コロイド分散液の濃度と密度

 液中に粒子が分散しているスラリーについて、液の密度(比重)と濃度には相関関係があってどちらかが分かればもう一方も分かるようになっている。ただし、粒子が多孔質だったりスポンジ状だったりで粒子内に液が入ってくるようなものの場合はうまくいかない可能性があるのだけど、この関係式を導出する過程を理解してモデル化してみるとできるようになると思う。また、粒子の細孔に液が入ったり入らなかったりしたり、表面吸着がどうのこうのとか化学反応がとか難しいことを言い出すとうまくいかなくなるので、適宜自分の考えるモデルに適用できるかは判断してもらいたい。
 これを使うことで、メスフラスコにスラリーを入れるだけで濃度を見積もることができる。


 上の図のように液中に粒子が分散している様子をイメージする。
 ここで、分散液の密度をd、液の密度をDL(g/cm3)、粒子の密度をDs(g/cm3)、粒子の濃度をC(wt%)とする。
 液が100gあるとすると、粒子がC(g)、液が100-C(g)となる。
 このときの体積は、粒子がC÷Ds、液が(100-C)÷DL
 体積の合計は、C×Ds+(100-C)×DL
 従って、100gをこの体積で割ると密度が得られる。
{ \displaystyle d = \frac{100}{C \div D_s + (100-C) \div D_L} }
{ \displaystyle   = \frac{100 \cdot D_L \cdot D_s}{C \cdot D_L + (100-C) \cdot D_s} \\ \displaystyle  = \frac{100 \cdot D_L \cdot D_s}{C ( D_L - D_s ) + 100 D_s} }

例:チタニア/水分散液の場合。
 アナターゼ型の酸化チタンが水に分散している系を想定する。
 酸化チタン(アナターゼ)の密度は3.90g/cm3[1]、水の密度は25℃で0.997047g/cm3[2]という値を使う。ちなみに、精度についてだけど有効数字3桁がいいところなので、あんまり細かい値まで使っても意味がない。
{ \displaystyle d = \frac{100 \cdot 0.997 \cdot 3.90}{C ( 0.997 - 3.90 ) + 100 \cdot 3.90} \\  \displaystyle = \frac{388.83}{-2.903C + 390} }
となる。
 濃度-密度でプロットすると次のグラフが得られる。

 一応、最密充填構造だと74%となるので、それ以上は描いても仕方ないかなと思って75%で切った。でも粒子径が揃ってない場合はそれ以上になる可能性もある。まあ、普通はそんな高濃度にしないよね。
 こんな感じで、分散液の濃度と密度の関係を表すことができる。
 実測値と計算値が一致するかどうかを調べておきたいんだけど、我が家にはメスフラスコ、精密天秤、チタニア分散液と必要なものが全て欠けているのでできない。データは出せないけど、以前別の系で調べた時は大体合致したので使えるはず。

参考文献
 [1] Crystal Base
 [2] 日本化学会, 化学便覧基礎編改訂5版, 丸善(2004)