グールドのショパン エチュード10−2

     グールドがエチュード10-2を演奏している。
     動画じゃあないんだけど、ただでさえショパンを滅多に演奏しないグールドがよりによって10-2を録音していたとは。そういえば、学生時代かなんかのグールドはテクニックだけは超優秀だ、みたいに言われてたらしい。だから当然ショパンエチュードは弾いていたというのは予想できる。
     実際のところ、この演奏はものすごく速い。タイムを計ってみると1分切っている。僕が聞いた最速の演奏がバックハウスの1分15秒だから、それよりも15秒早いことになる。ちなみにCDで普通の演奏だと1分30秒くらい。僕の場合は1分35秒だった。つまり、通常の1.5倍のスピードで弾いていることになる。本当か? バックハウスと比較して極端に速いというわけでもなく聞こえるんだが。そう思って、楽譜を読みながら聴いてみた。そうしたら、最初の8小説を飛ばして9小節目から弾き始めていることが判明。全部で49小節の曲なんで16%くらいとばしている計算になる。そんなわけで、1分に16%足してみると、大体1分10秒。バックハウスが曲の最後にへんなアドリブを入れている所を鑑みると大体同じくらい。それでもすげー速いことにかわりはないか。折角なんだから最初から録音しておいて欲しかったなぁ。


     グールドがショパンの練習曲Op.10-2を録音しているという話です。
     なお、この録音についてはグレン・グールド未来のピアニストで以下のように書かれている。


    プライヴェート録音では、演奏至難で知られる《練習曲作品10-2》を鉄砲玉のようなスピードで弾いているものがあるが、これは1953年頃、ポータブルのテープレコーダーを手に入れたグールドが、ピアノを学ぶ友人二人といたずらをして三本の手(!)で弾いたのだという(『変奏曲』)。

     『変奏曲』というのは、グレン・グールド変奏曲のことだと思うけど、参考文献の省略とかに関する記述が見つからないのでそのまま引用した。
     というわけで、9小節目から弾いているのは視聴者が勘違いしてはいけないという配慮だと思われる。