舛添知事調査報告書 その1

     東京都のおときた議員が舛添知事調査報告書を公開した。一応、コピーをアップしておく。
     舛添知事調査報告書.pdf
     スキャンしたままのPDFであり、検索性が悪いのでテキストに直してみた。基本、Adobe Acrobatでテキスト変換、コピペで作ったのだけど、文字の認識が完璧ではないので間違っている箇所があり、気づいた部分は手打ちで直したのだけど、直しきれていない部分もあると思う。間違いなどあればご指摘いただきたい。
     全文載せようとするとはてなダイアリーの字数制限を超えそうなので取り敢えず調査結果の5.自動車の購入まで。
     目次を付けておきます。

    舛添知事調査報告書 その1
    第1 調査の目的
    第2 調査方法
    第3 調査結果
     1 各政治団体の概要など
     2 政党交付金について
     3 事務所賃料について
     4 宿泊費・飲食費
     5 自動車の購入

    舛添知事調査報告書 その2
     6 書籍の購入

    舛添知事調査報告書 その3
     7 絵画・版画等の美術品の購入
     8 「書」の購入
     9 書道用品や落款印等の購入
     10 額縁等の購入

    舛添知事調査報告書 その4
     11 舛添氏の似顔絵入りの菓子1東京世界一。黒糖まんじゅう」の購入
     12 神奈川県湯河原町内の商業店舗での物品購入
     13 その他物品の購入
    第4 政治資金以外の問題

    舛添知事調査報告書 その5
     別表


    平成28年6月5日

    舛添要一 殿

    調査報告書


    弁護士 佐々木善三
    弁護士 森元哲也


    第1 調査の目的
     舛添要一氏(以下,「舛添氏」という。)の関係する政治団体,すなわち,自由民主党東京都参議院比例区第二十八支部(以下,「自由民主党支部」と略称することもある。),新党改革比例区第四支部(以下,「新党改革支部Jと略称することもある。),舛添要
    一後援会, グローバルネットワーク研究会及び泰山会の政治資金の支出内容について調査した上,それらが適法になされていたか,また,適法であったとしても政治的道義的観点から適切になされていたかを判断することが目的である。

    第2 調査方法
     調査の対象期間の始期は,資料等が残存している平成21年以降として,必要に応じて平成20年以前のものについても調査した。また,調査期間の終期は,政党の支部交付金が入金されており,かつ,政治資金収支報告書が公開されている平成26年までを対象として調査した。
     舛添氏及びその秘書らから関係資料の提出を受けた上,舛添氏や秘書及び関係者らのヒアリングを行うとともに,必要に応じて自ら資料を入手するなどして調査を行った。なお,本件調査に際しては,調査項目が多く調査事項も多岐にわたったため,他の弁護士2名の協力を得たことを申し添える。

    第3 調査結果
    1 各政治団体の概要など
    (1)自由民主党東京都参議院比例区第二十八支部
     設立日:平成13年7月12日
     解散日:平成22年5月20日
     代表者:舛添要一
     所在地:世田谷区代日3-48-1
    (2)新党改革比例区第四支部
     設立日:平成22年4月30日
     解散日:平成26年1月31日
     代表者:舛添要一
     所在地:世田谷区代田3-48-1
    (3)舛添要一後援会
     設立日:平成11年2月10日
     解散日:平成23年6月30日
     代表者安部良治
    ※ 平成11年6月14日付けで前代表者舛添要一から変更。
    所在地:世日谷区代田3-48-1
    (4)グローバルネットワーク研究会
    ※ 平成11年5月20日付けで前名称「舛添要一政治経済研究会」から名称変更。
     設立日!平成11年2月15日
     解散日:平成26年7月31日
     代表者:舛添要一
     所在地
    (5)泰山会
     設立日
     代表者
     所在地
     世田谷区代田3-48-1
     平成26年3月25日
     舛添要一
     世田谷区代田3-48-1

    2 政党交付金について
    (1)調査の対象
    自由民主党東京都参議院比例区第二十人支部に関するもの
     自由民主党東京都参議院比例区第二十人支部の使途等報告書によれば,同支部は,平成19年に自由民主党本部から合計3,500万円の支部政党交付金の交付を受け,同年に合計2,300万円を舛添氏本人に寄附した。
     この寄附金が適法・適切に使用されているかを調査検討する必要かめる。
    新党改革比例区第四支部に関するもの
     新党改革比例区第四支部の使途等報告書によれば,同支部は,支部政党交付金の交付を受けた後,グローバルネットワーク研究会及び舛添要一後援会に対して,以下のような寄附を行った。
    (ア)平成22年から平成25年までの間,下表のとおり,新党改革比例区第四支部が,新党改革本部から支部政党交付金の交付を受け,その一部をグローバルネットワーク研究会及び舛添要一後援会に対して寄附した。

    支部政党交付金合計額寄付した相手方寄付金合計額
    平成22年11,000,000円グローバルネットワーク研究会500,000円
    舛添要一後援会500,000円
    平成23年41,000,000円グローバルネットワーク研究会19,500,000円
    舛添要一後援会100,000円
    平成24年30,000,000円グローバルネットワーク研究会7,500,000円
    平成25年46,000,000円グローバルネットワーク研究会22,500,000円

    (イ)新党改革比例区第四支部は,平成26年1月に新党改革本部から合計600万円(内訳は,同月3日に500万円及び同月22日に100万円)の支部政党交付金の交付を受けたが,同月28日にそのうち400万円をグローバルネットワーク研究会に寄附し,同月31日に残りのうち87,188円及び支部基金204,955円の合計額292,143円をグローバルネットワーク研究会に寄附した(なお,同日の実際の寄附金額は,それに他の資金を加えた総額858,128円であつた。)。ちなみに,同支部は,同月31日に解散し,解散時の残高は0円となつている。
     これらの寄附金が適法・適切に使用されているかを調査検討する必要がある。

    (2)調査結果
    自由民主党東京都参議院比例区第二十人支部に関するもの
     上記(1)アに記載した自由民主党支部から舛添氏本人に寄附した合計2,300万円は,その全額が平成19年7月12日公示・同月29日投票の第21回参議院議員通常選挙自由民主党公認で比例区から立候補し当選した舛添氏の選挙運動費用に充てられた。これについては,選挙運動費用収支報告書に記載されている。
    新党改革比例区第四支部に関するもの
     上記(1)イ(ア)の一覧表に記載した新党改革比例区第四支部からグローバルネットワーク研究会及び舛添要一後援会になされた各寄附は,各政治団体の経常経費及び政治活動費に充てられた。
     それらの支出の中には,物品購入や宿泊・飲食代金などに充てられたものがあり,それに関しては, 3以下に述べる。
     上記(1)イ(イ)に関しては,新党改革支部は,平成26年に,解散前の支部交付金等を含めた資産の処理手続の一環として,グローバルネットワーク研究会に寄附を行ったものと認められる。
     この点に関して,グローバルネットワーク研究会は,平成26年に,新党改革支部から寄附を受けた上記の400万円及び858,128円の他に,他の政治団体からも合計3,000万円の寄附を受けたが,その後,泰山会に対して,同年4月9日に3,000万円を寄附し,同年6月30日に18,746,689円を寄附した。
     これらの寄附金は,泰山会の経常経費や政治活動費の支出に充てられた。
     それらの支出の中には,物品購入などに充てられたものがあり,それに関しては, 3以下に述べる。

    (3)上記(1)記載の各支出の違法性の有無
     政党交付金については,政党助成法上,その使途に関する制限はなく(同法第4条第1項により「国は,政党の政治活動の自由を尊重し,政党交付金の交付に当たっては,条件を付し,又はその使途について制限してはならない。」と定められている。),政党の支部支部政党交付金の支給を受けた場合も同様である。
     そして,政党交付金の使途について,国民が監視できるようにすべく,政党支部の会計責任者は,支部政党交付金に係る収支の状況を明らかにするため,会計帳簿を備え,支部政党交付金の支出につき,年月日,支出を受けた者の氏名・住所)目的及び金額等を記載しなければならないものとされ(同法第16条第1項本文及び同項第2号),支部報告書には,支部政党交付金による支出につき,その総額,項目別の金額及び項目ごとの支出に充てた支部政党交付金の金額等,人件費等を除いた経費についての金額5万円以上の支出に関しては,それを受けた者の氏名・住所, 目的及び金額などを記載した上,政党の会計責任者に提出するとともに,政党の支部の主たる事務所の所在地の都道府県に提出しなければならないものとされており(同法第18条第1項本文,同項第2号及び第3号,同条第3項),また,政党の会計責任者は,支部から支部報告書の提出を受けたときは,総務大臣に提出しなければならないものとされていて(同法第20条第1項),国民に開示されるシステムになっている。加えて,支部報告書に記載すべき事項を記載しなかった場合や虚偽の記入をした場合には,罰則もある。
     また,政党助成法第4条第2項には「政党は,政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し,その責任を自覚し,その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに,国民の信頼にもとることのないように,政党交付金を適切に使用しなければならない。」と定められており,訓示規定ではあるものの,政党交付金の使用を適切に行うよう求められている。
     なお,政党交付金の返還に関しては,政党の支部は,その年に支給を受けた支部政党交付金の総額から,その年の支部政党交付金の支出の総額を控除して残余がある場合,総務大臣が,当該政党に対し,期限を定めて,その額に相当する政党交付金の返還を命ずることができるとされており(同法第33条第2項第2号),政党が角卒散した場合にも同様の規定がある(同項第4号)。
     以上の規定に照らせば,以下のように判断できる。
    ア 上記(1)アの自由民主党支部から舛添氏に対する寄附は,政党助成法には違反しておらず,それらの寄附は支部報告書等に記載されていることから,政党助成法の罰則規定の適用もない。
     また,舛添氏は,それを自己の選挙運動費用に充てているのであるから,支部政党交付金の最終的な使途として問題はないと言える。
     なお,政党助成金の使途については前述のとおり法律上の制限は特にないものの,原資が税金であることに照らし,例えば,舛添氏が当時所属していた自由民主党では独自に内規を設けて使途を厳格に制限し,公認会計士による内部チェックを実施しているとのことであるから, 自由民主党支部から舛添氏に対する寄附についても,同内規に抵触しない適切な支出であることが確認されているはずである。
    イ 上記(1)イの新党改革支部からグローバルネットワーク研究会及び舛添要一後援会に対する各寄附に係る支出は,政党助成法には違反しておらず,それらの寄附は支部報告書等に記載されていることから,政党助成法の罰則規定の適用もない。
     なお,上記(1)イ(イ)の平成26年1月の寄附は解散直前の支出であり,特に同月31日の寄附は解散日当日の支出であることから,それらの寄附は,新党改革比例区第四支部における支部政党交付金の残余金の返還を免れるための処理だつたのではないかとの指摘を受けている。
     しかし,政党交付金の使途に関する制限がない以上,同支部の解散前に支出された寄附が違法性を帯びることはない。
    念のために付言すると,市民団体により,旧「みんなの党」所属の国会議員らが,同様の問題に関して政党助成法違反等により告発された事案につき,検察官は不起訴処分としている。

    (4)新党改革本部から舛添氏に支出された組織対策費について
     舛添氏は新党改革の代表者であった当時,新党改革本部から,平成24年に800万円,平成25年に250万円の組織対策費の支出を受けている。
     国政における与野党は,その幹部の政策遂行に充てるため組織対策費などの名目で支出を行っていると言われ,上記組織対策費もこれと同様に同党の政策遂行に必要な資金として同氏に支出したものと推測されるところ,同氏は,同党の機密にわたる事柄,具体的には他党政治家との折衝等に関わる政治活動の資金として使用した旨述べており,同氏の平成24年から平成25年にかけての日程表には他党政治家との会合なども多数記載されていて,同氏の説明を裏付けるような状況もあり,上記組織対策費が不正に使用されたと疑うべき事情は存しない。

    3 事務所賃料について
    (1)調査の対象
     舛添氏の関係する政治団体が,同氏の妻が代表取締役を務める株式会社舛添政治経済研究所から事務所を賃借して,同社に対して賃料を支払っている。
     その賃料額は不当に高いのではないか,また,政治団体が賃料を二重に支払っているのではないかとの指摘がある。

    (2)調査結果
    ア 事務所の土地建物の所有・賃貸関係
     当該事務所の土地建物は,平成2年9月に舛添要一氏が購入したものであるが,既存の建物は2階以上が住居,1階が賃貸用ワンルームマンション,地下1階が飲食店として使用されていたものであり,それをリフォームして,1階と地下1階を事務所として使用できるようにしたものである。同氏の説明によれば,その土地建物を(株)舛添政治経済研究所名義で購入したかったとのことであるが,同社が設立後間もなく経営実績が足りなかったため金融機関から住宅購入資金を借り入れることができなかったことから,同氏個人で購入したものであるとのことである。
     その後,同社の経営が順調になったことから,同社は平成6年12月に金融機関から借入れを行って同氏から同土地建物を購入し,平成14年にはその借入金も完済している。
     このようにして,同社が事務所部分を政治団体に賃貸し,住居部分を同氏に賃貸するようになった。
     ところで,同氏は,平成25年7月に任期満了により参議院議員を退職しているが,退職前の同年2月8日,将来の相続問題に備えて,同社から同土地建物を買い取った。
     以後は,同建物の事務所部分(1階及び地下1階)を同社が同氏から賃借して,政治団体に賃貸している。

    イ 各政治団体の賃料支払状況
    下記の各政治団体は,(株)舛添政治経済研究所から事務所を賃借して,下表のとおり賃
    料を支払っていた。賃料は,一か月分を前払いで支払う形で支払っており,下表の「年間
    支払額」はそれを合計したものである。

    政治団体年間支払額月額賃料
    自由民主党東京都参議院比例区第二十八支部平成21年2,520,000円210,000円
    平成22年840,000円210,000円
    新党改革比例区第四支部平成22年77,000円77,000円
    1,680,000円210,000円
    平成23年1,260,000円210,000円
    1,680,000円281,500円
    平成24年3,378,000円281,500円
    平成25年3,378,000円281,500円
    平成26年(※) 0円 
    舛添要一後援会平成21年1,572,000円131,000円
    平成22年1,572,000円131,000円
    平成23年786,000円131,000円
    グローバルネットワーク研究会

    (グローバルネットワーク研究会の続き)
    平成21年1,218,000円101,500円
    平成22年1,218,000円101,500円
    平成23年609,000円101,500円
    966,000円161,000円
    平成24年1,932,000円161,000円
    平成25年1,932,000円161,000円
    平成26年161,000円161,000円
    885,000円442,500円
    泰山会平成26年3,982,500円442,500円
    平成27年5,310,000円442,500円

    ※ 上記表の(※)の部分について補足すると,平成26年1月にハウスクリーニング代として281,500円の支払いがなされている。これは,賃貸借契約により,退去の際にはハウスクリーニング代として賃料1か月分を支払うことになっていたためである。なお, このハウスクリーニング代については,当初,同年2月分の賃料として誤った計上がなされた経緯があり,誤りに気付いて訂正されたものである。

    ウ 賃料額が高すぎるのではないかとの指摘について
     上記の表の賃料額が適当であるか否かについて調査した結果,(株)舛添政治経済研究所は,賃料額の決定に当たって,横浜市内の会計事務所に相当賃料額の算出を依頼し,同会計事務所において,梅ケ丘駅から徒歩10分国内の事務所賃貸物件の1平方メートル当たり賃料を約3,500円として積算を行ったことが判明した。
     平成25年を例にとると,賃料の内訳は下表のとおりである。

    新党改革支部賃借部分(55.10㎡) グローバルネットワーク研究会賃借部分(34.78㎡) 合計額
    賃料本体 192,000円 100,000円 292,000円
    共益費 40,000円 19,000円 59,000円
    水道光熱費 19,500円 12,000円 31,500円
    駐車場料金 30,000円 30,000円 60,000円
    賃料合計額 281,400円 161,000円 442,500円

    ※ 1 グローバルネットワーク研究会賃借部分の賃料額は,地下であることを考慮して,1平方メートル当たり3,500円よりも低い金額が設定された。
    ※ 2 共益費には,警備保障費用と通信費(平均月額を基に算出した金額)の按分負担分が含まれている。なお,水道光熱費も,平均月額を基に算出した金額を按分したものである。
    ※ 3 駐車場料金は, 1台当たり30,000円である。

     以上によれば,(株)舛添政治経済研究所は,会計事務所において算出した賃料額を各政治団体に請求し,各政治団体はその金額を賃料として同社に支払っていたことが認められる。この点につき,賃料が割高ではないかとする指摘もあるが,その指摘は同地域の同程度の物件の賃料の相場が30万円程度(坪単価が12,000円程度とされており,その坪単価で計算すると約327,000円)であるとの前提に立つもののようであるから,本件の賃料本体額が月額292,000円であることに照らし,特段高いとは言えず,むしろ相場とされている金額とほぼ同程度の金額と言える。この点に関し,今回の調査において梅ヶ丘駅近隣の賃料本目場を確認したところ,坪単価が12,500円(この坪単価で計算すると,本件事務所の相当賃料額は34万円程度)ないし14,500円(この坪単価で計算すると,本件事務所の相当賃料額は39万円程度)とされている。
     したがって,各政治団体が支払っていた賃料の金額は,相場とされている金額と比較して割高とは言えない。

    工 賃料の二重支払いなどがなされていたのではないかとの指摘について
    (ア)平成22年5月分
     上記の表からも明らかなように, 自由民主党東京都参議院比例区第二十八支部が賃借していた部分を新党改革比例区第四支部が引き続き賃借したものであり,平成22年5月19日までに自民党支部が退去し,同月20日から新党改革支部が使用を開始したものである。
     そして,平成22年5月分の事務所賃料については,賃貸借契約の条項によって月の途中で退去した場合には1か月分の賃料を支払う(前払い制であり,按分等による返却はしない。)こととされていたことから, 自由民主党支部が5月分の賃料全額を支払った(同支部は同年5月20日に解散)。なお,上記の表では,平成22年に4か月分の賃料を支払っているが,前払い家賃なので,5月分まで支払ったことになる。
     また,新党改革支部(4月30日に設立)が5月分の賃料として11日分(5月20日以降)の77,000円を支払うとともに,その後の8か月分(前払い賃料なので,平成23年1月分まで支払ったものである)の賃料として合計168万円を支払ったことが認められる。
     よって,平成22年5月20日から同月31日までの期間,形式的には賃料の二重支払いがなされたことになるが,それは賃貸借契約上義務の履行によるものであるから,問題はないと判断した。

    (イ)平成23年
     平成23年の途中から,新党改革支部の賃料が月額210,000円から月額281,500円に値上げされ,また,グローバルネットワーク研究会の賃料が月額101,500円から月額161,000円に値上げされている。
     この点について調査した結果,舛添要一後援会が平成23年6月30日に解散して退去したため,それに伴って,新党改革支部とグローバルネットワーク研究会の賃借部分の調整が行われたことが判明した。それまでは,舛添要一後援会が地下の部分を賃借使用していたが,その部分をグローバルネットワーク研究会が賃借使用することになり,舛添要一後援会が支払っていた賃料額(月額131,000円)を支払うこととなった。ただし,舛添要一後援会は自動車を所有しておらず,駐車場料金を負担していなかったが,グローバルネットワーク研究会は,従来から乗用車1台を保有し,その分の駐車場料金3万円を支払っていたため,その駐車場料金3万円を加えた賃料月額161,000円を支払うことになった。
     他方,新党改革支部は,従来から1階の一部を賃借していたが,グローバルネットワーク研究会が賃借使用していた部分も併せて賃借することになり,月額賃料が従来の210,000円に71,500円(従来のグローバルネットワーク研究会の賃料月額101,500円から駐車場料金3万円を差し引いた金額)を加算した281,500円を支払うことになった。
     これらの計算根拠は合理的であり,上記賃料支払いは相当であると判断した。
    (ウ)平成26年
     平成26年の賃料負担について説明すると,新党改革支部が1月31日に解散したため,同支部が1月分の賃料を支払い,その後,同支部の賃借使用していた部分もグローバルネットワーク研究会が賃借使用するようになった結果,同団体の賃料月額は従来の161,000円に新党改革支部の賃料月額281,500円を加えた月額442,500円を支払うことになった。この結果,平成26年に,グローバルネットワーク研究会は,月額賃料161)000円を1か月分(前払い賃料であることから,同年2月分の賃料になる),月額賃料442,500円を2か月分(同年3月分及び同年4月分)を支払った。同団体は解散を予定していたことから,同年4月末に退去した(同年7月31日に角卒散)。
     一方,同年3月25日に設立された泰山会が,同年5月以降,従来はグローバルネットワーク研究会が賃借使用していた部分を賃借使用しており,一か月当たり442,500円の賃料を9か月分(前払い賃料なので,平成27年1月分を含む。)支払った。
     これらの経緯及び計算根拠に照らし,上記賃料支払いは相当であると判断した

    オ 結論
     以上述べたとおり,各政治団体の賃料支払いは適切になされており,違法性はない。

    4 宿泊費・飲食費
    (1)調査の対象
     各政治団体の支出した宿泊費・飲食費の中には,家族同伴での宿泊や飲食などの不適切な支出が含まれているのではないかとの指摘がある。

    (2)調査検討結果
     各政治団体の支出した平成21年以降平成26年までの宿泊費・飲食費について調査し検討した結果は,別表1宿泊費,別表2飲食費のとおりである。
     これらの調査検討結果は,各別表の「調査検討結果」に記載したとおりである。
     その調査検討結果を総括すれば,政治活動のための宿泊・飲食が多いものの,一部に家族同伴のものなども含まれており,政治資金を支出したことが適切とは言えないものがある。
     宿泊・飲食代金の返却を含めた是正措置が必要なものについては,「是正の要否」欄にその旨記載した。
     なお,政治資金の使途には法律上の制限はないため,上記の各宿泊や飲食に係る代金を政治資金から支出したことについては,違法とは言えない。

    5 自動車の購入
    (1)調査の対象
     新党改革比例区第四支部は,平成24年4月24日,神奈川県湯河原町の自動車販売会社から自動車1台を985,000円で購入した。
     この自動車は,舛添氏の湯河原町の別荘(所有者は(株)舛添政治経済研究所)でプライベートに使用するために購入したのではないかとの指摘がなされている。

    (2)調査結果
     調査した結果,同自動車は乗車定員7人のステーシヨンフゴン(トヨタエステイマ)であり,平成24年4月23日に登録されており(初度登録は平成17年10月であることから,中古車として購入したものと推定される。),登録番号は「品川302せ5791」である。な
    お,政治団体名義での登録ができないため,所有者は舛添要一氏となつている。
     新党改革支部は,このトヨタエステイマを代金985,000円で購入し,上記自動車販売会社に対しては,購入日に車両登録諸経費として194,010円を,同年5月7日に車両整備代金として407,390円を支払っている。
     この点につき,舛添氏は,自動車に金をかけたくないので,上記自動車販売会社の経営者と親しくしていたことから,オークションで100万円未満のワゴンタイプの乗用車を入手してほしいと依頼したところ,同会社が上記エステイマを落札してくれたので,それを新党改革支部で買い取つたものであり,その後,整備を十分にしてもらったものであると述べている。
     上記経営者も,整備費用の金額等の詳細は記憶していなかつたものの,その経緯については舛添氏の説明と同様の説明をしている。
     上記のとおり,車両整備代金が約40万円かかつているが,いわゆる7年落ちの中古車であることから,その程度の整備費用がかかつたとしても不思議ではない。
     そして,舛添氏の秘書のヒアリングによれば,このトヨタエスティマを,新党改革支部の所在する(株)舛添政治経済研究所の土地建物の駐車スペースに駐車し,新党改革支部のために使用していたとのことであり,新党改革支部が同会社に対して駐車場料金を負担していた事実も,それを裏付けている。
     ちなみに,(株)舛添政治経済研究所は,平成18年11月16日に,乗車定員8人の中古のステーションワゴンを購入して同会社名義で登録しており,その登録番号は「湘南300ら9851」であり,それもトヨタエスティマである。そのトヨタエスティマは,神奈)|1県湯河原町を使用の本拠としている。
     このように,舛添氏がトヨタエスティマ2台を使用していることから,新党改革支部が購入したトヨタエステイマが湘南ナンバーで登録されて湯河原の別荘で使用されていると誤解されたものと思われる。
     以上述べたとおりであり,新党改革支部が購入したトヨタエスティマが,湘南ナンバーで登録されていた事実はなく,それがもっぱら湯河原町の別荘で使用されていたという事実もない。
     これに関連して,新党改革支部が購入したトヨタエスティマについて,本来は140万円の価格であったのに,資産としての登録を避けることを目的として,車両代金と整備費用に分ける形に偽装したのではないかとの指摘もなされているが,上記の経緯に照らして,そのような偽装はなされていないものと認められる。
     なお, このほかに, グローバルネットワーク研究会が,平成24年5月15日,上記自動車販売会社から自動車1台を99万円で購入しているが,同車は日産の箱形乗用車(日産ティアナ)であり,登録番号は「品川302せ7414」である。同車もグローバルネットワーク研究会の所在する(株)舛添政治経済研究所の土地建物の駐車スペースに駐車し,グローバルネットワーク研究会のために使用されていたとのことであり,同政治団体が同会社に対して駐車場料金を負担していた事実が,それを裏付けている。
     参考までに補足すると,新党改革支部トヨタエステイマは,平成26年1月31日に,グローバルネットワーク研究会に無償譲渡された(その価格を40万円と算定し,40万円を寄附したとの処理を行った。)。
     その後,グローバルネットワーク研究会は,平成26年7月31日,そのトヨタエスティマと上記日産ティアナの2台を泰山会に無償譲渡し,それらの価格相当額として40万円と45万円を泰山会に寄附したとの処理を行った。

    (3)検討結果
     上記(2)の事実関係に照らして,新党改革支部が購入したトヨタエスティマは,品川ナンバーで登録されて政治団体のために使用されており,それが湘南ナンバーで登録されていた事実はなく,それがもっぱら湯河原町の別荘で使用されていたという事実もない。
     また,同車の購入経緯を検討しても,不適切な部分は見当たらなかつた。


    つづく
     舛添報告書 その2

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