新鬼ヶ島 エンディング

 新鬼ヶ島のエンディングを録音した。
 このゲームは遊んだことはないんだけど、漫画を持っていたのでストーリーはよく知っている。
 曲自体はファミコン 20th アニバーサリー オリジナルサウンド・トラックス VOL.3で知ったのだけど、とりわけ優れた曲というわけでもなくあんまり印象に残っていなかった。
 ところが、新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴いて評価がひっくり返った。

 めちゃんこいい曲やん。これ、楽団の実力が大きいんじゃないかなって思う。
 とにかく、自分でも弾くことにした。
 最初の部分を覗いて主旋律とベースとコードしかないすごく単純な曲なので音取りは楽だった。ただ、前奏がどの音を出してるのかイマイチわからなくて、というかファミコン音源のくせして同時に4声発音しているように聞こえるのですごく戸惑った。そんで、ピアノで弾く以上は取れる音に制限があるので結構無理することになった。
 3~4小節目を除けば特に難しい部分もないのでそれほど苦もなく弾けるようになった上に、音を増やしたりもした。それでもやっぱり管弦楽団の演奏には遠く及ばない。こればかりはもう仕方ないと諦めるしかないのかな。

キーボード買ったよ FKB-U246BK

 以前、BUFFALO BSKBU510を買ったときに宣言した通り、別のキーボードに手を出してみた。
 畢竟、BSKBU510で気に入らなかったのは基本的にキーストロークが深すぎるというだけで、その他の部分は全く同じものがあればよかった。サンワサプライSKB-SL06BKが手に入れば完璧だったのだけど、とっくに廃番となっているので望めない。それはそうと、希望するのはどこにでもある普通のキーボードなので、電気屋に行けば普通においてあるだろうと高を括っていた。
 まあ、実際に電気屋に行けばよく似たものが置いてある。最近は無線キーボードと人気を二分しているので売る方も面倒臭そうだなあと思う。
 それで、今度は実際に近所のヤマダ電機でキーを触ってから決めてきた。
 買ってきたのはDigio2 FKB-U239BKである。
 結論としては、色々不満があったので、元のBSKBU510に戻すことにした。

打鍵感覚が悪い
 店舗で触ったときは打鍵感覚がそれなりにあるのでメンブレンでも行けるんじゃないかなと譲歩してみたのだけど、実際使ってみるとパンタグラフ方式とは全然違い、打鍵時のカチカチ感が全然感じられずもっさりしており、入力していて気分が悪くなる。やはり、キーボードはパンタグラフではないと体が受け付けなくなっている。静音を売りにしているけど、そういうことじゃあないだろうと思うわけだ。タイプ音がうるさくて仕方ないという人には良いのかもしれないけど、これまでにうるさいと感じるキーボードと出会ったことがないので、その感覚はわからない。打鍵のうるさい人ってのはよっぽど無駄な力を入れてタッチしてるんじゃないのか?腱鞘炎になるぞ。
キーがどこに有るのかわからない
 これは何故かわからない。もしかしたらFとJについてるボッチが小さすぎるのかもしれないけど、手をホームポジションに持っていこうとしても場所が分からない。一生懸命FとJのボッチを探すことがよくある。
 そもそも、普段からFとJのボッチを意識しなくてもホームポジションに手を置いているから、もっと別の理由があるのだろうと思う。このあたりはキーボードメーカーのノウハウが詰まっているところなのかもしれない。キーボードの形状が大きく関わっているのだと思う。
左下のキーの位置
 BFRIENDit1430のときも書いたのだけど、 左してのCtrlとWindowsキーとAltと無変換の位置は結構重要である。基本的にキーボードを見ずに打つので標準の位置からずれてくると非常に困る。特にAltはマウスを嫌う人にとってはかなり重要なキーだ。そんで、Altを押そうとしてWindowsキーや無変換を押すと変なアクションが起こってそこで思考が止まり最初からやり直しとなる。かなりのタイムロスとなって殺意を覚えるわけだけど、上手く説明してくれている人がいた

 そんな訳で、このあたりのキーの位置が悪いのはよく考えてもらいたいものである。
十字キーの上の6つのキー
 Ins Home PageUp Del End PageDownの6つのキーが並んでいるのだけど、この6つのキーは手元を見ずに押す。十字キーの上に独立した6つのキーの島という形状から触った感覚でわかるためである。
 しかし、このキーボードでは隣の島との間隔が狭く、軽く触っても隙間の広さを認識できない。だから、どれがこの島なのかを確定するまでに少し時間を食われる。
 なお、更に右上にある、PritScreenはそれなりによく使うが、目視でしか確認しないのでどこにあっても困らない。というか、キーボードによって位置が違いすぎて覚えると返って困りそう。
アイソレートタイプ
 アイソレートというのはキーとキーの間に距離があることで、間違って隣のキーを一緒に押すことが少なくなるという効果があるけど、別にアイソレートである必要はないというのは以前説明した通りである。
 でも、せっかくアイソレートにするんだったらもっと距離開けろよって思った。5mmくらい隙間があってもいいじゃないかなと思う。実際、BSKBU510のキートップの距離を測ると。6mm以上空いている事がわかる。これだけ近かったらアイソレートにした意味がない。
キーの刻印
 BSKBU510と違ってこちらはキーに色々と書いてある。この点だけはFKB-U239BKの方が良い。
 キートップには何も書いてないのが望ましいという意識の高いかたもいるのかもしれないけど、意識の高さよりも実用性の高さのほうが遥かに重要である。
キーストロークが浅い
 BSKBU510はキーストロークが深すぎるのが悪かったのだが、今度は浅すぎる。アイソレートはどれもキーストロークが浅いもんだと今回改めて認識した。RF1430Kのときも浅くて嫌だったはずだ。

 そんなわけで、FKB-U239BKを使うメリットがあんまりなかったので、BSKBU510に戻すに至った。
 とはいえBSKBU510は全然完璧ではないので、どうせまた別のキーボーをを探すことになると思う。

関連エントリー
 20190523 キーボード買ったよ BUFFALO BSKBU510
 20181028 キーボード買ったよ BFRIENDit1430

チェルニー30番30 演奏解説

 チェルニー30番フィナーレを飾るのはユニゾンでのスケールの練習。最後だけあってかなり難しい部類である。
 楽譜はいつもどおり全音を使う。

テンポについて
 2分音符で80bpmと一見控えめと感じるが、4分音符に直すと160bpmとなり、チェルニー30番では29番に次、14番と同率となる速度である。29番はこれより速いが、両手に分けて弾くのでだいぶ弾きやすいことと、14番が右手ばかりで左手が暇をしていることを考えると、速度の面で最も余裕のない曲とも言える。ちなみに、毎日の練習曲ではほぼ同じフレーズを15%増しの速度で20回繰り返して弾かされる、苦行である。

ニゾンについて
 ユニゾンの難しいところは2音の打鍵タイミングが僅かでもずれると、それがとても目立つのである。さらに、1音以上もタイミングがずれると不協和音となってしまうので、より目立つ。ちなみに、24番では敢えて半音分タイミングをずらすことで特別な効果を出している。
 左右の手で同じタイミングで打鍵するというのはピアノの演奏に於いてごく基本のことであるが、簡単ではない。スケールでは指くぐり・指またぎが生ずるが、例えばCから1オクターブ登るスケールを右手で12312345と初めのCDEを123で順番に弾くのと、EFを34で弾くのと、FGAHCを12345で弾くのでそれぞれ出せる限界の速度が異なる。それに加えて、左右の手は形が異なるので、ユニゾンでスケールを弾こうとすると、もたつくタイミングが左右の手で異なってくる。これを速度を一定にして粒を揃えて弾けというのだから無茶な話である。結局、最も打鍵の遅くなる指くぐりの部分に速度を合わせるか、どうにか誤魔化して弾くしかないのである。
 速いスケールのユニゾンをプロが演奏するとどうなのか。例えば、リストの超絶技巧練習曲3版のマゼッパ6小節のユニゾンを見てみる。ここには140音(左手は3音少ない)ある。これを例えばシフラは9.25秒で弾いてる。ここから逆算すると、1音辺り0.066秒。1分に908音打鍵する速度である。これを全て16分音符とすると、4分音符で227bpmとなる。チェルニー30番の1.4倍の速度である。にも関わらず殆ど左右の手でズレがない。つまり、人類はチェルニー30番くらいは余裕でできる可能性を秘めているとなる。ちなみに、他の演奏家を聴き比べたが、だいたいはシフラよりもテンポは遅く、またペダルを踏んでいるのでちょっと聞き取りづらいけど、だいたい揃っていた。まあ、ここはシフラの演奏がテンポを速めていくというリストの指示を無視して最初から速く弾いているのではあるのだが。
 こんなわけで、プロのピアニストの演奏を聞いてみると、君たち素人もチェルニー30番くらいちょっとは頑張り給えと言われているような気分になる。
 ともかく、何とかできるとこまでやってみようかと思う。

フレーズの話
 スラーの繋ぎ方にはレガートを示すものとフレーズを示すものとアーティキュレーションを示すものなどがあるが、あまり明瞭に書き分けられていないのが現実である。フレーズという言葉もはっきりした定義が与えられていないくらいで、ここでは一塊の音の流れという程度で使う。
 チェルニー30番でもスラーの使い方は混在しているが、この30番ではレガートを示すスラーが全体に架けられている。こういう場合、どこからどこまでがフレーズになるかというのは演奏者に委ねられる。
 フレーズには階層があり、例えば最初の8小節を見ると、2拍ごとの小さなフレーズと2小節ごとのフレーズと8小節全体の大きなフレーズとがある。8小節全体を示す大きなフレーズにはスラーが架けられている。本エントリーにおいては一番小さいフレーズのことをフレーズと呼ぶことにする。

リズムについて
 4/4となっているが、この速度だと4/4では速すぎてリズムが認識できないので、2/2のつもりで弾くのが良い。
 チェルニー30番はテンポの速い曲ばかりで、速度を速くすることに集中するあまりにリズムがないがしろにされがちである。しかし、一定のリズムを保つことは音楽を聞かせる上で非常に重要で、リズムのふらつく演奏を聞かされると気分が悪くなるという人も多い。
 可能な限り厳格にリズムを守るべきであるが、なかなか難しい。メトロノームに合わせて演奏するのが良いのだけど、演奏しているうちに徐々にタイミングがずれていってしまったりする。
 メトロノームに設定した速度に追いつかないのは論外であるが、メトロノームよりも演奏のほうが速くなるのであれば、自分の音よりもメトロノームの音の方を集中して聞き、拍頭の音をメトロノームに合わせるようにする。この曲の場合は一つのフレーズが1拍か2拍で、速度が2分音符で示されているので、メトロノームのタイミングとフレーズが一致する。フレーズを弾くのが幾分早くなっても少し遅らせるように次のフレーズを弾き始めることでメトロノームに合わせると良くなるはずである。また、フレーズのなかで左右の音がずれてしまっても、次のフレーズ開始時に修正されることになる。

スケールについて

 以前、スケールの弾き方についてのエントリーをあげようかと思ったことがあったんだけど、数日寝かせておいたらすっかり内容を忘れて雲散霧消した。そのときに書こうと思った内容はあんまり覚えてないけど、練習して感じたことをいくらか書いておく。
 右手の上りスケール。1指の離鍵は手前側に滑らすようにしてキーの上から指をどける。指が掌の下に来る形となるので指くぐりが楽になる。
 右手、指くぐりの際は離鍵した指をしっかりと上げる。特に2指。最近2指の動きが悪いことに気づいて、4指とは違って訓練すればちゃんと動くようになるはずなので、積極的に意識してるんだけど、全く良くなった気がしない。

911小節


 ☆指の動きだけで弾こうとするのではなく、手首の回転も利用して打鍵の際の指動きが少なくて済むようにする。3音目のAと5音目のAとのように同じキーを1音置いて打鍵する場合、完全に指を上げて離鍵するのではなく、ダブルエスケープメントを利用して半分くらいの高さまで指を上げるだけにする。

15小節

 同じ音形で1オクターブ下がっていくが最後のFisで黒鍵が入ってくるため15小節3拍目で指使いが変わる。
 この部分は楽譜を見ながら弾いてると今どこなのかを見失うことがあるので、手元を見たほうが良い。そうすれば最後のフレーズはFisから始まると覚えておくだけで良い。

16小節

 ☆速いトレモロはダブルエスケープメントを十分に利用してキーを最後まで戻さないようにして弾く。また、手首を左右に小刻みに回して速度を稼ぐこともできる。

24小節

 *両手の跳躍なので目のやり場に困る。1拍目に左手の2拍目の和音の位置を確認・記憶しておいて、2拍目からは右手を見る。


関連エントリー
 20191022 チェルニー30番29 演奏解説
 20190815 チェルニー30番28 演奏解説
 20190609 チェルニー30番27 演奏解説
 20191007 チェルニー30番26 演奏解説
 20190211 チェルニー30番25 演奏解説
 20180817 チェルニー30番24 演奏解説
 20180721 チェルニー30番23 演奏解説
 20180513 チェルニー30番22 演奏解説
 20180216 チェルニー30番21 演奏解説
 20171230 チェルニー30番20 演奏解説
 20170905 チェルニー30番19 演奏解説
 20170806 チェルニー30番18 演奏解説
 20170506 チェルニー30番17 演奏解説
 20170107 チェルニー30番16 演奏解説
 20170303 チェルニー30番15 演奏解説
 20161123 チェルニー30番14 演奏解説
 20160910 チェルニー30番12 演奏解説
 20160429 チェルニー30番10 演奏解説
 20160424 チェルニー30番9 演奏解説
 20160301 チェルニー30番6 演奏解説
 20160101 チェルニー30番5 演奏解説
 20151218 チェルニー30番4 演奏解説
 20151211 チェルニー30番3 演奏解説
 20200308 チェルニー30番2 演奏解説
 20200405 チェルニー30番1 演奏解説
 20151213 チェルニー30番 演奏時間

円を縦に3等分する

 円を3等分する場合、普通は中心から120°の角度で切る。中心から外周へ半直線の形で切るのは面倒なので、中心を通る直線で6等分してその中の2ピースを選ぶというのがピザを3人で分けるときの常道である。結局60°で切ることになるのだけど、cos60°=1/2ということを高校の数学で習うので簡単に切ることができる。

 ところで、昨年あたりにケーキの切れない非行少年たちという本が話題になっていた。僕自身、この本を読んでないので評価は控えるけど、この本にある下の図がかなり取り沙汰されていた。独り歩きしているような気がしないでもないのだけど、読んでないのでなんとも言えない。

 上に書いたように普通、ケーキとかピザを切るというと中心を通るようにするのだけど、別に縦とか横に3等分してもいいじゃんと思ったわけである。もちろんデコレーションケーキだと切る場所によって取り分が変わるので良くないが、プレーンなチーズケーキとかなら争いにはならないのではないかなと。

 もうちょい実用的な話をすると、アレルギーの薬を服用してるのだけど、副作用が強くて1錠飲むと3日くらい眠くて何もできなくなってしまう。だから1/3に分けて3日かけて飲むようにしてる。錠剤だと中心を通って3等分するのが難しいので縦に3等分したくなるのである。

 そんなわけで、縦に3等分する場合の寸法を計算してみる。
 ぱっと思いつく計算方法としては、扇形から三角形を引いた面積を求める方法と、半円の方程式を積分する方法である。


 どちらでもいいんだけど、簡単そうな前者の方で計算しようと思う。ちなみに、どちらも代数解は得られないように思える。というのは、方程式の中にθとsinθが入ってくるので"θ="の形で纏められないためである。
 各部位の面積は以下の通り。なお、円の半径は1とする。
円の面積:π
扇形:{ \frac{2\theta}{\pi} }
三角形:{ sin\theta cos\theta }
 というわけで、扇形から三角形の面積を引いたら、円の面積の{ \frac{1}{3}}となればよいので、
{ \displaystyle \theta - sin\theta cos\theta = \frac{\pi}{3} }
 この通り、普通には解けないので、近似解を求めることにする。
 ここで、{ f(\theta) = \theta - sin\theta cos\theta - \frac{\pi}{3}}とすると、{ f(\theta) = 0}のときのθが解となる。
 近似解を求めるにあたって、大体どれくらいかというのを調べておく。
{ \theta = 60^{ \circ }, \frac{\pi}{3}}のとき、{ f(\frac{\pi}{3}) = \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{2}\cdot\frac{1}{2} - \frac{\pi}{3} = -\frac{\sqrt{3}}{4}}
{ \theta = 90^{ \circ } , \frac{\pi}{2}}のとき、{ f(\frac{\pi}{2}) = \frac{\pi}{2} - 0 -\frac{\pi}{3} = \frac{\pi}{6}}
 { \theta = 60^{ \circ }}{90^{ \circ }}の間で{ f(\theta)}は±が入れ替わるので、、この間に解があることになる。

 ここから{sin\theta cos\theta}の近似をしていく。
 近似方法は、グラフを描いてそれっぽい位置を特定する方法とマクローリン展開以前紹介した線形近似を使ってみる。マクローリン展開よりもテイラー展開の方が精度が高いのだけど、計算の労力がぜんぜん違うので、テイラー展開よりもマクローリン展開を選んだ。

グラフ
 グラフを描いて0と交わる点が解となるというのは方程式の基本的な考え方である。これをアナログで行えば大体の値が求められる。
 とはいえ、現代に於いて実際にグラフを書くのはエクセルの仕事であり、値はかなり正確なものとなる。エクセルが耐えられるだけ精度は高められるので大体実用上問題のないくらいの桁数は得られる。もちろん頑張ればそれ以上の精度を出すこともできる。たかがグラフを描いただけではあるが、精度は下に行う近似よりも遥かに高いはずである。ただ、あくまで近似なので代数解は得られない。
 というわけで、描いてみた。

 横軸はradより馴染みがあるdegreeで表示した。
 ぱっと見、75°弱かなという感じだが、もうちょい細かく見ると、74.63708271°ということがわかる。このとき、{f(x)=0\times 10^{15}}となるので、これ以上はエクセルの桁数に手を加えなければならず面倒なので、ここまでとする。
 一応、計算したエクセルシートも上げておく。
円を三等分する.xlsx

マクローリン展開

{ \displaystyle f(x) = f(0) +\frac{f'(0)}{1!} x + \frac{f''(0)}{2!}x^2 +\cdots }

 { f(\theta) = sin\theta cos\theta}として、マクローリン展開の各項を書き出すと以下のようになる。
{ \displaystyle f(0) = sin\theta cos\theta = 0 \\ \displaystyle f'(0) = (sin\theta)' cos\theta + sin\theta (cos'\theta) \\ \hspace{ 15pt } = cos^2\theta - sin^2 \theta = 1 \\ \displaystyle f''(0) = 2cos\theta(-sin\theta) - 2sin\theta cos\theta \\ \hspace{ 15pt } = -4sin\theta cos\theta \\ \hspace{ 15pt } = -4f(\theta) = 0 \\ \displaystyle f^{(3)}(0) = -4f'(\theta) = -4 \\ \displaystyle f^{(4)}(0) = 16f(\theta) = 0 \\ \displaystyle f^{(5)}(0) = 16f'(\theta) = 16 }  5回微分まで書いたけど、マクローリン展開微分した回数と同じだけ冪乗しなければならない。多次方程式では4次までしか解の公式が存在しなに都合上、4回微分までしか扱えない。そして、4回微分は0となるため実質使えるのは3回微分までである。{ sin\theta cos\theta}を展開すると次のようになる。
{ \displaystyle sin\theta cos\theta \simeq \theta + \frac{-4}{3!} \theta^3 }
{ \displaystyle \hspace{ 15pt } = \theta - \frac{2}{3} \theta^3 }
 実に単純になってしまった。計算が楽でいいのだけど、精度の点で疑問が残る。
 とにかく、これをsinθcosθに代入すると、
{ \displaystyle \theta - (\theta - \frac{2}{3}\theta^3 ) = \frac{\pi}{3} \\ \displaystyle \frac{2}{3}\theta^3 = \frac{\pi}{3} \\ \displaystyle \theta^3 = \frac{\pi}{3} } { \displaystyle \theta = \sqrt[ 3 ]{ \frac{\pi}{2} } = \frac{\sqrt[ 3 ]{ 4 \pi }}{2} }
 あとは電卓を叩くと出てくる。
{ \displaystyle \theta = 1.1624 rad = 66.60^{\circ} }
 目的とする角度は2θなので、133.2°となる。かなり誤差が大きい。

線形近似
 sinθcosθを60~90°の間で近似するので。θ=60°、90°の2点を通る直線を近似直線としてsinθcosθの代わりに代入する。
 y=ax+bという形の直線を作る。
 2点の座標は、θ=60°のとき{ ( \frac{\pi}{3}, \frac{\sqrt{3}}{4} ) }、θ=90°のとき{ (\frac{\pi}{2}, 0) }となるので、傾きは{ a = (0-\frac{\sqrt{3}}{4}) / ( \frac{\pi}{2} - \frac{\pi}{3} ) = -\frac{3\sqrt{3}}{2\pi} }となる。この傾きで{ (\frac{\pi}{2}, 0) }を通る直線なので、xに{ (\frac{\pi}{2})}を代入すれば得られる。
{ \displaystyle y = -\frac{3\sqrt{3}}{2\pi} (x-\frac{\pi}{2}) \\ \displaystyle \hspace{ 15pt } = -\frac{3\sqrt{3}}{2\pi}x + \frac{3\sqrt{3}}{4} } 以上より、{ \theta = \frac{pi}{3} ~ \frac{\pi}{2}}の範囲で{ sin\theta cos\theta \simeq -\frac{3\sqrt{3}}{2\pi}x + \frac{3\sqrt{3}}{4}}と近似できる。なお、分母の有理化はできない。
 というわけで、これを元の式{ \theta- sin\theta cos\theta = \frac{\pi}{3}}に入れると、 { \displaystyle \theta - (-\frac{3\sqrt{3}}{2\pi}\theta + \frac{3\sqrt{3}}{4}) = \frac{\pi}{3} \\ \displaystyle \frac{1+3\sqrt{3}}{2\pi}\theta = \frac{3\sqrt{3}}{4}+\frac{\pi}{3} } ここでごちゃごちゃ計算して式を整えるのも面倒なので、右辺と左辺それぞれ電卓で求めてしまう。
{ \displaystyle \frac{1+3\sqrt{3}}{2\pi} = 1.827 \\ \displaystyle \frac{3\sqrt{3}}{4}+\frac{\pi}{3} = 2.346 \\ \theta=2.346 / 1.827 = 1.284 }  角度になおすと1.284rad=73.57°、2θ= 147.14°となる。マクローリン展開よりは大分正確な近似と言える。

テイラー展開
 テイラー展開についても3次微分の項まで計算してみたが、3次方程式をちゃんと解かなければならないのでかなり面倒になってくる。書くのも大変なので、答えだけ。θ= 1.30256rad = 74.631°となった。エクセルで求めた正確な値が74.63708271°なのでかなり精度の良い近似と言える。ただし、3次方程式なんて解きたくないのでできればやりたくない。


 数式はいつもどおりMathJaxを使って表示しているのだけど、今回は{ \sqrt[ 3 ]{ 4 \pi } }が表示できなくて悩んだ。どういうことかというと、MathJaxで数式を書くとき[tex:{ ~ }]という形で入力する。ところで、三乗根は[tex:{ \sqrt[3]{4\pi} }]というように書く。根の部分を角カッコで囲んでいるのだが、この括弧閉じの部分が数式終了と見做されてエラーを吐き出していたのである。結局[tex:{ \sqrt[ 3 \]{ 4 \pi } }]として、カッコの前に\を入力することでエスケープして読み込ませた。はてなのMathJaxは色々と仕様の異なる部分があって、よく失敗する。調べてみると何の問題もなく扱えている人もあり、色々とよく分からないことになっている。
 また、通常の文中の"°"の右側に空白部分があるのがどうにかならないのかと色々悩んだんだけど、半濁音"゜"にするか、いちいちMathJaxを呼び出すかくらいしか解決法がないことがわかった。MathJaxで角度を表示する方法である"○"の上付表示でも""となってイケてないし、"o"の上付き表示だと"o"となっていまいち微妙な位置である。
 はてなブログの仕様魚拓)として、ちゃんとHTMLを扱うためには有料のはてなブログProに登録しなければならないため、通常のHTML編集では使えるタグが限られているのである。そんなわけで、今回はきれいに"°"を表示するのを諦めた。
 あと、数式の後に自動で改行が入ったり入らなかったりする。こちらも謎である。
 もういっそ、はてなブログを止めて自分でブログを組んでもいいのかなと思えるくらいである。昔みたいに日記形式で書くならどうにでもなるが、ブログの機能は一応使いたいし、自分でスクリプト組むとか真っ平御免なのでやんないだろうけど。

関連エントリー
 20160811 三角関数の近似

IRスペクトルの帰属

 以前、IRスペクトルの計算値をエクセルでチャートとして出力したときに、実測値と比べて全然あってないというエントリーを上げたけど、改めて見比べてみるとそう悪くない気がしてきた。
 IRスペクトルは吸収ピークがたくさんあって完全に解釈するのは容易なことではない[1]というのが有機化学というか実験方面での常識となっているみたいである。しかし、たくさんあると言ってもIRの振動モードの数は3N-6個(直線分子の場合は3N-5個, Nは分子内の原子の数)と決まっているので、一つずつ読み解くことができる。とはいえ、それには群論を扱える必要があり、その上で面倒な手続きを経なければならないので、やはり容易なことではないのは間違いない。
 ところで、Gaussianのような化学計算ソフトによってその面倒な手続きを自動化することができるので、環境さえ整っていればかなり容易になってしまっている。データとして結論が得られるので群論を知らなくても解釈可能である。だからといって、群論を勉強しなくてもよいわけではなく、Gaussianのエネルギー計算なども含めて計算機のブラックボック化は決して好ましいことではないので、原理を押さえて、ソフトがなくても自分で計算できるようにはなっておきたいものである。

 今回ネタにするのはシランカップリング剤のビニルトリメトキシシラン(VTMS)である。

 シランカップリング剤の重合反応について、反応機構を纏めて、紹介しようかと思っていたら殊の外手間取って、その副産物として出てきたIRスペクトルの計算結果とその出力を説明する。
 ちなみに、VTMSを選んだのは信越化学のページ(魚拓)で一番最初に並んでいたからである。まあ、構造が単純だったってのもあるんだけど。
 それで、今回はIRのネタなのでカップリング剤としての効能というか反応については一切触れるつもりはない。

 まず、VTMSの構造だけど、構造最適化はhf/6-31g(d)で仮に行った後、b3lyp/6-31g(d)で行った。b3lypは計算に時間がかかるので、先に大雑把な部分をhf/6-31g(d)で済ませて計算時間を短縮した。別に切羽詰まってるわけではないから、ゆったりとb3lypで最初から行っても良かったのだけど、スマートじゃないので。
 得られた構造は次の通り。

C1 2.034838 -1.862434 0.632736
C2 0.903304 -1.276882 1.047583
H3 2.582586 -2.580050 1.242578
H4 2.465142 -1.646424 -0.343769
H5 0.526863 -1.528735 2.040495
Si6 -0.027452 -0.055578 -0.002236
O7 -1.148281 -0.746407 -0.999861
O8 -0.734368 0.984866 1.075855
O9 0.965209 0.716338 -1.072349
C10 -2.039654 -1.775927 -0.598562
C11 -1.602907 2.043735 0.687149
C12 1.988985 1.618424 -0.677460
H13 -2.760710 -1.418598 0.149128
H14 -2.592546 -2.105964 -1.483107
H15 -1.500943 -2.637397 -0.182548
H16 -2.400385 1.686757 0.023922
H17 -2.054920 2.460803 1.592078
H18 -1.051831 2.840216 0.170848
H19 2.700755 1.146521 0.012447
H20 2.527811 1.929814 -1.577375
H21 1.574620 2.511278 -0.191225

 こうして得られた構造で振動解析を行った。
 振動解析のアウトプットファイルは結構長いので全文上げたりはしない。
 必要なのは下の画面に示した部分から先。

 まずここで確認しておかなければならないのが、虚数振動がないこと。虚数振動があるということは安定化構造ではないので、正常な結果が得られないことを意味する。その場合は"Low frequencies"とか書いてある下に"imaginary frequencies (negative Signs)"とか行った文言が入ってくる。
 それで、振動に関するデータはここに続く表みたいになっている部分である。表というにはかなりずれているけど、これはプロポーショナルフォントを使っているためで、等倍フォントに変えればきれいな表になる。
 一応、意味を説明する。

 書いてある通りなんだけど、IRチャートを描くのに必要なのは波数と吸収強度だけで、他は見なくても良い。ただ、各原子の振動を示すベクトルを読めばそのまま吸収帯を帰属することになる。
 以上の点を踏まえて、エクセルにこの部分をコピペしたら不要な部分を消すように組んでみた。また、ベクトル部分は各成分の絶対値が0.1以上のものだけを抜き出すようにした。本当なら3成分を合成した絶対値で見るべきなんだけど、面倒だったので。
 ちなみにこんな小細工を弄さなくてもGaussView(魚拓)を使えば一発だぞ。
 というわけで、できたのが次のファイル。
ビニルトリメトキシシラン b3lyp 6-31g(d).zip
 元は.xlsxファイルで作ったのだけど、エクセル2007が糞すぎたので色々あって.xlsをZIPで圧縮した。
 このファイルの"original"タブのB4に振動データを貼り付けると上手く行ったり行かなかったりする。貼り付けただけではセルが区切られないという場合は、"データ→区切り位置→カンマやタブなどの区切り文字によってフィールドごとに区切られたデータ→スペースにチェック"というような手順で上手くいくかもしれない。
 なお、"分子の対象種を示す記号"というのがあるのだけど、今回使ったアウトプットファイルには全て"A"としかなかったので、全く意味を理解しないまま閑却しており、意味不明の記号として扱ってしまった。ここに"A"以外の記号が入るとバグるので適宜修正すると良いと思う。僕も今後同様の作業をすることがあったら修正したい。
 この表のデータのうちIRチャートを書くのに必要な波数と強度だけを抜き出してシートの右側に纏めている。

 "original"のタブで入力したデータは隣の"scaled"タブで呼び出して波数にスケーリングファクターを掛けている。計算によって得られる基準振動などは実測値よりも過大評価されているため、スケーリングファクターと呼ばれる数値を掛けた値がスペクトルの帰属に用いられる[2]
 なお、基底関数ごとのスケーリングファクターは以下の通り[2][3][4]

基底関数 スケーリングファクター
AM1 0.9532
PM3 0.9761
HF/3-21g 0.9085
HF/3-21g(d) 0.8953
HF/6-31g(d) 0.8929
HF/6-311g(d,p) 0.9054
MP2(full)/6-31g(d) 0.9472
MP2(fc)/6-31g(d) 0.9434
MP2(fc)/6-31g(d,p) 0.9496
SVWN/6-31g(d) 0.9833
QCISD(fc)/6-31g(d) 0.9538
BLYP/6-31g(d) 0.9945
BP86/6-31g(d) 0.9914
B3LYP/6-31g(d) 0.9614
B3P86/6-31g(d) 0.9558
B3PW91/6-31g(d) 0.9573


 スケーリングしたデータを"IR"タブでそれらしいIRスペクトルのチャートとして描く。この部分はIRスペクトルを描きたいで語った通り。

 一応、原子数は27個まで対応してるけど、それ以上にしたかったらコピペとかでセルを増やしたらいくらでも増やせるようになっている。

 さて、こうして計算結果を出力することができたのだが、実測値と重ね書きして比較したい。
 とにかく実測値を準備しなければならない。IRスペクトルを測定すればよいのだけど、折角なので最後まで体を動かさずにやりたい。
 物質のデータなんてのは大抵はデータベースにアーカイブされているもんで、探すと結構出てくる。Bio-Rad(魚拓)みたいな有料サービスもあるがブログのネタなんぞのために契約するものでもないので、今回は産総研SDBSを使う。

 このチャートを数値化してエクセルに取り込みたい。気をつけなければならないのは、この画像横軸が2000cm-1の前と後でスケールが異なるのである。だから、数値の取り込みの際に2000より右と左で2回に分けないといけない。
 以前、DigitalCurveTracerというソフトを紹介したけど、今回はWebPlotDigitizerを使う。というのはDigitalCurveTracerでは上手く数値を取り込めなかったためである。
 WebPlotDigitizerの使い方はこちら(魚拓)を参考にした。
 結局、得られたデータをグラフにすると下のようになった。

 上手く取れていない。シャープなピークのあるグラフを取り込むのは苦手らしい。この調子だとIRだけじゃなくNMR、MS、XRDなんかに対しても使えないのが予想できる。
 有用そうな類似プログラムを探すのも面倒、というか、存在するかどうかわからないものを探すのも気が進まないので、今回は画像処理で重ね書きすることにした。
 上で書いたように、SDBSのIRチャートは2000cm-2を境にスケールが変化しているので、2000より上と下で2回に分けて画像を読み込んで画像を重ね、スケールを合わせて半透明化した。

 ちょっと色使いが悪いのだけど、シャープなピークが多いのが計算値で、解像度の悪いのが実測値である。結構よく一致している。
 計算値のピークがどの振動を表しているかは基準振動を示すベクトルを読み込めばなんとなく見えてくる。
 例えば、最も強い吸収である26番目の1081cm-1の565.127km/molは次のようになっている。

Frequencies -- 1124.7548    
Red. masses      
Frc consts      
IR Inten 565.127    
Atom AN X Y Z
1 6      
2 6      
3 1      
4 1      
5 1      
6 14      
7 8 0.19 0.19  
8 8      
9 8 0.23 0.2  
10 6 -0.14 -0.18 0.13
11 6      
12 6 -0.19 -0.17 -0.15
13 1 -0.23 -0.14  
14 1 0.15 0.22 -0.17
15 1 -0.18 -0.26  
16 1      
17 1      
18 1      
19 1 -0.31 -0.17  
20 1 0.22 0.19 0.19
21 1 -0.21 -0.25  

 これを読むのはなかなか根気がいるのだけど、丁寧に読むとO7とO9のメトキシ基の振動というのがわかる。ベクトルを矢印で表すと下の絵のようになる。実際は3次元なので、このように絵を描くだけでなく、頭の中で3次元で原子の振動を描かないとちゃんとした振動の再現にはならない。

 これが実測値にある1088cm-1の吸収の主な正体である。
 この手続きを57回行うことで全てのピークを帰属することができる。もちろん通常は400cm-1以下は測定しないので15個くらいは切り捨てることができる。
 教科書に「難しい」って書かれると、吸収帯一覧を眺めながら、あーでもないこーでもないと頭を悩ますのをイメージして、やってできないこともないけど現実的には不可能みたいなニュアンスを感じるけど、この通り振動を一つずつ解析すればそれほど無茶なことでもないのである。

参考文献
 [1]マクマリー, 有機化学(上)第4版p439, 東京化学同人(1998)
 [2]堀憲次, 山本豪紀, Gaussianプログラムで学ぶ情報科学・計算科学実験p57, 丸善(2006)
 [3]古賀伸明, 第5版 実験化学講座12 計算化学p90, 丸善(2004)
 [4]James B. Foresman, AEleen Frisch, 電子構造論による科学の探求 第2版, ガウシアン社(1998)

関連エントリー
 20190621 グラフの画像から数値を読み取る
 20171107 IRスペクトルを描きたい