リヒナー 勿忘草 演奏解説

 リヒナーの勿忘草を録音した。
 何となく弾きたくなったので、1週間くらい練習して録音。レパートリーに入れるつもりもないし、今回限りというつもりだったのであまり細かく考えずにテキトーに演奏した。譜めくりとかも特に考えずに、一旦止まって譜めくりして、後から編集でつなぎ合わせた。そんな感じなので、大した解説もできない。
 リヒナーという人について調べてみても情報は少ない。クラシック音楽作品名辞典には取り上げられてさえいない。つまり、作曲家1240名にあぶれる程にはマイナーな作曲家ということ。Wikipediaも日本語では収録されておらず、英語版では次のように書かれている。折角だから日本語訳も付けておく。

Heinrich Lichner
From Wikipedia, the free encyclopedia

Heinrich Lichner (6 March 1829 7 January 1898) was a prolific German composer, best known today for his teaching pieces - simple piano works written for students. He was born in Harpersdorf, Silesia. His sonatinas, including Opp. 4, 49, and 66 (among others) are in a light, fluent classical style, although the harmony occasionally betrays the influence of romanticism. He was also a director and organist - he worked as organist at the church of the 11,000 virgins, and spent a part of his life as the director of a saengerbund (choral festival) in Breslau, where he died.
ハインリヒ・リヒナー

 ハインリヒ・リヒナー(1829/3/6-1898/1/7)はドイツの作曲家で、多くの曲を作った。今日では、彼は生徒のレッスンに使うためにピアノの小品を作ったことで知られている。彼はシレジアのハルバースドルフで生まれた。Op.4, Op.49, Op.66のソナチネは明るく流れるような古典的なスタイルであり、ときどきロマン主義らしからぬ和声が登場する。彼は指揮者とオルガニストであった。彼は1万1千人の乙女の教会(聖ウルスラ教会)でオルガニストをしていた。そしてまた、ブレスラウの歌手組合の指揮者として過ごし、そこで亡くなった。

 英語版を訳したので上のような地名で表記したけど、ハルバースドルフ、ブレスラウは現在はポーランドにあり、波蘭語ではそれぞれTwardocice(トゥヴァルドチチェ)、Wrocław(ヴロツワフ)と発音する。
 多作な割にはキャラクターはマイナーだし、PTNAの紹介ページでは3曲しか紹介してない。IMSLPではOp.230まで紹介しているけど、公開している楽譜は23曲に留まる。なお、Op.267に左手用のSiegelという曲があるそうだが、先のIMSLPのページでは紹介していない。

 薀蓄はこの程度にして演奏する上で気を使った点を少し述べておく。
 曲の構造として、8ないし16小節単位のブロックで構成されていて分かりやすい。
 右手は随所に6度の跳躍が出てくるので1-5での6度の距離をしっかり覚えておくとお得である。

1~2小節

 1~2小節に限った話ではなく、この曲全体を通しての演奏法について。大体各小節の前半と後半に分けてペダルを踏み分けるのだけど、あまり強く踏まず、その代わり一番下の音を保持したままにする。
 2小節目の後半は右手に8分休符が入っているが、この曲はしばしばこうやって休符が入ってくるのでちゃんとその部分で音を消したい。すると必然的にペダルを離すことになるのだけど、このときに左手の一番下の音を保持しているとペダルを踏んでいるような効果を期待できるのでお勧めである。

32小節

 左手の下降スケールの部分。1指のAを保持すると右手のAと共鳴して良いかもしれないと思いそうしてみたけど、あんまり変わった感じはしなかった。

57~64小節

 この8小節は前半4小節をペダル無しで、後半4小節ペダル有りで演奏することで変化をつけてみた。

最後

 最後は冒頭のアウフタクトを回収せずに終わる。