グリーグのワルツOp12-2を録音したので。例によって演奏解説を書く。
グリーグは抒情小曲集という曲集を10個ほど作っており、Op.12はその中の一つとなる。
このワルツはかなり易しい作品なので、調子に乗って変な弾き方をした。サステインペダルは全く踏まず、フィンガーペダルだけで音を保持するようにした。ただし、最後の音だけはソステヌートペダルを使った。
ペダルを踏まないことにより、スタッカートを明確に表現できるし、音もはっきりするので、踏まずに弾けるならそうしたい。勿論、ペダルを踏むことによりぼやけた音にするという音色上の変化を付けることができるので、そういう表現をしたいときはちゃんとベダルを踏む。この曲の場合、そういう必然性を見出だせなかったのでペダルなしにした。
楽譜は全音のグリーグ ピアノ名曲集1を使った。
・テンポについて
Allegro moderatoとなっている。アレグロが速くで、アンダンテがゆっくり、モデラートはその中間くらいって感じだけど、そのアレグロとモデラートが並んでる。どっちだよって感じだけど、この範囲に入ってればよいという認識で問題ないのかな。108~168bpmという非常に広い範囲が取り得る。
僕の場合はあんまりテンポのことは気にせず、これくらいなら丁度いいかなと思った速度で弾いた。録音した後に舘野泉の演奏を聴いたらめちゃんこ速くてびっくりした。
・曲の構成
簡単な曲だったので、アナリーゼとかはしてない。
AABAコーダという構成になっている。1~18小節までがAだが、これが3回出てくるため、譜読みは非常に楽。全4ページのうち後2ページがBAコーダとなっているので、後半を見開きにしておけば譜めくりは必要ない。なお、Aが3回出てくるわけだが、
・1~2小節
5小節
5度と10度の独特の和音で始まる。メガロボクス2のエンディングの出だしと同じように感じたんだけど、改めて聴いてみたら同じかどうか全然自信がない。それはそうと、これは名曲なのでオススメ。
Aを保持してペダルなしで弾けるので、興味があるならやってみてもいいと思う。10度が届かなければCを右手で取ればいい。どうせ、4小節では届かないので右手で取ることになる。それで気に入ったら本格的にペダルなしで弾けばいいし。
・3小節
右手にテヌートとスタッカートが付けられており、ペダルを踏む場合はハーフペダル気味にしないと表現できない。
・4小節
ここで伴奏のコードが変わる。A-5度-E-7度-Dなんだけど、コード名が分からん。
AからDまでが11度なので大抵の人は届かないと思うので、上で書いたように右手で取る。右手でDを取るったときに主旋律の表現が疎かにならないように。テヌートとスタッカートをちゃんと演出して、その上で伴奏のDがスタッカートに釣られず、また強くならないように。演奏自体が駄目になるんなら変なことはしないほうがよい。
・11小節
スタッカートが付いている。ゆっくり引く場合、4分音符のスタッカートは短く切ってしまいがちになるけど、正しく1/2の長さで切ること。
・37~52小節
ここがBパートとなる。
右手だけで弾くことができるけど、速度を出そうとするとなかなか難しい。とはいえ、ゴドフスキーの左手シリーズを弾いたことがあれば大したことはないと分かるはず。指使いは全面的に改定することになるが、どうということはない。
気をつけるべきはやはり各声部をはっきりと分離すること。
・77小節~最後
最後の音は頑張れば届くけど、面倒なのでソステヌートペダルを使う。79小節のAのスタッカートに合わせてペダルを離し、他の音も一緒に消す。最後の1音以外は78小節までで切れているけど、①78小節で止める、②79小節のスタッカートに合わせて止める、③ペダルの支持に合わせて伸ばす、の3通りの弾き方がある。自分でよいと思った弾き方をしたらいい。
3本ペダルのグランドピアノでない場合はソステヌートペダルがないので、78小節で頑張って指を置き換えて、右手の145指でECEを取り、左手1指でAを取って79小節のAは左手5指で取ることになる。