インベンション13番 演奏解説

 インベンション13番を録音した。
 その昔、CakeWalkExpressのサンプルMIDIに入っていた曲であり、再生バーが譜面の上を動くのに合わせて発音中の音符が赤くなるのをずっと眺めていた曲である。その頃からいつか弾きたいなと思っていた。
 難易度としては先頃録音したゴルトベルク変奏曲の第9変奏と同程度と感じた。ミスタッチがなかなか減らずに苦労した。以前からできるだけ手元を見ずに楽譜を見て弾けるようにと練習しているのだけど、手元を見ないため正確なキーの位置を把握できずに隣のキーに触れてしまうようである。なので、音を外しやすい部分はできるだけ手元を見るようにした。この程度の長さの曲だったら暗譜して終始手元を見て弾いたほうが早かったかもしれない。
 そんなわけで演奏解説なのだけど、インベンションほど多くの解説書が出回っている曲はないわけで、ここで素人の僕がしょうもない一文を付け加えることに何か意味があるのかと悩んでしまう。そうは言ってもこれを書かないと気分が収まらないわけで、自己満足のためにも書いておく。

 楽譜は全音の市田儀一郎編を使った。解説と運指が充実しておりオススメだ。市田儀一郎はインヴェンショントシンフォニーア解釈と演奏法を書いた人で、この解説書の内容が継承されているはずである。

 曲の構造は第1展開部:1~6小節、第2展開部:6~13小節、第3展開部:14~25小節となっている。更に細かく分解することも出来るのだけど、本解説に寄与することはないのでこの程度で済ませておく。また、和声とか曲そのものについての解説も出来ないではないのだけど、必ずボロが出ると思うのでそういった難しい点についてはできるだけ言及を避ける方向で書く所存である。

テンポについて
 75bpm前後のAllegrettoが良いらしい。
 テンポは当然緩急をつけるという記述をどこかで見た気がするのだけど、今探してみてもどこにもその記述は見つからない。見間違いか記憶違いなのだと思う。

強弱について
 前半、第1展開部、第2展開部は強くもなく弱くもない普通の強さで弾く。ただし、アクセントを付ける音はある。右手のフレーズの切り替わったタイミングの音にアクセントを付けることが多い。
 後半、第3展開部では、14小節からフォルテで始まる。最初の左手E音は更にアクセントを付ける。このアクセントが不自然にならない程度に直前13小節の最後の部分で音量を上げておく。14小節から17小節にかけてデクレッシェンドでピアノにする。19小節から再度クレッシェンドで音量を上げていき、22小節右手2音目でメゾフォルテになる程度にする。22小節2拍目で少しデクレッシェンドで音量を落とし、3拍目ではピアノまで音量を下げてすぐにクライマックスに向けてクレッシェンドしていく24小節3拍目で最高潮のフォルテとなる。そして、25小節目2拍目から音量を下げてA音で終了する。

 分散和音の練習という課題があり、押さえる音はコードばかりでスケールは少ない。つまり、隣のキーを押さずに跳躍するので上記のように音を外しやすい。また、調性がイ短調ということもあり、白鍵ばかりを押す。白鍵は隣のキーとほぼ接触しているので隣のキーを一緒に押してしまいやすい。こういった所に弾きづらさの一因がある。結局、練習しまくって正確な動きを手で覚えるか、暗譜して手元を見るかという解決をすることになる。
 全音のこの楽譜特有なのかもしれないけど、","印がところどころ書いてある。これは動機の切れ目や少し切る程度の「間」が欲しい場合、つまり聞き手により分かりやすい伝達が望まれるときは、コンマ印(,)によって指示されるとある。この部分をフレーズの切れ目と考え、レガートでなく弾くことにすると、大分弾きやすくなる。

11小節

 *真中辺の右手A音。この音は黒鍵と黒鍵の隙間を押すために隣の黒鍵を間違えて押してしまうことがよくある。手元を見て弾くとよい。

12小節

 ☆1拍目右手のFis音。このFisを押す5指はまっすぐに伸ばすのだが、このとき手の位置が低く、指に力が入っていないと指が撓うため指の付け根辺りで白鍵を押してしまうので手の位置を上げるか、指に力を入れるかすること。

24小節

 ☆後半から最後右手。白鍵が多くミスタッチしやすい。できるだけ鍵盤の手前の方を押さえることで指先以外がキーに触れる機会を減らす。指の動きづらい音の並びをしており、惰性で弾いていると粒が揃わない。自分の意志で正確なタイミングで打鍵するように意識すること。

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