ドラクエ1のフィナーレを録音したので、解説する。
楽譜はkmpから出ている公式楽譜を使った。
曲の構造
前奏-A-B-A'-B'-A''-コーダという作りになっている。
前奏 | 1-4 |
A | 5-12 |
B | 13-21 |
A' | 22-29 |
B' | 30-38 |
A'' | 39-46 |
コーダ | 47-54 |
・テンポ
Moderato 82bpmとなっている。出だし部分はドラゴンクエストマーチと対比する形なので、そのイメージで演奏すればよい。
・ペダル
ハッキリとペダルを踏むポイントを決めておかないと弾けないようになっている。後述する通り中声部にスタッカートのついている箇所があり、雑な踏み方をすると全く表現できなくなる。
先日アップしたドラクエ5のフィールドの曲ではサステインペダルを使わず、ソステヌートペダルを使ったけど、こちらはサステインペダルだけを使う。
・前奏 1-4小節
2は同じ手の形の3和音で上下する。譜例のように上の音を右手でとってもいいし、全部左手で取ってもいい。
3のリタルダンドでテンポを落としていき、4の最後のGで元のテンポに戻す。
4は左手最初の3音を全て保持して4音目のGを打鍵したタイミングでペダルを踏む。
・Aパート 5-12小節
この曲は3~4声で進行するけど、この部分は3声。テーマの提示となる。
あまり難しい部分もなく、ペダルもあまり使わず代わりに打鍵したキーを押した状態で保持する。
・12小節
☆AパートからBパートに繋がる部分。32分音符のスケールは結構速くて粒を揃えて弾くのは難易度が高い。しかも、その後間髪入れずにBパート最初の和音を弾かなければならない。
この部分は均質な音を出すことは最初から諦めてしまって、速度を上げて一緒にクレッシェンドする。これである程度粒が揃ってなくてもごまかせる。
なお、29からも全く同じ音でBパートを繰り返すが、12ではペダルを踏まず、29ではガッツリペダルを踏んで違う演奏にする。
・Bパート 13-21小節
全曲中最も難しい部分。ここをしっかりと練習すること。跳躍の距離が長く手元を見ないと弾くのは難しいので、暗譜して弾くこととなる。
BパートとB'パートはほぼ同じとなっている。違いはBの最後がmpでB'mfとなっているだけである。上で書いたように、1回目はペダル控えめ、2回目はペダルをガッツリ踏む弾き方をした。ただ、譜例にあるように、中声部にしっかりスタッカートがついており、これをちゃんと表現するためにはあまりペダルを踏んではいけない。
3~4声であり、声部がソプラノ、アルト、テナー、バスと別れている。アルトとテナーを右手と左手で振り分けて弾かなければならない。ちゃんとどの手指でどの音を弾くのかをハッキリ決めて楽譜に書きこんで置いた方が良い。各演奏者の手の形によって振り分け方は変わるので、各自で最も弾きやすい運指を考える。
・A'パート 22-29
Aパートの変奏となっているが、音が増えていてAよりだいぶ難易度が高くなっている。
レガートで弾くために、なおかつ音を濁らせずに弾くために、指を置き換えたりペダルを工夫したりする。
・A''パート 39-46
AとA'はmpで始まるが、A''はmfで始まる。コーダに向けて音量を上げて盛り上げていく形になっている。
A、A'より1オクターブ低い音で始まるので38のmfを見落とすと弱い音かなって思うが、メゾフォルテで始まることを意識すること。
・46~49小節
コーダ直前で一度音量を抑える。そして、47からコーダが始まる。2小節でpからffになるので、かなり露骨に音量を上げていく。壮大なフィナーレの始まり。
・49~50小節
49がG:VII7、50がC:V7の和音となっているので覚えやすいのだけど、50の左手の動きに一貫性がなくてよく間違える。
・51~54小節
50の和音を駆け上った最後に51頭でC:Iの和音となり同時にテンポが82→60とゆっくりになる。
52 リタルダンドで更にテンポを落とし、4拍目でグリッサンドでフィニッシュとなる。
ここのグリッサンドは中指の爪側を使った。グリッサンドは2オクターブくらいの距離だが、更に2オクターブ下から初めてもよい。その場合は左手の打鍵と干渉するが、最初のCは左手のベース音と同じ音なので、左手の打鍵に右手中指を乗せてそのまま4オクターブ一気に滑らせる。左手が鍵盤手前側で右手が鍵盤奥側となる。奥側とはいっても黒鍵のある場所はグリッサンドできないので、発見部分を右手と左手で譲り合って弾かないといけない。
あるいは、オクターブのグリッサンドにしてもよい。オクターブでグリッサンドする場合、滑らせる距離が1オクターブ減るので、1オクターブ下から始めると良い。左手Cのオクターブの上の音とオクターブグリッサンドの下の音が重なる位置となる。こちらも右手が鍵盤の奥の方の配置となる。オクターブのグリッサンドはある程度手のサイズがないとできないのでできない人は諦めるしかない。