ショパン「使者」

 ショパンの歌曲「使者」をアップした。
 元々、ゴールデンウィークの宿題として設定したのだけど、何か上手く行かずに1ヶ月以上経って漸く形にすることが出来た。
 伴奏はあまり難しくないので2週間くらいの練習で録音した。これが5月頭で、まだゴールデンウィークの真っ最中。あとは、ミクさんに歌ってもらうだけだというのに、体が動かなくて延び延びになってしまった。
 現行のPCを組んだのが2013年の12月、それ以来まったくボーカロイドを手に付けていなかったようで今回の調教に際して改めてインストールした。久しぶりのボーカロイドなので使い方を殆ど忘れていて、始めた頃に参考にしていた解説ページのハードコピーなんかを引っ張り出して思い出しつつ作った。
 毎回、ソフィア・キラヴィッツの録音を参考にして調教しているのだけど、今回は調教中に度々伴奏の間の取り方がイマイチだなと思った。伴奏を演奏するときに録音をほとんど聞いていなかったというのも原因の一つ。そういえば、シューベルトの魔王を弾いた時も最後の"in seinen Armen das Kind war tot."の部分が悲惨なことになってしまっていた。常々ツメが甘いなあと思う次第である。とはいっても、全部終了してマスタリングを済ませたのを聞くと作成中に感じたほど悪い感じはせず、これはこれで悪くないなあと思った。何でもかんでも録音が正しいというわけではないということである。ちなみに、ソフィア・キラヴィッツの録音はショパンのオリジナルより高い音で演奏しているため、曲を流しながら伴奏の練習をするということが出来ない。

 近頃ではどういうわけか全然時間がなくていろんな作業を省かなければやっていけない。無駄な時間の使い方をしていたり、しょうもない事に拘っていたりするためだと思う。そのアオリを受けて、これまでショパンの歌曲を上げる度に作っていた楽譜と歌詞の和訳がない。本当に時間に余裕があれば作りたいのだけど、他にやることが山積していてどうにも手が回らない。また、楽譜はイマイチ需要がないという理由もある。ぜひとも欲しいという方がいるなら改めて作るのも吝かではない。
 歌詞の和訳については全く意味がわからないというのでは面白みに欠けるので、やっつけだけどテキトーに意味の分かる状態を上げておく。

作詞:ヴィトヴィツキ

草は萌え、寒い日々は過ぎ去った。
忠実なツバメよ、お前は今年もまた飛んできた。
お前とともに日は長くなり、お前とともに楽しい春がやってくる。
よくぞ遠くから戻ってきた、陽気な歌い手よ。

飛び立つな、待つんだ。何が欲しいのだ?
遠くの国の新しい歌を教えてくれるのか?
旅の中でいろいろなものを見てきたのだろう。
そんなに楽しそうにさがさないでくれ。
あの娘はもうここにはいないのだから。

彼女は兵士を追ってこの小屋を出た。
この十字架の下で、母に別れを告げて出て行った。
お前はあの娘の元から飛んできたのか?
教えてくれ、あの娘は飢えていないか?
二人は幸せにやっているだろうか?

 久しぶりの調教だということは、当然のようにマスタリングも久しぶりということである。今回に限っては久しぶりどころではなく、初めてSONAR X2 Essentialを使ってマスタリングをした。前回まではCakeWalkHomeStudio8を使っていたのだけど、Windows8にインストールしようとすると"This program is for Windows95."とか訳の分からないことを表示してインストーラーが落ちるという悲惨な事になる。そんなわけで、仕方なしにテキトーに音楽を編集できるソフトを買ったのがSONAR X2 Essential。そんなに多くの機能はいらないので、機能の限定されているEssentialを選んだ。しかし、このソフト、使いにくいといったらない。何の操作もしていないのに勝手に表示設定を変えてきたりするし、F10を押すとファンクションキーの入力を受け付けなくなるし。CakeWalkHomeStudioに比べて機能が増えたので操作が複雑になったというのは分かるが使い勝手の悪さがどうにもならない。先日、世界樹の迷宮II Secret Soundを録音した時にも愚痴ったのたが、CakeWalkHomeStudioでは感覚的に出来たものが一々取説を見なければ出来ない。今回苦労したのは音量の制御の仕方がわからない、リバーブの付け方がわからない、演奏位置を示す縦線(シーケンスバーと呼んでいるのだけど正しいかどうかがわからない)がないという3点。この3つについて一応書いておく。

音量の制御

 上のスクリーンキャプチャに示した緑のラインが音量の増減を表している。
 基本的にミクさんを調教する際に適切な音量になるようにしているのだけど、最後に全体を聞いてみるとちょっとバランス悪いなと感じる部分が必ずあり、これを修正しなければならない。しかし、VOCALOID Editorでの音量はこのような感じで結構複雑に音量を弄っているため、ここに手を加えて音量をどうにかするのは効率が良くない。そこで、waveファイルに書き出した後で気に入らないところを修正することになる。これをマスタリングと一緒にSONAR上で行う。
 それでSONARでボリュームをいじるにはトラック表示部の"クリップ"と書かれているところをクリックして"オートメーション"→"Volume"と選択することで、この緑のラインが現れて音量をいじれるようになる。

 ちなみにトラックごとの音量を弄りたければコンソールで操作できるし、マスタートラックの音量を弄りたければインスペクタで制御できる。

バーブ

 このSONAR X2 Essentialというソフトはコンプレッサーを実装していないという絶望的なしょぼさを持つのでリバーブも実装していない可能性がある。諦めて機能を限定したもっと使い勝手の良いSoundEngineあたりを使おうかなとか考えていたのだけど、一応取説を探しまわったところ、リバーブを弄れそうだということが分かった。
 コンソール、インスペクタのFX欄を右クリック→オーディオFX(A)→sotinus:fx→Reverbと選択するとこの黒い部分にリバーブ印が出てきて、"Sotinus:fx Reverb"という窓が現れていじれるようになる。リバーブは設定が難しくて使いこなすには相当の訓練がいる。

シーケンスバーがない

 普通、音楽系の編集ソフトには現在の演奏位置を示す縦線があって、演奏と同時にこの縦線が右に移動するようになっている。この縦線のことを僕はシーケンスバーと呼んでいるのだけど、これが表示されなかった。
 実際のその場面をキャプチャしようとSONARを開いて再生したところ、ちゃんと表示されたのでバグの類だと思う。この線がないと現在どこを演奏しているのかを波形から推測するしかないので非常に編集しづらかった。

 こんな不毛な苦労を経て久しぶりのショパンの歌曲が出来上がったわけである。

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