小節さえなければもっと右に座りたくなる。
 4指の弾きにくい箇所は腕・肘を低くして指をまっすぐに伸ばすようにすると弾きやすくなる。あるいは椅子を低くすると弾きやすくなるが、曲によって椅子の高さを変えるのは勧めない。
 右手のトリルみたいな、和声音から2度の隣接音で装飾して元の音に戻る音を刺繍音という。全音の解説文では1音1音丁寧に弾いてくださいと書いてある。それは当然のこととして、刺繍音は最初の1音と続く2音では最初の1音が圧倒的に重要であるので続く2音を意識するあまり続く1音目がないがしろになるくらいなら2,3音目を雑に弾いちゃった方がまだマシである。勿論、練習曲としての課題を考えるのならテンポを落として弾けということになる。
 ピアノ脱力奏法ガイドブック 2にある、全ての音をスタッカートにして弾くという練習方法は指を独立して動かす筋肉を鍛えることになって、より滑らかに弾けるようになるのでお勧めである。

1, 2, 4小節

 ☆右手。1→3指で6度の跳躍を行う。直前に1-5指で5度上の位置を確認しておいて、それより1つ上のキーに跳躍する。手が馴れてくると、確認なしでいきなり跳躍出来るようになる。なお、僕は95%以上の確率で成功するようになったけど、このパターンの跳躍の出現回数を考えると、この成功確率は低すぎて話にならない。

6-7小節

 手元を見ずに弾くために:※6小節後半左手。この3音のうちCは次も同じキーを押すので2指をキーの上から動かさないでおく。他の2音はそれぞれ次の音で半音上がる。結局どの音もこの3音の位置が重要な手がかりとなるため、離鍵後手を動かさずに次の音の準備をすること。
 ◎6小節1拍目、7小節5拍目右手。4-5-4のトリルで4指を自由に動かすのはとても難しい。解剖学的に4指は動きづらいように人体はできているのだ。脱力ができていないのだけど、自分の意志で脱力できるわけでもない。この拍の間だけ指を真っ直ぐにして、手を鍵盤の上に平ぺったく乗せるようにして弾くと取り敢えずクリアできる。

9小節

 手元を見ずに弾くために:✡9小節後半左手。1泊目で押したEの位置をある程度覚えておいて、そのあたりに2指を持っていく。テキトーにそのあたりに指を持っていけばEかFのどちらかの上なので、そこから指を左に移動させると黒鍵の側面に触れる。その下がEである。このEを起点として他のキーの位置を確定させる。

11-14小節

 ■11~14小節右手。基本的に1指が2指の下に潜り込んだ形で演奏しなければならず、弾いていてとても不快感が強い。それでも我慢して馴れなければならない。11~12小節ではコンパス弾きのような弾き方になる。
 コンパス弾きというのは多分根津栄子の造語で、1指あるいは5指で同じ音を叩く合間に残りの指で別の音を挟み込むときに手首の回転を使って弾く方法。根津栄子編のチェルニー30番(下)で説明がある。チェルニー30番の13番はコンパス弾きの練習である。13番を解説する機会があれば、コンパス弾きについて、尺骨と橈骨の動きと一緒に説明したい。
 弾きづらいポジション移動の中で4指の弱い力では最後までキーを押し下げる事ができず、音が出ないことがよくある。4指を最後まで押し下げるよう意識して弾くこと。
 1→2拍目はちゃんとポジション移動すること。ポジション移動を怠けて同じポジションで弾こうとすると、5指がCを押すときに一緒にHを引っ掛けてしまって、キーが下がった状態になり、次のHを打鍵できなくなってしまう。
 ▲12小節右手。G-Fis-Gは手の位置を高くした方が弾きやすく、C-H-Cは手の位置を低くした方が弾きやすい。これらが交互に訪れるため、拍ごとに手を上げ下げしなければならない。楽して手を動かさずにいようとすると離鍵に失敗して次の音が出なかったりする。
 ☆13小節4拍目右手。ここが弾きにくいと感じるのはHのせい。2つ前に2指でBを押しており、Bを離鍵した位置からHを押そうとするとBのキーが邪魔になる。また、BとHのキーの段差があるため打鍵のタイミングがずれる。3拍目のBは指を変えた2指で押すので外しやすい。このBを外して、間違ってHを押してしまうと、次の拍の2指で押すHをもっと上にあるはずだと脳が勘違いして変な位置を押そうとするせいでミスタッチにつながる。 そんな訳で、このBは外すと影響の大きい音なので特に注意すること。

16小節

 4拍目右手。この直前までHには♮がついていて、繰り返し押している内に手がHに馴れてしまっており、ここで突然♭になるので指が咄嗟に対応できなくなってしまっている。これまでとは違うということをよく意識して弾くこと。  5,6拍目右手。ABHを122と指使いを変更した。BHのところ、指くぐりを嫌って指を滑らせてズルをしている。

17-18小節

 17小節後半~18小節前半左手。ヘクサコードが出てくる。左手の指は5本なのに音が6つあるので弾きにくいと感じるのだけど、ここでは中間の半音部分が黒鍵→白鍵となっているので指を滑らせてズルをする。
 17,18小節の左手の音型はこの曲の主旋律と対応している。こういった細かい芸はインベンションで学ぶことができる。

24小節

 ※右手。分散和音とかの跳躍時に指くぐりのところはちゃんと離鍵すること。しっかりと離鍵せずにキーを沈めたままでいると、指くぐりのポジション移動の際に指を引き摺る形になり、隣のキーの端に指をぶつけたり擦りつけたりで結構痛い。
 左手3拍目。F→Fのオクターブのところ。 スタッカートが付いているので素早く離鍵する必要があるが、離鍵した勢いに乗って手を動かさないこと。1オクターブ下の次のFの位置はこの離鍵したFを基準に測るので、手を動かしてしまうと次のキーがどこにあるのかわからなくなってしまう。

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