チャイコフスキーのくるみ割り人形より、金平糖の踊りを録音した。
この曲はDTMを始めた頃、シーケンサーソフトのサンプル音源として収録されていて、それで知った。それで、その後くるみ割り人形のCDを買った。
楽譜は全音版。チャイコフスキーが自分でピアノ用に書き直した楽譜があるらしく、それを発見した後藤丹がまとめて出版したもの。したがって、チャイコフスキーのオリジナル版と言って良い。
邦題は「金平糖」となっているが、原題では「ドラジェ」というお菓子。日本ではあまり見ないお菓子だけど、下の画像の通りググればどんなのか分かる。
金平糖の踊りという可愛らしいタイトルとは違って不穏な雰囲気の曲なのだが、ドラジェというお菓子と実際のバレエの踊りを見ると納得できるかもしれない。どう考えても日本語訳が間違っているのだけど、金平糖の踊りというタイトルは捨てがたい魅力がある。
・テンポ
四分音符で80BPMと書いてあるが、どう考えても速すぎる。かといって、音符の旗を付け忘れたと考えて八分音符で80BPMだとすると遅すぎる。わけがわからない。自分でちょうどよいと思う速度で弾いたらよいと思う。僕は八分音符で104BPMに設定した。
・リズム
くるみ割り人形はバレエ音楽であり、曲に合わせて踊ることを前提としている。したがって、リズムは厳密でなければならない。
ほとんどの箇所でわかりやすい2拍子だが、32~36小節の分散和音を正確なリズムで演奏するのは難しい。メトロノームに合わせてしっかりと練習する必要がある。
・曲の構造
次のように場面ごとに区分した。どれも、4小節で一つの塊となってる。
1~4 | 前奏 |
5~20 | A |
21~32 | B |
33~36 | C |
37~52 | A' |
Aパート、A'パート
AとA'がだいたいメインのパートになるので、Aが弾けるてしまうと繋ぎとなるBとCは短いので、すぐに終わる。
Aは4小節×4の構造となっている。A'は同じ構造となっているが、ベース音が徐々に上がっていくのと、音が少し多い。
・20小節
Aパートはここで終わりとなるが、4拍目はBパートの弱起となっている。Aの最終音でもAの弱起でもどちらでも成り立つ音になっている。
Bパート
Bパートはかなり単純な構成となっているので簡単に暗譜できてしまう。また、手の交差の部分は手元を見ないと難しいので、暗譜で弾いた方が楽である。
・21~22小節
右手と左手は1オクターブ違うだけで同じ音。この和音が21では1音ずつ上がり、22小節では1音ずつ下がる。
22最後のところは譜例のように左手で取ると弾きやすくなる。
・29~31小節
正確には28の終わりから始まるのだけど、Hのオクターブをスフォルツァンドで打鍵して、左右の手で3和音を1音ずつ上昇しながら3回打鍵する。それを1小節進むごとに1音上げる形としている。
Cパート
64分音符の分散和音によるパッセージで、この曲で一番難しい部分。
この部分の練習は3段階に分かれる。
①音を覚える
②正しいリズムで弾く
③正しい順序で弾く
という順序となる。
①音を覚える
この部分は64分音符の速い動きの分散和音となっており、楽譜を見ながら正確なキーの位置を把握するのは難しので、暗譜してしまうことになる。
32の最後からのコード進行は次のようになっている。
32 | D7 |
32 | B7 D7 B7 F7 |
32 | B7 F7 B7 Am7(♭5) |
32 | B Am7 B7 D7 |
32 | B7 D7 B7 |
クラシックでよくやる表記方法をしたかったのだけど、調性の判定が面倒なのとよく分からないのとでやる気が出ないのでポピュラー形式のコードで表記した。コードを調べるにあたって、マイナーセブンスフラットファイブというコード名の存在を知りました。多分、来月には忘れる。
この表を見れば分かる通り、各小節1,3拍目はBの和音となっている。それで、4,2拍目(前の小節の4拍目から入るので、4→2の順にした)はD7→F7→Am7(♭5)と1小節ごとに3度上がっている。そして最後の36ではD7なり32と同じ音に戻ってくる。ということを覚えると暗譜が捗る。
②正しいリズムで弾く
音を覚えたら、順番にコードを押さえることはできるようになるけど、普通に弾こうとするとどうしてもテンポが安定しない。
頭で拍を数えながら弾いても正しいかどうかが分からない。足でリズムを取りながら弾いてもいいけど、結局最後までメトロノームを使った。人前で弾くときはメトロノームは使えないので、足でリズムを取ることになると思う。この部分はペダルを踏むので、左足でリズムを取る。
③正しい順序で弾く
正しい順序っていうのは、鳴らす音の順番のこと。一度録音したけど、両手でテキトーに分散和音を鳴らしてるだけだったので、練習し直した。
この弾き方もありと思うかもしれないけど、断然ナシである。
ちゃんと楽譜の通りに惹かないといけない。ポイントとしては、右手で弾いているときに左手は離鍵し、次の音の準備をすること。分散和音ではあるが、音を保持する必要はない。
最後
注釈で「組曲では、このように終わっている。」と書いてある。
注釈の方で弾いた方が自然でに聞こえる。なぜチャイコフスキーがあえて最後を変更したのか不明である。