チェルニー30番の10番を録音・公開した。
9番の録音からかなり短い期間だったのは、この曲の演奏難度がこれまでで一番低いため。具体的にはこれまでの曲と比較してテンポが異例に遅いのである。
この練習曲の課題はこれまでと違い、速く弾くことではなく、左右の手で分散和音をバラしたときに滑らかに弾くことであり、そのことを認識するためにはある程度速度を落とさなければならない。そのため、テンポというこれまでの最大の躓きのポイントがないので簡単に弾けるというわけである。
いつも通り、楽譜は全音版を使う。例によって、演奏する上で特に注意するべきことは楽譜の解説に書いてあるので、その部分は割愛し、もっと瑣末なメカニカルな部分を始め低レベルな解説をする。まともな解説はピティナが行っているのでそちらを参照されたし。
無窮動な旋律が音を微妙に変えながら24小節続くという性質上、とても音を覚えづらい。そのため、初めから暗譜せずにできるだけ譜面を見ながら演奏する。完全に手元を見ずに弾くというのはちょっと難しいので、必要な場合は手元を見るのだがその際はこのように*印を書いて一目で分かるようにしている。また、できるだけ手元を見ずに弾けるよう、しっかりと指番号を記入すると同時にこのように手を広げる距離を書き込んで演奏中に迷わないようにした。こうして手を広げる距離でキーの位置を探る場合、離鍵した後に手を動かすとどこに手があるか分からなくなってしまうのでポジション移動の必要がない限りは手を動かさない。
この曲の左右の手で均一の音を出すという課題のためには音階というものが邪魔になる。打鍵音だけ聞こえれば音が揃っているかどうかとても分かりやすい。電子ピアノやサイレントピアノで練習しているのなら音を消して練習してみると良いと思う。
9~12小節
上の方に汚い字で何か書いてあるけど、僕の場合こうやって演奏する上で注意することとかを文章で書くようにしている。ピアノの先生なんかはデカイ字で一言だけ感情的に書きなぐるとかするのだけど、そんなことをしても何を言いたいのか伝わらない。後日、再度弾こうとした時に意味の分からない落書き程度にしか認識できないのである。どうせ演奏中に五線の外に注意を向けている余裕なんてないんだから無駄なことはすんなって。
※この4小節はこの曲にあって分かりやすい分散和音を作っている。F dur:V-V6-V46-V7、I-I6-I46-Iの並びとなっている。この部分は毎拍ポジション移動をするので譜面を見ながら弾くのは難しいのだが、単純な構造をしているので容易に覚えられる。ただし漫然と弾いていると9,11小節の最後の音がBであることを忘れたり、小節が変わった時に和音が変わることを失念したり、左手の位置を見失ってミスタッチしたりするので、押さえる音をしっかりと意識すること。
23小節
☆左手後半。C-Bの7度を1-5で取った後、B-Eの4度を2-5で取る。この2つの分散和音で手の開く距離が大分異なるのでB-Eの方はBだけでなくEの方にも注意しないと音を外す。
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