インベンション12番を録音したので、例によって解説文を上げる。
楽譜は全音版を使った。
本来であれば、2声をちゃんと認識して正しいタイミングと強弱で応答する必要があるのだけど、僕の場合は同時に2つの旋律を正しく認識して制御する事がどうしてもできなかったので、タイミングだけどうにか合わせて取り敢えず形にした。
そんな訳で、和声とかの難しい話はバッハ インベンションとシンフォニーア 解釈と演奏法に譲る。
速度 テンポはAllegro、付点四分音符で65bpm前後が良いとのこと[1]。メトロノームに合わせて弾いてみるとちょっとモッサリした感じがするので、少し速めて弾いた。こういうことをしてるから、あらが目立つ演奏になるんだと思うけど、自分で納得行くテンポで弾かなければ意味がないので。
なお、拍の数え方だが、この曲は8分の12拍子となっているけど、8分音符ではなく付点四分音符を1拍と数える。でないと、65bpmだと大変なことになる。
装飾音
大抵のバッハの楽譜には下のようなトリルの凡例的な解説[1]が載ってるのでその通りに弾いたらいい。
ただし、絶対にこの弾き方でなければならないというわけでもなく、難しいと感じる人は適当に音を間引いたりあるいはバッサリ切り捨てることも可能である。勿論、全くなくなってしまうと寂しいので出来る範囲で少し背伸びして試みてみるべきではある。例えば1小節だと、次のような演奏例が挙げられる[2]。
僕の場合だと、トリルの弾き方を全然覚えられないので、下のように楽譜に書くようにしてる。
こういうときに五線テープがあるとすごく便利。
4小節
✡2拍目は左右で一番高い音を同じタイミングで弾くが、3拍目はタイミングがずれる。右手と左手で音形が異なることを意識する必要がある。2つの旋律を正しいリズムで同時に識別できていればタイミングを合わせることは造作もないのかもしれないが、僕みたいな凡人だと拍頭の打鍵タイミングを何とか合わせて左手は4拍目の頭がCisであることを確認して弾く。3拍目の左手はGis-E-Gisの流れになっていることをちゃんと聴くこと。上手く弾けていると4拍目で右手がドミナントのEで解決するタイミングで左手の結句Gis-E-Gis-が聞こえる。
7~8、16~17小節
1拍ごとに右手から左手、左手から右手にと手を交差して受け渡す形になる。この際、毎回3度ずつ下がっていことを覚えてると間違えにくくなる。
各拍の低い音から高い音に向かってクレッシェンドしていき、拍頭でアクセントとなるように弾く。それから別の手に受け渡してまた弱→強としていく。この際、左手より右手の方が全体的に強い音となるように弾く。
8小節
※後半、左手が休符から入るため左右でタイミングが崩れやすい。4拍目の頭で左右をぴったり合わせるよう意識すると整う。
10~11小節
☆10小節最後から11小節頭の左手Fisの2指をしっかりと離鍵しておくこと。2指でFisを押したままになっていると、次のCisに3指が届かなくなる。
✡11小説右手最初のE。直後あるいは手前のFisをを5指で取る都合上、奥の方で弾くポジションとなる。手の高さが黒鍵ベースの高い位置となり白鍵であるEには少し距離がある。指とキーが離れていることを意識せずに弾こうとすると指がキーに届かなかったり、届いても音が弱かったりする。PIP関節をしっかりと曲げて確実に打鍵できるようにすること。
19~20小節
②右手、このスラーは1音目だけ伸ばして2,3音目は短く切る。
21小節
3拍目右手Fis。この小説で最も強く主張しなければならない音だが、これを5指で弾こうとすると頻繁にミスタッチする。押しにくい位置にキーがある。肘を外側に向け5指をまっすぐ伸ばしてFisキーと交差するように裏剣して命中率を上げる。
参考文献
[1]市田儀一郎, インヴェンションとシンフォニア
[1]市田儀一郎, バッハ インベンションとシンフォニーア 解釈と演奏法
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