ゴルトベルク変奏曲 第9変奏 演奏解説

 ゴルトベルク変奏曲の第9変奏を録音したので演奏解説を書こうかと思ったのだが、あんまり書くことがないので手短にすまそうと思う。

 3声の曲なので手がもう1本欲しくなるところだが、中声部を右手と左手に振り分けて演奏するというのが基本コンセプトとなる。いくらでもパターンは考えられるので自分にとって弾きやすい指使い、手の振り分けを考えたら良い。
 ウィーン原典版には指番号と手の振り分けが書いてあるけど、こちらは基本右手で取り、手が届かないときだけ仕方なしに左手で取るという指使いになっており、余り好きになれない。右手の苦しい部分で積極的に左手でとるようにすればいいじゃん、とか思ってしまう。
 ブゾーニ版では指使いは書いていないが、手の振り分けは一応ある。とはいっても、ウィーン原典版とあまり変わらない。フレーズをスラーリングしていたり、テヌートを付けてあったりする。また、どういうわけか5~6小説にオシアが付けてある。このオシアの部分も一緒に弾いてやろうかと思ったのだけど、ここだけ4声になるのも何か気持ち悪かったので止めた。
 そんな訳でいつものように全音のラルフ・カークパトリック版を使った。これは指使いも手の振り分けも書いていないが、大譜表の上に声部ごとに分けた楽譜が書いてある。また、紙面を潤沢に使っており、できるだけ演奏中に譜めくりをしなくて良い作りになっている。

4小節

 譜例のように手を振り分けると、裏拍の度に出てくるD音を全て左手で取ることができる。

12小節

 12小節のトリルはこの曲唯一の難所。5指でC音を保持したままトリルを始め、途中で5,4指で別の声部を押さなければならない。トリルは12指しか使えないため、12指で指くぐりをすることになる。また、トリルは装飾音なので、別の声部よりも強い音を出してはいけない。
 以上のように、このトリルにはすごく厳しい条件が科されている。少しでも楽に弾くためには、テンポを遅くすることと、少しでもトリルをゆっくりにするためにトリルの弾き始めでフライングするというやり方がある。あと、アップライトピアノよりもグランドピアノのほうが速く弾ける。

16小節

 楽譜にトリルの弾き方が書いてあるのだけど、C音が抜けていたので書き加えた。

関連エントリー
 20151115 ゴルトベルク変奏曲
 20150407 ゴルトベルク変奏曲 第10変奏 演奏解説
 20140114 演奏解説 ゴルトベルク変奏曲 第8変奏
 20140104 ゴルトベルク変奏曲 第8変奏
 20110813 演奏解説 ゴルトベルク変奏曲 第5変奏
 20110122 演奏解説 ゴルトベルク変奏曲 第6変奏