世界樹の迷宮II 生死を分かつ激闘の響き。

 特定秘密保護法と一緒に公布された生活保護法とか独占禁止法とかについて何か書いておこうかとか思ったけど、調べるのが面倒なので止めた。
 世界樹の迷宮II 初回限定版オマケCDに入ってた戦闘曲をアップした。
 先日書いた通りリズム感があって弾いていて楽しいのだが、いざ録音してみるとシンコペーションの所為でリズムがグダグダになっている。弾いていて楽しいけど、人に聞かせると酷いことになるっていう。それなりに整えるのに苦労した。

 これまで、このシリーズは演奏解説の類をしてこなかったのだけど、別に技術的に紹介する点がないわけではない。それどころか結構難しい場面もある。それで、振り返ってみたところ以前に録音した曲について、技術的な難関とか忘れかけていて、これはよくないなと思い、心を入れ替えた。思い出せる分だけでも紹介しようと思う。

トラック02 生死を分かつ激闘の響き。
 トラック番号の若い順に紹介すると、今回録音の曲からとなる。
 この曲の特徴である左手のオクターブの8分音符だが、時々4分音符だったり次の小節にタイでつながっていたりする。

 5小節最後から6小節最初にかけて左手の部分に2→1と書き込みがあるようにこのように指を置き換えることで、8分音符2回分の長さにしようと考えたのだけど、結局上手くリズムが取れなかった。ちなみにこの指の置き換えは左手をレガートで演奏するためでもあり、こちらの目論見は成功だった。

28~29小節

 右手32分音符をこの曲の速度(164BPM)で正確に弾くのは人間には不可能なので8分音符のアルペジオの連打と見做して演奏する。

トラック05 雪と氷の哀しみの先へ。
 ピアノ用に書き起こすにあたって声部を一つバッサリと切り捨てている。声部がひとつ足りなくてもちゃんと聞ける曲になっている。

17~19小節

 右手に装飾音が付いている部分と和音となっている部分がある。装飾音の部分は敢えて和音とアルペジオマークにしていないのは装飾音を前打音として主音の手前のタイミングで押し、正規のリズムで主音を押すという意図が読み取れる。18、19小節始めの和音は当然正しいタイミング押す。

20~21小節

 僕の演奏の基本的な方針として、できるだけペダルを踏みたくないというのがある。レガートペダルの場合、指使いでペダルを踏まずに済ませられるのなら出来る限りそうする。ペダルを踏むと音色が変わるから。その結果がこの指使いとペダルの指示となった。
 実際のところ、各演奏者の好き好きでやればよいし、20~23小節ではコードが変わらないからペダル踏みっぱでも問題ない。あるいは3本ペダルのグランドピアノなら真ん中のペダルを使って左手のBのオクターブのダンパーを上げたままにして右手の部分を両手で弾いてレガートを演出しても良い。

トラック07 冒険者たちの安らぎの場。
 左手が伴奏で右手が旋律のシンプルな曲だと思っていると左手の音域が意外に広かったり、右手も変な動きがあったりで一筋縄ではいかなかったりもする。
 この曲の速度指定のGently(89)は他には見たことのない指示。英語で優しくとかいった意味だろうと思う。この部分は慣習的な指示となることが多いけど、別にドイツ語とかイタリア語とかで書く必要もなく、いっそ日本語で書いてもあんまり問題はない。速度指定というよりも演奏に関する雰囲気の指定と考えたほうが正しい気がする。

28~30小節

 29小節の最初の音は10度であることに加えて、下の音の3度上も同時に押さなければならない。普通に弾こうとするとこの和音は抑えられないので分散させることになる。でも出来ることなら分散させたくない。
 手が10度を掴めるだけの大きさがあればこの音は左手で押さえることで解決できる。人間の手は親指と人差指の間が広くて、人差し指から小指までの各指の間隔が狭くなっている。この機械的な構造によって左右の手が不均質となっている。各指の感覚の狭い方の手で和音が密になっている部分を掴むという解決方法は他にも使える曲はあると思う。例えばラフマニノフのピアノコンチェルト2番の出だし(リンク切れ)鐘の音。分散させる奏者が多いが、左右の手を入れ替えると手の形が非常にフィットする。名曲探偵アマデウスでは中村紘子が分散させずに演奏しており手元を映していなかったのだが、秘伝の奏法とかにしてるのかなと疑った。
 話を戻そう。手を入れ替えるタイミングは28小節半ばの2分音符をペダルで保持している間となる。29小節に入り、始めの10度の部分を弾いてしまえばいつ戻しても良いのだが、左手の和音の形を折角作ったのを崩してしまうのはもったいないので、左手2音目を弾いた後、右手のCisのオクターブをペダルで保持している間に戻すのが好ましい。というのは、続く30小節冒頭の下段はギリギリ10度に届く人では同頑張っても掴めないので結局分散することになり、不自然な手の形で分散させるのは辛いため。
 勿論、こんな無茶せずにCDの通りに分散させても何ら問題はない。

 以上、3曲について一気に説明した。他の曲についても何かあったかもしれないが覚えていないのでどうせ大したことではないと思う。

関連エントリー
 20141102 演奏解説 Secret Sound
 20140410 演奏解説 世界樹の迷宮II 新たなる冒険の舞台へ。
 20130323 其は紅き迷路の果て。
 20111119 冒険者たちの安らぎの場。