キーボード買ったよ BFRIENDit1430

 先日、キーボードが壊れたので新調した。
 壊れたと言っても、エンターキーのキートップパンタグラフを固定している部分が割れて、エンターキーが凄く押しづらくなっただけなんで、使えないわけではない。ちなみにサンワサプライSKB-SL06BK。近所のエイデンで購入したのだけど、凄く良い。購入した当初は、店頭に置いてにあったのをテキトーにレジに持っていったというだけなのに、意外に良くて、今のキーボードは結構良く出来てるもんだなと思ったものである。今回、色々とキーボードについて調べるにつけ、打鍵感、キーストローク、反応どれを取っても今でも最高クラスの理想的なキーボードと思えるのだけど、どういうわけか廃番になっている。フォルクスワーゲンのビートルみたいにずっとおんなじの作ってればいいのに。
キーボードがむちゃくちゃ汚いので小さい画像だけ

 2015年の春に買ったキーボードだから、13年くらい。たったの13年程度で壊れるとは軟弱なキーボードだと思わんでもないけど、パンタグラフ式は壊れやすいそうだから、仕方ないかな。

 壊れた理由、というか、逆に13年間に渡って壊れなかった理由というのもある。実はPCラックのキーボードを置いておく抽斗のような部分にキーボードを置いていたのだけど、ずいぶん前からこの抽斗が壊れていて、時間とともに症状は進行していた。
 正確な時期はまったく覚えていないのだけど、2010年頃のことだと思う。レールのベアリングが落ちたのが一番最初だった。このときは何が起こったのかわからなかった。ただ、床に落ちたベアリングが転がっていて、「これは何だ? What's this?」となっていた。その後、幾度もベアリングが落ちたけど、やはり何のことかわからなかった。多分、抽斗の動きは悪くなっていたことだと思う。
 ある時、抽斗を引いたときに、抽斗が外れた。「ちょっと引っ張りすぎたかな? 今後は無理に引っ張らないよう気をつけよう」と言って、少し丁寧に扱うようになった。
 そんな感じで、時には抽斗が抜けるということもあったが、概ね平和に使っていた。
 ある日、派手に抽斗が外れた時があって、その際に一緒に大量のベアリングが雪崩を打ったように転げ落ちてきた。「お前だったのか!」と大造爺さんみたいなことを言いながらベアリングの意味に気づいたのである。
 その後も、より丁寧に騙し騙し使い、なおかつ抽斗にあまり衝撃を与えないようキーボードのタッチを極力弱くした。数学ガール乱択アルゴリズムでリサが音を立てずにキータッチしてたような感じである。まあ、音を立てないというのは実質不可能なので音は出るわけだが。
 そんな風に、時々抽斗を落下させつつも我慢して丁寧に使ってきたのだけど、ついに毎日のごとく落下するようになって我慢ゲージが限界を超えた。そんなわけで、キーボードを抽斗から天板のモニター前に移した。そういや、最初はここに置こうと思ったけど当時はCRTディスプレイの奥行きが結構大きくて、置けなかったんだよなとか思い出してた。
 そんなわけで、これまでのように我慢してソフトタッチする必要がなくなり、これまでに溜まったストレスを発散するように力いっぱい打鍵するようになった。とはいってもタイピングが遅くなるので、のべつ幕なしに強打するわけにはいかず、必然的にその強打はエンターキーに集中するようになったというわけである。毎回メフィストワルツの最後みたいなフォルテシモで打鍵されるエンターキーはそれから数ヶ月で壊れることになったのである。
 壊れるに至った話終わり。

 エンターキーが反応したりしなかったりだと、当然ながら自分の体が自由に動かないような不快感がある。2週間位我慢したけど、もう無理と言って新たに買った。
 購入に際して、世の中にどんなキーボードがあって、自分には何が合ってるのかを調べてみた。
 打鍵方式としてはメンブレンパンタグラフ、メカニカル、静電容量無接点の4種類が主に出回っているということがわかった。それらの特徴をいろいろと調べていく内に、これまで使っていたパンタグラフ式の打鍵感覚は購入当初より気に入っており、説明文を色々読んでもパンタグラフ式が良いということになった。キーを押したときに加えた力と沈み込みの関係で、ある一定以上の力を加えないとキーはあまり沈み込まないけど、一定以上の力を加えたときに一気に最後まで沈み込んで打鍵を終了するのが良いキーである。パンタグラフ式はそれを実現しているという点でとても評価している。
 次に、キーボードのサイズだけど、これまで使っていたものを物差しで測ると、大体15cm×45cmなので、これ以下なら置く場所には困らない。今回調べた中では大抵のキーボードはこのサイズに入っているのであんまり気にすることはなかった。
 最近だと、無線のキーボードが多くあるらしい。無線って設定が面倒くさそう。そもそも、設定がいるって何なのよ? 僕が最初に家で使ったCompaqのPCには無線マウスが付いていて、時々電池が切れて単4電池2本を交換しなければならないのが地味に面倒だった。そういや、あれの設定ってどうなってたんだろう、と思ったけど、PC付属のマウスだからプリインストールで設定してあったんだろうな。とにかく、無線は避けることにした。多分、問題なく使えるんだと思うけど、僕自身マシントラブルには頻繁に遭遇するので、そういった検討材料を増やしたくない。
 キーボードの種類。キーの数とか配置とかに種類がある。もちろん、これまで使っていたフルサイズのものと同じが良い。
 最近流行りの隣接するキー同士が離れているアイソレーションキーボード。
 そんなわけで、キーボード選定において基準になるのは以下の5つ。
パンタグラフ
・15cm×45cm以下
・有線
・フルサイズ
アイソレーション
 この5つの基準で絞り込んで、その中からキーボードを選ぼうと思った。のだが、試しに価格.comで検索したところ該当機種0件。まさかの存在しないとなった。供給がないってことは、僕と同じ需要もないのか。残念すぎる。
 いろいろと探したのだけど、そもそもアイソレーションの殆どがメンブレン式なので殆どの製品が弾かれる。そのうえ、時代に逆行するような有線&フルサイズ。有線はともかくとして、テンキーとSpecial Keysを備えたフルサイズは需要があると思うんだけどなあ。
 色々と検索したけど、上記の基準に合うものは出てこず、諦めて無線にするかなと思っていたところ、最後にamazonで調べてみたところ、このKB1430というのが出てきた。BFRIENDitという見たこともないメーカー。どうせ中国製だろう。調べてみるとFashionstoreというサイトで同じ製品を扱っている(魚拓)のを発見した。また、中国の通販サイト24h購物(魚拓)でも取り扱っている。このロゴを見るにBFRIENDitというのは"B.Friend it"ということらしい。ということで、そっくりさんのRF1430Kという製品を見つけた(魚拓)。NT$と書いてあるので、台湾の会社だった。
 解説文には次のように書いてある。

BFRIENDit KB1430 USB有線キーボード:
人間工学に基づいたデザイン、シザー構造、スリムなキー、マルチメディア機能のホットキーにより、長時間の利用でも疲れが出ません。 「チクレット型」キーボード:
このチクレット型キーボード、つまり92%フルサイズキーボードの標準に基づき、チクレット仕様の自立式キーキャップを採用しているため、キーが一つずつに水面に浮いているチョコレートのようにキーボードベースに置かれています。さらに、指とキーキャップが接触する面積を増加することで、快適な使い心地になり、静かなタイピング体験を楽しめられます。人間工学的なデザインにより、特徴のある凹まれた円筒状のキーが仕上げられています。同時に、非固着性の設計により、キーを間違ってタッピングする確率を低減することで、キーストロークとキーピッチの両方が大幅に改善されることができ、より快適なタイピング体験を楽しめることができます。ここでは、誰でも簡単に覚えて理解できるように、チクレット型キーボードと名づけました。日常生活をより簡単に

お持ち帰りの日から、伝統的なフルサイズの105キー配列の有線キーボードを通じて、簡単で快適にタイピングすることを楽しめられます。

 見た感じ、僕の求める部分は満たしているようにみえる。気になったのは「チクレット型キーボード」という初めて見る言葉。調べてみると、遥か昔に使っていたキーボードの形式でゴム製で非常に打ちにくいみたいな説明がある。何このトラップ? というか、今どきそんなキーボードが市場に存在するわけ無いやん。と、Wikipediaの記述の方を疑うのだけど、こういうときに役に立つのがamazonのレビュー。そんなに打鍵しづらいキーボードであれば誰もが低評価でその部分を書くだろうけど、そんなことはないので、「チクレット型」という言葉に別の意味を当てているんだろうなという結論に至った。まあ、結局のところ、アイソレーションキーボードのことをチクレットキーボードと呼ぶというのが正しい解釈のようである。
 まあ、問題はなさそうなので、こいつを購入することにした。

実際に使ってみた
 届いた実物はこんなかんじ。


 なんと、昔懐かしのキーボードカバーが付いてる。これがあればキーボードが汚れずに済むぜ! とか言ってる場合ではない。実は、このキーボードカバーは大分曲者である。キーボードの上に1枚膜をかぶせるのだからその分抵抗が増えて当然キーの反応は悪くなる。折角打鍵しやすさを求めたパンタグラフ式でこんなのを点けるとは愚かな限りである。
 更に、キーとキーの隙間にも当然カバーはあるわけで、その分隣接キーとの隙間が小さくなる。敢えてキーとキーの間を広げたアイソレーションだというのに、キーボードカバーとか頭おかしいんじゃないかと。
 あと、これは僕だけかもしれないんだけど、キーの上で指が滑らない。僕は打鍵するときによくグリッサンドみたいに指を打鍵した状態から横に滑らせて隣のキーを押すことがあるんだけど、シリコンゴムのキーボードカバーはこれを許さない。そういや、ZWEI IIをプレイするためにコントローラーを買ったときも指が滑らんくて困るって言ってた気がする。
 それから、下の写真を見てもらいたいのだけど、

 エンターから下のキーを覆う部分が2つのキーを一緒に覆ったり、エンターキーが別れてたりしていたりする。なぜこうなるかと言うと、上のB.Friend itのサイトで見つけたRF1430Kという製品がこのキーボードカバーがぴったり合う形をしているのである。

 つまり、このRF1430K専用のキーボードカバーがあって、それに合う形になるようKB1430を設計したのである。すると、日本で標準的に出回っているキーボードとキーの配置が微妙に異なってくるのである。

 一番下のキーの並びが特徴的。CtrlとWindowsキーがShiftの下に、AltがZの下にある。そして、無変換、長いスペースバー、無変換、かな。使途不明なFnがあって、Alt、Ctrlとなっている。マウスの右クリックと同じ働きをするアプリケーションキーは存在しない。よく使うのに。
 新旧のキーボードを並べると下のようになる。

 おわかりだろうか。これだけ位置がずれてるとホント使いにくい。
 とにかく、左の無変換とAltとWindowsキーがだいたいキー1個分くらい左にあるのが困る。さらに言えば、Altはもう少し大きいほうがいい。
 文字を入力する以外はマウスを使うというユーザーも多いと思うが、僕は逆でできるだけマウスを使わずにキーボードだけで済ませたいので、AltやCtrlあるはWindowsキーというのは割と頻繁に使う。そこで、Altの位置が違い、その上あるべき場所に無変換があるというのは凄く困る。無変換というキーは押すとキーの入力設定が変わるため、その後に叩くキーは思いもしなかったものが出てくる。Altキーを押し間違える度に不愉快な思いをしなければならないのである。そして、文章を入力するさいに、平仮名にしようとするときは無変換を押す。しかし、無変換と思って押したキーの位置にはスペースバーがあるのである。アプリケーションキーがないのは購入前に製品写真を見て知っていたけど、Altの周辺の様子までは目が行っていなかった。Alt+F4とか凄く押しづらい。
 打鍵感については全く問題なく、パンタグラフ式ならこうなるなという文句のない感じだが、キーストロークが短い。アイソレーション型のキーボードは多分全てキーが浅いタイプなんだと思う。デスクトップ向けのキーボードで薄く作る必然性はまったくないのだけど、メーカー側の薄く作りたいという欲求によるものだと思う。
 アイソレーションキーボードなのでミスタッチは減ってると思うんだけど、これはよくわからない。確かに、間違って隣のキーに触るということは減った気がする。でも、普通にそれ以外のミスタッチはあるんで感覚としては相変わらずミスタッチするなあという感じである。
 極端に使いにくということもなく、そのうち慣れていくものと思うので、当分はこのキーボードを使うことになった。

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 20190523 キーボード買ったよ BUFFALO BSKBU510

エクセルで円を描く

 数学ネタのときとか、エクセルのグラフで作図することがある。
 四角とか三角は頂点の数だけ座標があればよいのだけど、円を描くときは1°刻みに361点並べてグラフを書いてる。360じゃなくて、361点なのは0°の点と360°の点をつなげるため。
 それだと円1つにつき722セル使うことになって結構容量が大きくなってしまう。そこで、どこまで雑に描いても問題がないかを検証してみた。
 やることは単純で、円を描くときに角度をどれくらいに刻んだらよいのかというだけ。
 刻む角度は1°、10°、15°、30°、60°とした。
 結果は次の通り。グラフはクリックで拡大するので、特に0°のあたりに注意してみるとよい。

1°刻み


10°刻み


15°刻み


30°刻み


60°刻み


 10°刻みと15°刻みではよく見ると0°の部分が少し尖っている。30°刻みだと0°の部分が明らかにおかしい。60°刻みだと円全体の形が歪んでいる。
 15°以上のときに0°がおかしくなるのは0°と360°を端っことしているから。
 そんなわけで、10°刻みで描いておけば問題ないかなということが分かった。あるいは、変則的だけど、全体を30°で刻んでおいて、-30~30°の部分だけ10°で刻んでも問題なく描ける。

 欲しい人がいるかどうか分からないけど、例によってエクセルデータも上げておく。
DL:エクセルで円を描く.xlsx

ショパン マズルカ Op.6-2 演奏解説

 マズルカ2番Op.6-2を録音した。久しぶりのマズルカ
 ショパンの簡単そうな曲を弾こうと思って、短くて簡単そうなのを選んだというだけ。曲自体も悪くない。
 そんなわけで、例によって解説を書こうと思う。楽譜は全音版を使う。コルトー版ナショナルエディションを入手したため、すでに手元にあったドレミ版と合わせて楽譜の表記の比較ができるのだけど、それぞれ違いがあって混乱してどうにもならないので、版ごとの表記の違いについては最小限の言及に止める。

テンポ
 楽譜によって、4分音符=60bpm[1]、4分音符=63bpm[4]、付点2分音符=60bpm[2][5]、付点2分音符=63bpm[3]とバラバラである。
 こういう意見の分かれる部分は権威であるナショナルエディションに従ってしまえば面倒がないんだけど、一応速度を変えて弾いてみた。基準となる音価が4分音符と付点2分音符の2種類あるので、それぞれ60bpmにして弾いてみた。4分音符の方はめちゃくちゃ遅い。どう考えても表記ミスである。ってか、どっかに音符を間違えて書いたに決まってるっていう記述があった筈。パデレフスキ版だった気がするけど、手元にないから確認できない。一方、付点2分音符の方はかなり速い。速度が3倍違うんだからそうなるよね。どうすんだよ、これ。
 弾いた感じとして、付点2分音符は速いなりに曲になる。当然難しくなるけど。
 演奏時間の理論値を計算してみる。ただし、フェルマータとかcalandoなどテンポに関する指示は無視する。この曲は72小節と繰り返しが24小節あるので、合計96小節となる。
・4分音符=60bpm:96bar * 3tic / 60bpm * 60s/min = 288s = 4min 48s
・4分音符=63bpm:96bar * 3tic / 63bpm * 60s/min = 274.3s = 4min 34s
・付点2分音符=60bpm:96bar / 60bpm * 60s/min = 96s = 1min 36s
・付点2分音符=63bpm:96bar / 63bpm * 60s/min = 91.4s = 1min 31s
このとおり。
 ちなみに手元にある音源の演奏時間は以下の通り。
・Adam Harasiewicz 2:12
・Alexander Uninsky 2:07
・Arthur Rubinstein 2:27
・Cor de Groot 2:42
・Halina Czerny-Stefanska 2:20
・Samson Francois 1:37
・Takami 2:32
・Vladimir Ashkenazy 2:30
河合優子 2:34
このとおり。
 この中では、フランソワが一番速く、付点2分音符60bpm指定とほぼぴったりである。曲の前後の無音部分とアゴーギグを考えると5秒くらいは差し引いた方が良いので、63bpmに合っていると見て良いと思う。
 そして、ナショナルエディションの伝道師たる河合優子が2分34秒というかなり遅い部類。というか、ナショナルエディションの求めるタイムの1分遅れである。
 ということで、指定のテンポ通りに弾くならフランソワの演奏を参考にしたらいいんだけど、かなり早いのでそれなりにテクニックが求められる。なんてことを思ったんだけど、ちょっと気になってフランソワの録音を聞き直したらやっぱりそうだった。17~33小節の繰り返しを飛ばしている。ということは、通常96小節弾かなきゃならん所が80小節しか弾いていないということ。ちゃんと繰り返していれば演奏時間は20%増しとなる。となると、1分56秒となってしまい指定速度から20秒遅れのゴールとなる。ということで、指定のテンポで弾く人はいなかったという結論に至った。
 この通り、この曲を楽譜に表記されたテンポ通りに弾く人なんて滅多にいないことだし、だったらいっそ好きなテンポで演奏したらいいと思う。

トリルについて

 ショパンのトリルは基本的に上の補助音から始めることになっているのだけど[6][7]、それが決定的なルールというわけではなく[15]、いくらでもそうしない事例はある。ここでは譜例に指番号が"13"と書かれている通り1から始まっているので、主音から始まることになる。
 ナショナルエディションはこの14小節だけ指番号が付けられているが、この曲のトリルは全てこの音型の部分に付けられているので全部同じように処理するべきである。
 各ピアニストの音源を聞いてもやはり主音から始まっているように聞こえる。

ペダルについて

 楽譜上ではペダルの指示、特にペダルを離す指示はいい加減である。ショパンはペダルの表記についてかなり苦慮した上で楽譜に記していたらしいが[8]、楽譜に書いてある通りに"Ped."でペダルを踏んで、"*"で離していては全然駄目である。
 この譜例では、11~13小節の3拍目に*が付いており、この通りにペダルを離すと3拍目から次の小節1拍目の間はそれまで保持していた音が途切れることになる。一方、14~15小節は*の位置でペダルを離してもいいのかなという気がしたりする。16小節は*の位置がどこなのか解釈する必要がある。
 いっそこういう風[9]に表記してくれたら悩まずに済んだのに。ショパンがこういう書き方をするだけの知恵が回らかったとも思えないので、ペダルについて悩んだことは悩んだけど表記はいい加減にしたとかいうことなのかもしれない。何せショパン本人は同じ曲を弾くとしても二度と同じようには弾かなかったそうだから[6][14]
 さて、この*の位置についてだけど、結局ごく普通に3拍目あるいはそれ以降に書いてある場合は、その音を弾き終わるまで、つまり次の小節頭まで引っ張ってレガートペダルとして読むことにした。それ以外の位置にある場合は、その必然性があるのだろうとして、*の位置あるいはその位置にある音を弾き終わるタイミングでペダルオフにすることとした。

装飾音について
 ショパンの装飾音は原則として拍頭に合わせる[3][10][15]
 意外とこのことを知らない人が多い。僕はこの曲では原則どおりに演奏したけど、別の曲で拍頭に合わせるのが気に入らない場合は平気で拍の前に打鍵したりする。

ベース音のスタッカート

 ナショナルエディションでは1拍目のベース音にスタッカートが付いていた付いてりなかったりする。一緒にペダルの指示があることもあり、ペダルを一緒に踏んだらスタッカートの意味ないやんと、どうしたものか悩む。
 なお、全音は2箇所(31, 71小節)、ドレミは1箇所(71小節)、1拍目のベース音にスタッカートのついている箇所がある。コルトー版にはない。
 一応、スタッカートの記号には音を短くするという意味だけではなく、短い時間でキーから指を離して次の跳躍後の位置まで移動する時間を稼ぐという使い方もあるので[8]、そういう使い方だと言うこともできる。しかし、だったらスタッカートの付いてないベース音についてはギリギリまでキーを押さえておくことになってしまう。当然、ベース音の後はそれなりの距離を跳躍しなければならないので、慌ただしくなる。もしかしたら、その慌ただしさで曲を表現したいのかもしれない。
 実際のところ、どうしたら良いのかわからないので、ハーフペダルで表現したりして誤魔化すことが多い。まあ、ショパン自身毎回違う弾き方をしてたっていうしあんまり楽譜に書いてあることを絶対してしてもしょうがないんじゃないかなとか思ったりする。

スタッカートとかペダルとかがあったりなかったり

 これは9~16小節の主題部分だけど、これが曲全体を通して何回か出てきて、その度に色んな所がちょっとずつ変わっていて非常に煩わしい。その上、版ごとに全然違うので説明するのが面倒くさい。
 ここでは一例として、全音版における各所の違いを示しておく。
 「8分音符+スタッカーティシモ - 16分休符 - 16分音符」が頻繁に出てくるので(a)と略号を付けておく。
9~16小節

25~33小節

56~64小節

64~72小節

 64~72小節は全てにおいて異なるため、なにか書き加えることは諦めた。
 最もベーシックなものを最初に配置するのが普通だと思うんだけど、ラス前の56~64小節が最も単純で特に書き加えるべきことはない。むしろ、これを基準にして書くべきかもしれないが、最初に出てくるものを変奏する「主題と変奏」という形式を意識してこのようにした。
 全部で4回(繰り返しを入れると6回)の主題の演奏があるわけだけど、1回目と3回目が単純で、2回めと4回目が入り組んでいることが見てわかる。これは、1回目と2回目、3回目と4回目で対になっていることが読み取れる。
 これらの細かい違いを覚えるのは僕には無理なので楽譜を見ながら弾くことになるんだけど、それでもやっぱりよく間違える。ショパンが自分では毎回違う演奏をしていたということを鑑みると、こうやって譜面に記したものはショパンの演奏の一例に過ぎないんじゃないかと思えてくる。

1~7小節

 全音ではこのように左手に合わせてペダルを踏んでいるが、他では全くペダルの指示はない
 2-5指で7度を取らなければならないので、結構手を開かなければならない。5指をしっかり伸ばして弾くよう意識すること。
 1小節目"sotto voce"。"sotto"は「そっと」、"voce"は「voice」なので、「そっと声を出す」というような意味。覚えやすい。
 1~4小節は2拍目のGisにアクセントがあり、マズルカらしさを表している。5~7小節ではすべてのGisの4分音符にアクセントが付いており、前奏部から主題部分に入ろうとしている事がわかる。

6小節

 右手2拍目の装飾音。
 上述の通り、装飾音のDisを左手の和音、及び右手のGisと同じタイミングで弾き、遅れて主音のCisを弾く。

9小節

 ☆右手最初の音にスタッカーティシモが付いているが、ペダルを踏むので、音が短くならない。
 これは、ペダルを踏むのを遅らせて、Gisを離鍵してからペダルを踏むことでスタッカーティシモを表現できる。勿論ペダルを踏むときまで左手のベース音は保持して置かなければならない。
 この部分は8分音符+スタッカーティシモ - 16分休符 - 16分音符という流れだけど、上に書いたように色んなバリエーションがあるので、短く切ったり、ハーフペダルにしたりと色んな方法で表現すると良いと思う。

18、21小節など


 ※右手Disは1指で取る。これはDis-Fisの間に休符が挟まっているのでこれを1-1で取ると確実に音を短く切ることができる。そんなわけで指定の指使いを修正した。ちなみに、この指使いを指定してるのは全音版だけで、他は僕が修正したのと同じとなっていた。ドヤァ

24~25小節

 "calando"は「だんだん遅くしながらだんだん弱く(rit. + dim)」という意味。24小節最後のGisで十分遅くなった後、25小節最初のa tempoで元の速度で主題に戻る形になる。それで、24小節最後のGisは主題の前打であるGisと見做すことができ、そうなるとこの最後の16分音符が通常の4分音符と同じ長さになるように減速したら良いのではないかと思う。

29~30小節

 ナショナルエディションではこの部分に7つのアクセントが付いている。これが、69~70小節ではポルタンドになるため、この7つ以外に無闇にアクセントを付けるべきではない。

33~48小節

 33小節から48小節が中間部。
 この部分はリディア旋法[11]となる。シャープ4つなので、ホ長調嬰ハ短調に見えるけど、Dに敢えて臨時記号のシャープを記している。リディアはIVを半音上げるので、A主音のリディアであることを示すためにDに臨時記号を付けている。だったら、シャープ3つにしてDに臨時記号付けたらいいやんって思うんだけど、調号を変えるのが面倒だったのかな。教会旋法はよくわからん。
 41~48小節はCis主音のリディアとなる。
 "gajo"というのは「陽気に」という意味[12]。それと、初期の手稿では"naïvement"と書いてあったらしい[3]
 長調でも短調でもない、ちょっとくすんだ調子なのであんまり陽気な印象を受けない。のだけど、そこを無理矢理に元気よくはっちゃけた感じで演奏した。このスッキリしない中で元気よく踊るのがポーランドの気質なのかもしれない。
 中間部は前半と後半に分かれて、前半はピアノ、後半はフォルテと対照をなす作りとなっている。さらに、それぞれ4小節ずつの塊となっている。

40~41小節

 中間部の前半と後半を繋ぐ部分。40小節の2拍目にペダルを踏んで41小節最後まで引っ張る。41小節1拍目にベースの打鍵がなく、代わりに40小節3拍目のCisをアウフタクトとして伸ばすことで勿体つけた感じになる。そうして、中間部後半のフォルテが始まる。
 ナショナルエディションには40小節3拍目のCisにスタッカートが付いており、スケルツォ2番の5小節目[13]にある勢いづいたフォルテのスタッカートのような効果を期待しているのではないかと思う。

65小節

 "rubato"の表記がある。ショパンはどの曲もテンポ・ルバートを意識して演奏するものなので敢えてルバートと記すことはないのだけど、それでも敢えて"rubato"と書くほどにルバートを意識しろって言うこと。なお、ショパンのルバートは伴奏は正確なテンポで弾き、メロディーを奏でる右手で拍子に捕らわれない真の音楽的表現を目指すというもの[6]。ここから最後まではここまでに出てきた主題とはかなり異なる作りとなっており、ルバートでしっかり歌うことを求めている。

67小節

 ☆右手2音目、装飾H→Aの部分。この直前までの流れから、手は少し右側を向いたポジションになっているが、この部分は真っ直ぐ正面を向くようにする。手が斜めになっていると4指で白鍵であるAを押しづらく、また指を手前に引っ掻くようにして弾くことができずに次の休符で離鍵しづらくなるため。また、Aが弱いと直前のHが主張しすぎて装飾音でいられなくなってしまう。

72小節

 左手は3拍目が休符となる。これまで場面が変わる際は3拍目をアウフタクトにしていたけど、この曲自体は不完全小節で始まっているわけではないので、律儀なショパンは最後とはいえ2拍で終わらせる訳にはいけない。
 右手はきっちり付点2分音符だけど、左手は2拍目の4分音符で終了していおり、伸ばしていない。仮に、左手の2拍目を2分音符にしろって言ったってこの長10度を掴むのは難しいので、結局手を離すことになると思う。
 結局の所、どうせペダルを踏んでることだし、左手2拍目は2部音符だろうが4分音符だろうが同じ動きをすることになるので別に拘ることなく、右手を離鍵するタイミングまでペダルで引っ張って、離鍵と同時にペダルを離せば問題ない。

参考文献
 [1]ショパン マズルカ集, 全音楽譜出版社
 [2]コルトー, ショパン・マズルカ 第1集(アルフレッド・コルトー版), 全音楽譜出版社(2004)
 [3]Jan Ekier, CHOPIN 4 MAZURKI A, Polskie Wydawnictwo Muzyczne
 [4]ショパン・ピアノ作品便覧, ドレミ楽譜出版社(1993)
 [5]下田幸二, 聴くために弾くためにショパン全曲解説, ショパン(1999)
 [6]ジャン=ジャック・エーゲルディンゲル, 弟子から見たショパン―そのピアノ教育法と演奏美学, 音楽之友社(2005)
 [7]パデレフスキ編 ショパン全集 X マズルカ, ヤマハミュージックメディア
 [8]セイモア・バーンスタイン, ショパンの音楽記号 -その意味と解釈-, 音楽之友社(2009)
 [9]笈田光吉, ピアノペダルの使い方, 音楽之友社(1957)
 [10]不破友芝, 楽譜の風景魚拓
 [11]石桁真礼生 他, 楽典―理論と実習, 音楽之友社(2001)
 [12]音楽用語辞典魚拓
 [13]ショパンスケルツォとファンタジー, 全音楽譜出版社
 [14]小沼ますみ, ショパンの表現様式の考察―「24のプレリュード作品28」の自筆譜に基づく, ムジカノーヴァ(1987)
 [15]ヨセフ・ブロッホ他, ショパン・ノクターン演奏の手引き, 全音楽譜出版社(1998)

心の旋律

 TARI TARIより合唱曲「心の旋律」をアップした。
 カワイから楽譜が出ていたので耳コピをする手間を取らずに済んだ。
 2年前に伴奏を録音してそのまま放置してあって、合唱部分も作らなきゃいけないなあと常々思っており、長期休暇の度に作りたいと思って幾星霜。ついに今夏のお盆休みで作るに至った。
 合唱部分は久しぶりにボーカロイドを使った。作ってから気付いたのだけど、複数のキャラに同時に歌わせるのって初めてだった。合唱作るのは超絶大変だということがわかった。これまでのように2~3日でサクッと終わらせたかったのだけど、全くそんなうまくいくはずもなく2週間ほど掛かった。しかもDAWの使い勝手が悪いのでそちらでも手間取って大変だった。
 各声部は次の通り。

ソプラノ:初音ミク鏡音リン
アルト:巡音ルカKAITO
男声:KAITO鏡音レン

 家にあるボーカロイドが勢揃いした。
 ボーカロイドエディタの使い方については特に独自技術とかを持ってるわけでもなく、あったとしても過去に紹介したことがあるものくらいしかないので、説明はしない。
 今回、SONARとSoundEngineを使ったので、その辺りについてちょっと記録しておこうと思う。
 グレードは、cakewalk SONAR X2 ESSENTIAL / CW-SX2EE (通常版) である。SounEngineフリーソフトでVer.2.00を使っている。現行バージョンがどうなってるか知らないけど、SounEngineが最も使い勝手が良い。さすがフリーソフト
 SONARを使ったのは、マスタリングのため。KAITOと他ではボーカロイドエディタのバージョンが異なるので同じソフト上で扱えないので各キャラクターごとに音声を録音してSONARで6トラック+伴奏を乗せて修正&マスタリングした。

 パンは高音が左、低音が右、ピアノは真ん中という配置にした。とはいっても、全員ほぼ真ん中に寄せているので相当気を使って聞かないと気づかないんじゃないかと思う。僕自身、あんまりステレオ音声をありがたく思わないので僅かにしか設定していない。
 エフェクトとして、合唱部分にコーラスと、全体にリバーブを乗せた。リバーブとコーラスの設定は次の通り。


 コーラスの方は数値が表示されないのでぱっと見何をしているのかよく分からない。とはいえ、僕自身もコーラスというパラメーターはMIDIのCC#93~95にそういうパラメーターがあるっていうくらいしか知らないし、これまで触ったことがない。もしかしたら、ブルクミュラー「可愛い嘆き」、サガ3「聖なる遺跡」、ロマサガ「レクイエム」あたりを入力したときに使ったことがあるかもしれないけど、全く覚えてない。MIDIを始めたばかりの頃に、このパラメーターを上げたら音量が無茶苦茶大きくなったってくらいしか記憶にない。
 そんなわけで、コーラスパラメーターは音が厚くなったらいいなという程度の気分でテキトーに弄った。
 リバーブも同様にMIDIのCC#91をいじるか、あるいは電子ピアノのリバーブツマミを回す程度で、こんなにいろいろとパラメーターがあるなんて知らなかった。
 実際のところ、いろいろと触った結果、デフォルトの値が丁度いいように設定されているのでい実必要はあんまりないということが分かった。

 合唱と伴奏の音量バランスだけど、どれくらいが適切なのか全く分からなかった。
 これまで、何曲か歌曲を録音してきて、その場合は歌と伴奏が対等になるように調性したのだけど、合唱だと歌のほうが優勢になるんじゃないのかと悩んだ結果、ピアノが控えめになった。
 普段、ソロの場合に音量の基準を決めて作ってるんだけど、今回は0dbをだいぶオーバーしてしまうのでコンプレッサーで音圧を上げてやろうと思ったのだけど、SONARにはコンプレッサーが実装されていない。こんな基本的な機能のないとはなんて駄目なソフトなんだと文句の一つも言いたくなるけど、文句を言うなら金を出せって言われるだけだし、しかたないのでMusic Makerを使おうとしたけど、なんか上手く出来ない。まあ、普段から使わないソフトを自在に使えるわけないよね。そういやクリプトンからタダで貰ったCUBASEがあった気がするけど、どこ行っちゃったんだろ。
 そんなわけで、使い勝手のよいSounEngineで音圧を上げることにした。

 コンプレッサーの使い方は以前音を大きくする本で勉強したのでバッチリだ。これまで何度か試みて、なかなか難しいってことも分かってる。

 こんな設定で音量を圧縮した後、ノーマライズ。結局1.0dbしか上げられなかった。この辺りは技術が未熟なまま放置してあるので、こんなもんでしょう。
 これで出来上がり。

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高津神社行ったよ

 三河安城駅から徒歩10分ほどにある、この小さい神社は、現地、井杭山町の鎮守である。小さいとはいっても、規模が小さく施設が少ないというだけで、敷地自体はそれほど狭いわけではない。流石田舎町である。
 「高津」という名前は刈谷市に同じ地名があるが、関係は不明。
 1707年創建ということで300年の歴史も持つ割と新しい神社である。明治用水が完成するのは1880年であるが、それ以前は矢作川から逢妻川の間の碧海台地と呼ばれる地域はとにかく水源がなく、水の確保に苦労した。水がなければ人へ住めないのであって、この地には狐しかすまないといわれるような荒寥たる草野が広がっていたのである[1]。そんな厳しい社会の中で作った神社だということになる。
 この地域にマトモに人が住めるようになったのは明治時代になってから矢作川から明治用水を引いて農業を行う準備ができてからである。それ以前は安城の土は赤土で痩せ、「嫁にやるなら 安城にやるな ひがな一日野良仕事」「あの子どこの子安城の子、家のとうさの顔知らぬ」[2][5][6]とまで言われるほどに生きるに向かない土地だった。そんな状況から始まって、明治用水開通から50年後には日本デンマークと呼ばれる程の一大農業地域となったのである。なお、何が「デンマーク」なのかはよく分かっていない。いつの間にかそう呼ばれていたのである。

参道入口

 空き地の向こう左側の家と右側の森の間に参道入口がある。ぱっと見、何もないように見える。

 近づくと、ほらこの通り。参道入口に続く小道がある。

鳥居

 奥の方に狛犬と本殿が見える。参道がまっすぐ続いてるということは、祀られている神様を閉じ込めておくために参道を曲げる必要がないということなのかな。
 左の松並木の向こうに見える建物は町内会事務所である[3]
 鳥居の下にはポールが立ってる。こういうところに立てるということは、車の侵入を止めるためだと考えられるけど、先の狭い小路に車が通れるだけの広さがあるようにも思えない。それと、参道の中央は神様の通り道だから開けておかないといけないんじゃなかったっけ? 神様が出ていかないように止めてるのかな。
 鳥居の手前には立て札がある。

 注意
石が落ちる恐れあり
近寄らないでください
  宮係り

 鳥居は崩落寸前だということか。大きな神社ならこうなる前に鳥居を新調するんだろうけど、この規模だと予算が貯まるまで放置することになるらしい。氏子から醵金を募ったりするのかな。

鳥居の内側

 正面に本殿、左側に手水舎と社務所。あと、切れてるけど300年祭記念植樹がある。

参道左側

 手水鉢の中に水はない安城では世紀末並みに水は貴重なのである。
 手水舎から社務所に道が続いているけど、社務所はシャッターが閉まっている。御朱印? なにそれ、美味しいの?
 神職の常駐していない神社というのは、人に話しかけられる心配がなくて安心だ。先日行ったある神社では丁度禰宜の人が祝詞を上げに来る日にぶつかって、奏上につきあわされてしまった。遠くから見たいだけだから、そういうのはいいから。
 植樹の杭は別の角度から見ると「平成21年9月27日」と書いてある。別の石碑には1707年創建と書いてあるので、ちょっと年がズレている。

本殿


造営記念碑

 髙津神社々殿造営記
髙津社は仁德天皇大鶴ナミ(奈鳥)命オオサザナミノミコトを祭神として住民の崇敬を集めている神社であります
社歴によれば宝永4年3月西暦1707年に氏神様として創建されました
拝殿は明治11年に建立され以来幾星霜を経て今日に至っており本殿と詩殿は昭和9年に造営されました 尚大正末期に現在の見合橋近くにあった秋葉神社が境内に奉祀されました このたび公民館の新築を契機として拝殿の修復造営の機運が髙まり60年に入って造営の事業が本格的に発起され評議員並び奉賛会において協議のすえ氏子各位の賛同を得て再建が決定されました その後建設委員会が中心となって計画推進に当たり資金は氏子各位より寄進を仰ぐことになりました 発議より六ヶ月余で念願の社殿完成の日を迎えることができました 九月の祭礼には盛大に奉祝祭が執り行われました ここに髙津社の威容整いその尊厳と御神德の愈々の昂揚を期し今日の深い喜びと感謝を込めて御再建の経緯を記します

 「ナミ(奈鳥)」という字が見つからんかった。調べてみると、仁徳天皇の名前は大鷦鷯尊(オオサザキノミコト)というらしい[4]。字、ちげーやん。

秋葉社

 上の石碑によると、大正末期に見合橋近くから奉祀されたとか。
 見合橋ってどこだろう、岡崎にそんな名前の地名があったなあとか思って調べてみたら油ヶ淵に見合橋というのが架かっているらしい。岡崎の方は美合町だからぜんぜん違う。
 なお、この見合橋であっているのかは不明である。

殉国之碑

 どの殉国を指しているのか詳細不明。
 そんなことよりも、頭上に茂る楓の葉っぱを通して降り注いでくる夏の日差しがとても美しい。うまく写真に撮れないのが残念である。


 殉国之碑の左側に通用口っぽい出入り口がある。
 参道からの出入りはあんまりにも不便だから普通はこちらを使う。

参考文献
[1]水土の礎(魚拓)
[2]川名が語るふるさとの歴史
[3]ネットの電話帳(魚拓)
[4]コトバンク
[5]神谷素光, 写真集明治大正昭和安城, 国書刊行会(1979)
[6]山田太吉, 農業王國の始祖 都築彌厚と明治用水, 愛知県安城第一尋常高等小学校(1948)