平成30年 中川正春 政治資金収支報告書

 政治資金収支報告書を書き出してみた。
 今回は「安倍首相の睡眠障害を勝ち取ろう!」発言[1]で有名な立憲民主党中川正春さん。この人、最初は自民党だったんだ[2]
 先日「大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」という発言[3]で炎上していた石垣のりこさんを書き出そうかと思ったのだけど、収支報告書が見つからなかったので、連想で思い出した中川正春さんに決めた。
 元データは三重県のページに置いてあったので、そちらから落とした。
 平成30年中川正春後援会
 元データ:中川正春後援会(コピー)
 エクセルに書き出し:中川正春後援会H30 政治資金収支報告書

 折角書き出しておいてなんだけど、特に見るべき面白いところもなく。今回はスカったなあ、というのが正直な感想。それなりに時間の掛かることなんだから、面白いことがないかどうかしっかり精査してから書き出すべきだったなあと反省する次第である。

参考文献
 [1]民主党もゲス発言「安倍首相の睡眠障害を勝ち取ろう!」 中川元文科相 枝野幹事長が注意、陳謝(InternetArchive, archive.today), 産経ニュース
 [2]中川正春(archive.today), Wikipedia
 [3]石垣のりこ, https://twitter.com/norinotes/status/1299238780834988035(archive.today), Twitter

チェルニー30番7 演奏解説

 チェルニー30番7を録音したので例によって解説する。
 チェルニー30を難易度順に並べたチェルニー30番 30の小さな物語では4番目に載っているのでかなり簡単な部類に思えるかも知れないが、それなりに弾けるようになって指定のテンポにメトロノームを合わせると、その速さに軽く絶望できる。本当に4番目に置いていい曲なのか疑問を覚えるが、そもそもこの曲を指定のテンポで練習させるような鬼畜な先生がそうそういるとも思えないので、これはゆっくり弾いたときの難易度なんだと思う。
 楽譜はいつもどおり全音を使う。

テンポについて
 2分音符で76bpmとなっているが、4/4のリズムなので4分音符で152bpmとしたほうが分かりやすいと感じる。
 上に書いたようにすごく速くて、こんなの弾けるわけないやんって思ったのだけど、練習をサボってバッハを1曲完成させて戻ってきたら、どういう訳かなんとか弾けそうな感じになってきた。どういう機序でそうなったかは全く不明である。
 チェルニー30番は大抵の曲はテンポを速くするのが最も障害となる。中村菊子が音の響きはもとより、鍵盤の数といい、幅といい、全て小規模で打鍵の感じの違いにたいへん驚かされた[2]と言っている通り、別の楽器を弾いているようなものなので同じように弾けなくて当然だし、ピアノ学習者が無理にインテンポを目指す必要はないと思う。
 速度を上げいくと、片手だけなら問題なく演奏できるのに、両手で合わせると崩壊する箇所が現れる。片手だけに集中していれば弾けるが、両手で弾くことによって集中力を配分しなければならず、満足に演奏するだけの集中力が残っていないということである。暗譜して手元を見ながら弾くと少しは良くなるが、それでも駄目な場合はぎりぎり弾けるか弾けないかの速度でひたすら弾き込んで動きを体に馴致させる。すっかり疲労するまで弾き込んだら、疲れの取れている翌日にはいくらか良くなっている。

アルベルティ・バスについて
 下に示すように[1]、3音の和音をドソミソのように分散させたものをアルベルティ・バス(Alberti-Bass)という。

 今回、7番はアルベルティ・バスの練習のように見えるが、アルベルティ・バス自体は特別な練習が必要なものでもないと思うんだけど、脱力して演奏するための練習というものがある[6]。それはそうと、この曲はベース音の保持の所為で手の動きが酷く制限されるため、ベース音以外のトレモロ部分を指の動きだけで弾かなければならない。これを152bpmで弾こうとするのはかなり無理をする必要がある。ベース音を保持しなくてもよいのならコンパス弾きを使うことでかなり速く弾ける。
 弾き方とかについて、1小節目で説明してみる。

 フォルテで始めるのだが、全ての音をフォルテで弾く必要はない。速く弾くとすごく疲れて、最後の方でバテてしまうので、力を入れる必要のないとこは積極的に力を抜いて手を疲れさせない工夫がいる。ここではフォルテで弾くべき音は右手の主旋律と左手の各拍頭の保持するベース音である。左手各拍2~4音目は力を込めずに弾く。また、拍頭のベース音も打鍵と同時に力を抜くこと。
 ベース音は全てC音となっている。これを保持するということなので、切れ目なく同音連打することになるが、色々無理がある。まず、音を保持しながらの同音連打はダブルエスケープメント機構が備わっているピアノ、つまりグランドピアノでなければ演奏できない。グランドピアノを使っている場合は保持したままの同音連打を試みたいものであるが、簡単ではない。現実的には4音目に合わせて5指を離鍵して次の拍頭の打鍵に備えることとなる。
 2~4音目だが、2音目と4音目は1指で同じ音を打鍵することになる。4音目をちゃんと打鍵するためには2音目に打鍵した1指がちゃんと離鍵している必要がある。これがなかなか上手く行かなくて、4音目が打鍵できていないということがよくある。このことは演奏中に気付くのは難しく、録音を聞き返したときに初めて自分が拙い演奏をしていることを理解することになる。勿論、ピアノの先生についているのなら指摘してもらえるが、前述の通りチェルニーを指定のテンポで演奏させるような鬼畜教師はそうそう世の中にはいない。兎に角1指の離鍵がアルベルティ・バスを弾く上での最も注意する部分となる。
 1拍目のCGEGを例に手の動きを説明する。1音目、Cは手首を左に回転させながら5指をキーに落とす。この音だけはフォルテで弾く。2音目、Gは手首を右に回転させながら1指で打鍵。3音目、手の甲を少し上げて1指を離鍵しつつ3指で打鍵。4音目、手首を右に回転させて3指と5指を離鍵しつつ1指で打鍵。4音目を打鍵した時点で次の拍頭の準備ができていることになる。
 4音目でベース音を離すことで保持が途切れることになるが、以前説明したように離鍵してから減衰するまで0.1秒くらいかかるので、その程度なら保持が途切れても許容される。この曲を指定のテンポで弾いたとき、16分音符1つにかかる時間は60秒/(76bpm*8) = 0.0987秒なので、減衰前に次の音を打鍵することになり頑張って保持する必要はないことが分かる。
 2~4音目の離鍵についてはダブルエスケープメントを利用することでかなり短い距離の動きでクリアできる。逆に言えば、アップライトで指定の速度を出すのはかなり難しいということである。1音目については、打鍵の際の指の動きが少ないと十分なヴェロシティが得られずにフォルテになりづらいため、しっかりと離鍵したほうが良い。

スタッカートについて
 この曲では何種類かのスタッカートがあって、それぞれ弾き方がある。
 1小節目にあるような単音のスタッカートは指を手前に引っ掻くようにして打鍵する。打鍵後その勢いでキーの上から指がどくことで最速でキーが戻る。勢いのある鋭いスタッカートを作ることが出来る。
 手前に引っ掻く弾き方では和音のスタッカートは難しいので、普通に手首の上下で打鍵と離鍵を行う。
 13小節は1~3音がメゾスタッカート(ポルタート、ポルタメント)で4音目がスラーで保持するようになっている。

 メゾスタッカートは3/4の長さに切るというのが原則だが、あくまで原則でありどの程度に切り離すかは曲や演奏者の解釈によってまちまちである[3]。ここでは3/4の長さだと上述したように減衰時の残響が次の音まで続くのでイマイチ切れた感じがしない。だから、いっそ1/2の長さで切ってしまう。指定のテンポより十分遅く弾く場合は3/4で問題ないと思う。
 15小節はスラーとスタッカートが混在している。

 ここのスタッカートは手前に引っ掻くと弾きづらくなり、また鋭いスタッカートである必要もないので普通にキーからまっすぐ指を上げる離鍵でも問題ない。
 この部分は右手3拍目のA音がスタッカートになることに注意しなければならない。どうやらそれが常識らしい[4]のだが、これはアーティキュレーション・スラー(articulation slur)という。

 高さの異なる2音感にスラーがある場合はアーティキュレーション・スラーという。後の音が前の音と同じ長さか前の音より短い場合は、あとの音は原則として力を抜き、軽く切る奏法になる。上の譜例ではスラーのあとに記されたスタッカートによって、スラーの最後の音が誘発され、明瞭なスタッカートで奏される[3]

装飾音のタイミング
 31327小節に装飾音がある。前打音のタイミングは下の譜例に示すように、拍の上で打鍵する古典的奏法と、拍の前に先取的に打鍵する近代的奏法がある。
[3]
 どちらでも好きな方、というか、より説得力があると感じる方で弾けば良いと思う。
 僕自身は13小節は先取的に打鍵する意外にはありえないと考えるので、それに合わせて他の部分も先取的に取るようにしている。しかし、指定のテンポで弾く場合、327小節では速すぎて違いがわからない。
 13小節は前打音の最初のGを直前12小節の左手最後のG音と同じタイミングに合わせて弾くようにする。
 前打音ではなく主要音にアクセントがあることを忘れないように。

2小節

 ※2拍目。左手のアルベルティバスに対して右手は下降スケール。同じ16分音符だが右手の方が遥かに速く弾けてしまうので、左手に合わせて速度を抑制する。
 ◎右手2~3拍目。指を跨ぐのに手間取って遅くなりがち。1指を立てるようにして打鍵するか、引っ掻くように打鍵してそのまま鍵盤上から1指をどけてしまうことで1指が他の指の移動経路を塞ぐことがなくなる。また、最後のG音を2指ではなく3指で打鍵すると指使いが2-1-2ではなく2-1-3となり少し余裕ができる。
 ■ここに限ったことではないが、右手が忙しくなると左手のアルベルティバスに回す集中力が足りずに4音目を抜きがちとなる。上で説明した動きをしっかり体に叩き込んで間違いなく4音とも打鍵できるようにしておくとよい。

1011小節

 右手3音目のCEGの和音を124で取ると次の前打音のGHDと同じ手の形になるので、手の形を変えずに5度上に移動すればそのまま次の音を打鍵できる。

1516小節

 これまで主旋律が4分音符だったのがここから8分音符になり、右手の負担、集中力が増すことにより左手が疎かになりがち。左手は同じ音が続くので、集中力を要さずに弾けるようになるまで左手を訓練する。
 ※16小節最後で左手が崩壊することがある。これは気づかない内に右手が速くなっているのに左手が追随できなくなることに加えて、17小節最初のGの準備をしようとする動きが引き金となる。

1723小節
 右手の主旋律となる4分音符は他の16分音符よりも主張しなければならないのだけど弱くなりがち。
 アルベルティ・バスの保持音は少しくらい切れてもあまり目立たないが、こちらは切れるとすぐに気づいて誤魔化しが効かないので確実に保持すること。

24小節

 コンパス弾きとはシュッテルング(Schüttelung)といって手首の回転で手を左右に回す動きで打鍵すること[5]。8度以下の距離を交互に行き来するときに有用で、指の動きだけで演奏するのに比べて格段に疲労を抑えることができる。
 右手最後のGを打鍵しないまま次の小節に突入してしまうことがあるので、最後まで確実に抑えること。
 左手は2分音符の和音だけなので、小節後半でゆっくり次の位置を探しに行く余裕がある。

32小節

 ☆左手最初。直前に16分音符で1指を使っているので、この音を1指で取るのは筋が悪い。23指あるいは24指で取ったほうが断然引きやすい。楽譜の指示通りに取るのなら少し遅れて32小節に入るとか、31小節最後のFを右手で取るとかになる。
 ◎左手2音目。2オクターブの跳躍でキーの位置を確認している時間もあまりなく、外しやすい。5度の広さを正確に掴めるようにしておけば上のGの位置を確認するだけで弾ける。

参考文献
 [1]石桁真礼生, 楽典―理論と実習, 音楽之友社(2001)
 [2]カール・ツェルニー, 若き娘への手紙, 全音楽譜出版社(1984)
 [3]菊池有恒, 楽典 音楽家を志す人のための, 音楽之友社(1979)
 [4]田村宏, レスナーのための指導ポイント チェルニー30番練習曲, エー・ティー・エヌ(1994)
 [5]井上直幸, ピアノ奏法―音楽を表現する喜び, 春秋社(1998)
 [6]岳本恭治, ピアノ脱力奏法ガイドブック①《理論と練習方法》, サーベル社(2015)

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酢酸の濃度とpHの関係

 先日、酢酸を使ってpHを調整しようと考えたのだけど、酢酸の濃度とpHってどうやって計算で求めたんだっけ、とかなり基本的なところで躓いた。そんで、ネットで調べれば濃度とpHの関係性のグラフくらい見つかるだろうと思ってググったのだけど、見つからない。折角なので、自分で計算してグラフを作ろうと思った。
 あまり基礎的な部分の説明はしたくないのだけど、やっていることがあまりにも初歩的なのである程度は説明しておかないといけないかなと思う。緩衝溶液を作るわけでもないので、それほど多くのことは説明しないで済むし。
 酢酸は水溶液中で次のように解離する。
{ \displaystyle CH_3 COOH \rightleftarrows CH_3COO^- + H^+ }
 このとき酢酸濃度[CH3COOH]と酢酸イオン濃度[CH3COO-]と水素イオン濃度[H+]は酸解離定数Kaを用いて次のように一定の値となる。なお、モル濃度を表記する場合、[CH3COOH]というふうに鉤括弧で括る。
{ \displaystyle \frac{ \lbrack CH_3COO^- \rbrack \lbrack H^+ \rbrack }{ \lbrack CH_3 COOH\rbrack } = K_a }
 Kaの値はかなり幅のあるものなので、-logを表す"p"をつけてpKaと表記することが多い。ちなみに酢酸のpKaは大体4.7と覚えてるんだけど、資料によって結構まちまちで、4.57[1]、4.74[2]、4.75[3]、4.8[4]などちょっとググっただけで色々出てくる。取り敢えず、ここでは4.7としておく。
 一方、水の自己解離という現象があり、水は下のようにH+とOH-に一部解離する。
{ \displaystyle H_2 O \rightleftarrows H^+ + OH^- }
 この反応は酢酸の場合と同じように一定の割合で起き、自己解離定数Kwという数値で表現される。
{ \displaystyle \lbrack H^+ \rbrack \lbrack OH^- \rbrack = K_w ――① }
 KWの値は25℃のときに10-14と決まっている。
 この2つの式を解いて[H+]を求めるのが今回の目的である。
 酢酸及び酢酸イオンの表記について、いちいち化学式で書くのは面倒なので、酢酸(CH3COOH)をAH, 酢酸イオン(CH3COO-)をA-と書くことにする。ちなみにAはacidの略。したがって、Kaについての式は次のように書き直される。
{ \displaystyle \frac{\lbrack A^- \rbrack \lbrack H^+ \rbrack}{\lbrack AH \rbrack} = K_a ――② }
 酢酸の全濃度をCとすると、
{ \displaystyle C = \lbrack A^- \rbrack + \lbrack AH \rbrack \\ \lbrack AH \rbrack = C - \lbrack A^- \rbrack }  従って、②は次のように書き換えられる。
{ \displaystyle \frac{ [A^- ]\lbrack H^+ \rbrack}{C - \lbrack A^- \rbrack} = K_a ――②' }
 この①と②'を解くと次の3次方程式が得られる。
{ \displaystyle \lbrack H^+ \rbrack^3 + K_a \lbrack H^+ \rbrack^2 - (C \cdot K_a + K_w )\lbrack H^+ \rbrack - K_a \cdot K_w =0 }
 この式の求め方は後述する。この式を解いて、横軸をC、縦軸を-log[H+]とすると次のグラフが得られる。

 これが、酢酸の濃度とpHの関係である。
 ただし、原理的に高濃度のpHは値自体が実用的ではないし測定値も信用できない。というのは、水素イオンとは言うものの実際はH3O+のことを指しており、これは酸に含まれるプロトンが水と結合して、酸から解離することでできる。だからpHを議論する際は溶媒として十分に水があるという前提があってのことで、水が十分なければH3O+にならず、酸が解離することもない。濃硫酸を金属のタンクに入れてもタンクが腐食しないのはこのためである[5]。液に含まれる水の濃度から無理にpHを求めることもできそうな気がするかもしれないけど、水素イオンの正体がH3O+のみならず、一般的に[H(H2O)n]+で表される[6]ことを考えると尋常な方法ではできないのではないかと思う。
 濃厚な液の場合は酸度関数という概念を使うためそういう領域でのpHを考えること自体不毛である。
 そんなわけでpH曲線の高濃度側の端っこは信用できない値であるけど、どうすることもできないのでそのままにした。


導出
{ \displaystyle \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \lbrack H^+ \rbrack\lbrack OH^- \rbrack = K_w \\ \frac{\lbrack A^- \rbrack\lbrack H^+ \rbrack}{C - \lbrack A^- \rbrack} = K_a \end{array} \right. \end{eqnarray} }
この連立方程式を解く。  [H+]は水の解離によって生じるものと、酢酸の解離によって生じるものがある。水の解離によって生じるものは[OH-]と同じ数だけあり、酢酸の解離によって生じるものは[A-]と同じ数だけある。
 [H+] = [OH-] + [A-}]
[A-]を左辺にする  [A-] = [H+] - [OH-}]
②'の[A-]に代入する
{ \displaystyle  K_a = \frac{(\lbrack H^+ \rbrack - \lbrack OH^- \rbrack)\lbrack H^+ \rbrack}{C-(\lbrack H^+ \rbrack - \lbrack OH^- \rbrack)} }
①より{ \lbrack OH^- \rbrack = \frac{K_w}{\lbrack H^+ \rbrack}}なので、これを代入
{ \displaystyle  K_a = \frac{(\lbrack H^+ \rbrack - \frac{K_w}{\lbrack H^+ \rbrack})\lbrack H^+ \rbrack}{C-(\lbrack H^+ \rbrack - \frac{K_w}{\lbrack H^+ \rbrack})} }
 あとは式を整理すると完成する。
{ \displaystyle (C - \lbrack H^+ \rbrack + \frac{K_w}{\lbrack H^+ \rbrack})K_a = (\lbrack H^+ \rbrack - \frac{K_w}{\lbrack H^+ \rbrack})\lbrack H^+ \rbrack \\ \displaystyle (-\lbrack H^+ \rbrack^2 + C\lbrack H^+ \rbrack + K_w )K_a = \lbrack H^+ \rbrack^3 - K_w \lbrack H^+ \rbrack \\ \displaystyle \lbrack H^+ \rbrack^3 + K_a \lbrack H^+ \rbrack^2 - (C \cdot K_a + K_w )\lbrack H^+ \rbrack-K_a K_w = 0 }

 3次方程式は解の公式で解いた。自分でカルダノの公式を解くのは大変だったので、こちらにあるエクセルファイルに手を加えて求めるようにした。
 下に置いたエクセルファイルを見てもらうと分かるのだけど、3つの解があって、1つは正の数、一つは負の数、一つは0となっている。0とは書いているけど、実際はKw、つまり10-14に依存するすごく小さな値であり、厳密には0ではないけど、限りなく0に近い値である。エクセル上では10-16よりも小さい値なので0と見做される。Kw=0としてしまうことで2次方程式に次数を下げて近似することが出来る。pHを手計算するときはこういった近似を利用すると便利である。

 いつものように計算に使ったエクセルファイルを上げておく。
酢酸のpH.xlsx
 pKaの部分は数値を好きに弄れるようになっているので、酢酸以外の解離定数を使いたいときにも対応できるようになっている。

参考文献
 [1]第3節 電離平衡, 啓林館
 [2]https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/analchem/_src/sc3091/ph93h92e894z95z97p.pdf
 [3]John McMurry, マクマリー有機化学(中) 第4版, 東京化学同人(1998)
 [4]山縣和也, 酸と塩基・代謝概要(2013)
 [5]G.D. クリスチャン, クリスチャン分析化学Ip149, 丸善(1989)
 [6]F. A. Cotton, G. Wilkinson, P. L. Gaus, 基礎無機化学 原書第3版, 培風館(1998)

ショパン プレリュード4番 演奏解説

 ショパンのプレリュード4番Op28-4を録音した。色々と上手く行かないことが多いので、コイツを弾くくらいは出来るだろうと思いっきりハードルを下げた。
 この曲は技術的に容易なので、普段通りだとあんまり書くことがないんじゃないかなっていう気がするけど、それはそれで細かいことを考え出す。普段は割と閑却しがちなショパン独特の表現方法についてである。今回、楽譜は全音版を使ったが、ショパンを表現しようとする際に全音版は甚だ不適切である。編集による独自改変がかなり多く、普通の作曲者と同様の表現に書き改めているため、本来ショパンがどのように表現したかったのかが見えなくなっているためである。ナショナルエディションが欲しくなってくる。ナショナルエディションは手元にないが、代わりと言っては何だけどドレミ楽譜出版社の縮小版がある。これはなかなか良い出来であり、「原点の見える実用版」を名乗るだけのことはある[5]。これは縮小版ということもあり、解像度の点で少し難があるが、全音版があまりにも駄目なのでこちらも解説に使う。また、今回は自筆譜[1]も参考にする。

当然ながら手書きの楽譜なのでかなり読みづらいが、全音のダメ出しくらいはできる。

テンポについて
 Largoとなっているので、ゆったりとしたテンポで弾くのだが、冒頭にespres.とある。{エスプレッシーヴォ(espressivo):表情を豊かに、感情を込めて}という意味である[2]。延々と続く和音の連打を単調にならないよう悲壮感を感じられるように演奏することになる。ショパンテンポ・ルバートは伴奏を正確なタイミングで弾き、旋律のタイミングをずらして演奏するものであるが[4]espressivoと書いてある以上はその部分は目を瞑ってしまって構わない。

ペダルについて
 全音だとそこかしこにペダルの指示があり、13小節にはsimileとさえある。しかし、自筆譜を見て分かる通り、ショパン1718小節の2箇所しかペダル指示を書いていない。もちろん、この2箇所でしかペダルを踏まないということではない。和声が変わるたびにペダルを踏み変えるのを基本とするのが分かりきっているので敢えて書く必要がないということである[3]。勿論それが全てではなく、和声とペダルの踏み変えをあわせるというのをベースにして各演奏者にそのタイミングを委ねると考えるべき。だいたい、ショパンは弾くたびに違った演奏をする[4]というのに、ペダルだけは同じタイミングで使っていたなどとは考えられないので、必ずある程度の自由があるはずである。
 逆に言うと、1718小節の2箇所は必ず間違いなくペダルを踏むと断言してここにペダルの指示をだしたと言って良い。ただし、ショパンのペダルオフの指示はかなり雑なので[6]、そこはあまり信用せず自分でペダルを離すタイミングを考えたほうがよい。

クレッシェンド、デクレッシェンドについて
 ショパンの表記で最も分けのわからないのがこの<>で表される記号である。音楽の教科書には<が{クレッシェンド:だんだん強く}、>が{デクレッシェンド:だんだん弱く}なのだが、ショパンは必ずしもそのような意味で使っていないのである。セイモア・バーンスタインはこの記号をヘアピンと読んでいるのだが、<はだんだん強く且つ演奏に時間をかけるように(=だんだん遅く)、>はだんだん弱く且つだんだん速くというような意味を見出している[6]。これはヘアピンの広がりを時間の広がりを同時に表現しており、時間が広がるということはその音をより長い時間演奏するという意味になる。だから、<だと遅くなり、>だと速くなるのである。また、>はアクセントを意味することもあり、>が示している音をより強く、長く演奏することになる。>の長さによって長いアクセントだったり短いアクセントだったりするので更に不可解である。

アクセント
 この曲にはアクセントの付いている音符が2箇所ある。8小節と12小節である。

 譜例は全音版だが、両方とも短いアクセントとなっている。上の自筆譜を見てもらえば分かるが、元はどちらも長いアクセント(あるいは短いヘアピン)となっている。意味するところは上で書いたとおりである。

装飾音

 ショパンの解説のときはだいたい書いてるんだけど、ショパンの装飾音は譜例に赤線で示したように主音のタイミングで弾いて、速やかに主音に移る。

三連符

 右手の8分音符の流れの中で3連符が紛れ込んでいる部分が2箇所ある。12小節と18小節なのだが、リズム感の曖昧なこの曲の中だと普通の8分音符のように弾いてしまうことも出来るが、ちゃんと4分音符の中に納めるように弾くべきである。速度の変化についての指針はヘアピンで示してあるのだから、不自然なリズムになってはいけない。

1618小節

 この曲の中で最も分かりづらい部分である。{stretto:だんだん速く、緊張感を高めて}とありながら、ヘアピンが開いたり閉じたりして速度の変化を示している。
 この部分、例えばアメリカの音楽学者トマス・ヒギンズによると16小節に始まるクライマックスが19小節の前まで続いており、1718小節の始めでリタルダンドしたいという衝動にかられても、それには抵抗すべきであることを示している[3]とのことである。
 一方、セイモア・バーンスタインもこの部分について長々語っている。第16小節目からクレッシェンドを行い、次の小節のフォルテに持っていく。第16小節から18小節にかけて記されているstrettoは、情熱的なエネルギーの高まりを要求しており、我々を次へと駆り立てている。しかしながら、その途中の第16小節目にヘアピンがあり、ルバートを意味している。ターン(回音)の最初の音であるB(ロ音)のところからルバートを行い、その後ショパンのstrettoの支持に従ってターンの最後の音に向けて緩やかにテンポを上げていく。そして感情の高まりとともに、ターンはG(ト音)への減7の跳躍をする。また、ヘアピンが最も大きく開く第17小節の冒頭部分にも、D#(嬰ニ音)からC(ハ音)という減7の跳躍があるが、こおでもルバートを行って演奏することを意味している。こっら2箇所において、strettoにいわば抗うことで、情熱的に切望しているような感覚が作り出される[6]と、何やら難しいことを言っている。
 さて、僕の解釈だが、基本的に上のクレッシェンド、デクレッシェンドの項で書いた通りなのだが、譜例を見るとstrettoの後にヘアピンが広がって、その後に狭まっていくように書かれている。しかし、自筆譜でこの部分をよく見てみると、strettoの真ん中の"e"のあたりがちょうどヘアピンとヘアピンの間に来ており、"stretto"の右の方は五線の右端からはみ出ている。

strettoがどの点に指定されているかという問題である。文字の書き出しの部分から適用するのが普通なのだが、ここは楽譜の右端であり、既にハミ出ている状況である。ってことは、ショパンはもっと右の方例えば、狭まるヘアピンに合わせて書きたかったという可能性はないだろうか。そうであればこの表記は自然に解釈できる。
 17小節にいきなりフォルテがある。冒頭のピアノ以来の強弱指示である。当然ながら、ここでいきなり強音にするのではなく、冒頭からここまで至る間に散々強弱をこねくり回した挙げ句のフォルテでなければならない。上で議論した16小節のstrettoもこのフォルテに至る道筋の一つであるのは、上で引用したセイモア・バーンスタインの言葉のとおりである。

参考文献
 [1]Wizytowka Chopina
 [2]遠藤三郎, 独・仏・伊・英による音楽用語辞典 【改訂版】, シンコー・ミュージック(1991)
 [3]小沼ますみ, ショパンの表現様式の考察―「24のプレリュード作品28」の自筆譜に基づく, 音楽之友社(1987)
 [4]ジャン=ジャック・エーゲルディンゲル, 弟子から見たショパン―そのピアノ教育法と演奏美学 p74, 音楽之友社(2005)
 [5]ショパン・ピアノ作品便覧, ドレミ楽譜出版社(1993)
 [6]セイモア・バーンスタイン, ショパンの音楽記号 -その意味と解釈-, 音楽之友社(2009)

舎密開宗 目次

 宇田川榕菴舎密開宗を読んだ。田中実による現代語訳だけど。
 舎密開宗というのは天保8年(1837年)から弘化4年(1847年)にかけて発行された日本最初の化学書で、だいたい中学高校で習うような内容が書かれている。D・ウィリアム・ヘンリーによるChemie, voor, beginnende liefhebbers of aanleidingの和訳をベースに榕庵の私見や研究、他書の記載をまとめたものである。現代の知識で読むと怪しい部分がいくらかあるが、江戸時代のイメージからはかけ離れたちゃんとした化学書である。西洋における19世紀前半としては最先端に近い内容が書かれている。
 国会図書館早稲田大学国文学研究資料館岐阜市立図書館龍谷大学Googleブックスなどで原本が公開されており誰でも読むことができる。また、楽天Kobo電子書籍化されていたり、長野電波技術研究所附属図書館でコピー本の配布を行っている。
 古文にしてはかなり現代語に近い言葉で書かれており、五千円札の人の読みづらい文語体なんかよりも遥かに読みやすい。とはいえ、やはり固有名詞を全て漢字で書いていたり、難しい言葉を使っていたりと、それほど気軽に読み終えられるものでもない。それで上記の現代語訳を読んでみた。
 現代の科学水準では既に役目を終えているので、科学の発展に資するものではない。しかし、古典への興味という点では捨てたものではないので、検索性のために目次を書き出すことにした。基本的に田中実の訳としているが、分かりづらい語についてはいくらか手を加えた。

初編
○巻1
第1章 化学親和力(凝集力、集合親和力、集合引力、付着力、同質成分、異質成分)
第2章 溶解(溶媒、溶質、容和、用器分散)
第3章 熱は溶解を進める(結晶、塩膜、結晶点)
第4章 溶解は分散を促す(分散、分解)
第5章 溶解の難易
第6章 溶解は撹拌を進める(リトマス)
第7章 親和は水を必要とする(硝酸銅の製法)
第8章 甲と乙とが丙に頼って親和する(ツーエイゲネンデ・フルワンドスカップ(特殊適合親和力))
第9章 飽和
第10章 親和は物質の性質を変える
第11章 単親和力(単択親和力)
第12章 複親和力(複択親和の図、ジスポネーレンデ親和力(素因親和力))
第13章 熱素(光素、光素の伝達、天然の七色を電気の両極に例える)
第14章 熱素は物体の体積を拡大する(試験法)
第15章 熱素の増減(温度計)
第16章 熱素は平均を好む(ランフォードの試験法)
第17章 熱素の伝達(試験法)
第18章 沸騰温度(温度計を用いて山の高さを測る。諸液体の沸点)
第19章 固・液・気三体(ジゲストル(蒸煮釜))
第20章 熱素は親和を助ける(顕熱素)
第21章 氷の潜熱素(試験法)
第22章 顕熱素は氷を融解する(顕熱素を測る方法)
第23章 個体は融解するとき寒冷を生ずる(人工寒冷、水銀の凍結)
第24章 液体は固化するとき熱を発生する(発熱)
第25章 蒸気の温度(試験法)
第26章 液体が蒸発するとき温度が下がる(カヴァルロの試験)
第27章 蒸気が液体となるとき温度が下がる(試験法)
○巻2
第28章 ガスの捕集(目盛り鐘の製法、水槽、水銀槽、集気ロート)
第29章 ガスは潜熱素を蓄える(蒸気とガスの区別)
第30章 ガスは気圧に左右される(試験法)
第31章 酸素ガスの製法(5種の方法)
第32章 酸素ガスの性質(物を燃やす試験法)
第33章 燃焼後の体積縮小(試験法)
第34章 燃焼物の重量増加(酸素ガスの重量)
第35章 酸素ガスは呼吸に利用される(血液の色)
第36章 窒素ガスの製法
第37章 窒素ガスの性質(ニットリキュム(窒素))
第38章 空気の作用(空気は水の何倍軽いか)
第39章 空気の分離(ユージオメーター)
第40章 呼気と吸気(吸気は肺静脈の血液に親和する)
第41章 水素ガスの製法
第42章 水素ガスの溶解性
第43章 水素ガスの燃焼性(化学ハーモニカ、酸化水素ガス、酸化水素フイゴ、ヴォルタ氏のユージオメーター)
第44章 水素ガスの性質(試験法)
第45章 水素ガスの軽さ(試験法)
第46章 水の成分(元体)
第47章 水の合成
第48章 水の分解
第49章 電気を用いる方法
第50章 ヴォルタ氏柱を用いる方法(カルヴァニ電気、陰極、陽極、エールステッドの装置、アルカリあるいは塩類の分解)
○巻3
第51章 水は気体を含み、気体は水を含む(水中の気体、魚の聴覚、湿度計)
第52章 水はよく物を溶かす(可溶物、水の温度変化)
第53章 塩類は溶解して空気を発生する(試験法)
第54章 水は物を溶かして体積を変える(試験法)
第55章 水による物の溶解は気圧に左右される(試験法)
第56章 水は凍結して堆積を増す(氷の重さ、氷の形、雪花六出)
第57章 アルカリ(アルカリ金属、土類金属、準金属、アルカロイド)
第58章 カリ及びソーダ(固性アルカリ、揮発アルカリ、白熱、カリ液の製法、カリウム、ポッタシウム、ソーダ液の製法、ソウジウム、ナーテル)
第59章 アンモニア(製法)
第60章 アンモニアは水に溶ける(試験法、アンモニア水、○付録 硫化アンモニア)
第61章 アンモニアの成分(分解法)
第62章 酸類(酸素酸、水素酸、酸類の区別と名称)
第63章 炭素(ダイアモンド)
第64章 炭素の製法(デーべライナー氏の方法)
第65章 炭素は酸素と化合する(炭酸ガスの成分)
第66章 炭酸ガスの製法
第67章 炭酸ガスは炎を消し、生物を殺す
第68章 炭酸ガスは植物を毒する(試験法)
第69章 炭酸ガスの重さ(試験法)
第70章 炭酸ガスは水に溶ける(試験法)
第71章 炭酸はカルキと化合する(石灰水による炭酸の試験、○付録 酸化炭素)
2編
○巻4
第72章 炭酸アルカリ(次炭酸塩、過酸炭酸塩、炭酸親和表)
第73章 炭酸はカリと化合する(試験法)
第74章 炭酸カリの性質(品位試験、炭酸水銀)
第75章 ポットアス(真珠灰、酒石塩、アルセム塩、固硝石)
第76章 ポットアスの炭酸を測る方法
第77章 ポットアスのカリ分を測る方法
第78章 ポットアスの性質(成分)
第79章 結晶炭酸カリ(成分、製法)
第80章 炭酸ソーダ(バリルラ、製法、成分、ケルプ)
第81章 炭酸アンモニア(製法、成分、鹿角塩)
第82章 炭酸アンモニアの性質
第83章 炭酸水素ガス(可燃性、○付録 第二炭化水素ガス、塩酸エーテル)
第84章 硫黄(硫黄華、管硫黄、溶融温度)
第85章 硫酸(次亜硫酸、亜硫酸、次硫酸、全硫酸、ドイツ硫酸)
第86章 硫酸の性質(イギリス硫酸、○ 付録 氷状硫酸)
第87章 硫酸の分解と精製法(再蒸留法)
第88章 硫酸ガス(製法、硫黄精)
第89章 硫酸ガスの性質(動植物の色の退色)
第90章 亜硫酸水(水に溶ける性質、製法)
第91章 硫酸アルカリ(塩基、硫酸塩、亜硫酸塩、礬類)
○巻5
第92章 硫酸カリ(製法、○付録 亜硫酸カリウム、シュタール覇王塩)
第93章 硫酸カリの性質(成分、植物の灰は硫酸カリウムを含む)
第94章 硫酸ソーダ(製法、成分、○付録 カーレル泉塩)
第95章 硫酸アンモニア(成分、エトリュリイン湖水)
第96章 硫化アルカリ(製法)
第97章 硫化水素ガス(製法、成分)
第98章 硫化水素ガスの性質(5色の文字を現す方法)
第99章 硫化水素ガスは水に溶ける(ハロゲート泉)
第100章 硫化水素はアルカリと化合する(硫化水素酸塩)
第101章 窒素は酸素と化合して、硝酸となる(成分、製法、希少酸の製法)
第102章 硝酸の性質
第103章 硝酸の分解
第104章 硝石ガスの性質(ユージオメーター)
第105章 硝石ガスの分解と合成(造酸元素、受酸元素、硝石ガスの捕集法)
第106章 亜硝酸(蒸留法、水を混ぜると変色する、強水、安全管、○付録 次亜硝酸)
第107章 酸化窒素ガス(成分)
第108章 酸化窒素ガスの製法
第109章 酸化窒素ガスの性質
第110章 硝酸カリ(サル・プリュネルラ、硝石の製法、硝石の精製法、成分)
第111章 硝酸カリの分解(硝酸カリの製法)
第112章 賽雷酸(処方、音の出る理由)
第113章 銃薬(処方、理由、のろし火の色、炸薬、○付録 鎔金散の処方)
第114章 硝酸ソーダ(さいころ硝石、成分)
第115章 硝酸アンモニア(成分、結晶形)
○巻6
第116章 塩酸(製法、塩化水素、塩化水素酸、ミュリアチキュム)
第117章 塩酸は水に溶ける(製法、希塩酸、発煙海塩精)
第118章 塩酸カリ(シルヴィウス解熱塩、製法、消火の偉効)
第119章 塩酸ソーダ(海塩、山塩、石塩、泉塩、結晶形、成分)
第120章 塩酸アンモニア(磠砂、精製法、成分)
第121章 酸化塩酸ガス(塩素ガス、捕集法、ハロゲニュム)
第122章 酸化塩素ガスの性質(退色性)
第123章 酸化塩素ガスは水に溶ける(塩素水)
第124章 酸化塩酸カリ(製法)
第125章 酸化塩酸カリの奇性(近年舶来のつけ木数種)
第126章 酸化塩酸ソーダ(塩素酸ナトリウムの製法)
第127章 酸化塩酸アンモニア
第128章 亜硝酸塩(王水、製法、妃水、製法)
第129章 燐とその製法(クンケル氏の方法、ジョオベルト氏の方法、リンの性質)
三編
○巻7
第130章 燐の燃焼性(溶融と沸騰の温度、液状リン、発煙リン)
第131章 燐を酸化する方法(液状リン酸、第17図の解説、全・亜の2種類、4等級のリン酸とその成分)
第132章 燐酸(製法、融化燐酸、乾固燐酸、燐ガラス)
第133章 燐酸の化合(リン酸塩)
第134章 燐酸ソーダ(真珠塩、尿塩、○付録 燐酸カリ、小天地塩)
第135章 燐酸アンモニア
第136章 燐化水素ガス(鬼火、夜燈)
第137章 硼酸(製法、○付録 ホウ素の製法)
第138章 硼酸の性質(次硼酸塩、過硼酸塩)
第139章 硼酸ソーダ(硼砂石鹸の処方、○付録 ティンカル、硼酸カリ及びその製法)
第140章 カルキ(カルシウム)
第141章 カルキは水と化合する(石灰乳、石灰水の製法)
第142章 硫化カルキ(プロデュクト、○付録 カントン燐)
第143章 燐化カルキ
第144章 カルキは酸類と化合する(親和力表)
第145章 カルキは炭酸と化合する
第146章 炭酸カルキ(石灰石)
第147章 硫酸カルキ(焼石膏)
○巻8
第148章 硝酸カルキ(○付録 バルドゥイヌス燐)
第149章 塩酸カルキ(水銀を凍結させる方法、カルキ油、ミラクリュム・セーミカ(=化学マジック))
第150章 燐酸カルキ(獣骨の白灰、○付録 酸性燐酸カルキ、亜リン酸カルキ、硼酸カルキ、ボラシット(方硼石)、トウルマーリン(=電気石))
第151章 弗酸カルキ(漢渡来の紫石英蛍石、蛍砂)
第152章 弗酸(製法、フッ化ホウ酸、○付録 フリュオリネ(=フッ素))
第153章 弗酸の奇性(ガラスに図を描く方法)
第154章 苦土(マグネシウム)
第155章 炭酸苦土(良質のマグネシア・アルバの製法)
第156章 硫酸苦土(エプソム塩、○付録 硝酸マグネシウム、塩酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、尿石、酢答、アンモニアリン酸苦土、図)
第157章 礬土(陶土、粳米土、アルミニウム、白不子、高嶺、磁器坏の材料、ペーロメートル(=高温計)の製法と目盛り)
第158章 過硫酸礬土加カリ(=カリウム明礬)(明礬、枯礬(=焼明礬)、ヒリテス、青蒙石、涅石(でっせき)、ローマ明礬)
第159章 ピロホリュス(製法図解)
第160章 珪土(糯米土、始生山、後生山、終生山)
第161章 珪土はアルカリと化合する(珪土アルカリ、シリシウム(=ケイ素)、珪土を含む鉱泉)
○巻9
第162章 ガラス(黒ガラス、ベーケル・ガラス、ロイテン・ガラス(=菱形窓ガラス)、クリスタル・ガラス、フリントガラス、付録 レオミュール磁器)
第163章 重土(バリウム、重土水)
第164章 炭酸重土(ウィテリット)
第165章 硝酸重土
第166章 塩酸重土
第167章 硫酸重土(重晶石、○付録 ボロニア燐等)
第168章 ストロンチアン土
第169章 ジンコン土、甘土、イットル土、アグスト土、付録 着色ガラスの処方(血紅色処方、ルビー色処方、柘榴色処方、瑪瑙色処方、紫石英色処方、紅紫色処方、黄金色処方、黄宝石処方、橄欖石色処方、黄ダイヤモンド色処方、碧玉色処方、エメラルド色処方、海緑宝石色処方、黒色ガラス処方、黒瑪瑙色処方、乳色ガラス処方、トルコ石色処方、桃花色ガラス処方)、染め付け薬着色剤(ホンダントの処方、錫ガラスの処方、鮮黄釉処方、紅釉処方、橙黄釉処方、緑釉処方、青釉処方、白釉処方、光黒釉処方、深黒釉処方)、釉薬の処方、琺瑯材料の処方(白琺瑯の処方、乳白色処方、碧色処方、天監色処方、緑色処方、スミレ花色処方、紫色処方、黄色処方、黒色処方、顔山雑記説)
4編
○巻10
第170章 金属の酸化と還元(ベリマン氏金属樹酸表、レデュクチオ、還魂法、比重、比重略表)
第171章 金(マルク、カラット、アース、試針、比重、延展性、トリュデーヌの火珠、チルンハウゼン火鏡)
第172章 塩酸金(磁器に金の絵を描く方法)
第173章 雷金(沈降法、爆発の原理図解)
第174章 金溶液の分解(布や帯に金画を表す方法)
第175章 カッシウス氏紫金(成分)
第176章 金はエーテルに溶ける(アウルム・ポタビレ、鉄に金メッキをする方法、付録 金メッキ諸法、鍍金法と罩金蝋、色上げ剤の処方、メッキの金を剥がす方法)
第177章 金は硫化アルカリと化合する
第178章 白金(比重、白金高温計)
第179章 白金の溶融(融剤、ジャネッティの白金溶融法)
第180章 塩酸白金(ボーメ氏の浮き秤、付録 雷白金)
○巻11
第181章 銀(ロード、ウィ口ー、ペンニング、グレーン、比重、純雑、延展性、付録 ランパジウスの銀精製法)
第182章 硝酸銀(硝酸銀結晶、銀液の製法、ギリシア水の処方)
第183章 塩酸銀(角銀、製法、還元法、マルクグラーフの湿式還元法)
第184章 銀樹(銀の精製法、還元銀、ボーメ氏の方法、レムリーの方法)
第185章 雷銀(シュニヴィクス氏緩性雷銀、ドゥスコティルス氏強性雷銀、かんしゃく玉の図)
第186章 銀の黒錆(付録 銀蝋の処方、焼き付け法、擦り付け法)
第187章 水銀(比重、凍結温度、凍結水銀、水銀表面隆起の話)
第188章 水銀を煮沸、蒸留する方法(銀朱の還元、銀朱の沈降法、銀朱の昇華法)
第189章 赤色酸化水銀(製法、赤降汞)
第190章 硫酸水銀(黄降汞、ミネラーレ・テュルビト、三種類の硫酸水銀)
第191章 硝酸水銀(三種類の硝酸水銀、硝酸水銀液処方、付録 燐酸水銀)
第192章 赤降汞(製法の秘訣)
第193章 雷汞(製法、蓚酸水銀、付録 アンモニア水銀)
○巻12
第194章 塩酸全酸化水銀(昇汞、湿式沈殿法、還元法、結晶形、昇汞水、害虫駆除法、白降汞、潮解、塩酸アンモニア水銀、智塩、青酸水銀)
第195章 塩酸亜酸化水銀(カロメル、白鷲、通治万病水銀、シェーレの甘汞沈降法)
第196章 酸化水銀の還元(付録 酸化水銀が日光を嫌う話)
第197章 水銀は他の金属と親和する(アマルガム、蒼鉛アマルガムの奇性)
第198章 鉄(比重、4等級の熱度、酸化、溶融温度、鋼と石を打ち合わせるとき火花の出る理由)
第199章 硫酸鉄(緑礬、成分、キース)
第200章 硫酸鉄の酸化鉄(黄礬、緑赤2種、六種類の硫酸鉄)
第201章 硫酸鉄の分解(ドイツ硫酸の製法、髑髏礬、イギリス赤)
第202章 硝酸鉄(結晶法、烏鬼鉄)
第203章 塩酸鉄(赤緑2種類)
第204章 青酸鉄(隠顕インキ、青酸鉄加礬土、成分)
第205章 インキ(隠顕インキ、分解、綿布を黒く染める方法)
第206章 鉄は炭酸水と親和する(鉄泉)
第207章 鉄は硫黄と化合する(人造キース、自身の原理、付録玦、黒色鋳鉄、灰色の鋳鉄、鋼鉄の鑑識法、自然鋼、人造鋼、鋳鋼、ダマスカス鋼、焼鈍、焼入れ、鋼の剣魔法)
5編
○巻13
第208章 銅(酸化、比重、○付録 焼銅、三煆焼銅、黒釉緑釉の2処方)
第209章 硫酸銅(黒酸化銅、銅泉)
第210章 硫酸アンモニア銅(磠礬、癇に対する効能、砒毒検出法、ブラウンシュヴァイク緑製法)
第211章 硝酸銅(○付録 水銅、アンゲリア・アス)
第212章 塩酸銅
第213章 酢酸銅(ラジカーレ・アイゼイン、銅緑)
第214章 銅は硫黄と化合する(○付録 黄銅、タンパカ、白銅、白匙、火取り鏡、望遠鏡の材料、鐘材料、大砲材料、活字鋳造材料、烏金などの銅と他金属との和合)
第215章 鉛とその酸化物(比重、五種の酸化物、鉛丹、鉛ガラス)
第216章 硝酸鉛
第217章 塩酸鉛
218 硫酸鉛
第219章 酸化鉛と塩酸ソーダの合剤(ミネラーレ・ゲール、陶器の絵づけ薬の処方、ナポリ黄の処方)
第220章 鉛粉
第221章 酢酸鉛(丸付録 液状酢酸鉛、鉛樹の話)
第222章 鉛の隠顕インキ(○付録 少活字の材料、亜鉛との合金)
第223章 錫(比重、延展性、○付録 錫メッキ法)
第224章 酸化錫
第225章 硫酸錫
226 塩酸錫
第227章 硝酸錫
第228章 リバヴィウス発煙精
第229章 色素を沈降させる性質(ラシャを赤色に染める方法、○付録 錫塩、ミュシカール・ゴウド、錫はカリに溶けること)
○巻14
第230章 亜鉛(比重、蒸留性、亜鉛華、亜鉛は水素ガスと化合する)
第231章 硫酸亜鉛
第232章 亜鉛の爆発性(火箭の薬剤、亜鉛を細末にする方法)
第233章 蒼鉛(比重、溶融温度)
第234章 硝酸蒼鉛(蒼鉛白)
第235章 蒼鉛と他の金属との和性(解剖家のための用途)
第236章 砒素(砒鉱についての私見、黒色融剤の処方)
第237章 砒素は諸酸に溶ける(○付録 カデの液状燐)
第238章 砒素は銅と和して白銅となる
第239章 白色酸化砒素(亜砒酸)
第240章 砒酸
第241章 砒素はアルカリと化合する(砒酸カリ)
第242章 砒素は硫黄と化合する(鶏冠硫黄、薫黄、石黄、雄黄の盃の話)
第243章 シェーレ緑(砒酸銅)
第244章 アンチモニ(成分)
第245章 スチビウム(Sb、比重)
第246章 塩酸アンチモン(アンチモン・バター、アンチモン朱)
第247章 アルガロッチ散(灰色第一酸化アンチモン)
第248章 タルタルス・エメチクス(吐酒石、酒石酸アンチモニル・カリウム)
第249章 ケルメス・ミネラーレ(○付録 金硫黄、硫化酸化アンチモンアンチモンサフラン、アンチモニ・ジアポレ、鉱物性楂達石、真珠粉、ニットリュム・アンチモニ)
第250章 酸化マンガン(還元法)
第251章 マンガン(比重)
第252章 マンガンは酸に溶ける
第253章 酸化塩酸(塩素)製造の原理
第254章 硼酸ソーダとの混融
第255章 鉱物性カメレオン
第256章 硫酸、燐酸中の溶解(○付録 硫酸マンガン)
○巻15
第257章 コバルト(比重、磁性)
第258章 隠顕インキ
第259章 バラ赤色沈殿(○付録 コバルト緑)
第260章 サッフェル、スマルト(酸化コバルト、画焼青、アズール青、イギリス青、花紺青)
第261章 ニッケル(比重、金属の分離法)
第262章 新金属(水鉛(モリブデン)、ウラン、テルル、クロム、コロンビウム、タンタル、○付録 ウォルフラム、チタン、イリジウム、ロジウム、パラジウムオスミウム、ブロミウム、イオジウム、セレン)
6編
○巻16
第263章 エキス分(製法要旨)
第264章 粘液、ゴム
第265章 糖(粘糖、発光)
第266章 糖液、蓚酸
第267章 蓚酸の性質
第268章 蓚酸カルキ
第269章 自然酸及び酸汁(植物酸五種)
第270章 クエン酸(クエン酸塩)
第271章 没食子酸(付録 タンニン)
第272章 没食子酸の性質(付録 エルラグ酸)
第273章 リンゴ酸(リンゴ酸とクエン酸の分離法)
第274章 リンゴ酸の性質(リンゴ酸塩類)
○巻17
第275章 酒石酸(製法)
第276章 酒石酸の性質(酒石酸塩類、○付録 ヴォージュ酸)
第277章 安息香酸(安息香酸塩類)
第278章 蓚酸カリ(中性蓚酸カリ、四倍蓚酸カリ)
第279章 固油(防腐法)
○巻18
第280章 石鹸(薬用石鹸、カリ溶出法要旨、石鹸製法要旨、しま入り石鹸)
第281章 乾性油(フェッテ・リュテュム(=脂封泥))
第282章 精油(蒸留法要旨、フロレンス瓶の図解)
第283章 精油は硝酸と化合する
第284章 精油は酸化塩酸カリと化合する
第285章 樟脳(樟脳酸)
第286章 樹脂(ヤラッパ樹脂)
第287章 樹脂の用途(ワニス)
第288章 ゴム樹脂
第289章 澱粉(サゴ米、緑色澱粉、黄色澱粉)
第290章 澱粉の性質
第291章 麩筋(=グルテン)(麩膠)
第292章 エラスチーカ(=エラストマー、弾性ゴム)(溶解法)
第293章 木材質
第294章 色素(開色剤、添加剤、植物色素、赤インキ)
第295章 蠟(漂白法、蠟分を分離する方法)
外篇  
○1巻
第1章 鉱泉鉱物試験法総説
第2章 鉱泉(水の9類、海水の発光、水の硬軟)
第3章 試薬
第4章 試薬仕様の凡例
第5章 リトマス液(染紙)
第6章 スミレ花シロップ(○付録 青花浸液、ヤグルマギク花精)
第7章 ハツカダイコンの染紙
第8章 赤色リトマス
第9章 姜黄チンキ(染紙)
第10章 スオウ・チンキ(染紙)
第11章 没食子チンキ
第12章 硫酸
第13章 硝酸、亜硝酸
第14章 蓚酸、蓚酸塩
第15章 弗酸アンモニア
第16章 苛性カリ、炭酸カリ
第17章 アンモニア
第18章 炭酸アンモニア
第19章 石灰水
○巻2
第20章 重土水、ストロン土水
第21章 金属 
第22章 硫酸鉄
第23章 銀液
第24章 鉛液
第25章 硝酸水銀
第26章 重土塩
第27章 青酸カリ(○付録 青酸水銀)
第28章 酒精石鹸液
第29章 アルコール(難溶塩類・可溶塩類の表)
第30章 硫化アンモニア(○付録 鉱物性カメレオン、比曽駅、硫酸銅液)
第31章 蒸発試験
第32章 皿の蒸留物試験法(甲液、乙水、丙水、丁物)
第33章 甲液試験法
第34章 乙水試験法
第35章 丙水試験法
第36章 丁物試験法
増訳
ウェストルンプの鉱泉試験法 アーヘン泉
鉱泉の温度 鉱泉の四種(酸泉、塩泉、硫黄泉、鉄泉)
○巻3
イオジウム泉 銅泉
亜鉛泉 カルキ泉
アンモニア泉 石鹸泉
石油泉 西洋名泉(カーレル泉、サイドシッツ泉、ゼルター泉、甘ゼルター泉、ファシンゲル泉、スパ、ピルモント、モント・ドル、ボルゲス、ビュッサング、バラリュク、ボウルボンネ、シャテルドン、ラモテ、ギュルギテルリ、ヴィシー、単純ソーダ、カリ、硫化ネアペルス)
 鉱泉模造法(ピルモント、ゼルター、炭酸ガス、水に溶かす簡易法、パーカーの装置、硫化水素を水に溶かす方法、別法、エンゲインセ、バグノレス)