ひとり、ふわり。

 失われた未来を求めてより、「ひとり、ふわり。」を録音した。
 このゲームをプレイしたのは随分前だけど、取り敢えずという感じでミュージックモードから直接全曲録音した。んで、折角クリアしたんだし何か弾いてやろうと思って選んだのがこれ。
 なお、作曲者の羽鳥風画によると当初発注の際には「ゆいのテーマ2」という名前が付いてた(ツイログ)とのこと。
 それはそうと、タイトルだけど「ひとり、ふわり。」。最後にマルが付いている。上のツイートではマルがついていないので、自分が間違えてたかなと思って確認したところ、やっぱり「ひとり、ふわり。」で正しいらしい。マルを付けたことを作者も忘れていたと。不遇であるけど、曲自体の人気は高そう。
 そんで、何となく耳コピしつつ、頑張ってなんとか弾けないこともないという感じに仕上げてみたのだけど、なんか難しかったのでそのままお蔵入りになっていた。いつか弾かないといかんなと思って常に目につくところに置いていたのだけど、今になって漸く弾く気になったわけである。その間に、漫画は2シリーズ出版したしアニメ化もした。そういう世の流れを無視して僕はこの曲を閑却し続けてきたわけである。

 具体的に何が難しいかっていうと音域が広いのでちょくちょく10度の和音が出て来るってのと、5~8小節は態々「ベースはnon legatoで」と書いてペダルを踏んではいけないと指示しているため、分散させて逃げることができないあたりである。9小節以降の4声も地味に大変である。

7小節

 5小節の上にある「ベースはnon legatoで」という指示はこの段、5~8小節(より正確には5~8小節前半)だけに適用するようにした。9小節以降もノンレガートで弾こうかとも考えたのだけど、ペダルがあった方がいいなと思ったので、ペダルを踏むようにした。
 それで、ここで問題となるのは7小節目後半の真ん中のD。これを押してると、左手最後のAとは11度の距離となる。右手で取るとD-Fの10度なんだけど、間に挟まるFの所為でDFFという音の並びになると指が届かない。2-5指で8度は届くけど、その手の形だと1指はさらに外のキーの方向を向いていないので無理。
 で、どうするかというとで4つほど解決案を考えた。

1.ソステヌートペダルを使う
 グランドピアノの3本あるペダルの真ん中のペダルをソステヌートペダルといって、ペダルを踏んだときに上がっているダンパーをそれ以上下げないようにする機能がある。つまり、今押しているキーの音がペダルを踏んでいる間中伸び続けるというもの。なお、ピアノペダルの使い方ではプロロゲメントペダルと表記しているのだけど、この本以外で見たことがない言葉である。
 7小節目後半の最初の音を打鍵した直後にソステヌートペダルを踏んでFDAを保持。8小節頭でペダルを離す。ソステヌートペダルは踏むタイミングが難しいけど、出来ることが色々増えるので結構重要なペダルだったりする。ただ、アップライトとか2本ペダルのグランドピアノにはないので、楽器によって弾けない曲が生じることになる。世の中、ベーゼンドルファーのフルコンでないとキーが足りなくて弾けない曲もあるらしいからそんなんと比べたらどうということもない。
2.右手で取って、途中から左手に指を変える
 これは手の大きさに大きく依存するのでできない人はいくら練習しても手が大きくなるわけではないのでできない。
 僕の場合、11度は届かないのだけど、横から引っ掛けるだけならできる。だから、Dを押すときは右手で取っておいて、後半3音目、左手がA、右手がAEを押したらすぐに左手の1指でDを押さえるという方法。手のひらを鍵盤の手前側にべたっとくっつけるようにして手を広げると左手1指がDに届く。
3.ベースのAをスタッカーティシモにする
 2.で11度が届かない場合、ベースのAの保持を捨てるということ。これは楽譜に示された音を鳴らせないのであまり好きではない。
4.ペダルを踏む
 色々と面倒なことは諦めて普通にペダルを踏んでしまえば問題など最初からなかった。「ノンレガート? ここだけだからちょっと許せ」とまあ、こんな感じの意識で弾く。露骨にペダルを踏むと目立って仕方がないからハーブペダルとか1/4ペダルとかで微妙に残響を残すような形にしても良いかもしれない。

 以上のような感じである。なお、僕は2.で弾いた。というか、11度を取り入れて曲を書いてみたかったというのがあるので、この弾き方をせざるを得なかった。結局、ミスしやすいし練習しても上達が見込めないしであんまり良い演奏方法ではないなというのが正直なところである。普段通りペダルを踏みまくって細かい部分はごまかしてしまうのが楽である。

 アップした楽譜はテキトーに繰り返すというようなイメージで書いていて、最後は終止線なのか複縦線なのか判断できないような描き方をしている。元々、始めに戻るような書き方をしてたのだけど、そんなことを明記しなくても弾く人が弾きたいように弾くだろうと消した。
 僕の場合は、最後の16小節後半のDmに続くコーダを以下のように書いた。

 主調であるe mollからDのオクターブを経て、平行調であるG durに移調し、序奏部を移調した(ただし左手はそのまま)旋律から最後はテキトーにG durの分散和音だかスケールだかの音の連なりから平行調のままIの和音で終わる。ピカルディの3度みたにできないかなと思ったのだけど、ただ単にコーダで転調しただけとなった。