チェルニー30番25 演奏解説

 チェルニー30番の25番を録音・公開した。
 テンポの早いタイプで、かつ分散和音の練習ということもあり、指定のテンポで弾くのはかなり大変。分散和音は隣の音まで距離があるので、その場で指を下ろすだけでよいスケールとは違い、ポジション移動を同時にしなければならないのでテンポを上げると、よりキツイ。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。例によって、演奏する上で特に注意するべきことは楽譜の解説に書いてあるので、その部分は割愛し、もっと瑣末なメカニカルな部分を始め低レベルな解説をする。
 手元を見ずに引く練習も兼ねていたのだけど、速度を挙げると打鍵が不正確になってミスタッチが頻発するようになるため、最終的には殆ど手元を見て、ポジション移動のないごく僅かな部分だけ楽譜を見ながら弾くというスタイルになった。それでも、譜読みから曲が手に馴染むまでの間はしっかり手元を見ない練習は出来たと思う。
 この曲を練習しているときに気付いたことがある。右手の2指の指を上げる動きが極端に悪い。道理でスケールが上手く弾けないとか指くぐりが苦手だとか思うわけである。気づくの遅すぎである。今更になって右手2指がちゃんと動くように訓練しないといけないなと思う次第である。今まで何をやってたんだろう。でも、こういうのってピアノの先生でもあんまり気付かないんじゃないかな。結局、何故弾けないのか、何が悪いのかって、自分で分析する内に見えてくるものであって、人が指摘するのは難しい。というわけで、ピアノを練習する人は自分の動きをよく観察しましょう。
 このシリーズも回を重ねるごとに長大になっており、書く側としても面倒なことこの上ないのだが、経験と視野が広がっている賜物だと思っておきたい。

テンポ
 Allegro en galop.で、指定テンポは4分音符で138bpmとなっている。"Allegro"は速く、"galop"は馬を全速力で走らせること。なので、合わせて「馬を全速力は知らせるように速く」という意味になる。とにかく早い。
 練習を始めたばかりの頃は当然ゆっくり弾くのだけど、「チェルニーらしい面白みのない曲だなあ、ツマンネ(゚⊿゚)」って思ったのだけど、テンポを上げると派手で輝かしく聞こえるようになる。こういうのをブリリアントとか言うのかと思うようになる。ただし、かなり指定速度に近い速度まで上げないとそう感じられないので、普通はツマンネ曲という印象のままで終わるんじゃないかな。
 ある程度弾けるようになるとテンポを上げていくのだけど、毎日練習する際、最初にゆっくり弾いて徐々にテンポを上げて最終的に指定のテンポで練習するやりかたをした。結局、ゆっくり練習することなしにいきなり指定のテンポは無理だった。この際に、最初は、120bpmから4bpmずつ上げていくとしたのだけど、初期のテンポが速すぎたようで上手く行かなかったので、100bpmから10bpmずつ上げていって最後は138bpmとすると割と上手く行ったので、このように練習した。
 138bpmで弾くには脱力は不可欠である。脱力というのは、必要な筋力をつけることと、曲を手に馴染ませ必要な動きを体に覚え込ませることによって必要ない動きを削ぎ落とすことによって実現できる。なお、この脱力法は速く弾くための脱力であり、ピアノ演奏一般の脱力を目指すピアノ・脱力奏法ガイドブックvol.2の内容とは異なる。

手首の動き
 指定のテンポで弾く際には、疲労の蓄積もあって指の動きだけでは対応するの難しい。そこで、手首の動きを利用してキーを動かすエネルギーを指だけでなく手首にまで分散する。これがチェルニー30番ではなく、ショパンの練習曲なんかになると手首に限らず、肘や肩あるいは体全体にまで拡張しなければならない曲が多いけど、取り敢えずここでは手首までとしておく。
コンパス弾き
 コンパス弾きというのはチェルニー30番ではよく出てくる言葉。これは根津栄子による造語[1]だが、手首の回転により1指と5指で交互に打鍵する弾き方。1指と5指である必要はなく、打鍵する指同士が離れていた方が回転角が小さくて有効であるというだけ。尺骨と橈骨の動きを理解しておくとなお良い[2]
 コンパス弾き自体を練習課題としている13番ほどではないが、この曲でもコンパス弾きが要求される場面が2 4 11 13 15 21 24 25小節といたるところにある。
ローリング
 ローリングという言葉はブルクミュラー25の練習曲の解説で初めて見たのだけど、手首を回転させることによりより速く打鍵する技術である。打鍵のタイミングや強さといった音の粒を揃えるのが難しくなるが、速く弾くためには必要な技術であり、スケールの部分と上に示したコンパス弾きの部分以外の殆どの部分でこの技術を使うことになる。
 アクセントを強く弾く場合、指の力だけで弾くとすぐに疲れてしまう。手をロールさせてその勢いでアクセントを付けるとよい。この曲では割とそのようにしてアクセントをつけやすくなるように書かれている。
 ローリングと言うと、小学校の頃に先生から「転がらない」と散々言われたことを思い出す。当時は、「転がる」という言葉の意味が分からなかったのだけど、ローリングを意味してるんだなあと今では思っている。

アクセント
 拍の頭の音にアクセントの付いていることが多い。その音だけ強く弾けば良いのだけど、アクセントというのは強く弾くというよりもその音を強調するという意味の方が正確である。その位置手段として強く弾くという方法があるというだけである。ということは、アクセントを表現するためには音価を長く取ることによってその音を主張するという方法もある[3]ということは知っておいたほうが良い。
手元を見ずに弾くために
 左手の和音は前後の和音と同じキーを含んでいることが多いので、共有するキーを手がかりに手元を見ずに抑えるキーを特定することが出来る。

1小節

 1 3 20 22 24小節右手後半。5指のアクセント部分。腕の重みを使って打鍵強調する際にMP関節[4]がこの勢いを受け止めきれないと手が下がってしまう。すると想定よりも低い位置に手が来て、続く音が弾きづらくなる。打鍵の瞬間、MP関節をしっかりと固めること。

2小節

 ②右手1,2拍目。このスタッカートが旋律を作っていることを意識する。一方、合間に挟まるAは静かに弾く。コンパス弾きの際に、1指とそれ以外の指でこのように強弱を付けるには、1指を軸にしてあまり鍵盤から離さず、他の指を比較的大きく上下させるようにする。4 11 21 23 25小節も同様。
 ■3拍目4音目のD。この2指は構造上、黒鍵と黒鍵の隙間を打鍵することになる。そのまま離鍵してポジション移動しようとすると隣の黒鍵にヒットしてしまう。この2子は手前に引っ掻くようにして、離鍵と同時に黒鍵の隙間から脱出する。21 25小節も同様。
 ※4拍目最初のFisを押すときに、4指と一緒に3指が降りてくると隣のDisを押してしまう。3指を動かさずにいるか、降りてきても黒鍵のない位置にずらすかしなければならない。3指と4指は腱を共有しているため一緒に動きたがるのだけど、訓練によってある程度は自由に動かせるようになる。これを指の独立と呼んでいる。こういう細かい部分を丁寧にクリアしていくことで、そのうち指の独立にたどり着くのである。

5小節

 ◎右手。各拍最初の音にアクセントの付いている小節はフォルテであってもアクセントの音だけ十分に強く打鍵すれば他の3音は弱くてもフォルテに聞こえる。特に、5 6小節はアクセントの音以外をフォルテで弾いている余裕はないので拍頭だけは力いっぱい押してほかは力を抜いてキーを下げるだけにする。

7小節

 手元を見ずに弾くために:☆左手。6小節のEの位置を覚えていても良いのだけど、6小節でGisを押していた1指をDisとFisの隙間にテキトーに置いて、その空間の左端、Disの右側面に接触する位置がEとなるので手探りで位置を合わせることが出来る。

12小節

 ▲後半右手。2指が1指をもぐるところ以外はできるだけ指を動かさずに手首の回転を使って指先をキーに押し付けるようにする。というのは、指くぐり前の1指と5指前の4指はどちらも離鍵しづらいのに直後にもう一度打鍵しなければならないので普通に指を上げていては間に合わない。14 16小節も同様。

13小節

 右手の運指は3414となっているが、15小節では同じ音を2313で取るようになっている。何故ここで指使いを変えているのかは不明。なお、チェルニーってつまらないの?では13小節は2313で取るようになっており、次のような解説文が付けられている。

 アルペッジョは和音の分散だって判ったね。で、弾くときも和音のポジションを手で準備して(つまり掌を広げた形)それを分けて弾いていくでしょ。13小節目のポジションはまとまったポジション。だからそこは2の指をキーポイントにして掌をまとめて使えば楽なのだ[譜例2]。このポジションを自由に変えるためには、手に力を入れたりしては駄目。それが手を固くして弾いては駄目という理由なんだよ。

 譜例に間違いがあったので修正の書き込みがしてあるけど、異なった指使いを前提に書くのはどうなんだろうって思う。まあ、2指が3指になったところで内容は特に変わらないから別にいいのかも知れないけど。

17小節

 ✡1拍目。このEの2指は弾き終えたら急いで離鍵しないと続く指くぐりの邪魔になってしまう。あるいは、必要な速度で指を上げられないのならE-Fisを弾いている間に手をねじって2指に邪魔されないようにDの位置に1指を持っていき、Dを押したらすぐに元の向きに戻す。23小節3拍目も同様。

19小節

 ◎右手。これまでに出てこなかった音の並びになっており、手が慣れていないと、この動きに対応できずに止まってしまう。手が動くようになるまでしっかりと部分練習をする。1拍目+E、1拍目+EA、1拍目+EACis、1~2拍目、1~2拍目+Fis・・・というように練習し、少しずつ弾ける領域を増やしていき、最後には1小節丸々問題なく弾けるようにするのもよい。

21小節

 ☆左手1拍目。スラーが切れているので、次の音につなげるために指を置き換える必要はない。ただし、手元を見ずに弾くために次の音を確認するのに5指の自由を確保したいということで別の指に置き換えるというのはアリ。23小節も同様。

26小節

 ■3拍目右手。このFisの4指が離鍵できていないことがある。すると、次の4拍目のFisが打鍵できなくなってしまう。この部分はFisだけ黒鍵で、他は白鍵なので手の高さを白鍵に合わせている。そのため少し高い位置にあるFisの4指は他の指より高く上げないと離鍵出来ない。動きの悪い4指を、である。更に、次の音は4指と腱を共有する5指の打鍵である。この三重苦によって非常に離鍵しづらい構造になっている。ここは特に離鍵を意識することに加えて、指先を高い位置に来るような離鍵しやすいポジションを取るとよい。

27小節

 ▲右手最初の2音、Cis-Dを2-2と指を滑らせて引く場合、Cisはキーをまっすぐ下に押すのではなく、右手前に滑らせながら弾き、キーが鍵床に当たって止まるより先にDに移動する。真っ直ぐキーを下ろしてしまうと指先が滑っていないため静止摩擦となり、また鍵床まで押し付けてしまうと垂直抗力が大きくなり摩擦抵抗が増えて滑りづらくなってしまう。
 △右手最高音のD。かなり右の方にあるので手を伸ばして弾こうとすると横から手を伸ばすことになり、真上から押すか、指を曲げて弾くしかない。すると、隣のキーを一緒に押してしまうことが多くなる。状態を右の方に移動して、手が真っ直ぐ前を向くポジションで弾くと誤って隣のキーを押してしまうことは減る。また、このように弾くために高音側にポジションを取っていると、最後の1オクターブで下のDを斜め上から抑えることになる。すると、隣のEを一緒に押してしまうので、そうならないように真っ直ぐ上から打鍵しなければならない。手を少し上げて高い位置から指先をキーに落とすようにしたら良い。

参考文献
 [1]根津栄子, チェルニー30番 30の小さな物語・下巻, 東音企画(2013)
 [2]トーマス・マーク, ピアニストなら誰でも知っておきたい「からだ」のこと, 春秋社(2006)
 [3]小林仁, ピアノが上手になる人、ならない人, 春秋社(2012)
 [4]岳本 恭治, ピアノ脱力奏法ガイドブック 1 <理論と練習方法>, サーベル社(2015)

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物売りの声

 寺田寅彦随筆集5巻を読んだ。色々と思うところもあり、そのうち全体を通して感想文のようなものを書きたいなと思う。
 寺田寅彦というのは夏目漱石の弟子で東京帝国大理科大学教授をやってた人。
 この中に「物売りの声」と題する短文が載っていた。
 全文引用するにはちょっと長いので、青空文庫につなげておく。

 物売りの声(魚拓)

 簡単に内容を紹介すると、豆腐屋のラッパの音から始まり、各種の物売りの特有の旋律があるが、いつの間にか聞かなくなるものもある。それらについて以下のように結んでいる。

 売り声の滅びて行くのは何ゆえであるか、その理由は自分にはまだよくわからないが、しかし、滅びて行くのは確かな事実らしい。  普通教育を受けた人間には、もはやまっ昼間町中を大きな声を立てて歩くのが気恥ずかしくてできなくなるのか、売り声で自分の存在を知らせるだけで、おとなしく買い手の来るのを受動的に待っているだけでは商売にならない世の中になったのか、あるいはまた行商ということ自身がもう今の時代にふさわしくない経済機関になって来たのか、あるいはそれらの理由が共同作用をしているのか、これはそう簡単な問題ではなさそうである。それはいずれにしても、今のうちにこれらの滅び行く物売りの声を音譜にとるなり蓄音機のレコードにとるなりなんらかの方法で記録し保存しておいて百年後の民俗学者や好事家に聞かせてやるのは、天然物や史跡などの保存と同様にかなり有意義な仕事ではないかという気がする。国粋保存の気運の向いて来たらしい今の機会に、内務省だか文部省だか、どこか適当な政府の機関でそういうアルキーヴスを作ってはどうであろうか。ついそんな空想も思い浮かべられるのである。

 楽譜に取るくらいなら誰でもできるんだから、お前がやれよって思わないでもない。日本の歴史、文化の面から価値があるのかも知れないけど、政府が音頭を取るというよりも、民間や学者の仕事じゃないかなと思う。ともあれ、まとめとして書籍の1冊でも出版してしまえば数百年は伝えることはできるだろうから、一つの手ではある。
 ここで出てくる物売りの呼び声というのも、豆腐屋のラッパくらいしか聞き覚えがない。この手の物売りの声で知っているものというと、豆腐以外には焼き芋、竿竹、古新聞回収、わらび餅くらいのものだけど、地域によってあったりなかったりはすると思う。
 さて、岩波版の失われた時を求めて10巻には1900年頃パリでの物売りの楽譜が多数掲載されていた。

・古着屋

・研屋

・プレジー

・牡蠣

・樽屋

・ガラス屋

・莢隠元

フロマージュ

・白ブドウ


 これらはジョルジュ・カストネル「パリの声」(1857)、バルザックゴリオ爺さん」(1835)、ヴィクトル・フルネル「古きパリの街路」(1879)、シャルパンティエ「ルイーズ」(1900)などに描かれているらしく、寺田寅彦が「物売りの声」を書いた時点では既にパリではそういった記録がなされていたということになる。あるいは、寺田寅彦がフランスに行ったときにこのような文献を見たことがこの記事を書くきっかけになっているのかも知れない。

 それはそうと、現代では物売りの声というものはお魚天国とか日本ブレイク工業社歌とかいった楽曲もあるが、主流はテレビなどのCMであることは間違いない。寺田寅彦の時代よりもその量は格段に増えており、年間に何百も作られるCMをアーカイブするというのはなかなかできることではない。とはいえ、実際のところYouTubeを漁ると大概のものは出てきてしまうことから、それなりにアーカイブ出来ていると考えて間違いない。政府の機関がアーカイブするべきと言っていた寺田寅彦は、この一社依存の体制を良しとはしないかもしれないが。

アルベニス 入江のざわめき 演奏解説

 入江のざわめきを録音した。アルベニスの「旅の思い出」という曲集の6曲目。ヤマハの楽譜には作品番号が書かれていないが、他の楽譜ではOp.71とのこと。
 スペイン物は初めて。ちょっとカッコいいリズム感が特徴的。楽譜を見てもどういう感じのリズムで弾いたらいいのかイマイチ掴めないので、他人の演奏を聞いてマラゲーニャのリズム感を身につけると良いと思う。
 演奏は現代では標準版のような扱いを受けているアリシア・デ・ラローチャを念頭に置いた感じだけど、別に参考になってるというわけでもなく、マリサ・ロブレスでも問題ない程度にしか参考にしていない。全く別な演奏ではコルトーとか独特の曲に仕上がっていて面白いけど、到底真似できそうにない。
 楽譜はヤマハ版を使った。というか、この他には全音ピアノピースミュッセ、あとはピアノのための名曲楽譜シリーズ アルベニス vol.13というパブリックドメインの楽譜を綴じたものくらいしか国内版は存在しないのではないだろうか。
 ちなみに、このヤマハ版は非常に間違いが多い。今回は解説ついでにいくつか間違っている部分を紹介する。ってか、校訂報告とかするのはいいけど、先に間違いを潰せよなって思う。でも、出版してくれてありがとね。
 この曲のタイトルはよく「入江のざわめき(マラゲーニャ)」という書き方をしてある。マラゲーニャというのはスペインの踊りのことで、日本大百科全書(ニッポニカ)の解説(魚拓)では次のような説明がある。

(1)スペインの民謡および民族舞踊ファンダンゴの一種で、マラガ地方特有のもの。音楽は一定の和声進行に基づく六つのフレーズからなり、5行(1行を反復)の詩がゆったりと歌われる。
(2)19世紀末ごろに大流行した「カンテ・フラメンコ」の一種。エル・メジーソ、ホアン・ブレーバ、アントニオ・チャコンなどの有名な歌い手(カンタオール)が、本来の民謡にロマ(かつてはジプシーとよばれた)独特の歌い方を加えてつくりだしたもの。スペインのアルベニスをはじめ、フランスのシャブリエ、ラベルに、この歌のリズムや旋律を取り入れた器楽曲がある。[関根敏子]


テンポについて
   テンポの指示はなくかなりテキトーに緩急を付ける。
 アルベニスについては全然詳しくないのでどうするべきかという指針とか示すことができない。あえて言うのなら、マラゲーニャって書いてあるんだからそれらしい演奏にするってくらいじゃないかな。上記の通り、「マラゲーニャ」ってのが何か知らずにググってくるレベルの人がエラソーに講釈垂れても恥ずかしいだけなので。
 テンポはともかくとして拍子をしっかりと取ることが大切である。

曲の構造について
 構成としては前奏-A-B-Aという単純な形。先のAと後のAは完全に同じとなっている。Aでは2小節目と同じ小節がフレーズの合間ごとに挟まって寄せては返す波の動きを表している。
 テキトーに構造をまとめると次のようになる。調性とかは面倒なので書かない。

A  
序奏 1 - 1
a1 2 - 14
a2 15 - 25
b1 26 - 31
a3 32 - 43
b1' 44 - 49
b2 50 - 52
b2' 53 - 57
a1 58 - 69
コーダ 70 - 71
   
B  
つなぎ 72 - 74
中間部 75 - 94
カデンツ 95 - 95
   
A  
a1 96 - 108
a2 109 - 119
b1 120 - 125
a3 126 - 137
b1' 138 - 143
b2 144 - 146
b2' 147 - 151
a1 152 - 163
コーダ 164 - 165

 Aの部分全体を通して同じようなフレーズをさんざん使い回すため、譜読みが結構楽である。でも、どこも同じようなフレーズばかりで、演奏中に自分が今どこを弾いているのか分からなくなってしまうということがある。フレーズごとに2小節目と同じ小節が登場するため、テキトーにつなげても全く問題ないので、人前で演奏するときはそれで切り抜けることができる。録音するときはちゃんと楽譜通りに弾きたいという人は、まあ頑張ってもらうしかないとして、上記のコルトーの演奏を聞いてもらえば分かる通り、全然楽譜通りに演奏していない。あんまり細かいことを気にしないほうがいいと思う。

暗譜せずに弾く場合
 ここ暫くの手元を見ないでピアノを引く練習の成果がいくらか出てきたようで、楽譜を見ながらそこそこ演奏できるようになってきた。その一方で、アンプの必要がなくなったためあんまり曲を覚えていない。
 暗譜せずに楽譜を見るということは譜めくりをしなければならないということ。編集者の腕に依る部分もあるのだけど、譜めくりしやすいタイミングとページを捲るべきタイミングというのはなかなか上手く合致するもんでもない。それで、どうしてもその合致しない部分だけは暗譜しなければならなくなる。
 この曲の分かりやすい譜めくりのタイミングは71~74小節と、95小節である。後者はページを捲ってすぐで、94小節だけ覚えてしまえばよく、実に楽だが、前者の方は見開きのど真ん中、右側のページに入ってすぐなので、譜めくりには最も不適な位置である。なお、曲としては区切りが良い位置でもある。さて、左側のページは45~71小節である。ところで、58~69小節というのは2~14小節と同じである。なので、結局暗譜しなければならないのは45~57小節と70~71小節の合計15小節だけということになる。最後のところなんてたったの11音だ。
 さて、44~57小節が一つの流れになっているので、45小節からなんてケチなことは言わずに44小節から覚えてしまおう。1小節くらい増えたって大して変わりゃしません。
 この部分は26~31小節で提示した流れを展開させて進行していくので、一種の変奏ということができる。44~46小節は完全に26~28小節と同じだし、47~49小節は49小節の左手の2音目が異なるだけで他はすべて同じである。そう考えると、覚えなければならない部分はかなり少ない。
 というわけで、かなり覚えやすい曲ではないかと思う。

A.271小節
 いつものように用のある小節だけ切り出して解説するつもりなのだけど、前半のAと後半のAは全く同じなので、前半のAだけ説明する。

2小節

 最初はリズムに戸惑うかも知れないけど、別に特に難しいわけでもない。これがそこら中に出てくるので色んな弾き方をするのもいいと思う。出てくる場所によってpだったりppだったりする。

5小節

 間違い発見。右手の16分音符と16分休符の位置が入れ替わっている。3小節の形が正しい。

7小節

 右手と左手が近くて混み合ってる上、次の小節の最初の音と距離が遠いので、左手3拍目を右手で取ってみたらどうかなと思ってやってみたが、あまり上手いやり方ではない。別に弾けないこともないけど、右手の2音のタイミングに自由が効かなくなる。しかも、よくよく録音を聞いてみると3拍目のDが抜けている事が多い。指が完全に独立していれば苦もなくできるのだろうけど、普通に楽譜通りに弾いたほうが無難。どんだけ指くぐりしたくねーんだよって言われる。

1113小節

 これも7小節同様、右手で取ってみたけど、その必要はない。どんだけ指くぐりしたくねーの。

26小節

 Meno Tempoとテンポを落とすよう指示がある。A後半はここから先6955小節まで前半よりもテンポを落としたものとなる。
 cantandoCantabileと同じ「歌うように」という意味。

5155小節

 楽譜にはペダルの指示があるが、ペダルを踏まなくても左手はベースを保持したまま2,3拍目を押さえられるのでペダルは踏まないことにした。これでペダルに悩まずにスタッカートが表現できる。

7071小節

 これがAのコーダとなる。
 71小節左手一番上のCisは位置的に右手で取るのが楽。右手一番上のAと同時に2指で取ると良い。

B.7294小節
 Aとは雰囲気がガラッと変わる。
 ベースと主旋律と中声部の3声で進行する。中声部は裏拍となってリズムを刻む構造となっている。
 7274小節でレントで繋いだ後、75小節にはTempo I゜と、最初のテンポに戻すよう指示がある。最初のテンポとはいっても、B全体としてかなり激しくテンポが揺らぐ。楽譜にもテンポの揺らぎを指示してあるが、実際の演奏に比べてかなり抑制的な表記となっている。楽譜に記述されているよりも誇大に表現しても問題ないと思う。また、音が細かく難しく感じる部分には大抵テンポを落とす指示がある。思い切ってテンポを落としても問題ないようになっている。
 75小節がsempre pで、85小節mfと音量の変化が示されているが、85小節でいきなり音を強くするよりも徐々にmfに向かって行ったほうが良いと思う。

7879小節

 右手主旋律、79小節に入ったところでDを5指で取るように書いてあるが、Esを押さえた3指をそのまま横に滑らせてDを取っても問題ない。そうした方が楽に弾ける。

7881小節

 中声部3拍目のBF和音は楽譜の間違い。中声部は裏拍で叩かなければならないので、ここは半拍後ろに16分音符とする。

7882小節

 右手2拍目のEBを41指で取るようになっているが、その通りにすると黒鍵のBを1指で取ることになりこの部分全体を鍵盤の奥の方で弾くことになる。続く音はすべて白鍵なので、黒鍵と黒鍵の隙間を押さえなければならなくなる。黒鍵が邪魔になって非常に弾きにくい。なので、このEBは41ではなく42で取ることで、続く音は全て鍵盤の手前で伸び伸び弾けるようになる。

7895小節

 BからAへの繋ぎのカデンツァ。カデンツァは本来協奏曲などの最後の方で演奏者が即興演奏で技巧を見せつけるものであるが、19世紀以降は作曲者が書くのが殆どとなった。だからといって、楽譜に書いてあるとおりに弾かなければならないわけではなく、カデンツァと行っている以上はそこに書いてあるものは演奏法の一例程度に考えたほうが良い。例えば、有名なショパンノクターンOp.9-2の最後のカデンツァでも好きにアレンジして弾く人もいたりするし、ショパン本人もそうしていた。そういうわけで、ここに書いてある譜面が絶対に正しいというわけではなく。その上、ご丁寧にad lib.とまで書いてくれている。

最後に
 今回は小節番号を四角で囲うというのを試みてみた。以前、どこかでやろうとしたことがあった気がするけど、止めてしまった。なぜ止めたのか覚えていない。面倒だという程度の理由だったら、別にやってもよいのだけど。
 具合が良いようであれば、今後も四角で囲うということをしていきたい。

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直鎖アルコール 融点沸点一覧

 以前、戦艦の生没表一覧を作った。エクセルで遊ぶついでに作ったのだけど、別に横軸が時間である必要はないので、色々と応用は利く。
 そんなわけで、物質の沸点、融点一覧を作ろうと思った。以前作った周期表に元素ごとの融点沸点を載せてあるのでその情報を元に作るのもいいかと思ったけど、温度が-273℃から6000℃くらいまで範囲が広いことと、100近くあるのとで、あまり見やすいものにはならないだろうなと予想されるので、もう少し狭い範囲の物質を選ぶことにした。そこでもっと狭い領域を考えたところ、有機物→アルコール→直鎖アルコールと数を減らすことになった。
 アルコールも長くなってくるとデータが見つからないので炭素数が20個までとした。Wikipediaに全部載っていたら良かったのだけど、C12のドデカノールまでしかちゃんとした値は見つけられなかったので、The Good Scents Company Information Systemというサイトに頼った。このサイトはいろんなところからソースを持ってきているため、各データの正しさというか信頼性がまちまちなので頭から信用してよいかという点に疑問を覚える。とはいえ、これ以上にデータの揃っているデータベースが見つからないため、このサイトを頼ることにした。なお、トリデカノールは上記サイトに沸点が載っていなかったので、ILOからデータを引いた。
 結局、それぞれの融点、沸点は以下のようになった。

  融点(℃) 沸点(℃) CAS. No.
メタノール -93 65 67-56-1
エタノール -114 79 64-17-5
プロパノール -126 98 71-23-8
ブタノール -88 119 71-36-3
ペンタノール -78 138 71-41-0
ヘキサノール -51 157 111-27-3
ヘプタノール -34 176 111-70-6
オクタノール -15 196 111-87-5
ノナノール -6 215 143-08-8
デカノール 9.6 231.1 112-30-1
ウンデカノール 14 243 112-42-5
ドデカノール 26 262 112-53-8
トリデカノール 32 274 112-70-9
テトラデカノール 40 389 112-72-1
ペンタデカノール 46 299 629-76-5
ヘキサデカノール 55 344 36653-82-4
ヘプタデカノール 55 309 1454-85-9
オクタデカノール 60 335 112-92-5
ノナデカノール 64 346 1454-84-8
イコサノール 67 373 629-96-9

 これを書き直すと次のようになる。書くのを忘れてたけど、温度の単位は℃とする。

 分子量のエタノールメタノールの融点がプロパノール以降のものと傾向から外れているのは水素結合と分子量のせいかなとか思うけど、よく知らない。
 例によって、頭を作るのに使ったエクセルファイルをアップしておく。
直鎖アルコール融点沸点一覧

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テレ朝のコメンテーター「我々も(民主党)の支持率を下げないでね、辛抱して支えてるのに・・・」

 20100224の再掲。
 テレ朝で民主党の支持率を支えるために工作していると発言したときの感想です。


Mittwoch 24. Februar 2010.
テレ朝のコメンテーター「我々も(民主党)の支持率を下げないでね、辛抱して支えてるのに・・・」発言にネットは騒然!(IntarneteArchive)
 テロ朝本性さらけ出しましたね。
 もうバレバレなんだから、密やかに民主擁護するのはもう止めてこれからは堂々と民主のひいては中国朝鮮のために視聴者を煽動します、っていう宣言かな。
 この記事ではしかし一方で、「我々も支持率を下げないでね・・・」の我々は『国民』のことを指しているのでは?といった意見もある。つまり、国民の代表としてこのようなコメントをしたのではないか?ということだ。また、コメンテーターの意見は、テレビ局の意見ではないという見方もある。などと、微妙に擁護するような書き方をしているが、テロ朝ごときが国民を代弁なんておこがましい。敢えて言うなら我々は「人民」のことを指しているとでも書けば納得できるものを。
 とか思ってたら、この記事2009年11月17日ってかいてある。とっくに賞味期限が過ぎてた。最近こんなのばっかだな。
 この発言をした吉永みち子とやらに関してウィキペディア編集合戦が起こってたらしいけど、立ち会えなかった。残念

鳥取はチベット発言「断じて容認しがたい」 自民・石破氏
 話題沸騰中の石井暴言。
 ゲルも東も激怒している風に報道されているが、チベットの虐殺と絡めているマスコミが存在しない。  中国共産党人民解放軍の野戦司令官汚沢が日本のチベットを中国に献上したうえ虐殺するというふうにしか受け取れないのだが、会見でその旨を問うことのできないマスコミの無能もここに極まっている。
 チベットといったら虐殺とすぐに結びつくものであろうに。