貴布祢神社行ってきたよ

 貴船神社というと京都の丑の刻参りで有名な神社。舞鶴市字溝尻に同じ音で字の違う神社があったので行ってみた。昔の人は漢字の当て字が結構いい加減だから同じものだと思う。そんなんだから、神社入口付近にある公園は「貴船公園」となっている。

 貴船神社はネームバリューの大きいこともあり、全国に450社あるらしい[1]。祭神は高龗神(たかおかみのかみ)。「船」の字があることから分かる通り、水に通じる神様を祀っている。高龗神については、以前明治川神社について書いたときにちょっと説明したので、その時の文章を抜き出しておく。

 高龗神というのはあんまり聞かない神だけど、日本書紀伊弉諾尊(いざなきのみこと)が軻遇突智(かぐつち)を3枚に下ろして切った時に各肉片が雷神(いかづちのかみ)、大山祇神(おおやまつみのかみ)、高龗となったとある[2]貴船神社に祀られているのが有名所である。「オカミ」は文字の形状が示すように水神を表す。

 ちなみに、「龗」という字はUnicode形式であり、普通にANSIテキストファイルとして保存すると消えてしまう。Windows搭載のメモ帳だと保存時に警告がでるけど、普段僕が使っているメモ帳αでは何も言わずに文字を消してしまうのでとても困る。この問題に気づいて以来、テキストファイルを作るときは最初からUTF-8で作成するようにした。



 参道に繋がる道は変な形をしており、貴船公園と道路との間を縫って、社務所の前で曲がって鳥居の前に辿り着くようになっている。神社の中に封じ込めた神様が勝手に外に出てしまわないように参道を曲げるというのオカルト好きの間では有名な話だが、この場合は鳥居の向こう側の参道はまっすぐ本殿に続いているので、公園を設置したことで神社に繋がる道を確保できなくなったというだけのことだろう。
 社務所の前に何か立て札がある。

お願い
 神社の境内では次のことを厳守して下さい。
一、遊びで自転車やバイク等を乗り入れないこと。
一、自動車の乗り入れ及び駐車は禁止します。
一、野球、ソフト、ゴルフ等の練習やその他神社や周辺の人々に迷惑がかゝる遊びは一切禁止します。
貴布祢神社総代
溝尻町内会長


正面から鳥居を見る

 ちょい上で、参道はまっすぐ続いているみたいなことを書いてるけど、この写真を見ると一幅分横にずれている。しかし、これは参道が曲がっているのではなく、ただのバリアフリーだろう。
 ところで、鳥居に掲げてある「貴布祢神社」。「袮」が新字体である。割と最近建てたものなのだろうか。でも、表の信号のある大通りの石碑にはちゃんと旧字体で「貴布禰神社」って書いてある。

手水舎

 情緒もへったくれもなく、ただの水道である。
 手水舎の裏には小川が流れてる。

鳥居二つ目



 裏には狛犬が二人控えてる。どっちも口を閉じてるように見えるけど、多分左の方は口を開けてる。

二つ目の鳥居の奥
 右側に祠が並んでいて、左側にはなにか立て札がある。階段の上に見えるのは本殿ではなく拝殿。本殿は拝殿の奥に見える。

 祠が並んでる足元に「貴布禰神社」の掲示がある。昔の鳥居に付けてたとかなのかな。

 祠が並んでて、それぞれお賽銭を投げ込めるようになってる。結局何だったんだろと思って調べたらこちら(魚拓)に説明があった。

 立て札。

 貴布祢神社由来
古来 コノ地 稲荷山ニテ 稲荷ヲ祭ル
境内ニ不凅(カレズ)ノ清水アリ 永禄年中
洛北貴船ヨリ 水神雨司ノ高龗神(タカオカミノカミ)ヲ
勧請シテ 貴布祢神社トス
ナホ 山頂 法起菩薩堂ノ北ニ
但馬ヨリ勘定ノ妙見社ヲ祭ル
五穀成就ノ神ナリ
(丹後国社寺録)

 水が湧くから水の神である高龗神を貴船神社から勘定したらしい。
 わざわざカタカナで読みづらくしてる意味がわからない。中二病かな。

階段下から見上げたところ

 正面に拝殿、その前にこちらにも狛犬がいる。左右にも何かある。

 左側の狛犬。こちらは口を開けてるので阿。その奥にはなんか祠がある。
 写真右に「←納札所」とあるけど、この角度からは祠の右側に一部見えるだけ。

 右側の狛犬と稲荷神社。こちらは口を閉じてるので吽。そういや、狛犬はオスメスがあったりするらしい[3]
 奥の三本鳥居は氏子とか、近所の住人とか、近隣企業とかから奉納される奴。高牟神社でもこういうのがあった。そんで、奥の稲荷神社にもやっぱりお賽銭を投げ込むようになってると。

納札

 期限切れの御札を捨てる場所。御札は普通のゴミとして捨てちゃ駄目っていうわけではないけど、宗教的な呪物である以上は捨てるのに躊躇いを覚える人はそれなりにおり、それ故にお焚き上げとかするわけなので、こうやって回収する神社もあるってこと。
 「お札以外のもの入れないで下さい 氏子総代」と書いてある。

拝殿


 階段を登ってしまうとサイズ的にカメラのフレームに収まらないので、こうなってしまうのは已む無し。
 壁がないので向こう側の本殿が見える。
 上には何かの額縁が色々と掲げてある。

 建築当時の写真とか。

 左側から奥に回り込む。
 拝殿の屋根の下に木札を沢山まとめた形で掲げてある。これは昭和5年に拝殿を建築したときに寄付した人の名録で寄付額がいっしょに書いてある。墨書のようで結構消えてる

本殿

 最後は本殿。
 ここだけはお賽銭箱がない。拝殿でお賽銭入れろってこと。

おまけ

 神社に向かう交差点の角に、イスの偉大な種族みたいなキモい植物が生えてた。

参考文献
[1] 貴船神社, Wikipedia
[2] 日本書紀(一), 岩波書店(1994)
[3] 田中ユキ, 神社のススメ(1), 講談社(2004)

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