EPSON EP-806AB


20130706にプリンタを新調したが色々と気に入らない点があるという話を書いたのだけど、実はあれから程なくして再度プリンタを新調した。
 EPSONEP-806ABという複合機なんだけど、凄まじく使い勝手が悪い。プリンタは年々性能が劣化している。
 複合機にしたのはOSをWindows8にしたことで、それまで使っていたスキャナLiDE40が使えなくなったためである。LiDE40は間違いなく名機だった。世の中、現行型のプリンタは糞な機種しか存在しないみたいなので、iP7500が欲しい。
 それはそうと、EP-806ABがあまりにもダメだったため、現実逃避に評価を差し控えてきたけど、いい加減書こうと思う。

 EP-806ABを選択したのは機能としてフチなし印刷、両面印刷、手差しトレイ、CDプリンタ、スキャナ、USB接続を求めてのこと。これが揃っていれば何でも良かったのだけど、これらが揃った機種がなかなかないというのも問題である。近所の電気屋を見まわっただけなので置いていなかっただけなのかもしれないが、EP-806ABしかなかった。しかも、後述する通り手差しトレイは甚だ不満足な仕様である。
 プリンタとしての印刷品質は10年以上前に行き着くところまで行った感があり、これ以上を求めるならレーザープリンタにするしかない。実際、印刷で不満があるとすると、こんな感じで縮小して冊子を作った時に文字の細い部分が潰れてしまうことがあるくらい(読めないわけでもない)。というわけで印刷性能自体に不満はない。
 色々と不満な点を列挙する。
 手差しトレイ:紙を1枚ずつしかフィードすることが出来ない。しかも、紙を挿し込むタイミングを指定され、それ以前に紙を挿しても何もせずに吐き出される。こっちは手差しトレイに裏紙を積んでおきたいのだ。エプソンの社員は金持ちだから新品の紙しか使わず、ミスプリしても裏紙なんて貧乏くさい真似はせず「ケツ拭く髪にもなりゃしねー」と言って捨ててしまうからこの感覚がわからないのだろう。
 インク:すごい速度で減少していく。今年のはじめ、神我狩のマスターをした際、テストプレイ用に色々と印刷した合計で10~15枚程度だったと思うがインクが全部なくなった。それから2週間後くらいに同じシナリオでマスターをしたのだが、テストプレイの結果を反映させて色々と変更点があり、結局全て新たに印刷しなおした。インクを全て交換した。ちなみに、その少し前に年賀状を5~10枚くらい印刷したのだが、当然インクを全て交換した。ちなみに、「グレーでしか印刷しないから他の色がなくなったって関係ないよ」とか言っても無駄である。1色なくなれば印刷はできないし、グレーで印刷しても全てのインクを消費する。
 印刷が遅い。1枚14秒とか書いてあるけど、印刷を始めるのに2~3分かかる。これはiP7230もそうだった。最近のプリンタでは標準仕様らしい。
 スキャナ:複合機を使うのは初めてなので比較対象がLiDE40になってしまう。良い点としてはスキャン面積が少し広いということ。楽譜をスキャンする時、LiDE40では全音やナショナルエディションでも1ページが原稿台に収まらず、ページの上と下に分けてスキャンしていたのだが、これが1回でスキャンできるようになった。ちなみにScanSnapSV600だと見開きでスキャンできる。悪い点はスキャンが遅いこと。CanoScan LiDE40仕様(魚拓)を見ると、プレビュー9秒、6.4msec/line(600dpi)とある。一方EP-806Aのカタログ(魚拓)には読み取り速度の情報が書かれていない。セールスポイントになるどころか寧ろマイナス要因であるとメーカー側が理解しているのかもしれない。スキャナのドライバにはプレビューで読み取り範囲を指定してスキャンする機能が実装されているが、プレビューも通常の読み取りも速度が変わらない。今、読み取り時間を測定したところ35秒だったので、思ったほど遅くはないけど、プレビューにこの時間を掛けるのはまずい。

 スキャナの品質について。
 20130814の時みたいに1万円札をスキャンして品質を比較しようと思う。
 紙幣には偽造防止の技術が盛り込まれており、スキャンには色々と制限がある。紙幣の画像をPhotoshopで開くことも出来ない(魚拓)という話さえあるが、僕が使っているphotoshop6.0にはそんな機能はない。しかし、EP-806ABではスキャンが出来ないようになっており、スキャンしようとしたら断られた。どこまでポンコツなんだ。ユーリオンを認識してるんだろうと目星をつけて、テキトーに折り曲げて一部だけをスキャンした。
 以前と同じように下の画像の赤で囲った部分を上げる。

 LiDE40から。解像度は最大値の1200dpi。1207×838ピクセル、257KB。

 次いで、EP-806AB。こちらは最大解像度が9600dpiで、LiDE40と同じようにするとデータ量が多すぎて扱えないと言われる。PCのRAMが64GBあったところでソフトが対応していなければどうにもならない。まずは1200dpiでスキャンして、そのさらに一部を9600dpiでスキャンすることにした。
 まずは、1200dpi。1269×836ピクセル、118KB。Lide40よりもくっきり鮮やかに見える。

 次いで、9600dpi。1284×1928ピクセル、122KB。

 こちらはなんか不自然なラインが入っている。ラインの入り方を見るに、偽造防止技術というよりも、スキャナの読み取りの方の問題だと思う。スキャンの機構に不連続な部分があって承前できずに画像の調子が変わったのだと思う。この解像度だとピントがずれている。流石に9600dpiだと下手な顕微鏡よりも解像度が高いのでピンぼけも仕方がない。というか、こんな解像度を使う機会があるとも思えない。
 以上より、LiDE40と比較すると、総合的にはちょっと良いかもしれないという程度。LiDE40が64bitマシンで使えさえしたらえて買い換えることもない、というくらいに良い。

 折角なので紙幣の偽造防止技術について、化学と工業(魚拓)で特集していたので紹介しておく。

 触って分かる:深凹版印刷とはインキをより高く盛り上げる印刷方法で、「日本銀行券壱万円」など金額を示す文字の部分と識別マークに使われている。識別マークとは、目の不自由な人が指で触ってお札の種類を識別できる、ザラザラしたマークのことをいう。
 透かして分かる:すき入れは、お札の中央に位置する肖像と、お札の右側に施された縦棒のすき入れバーパターンに用いられている。すき入れバーパターンはお札の種類によって本数が異なる。
 傾けて分かる:ホログラムとはレーザーなどを使って記録した画像のことで、傾けると3つの模様に変化して見える。潜像模様は表面の下と裏面の右部分に施されており、傾けると表には数字、裏には「NIPPON」の文字が浮かびあがる。パールインキは傾けるとピンク色の光沢が見える。このほか千円札には潜像パール模様、二千円札には光学的変化インキが採用されている。
 道具で分かる:マイクロ文字とは高さ最小0.2mm程度の非常に小さな文字で、ルーペなどで見なければ確認できず、コピー機では再現が難しい。特殊発行インキは紫外線を当てると印象や模様の一部が光る。

20180924追記
 このプリンタのトラブルに「廃インクの吸収パッドの吸収量が限界に達しました。」と言って一切の仕事を止めてしまうというものがある。エプソンでの交換代金が本体価格とほぼ一緒だというやる気のなさっぷり、というか修理する気なんてサラサラねーじゃん、という感じなのですが、ソニータイマーをリスペクトしての設定なのかもしれない。
 とにかくこんなしょうもないことでエプソンの利益に資するのは良くない。
 調べたら、自分で交換する方法を紹介しているサイトがあったので誘導しておく。
プリンターの廃インク交換とリセット方法(魚拓)
プリンターの廃インク交換後のリセット方法(魚拓)
クレジットカード決済の超裏技(魚拓)
 この作業をやろうとしたところ、廃インク吸収パッドの交換はテキトーに済ませられたのだけど、リセットプログラムWIC Reset Utilityがうまく働かなくて苦労した。"Read waste counters"ボタンを押すとそのままソフトがフリーズするのでにっちもさっちもいかない。VMwarePlayerからWindowsXPを起動して試みたが、VMwarePlayerからだとそもそもプリンタが繋がらない。しかたがないので、2nd PCのノートからUSB接続で通ないだら上手くいった。
 なお、当然ながらこの問題が発生した場合は解決するまでスキャナも使えなくなる。当然だよね、エプソンのやることだもん。

20181023追記
 上の廃インク吸収パッド交換後、通信がすごく不安定になり、加えて頻繁にプリンタがこんな感じで点滅しながら止まるようになった。
 PCを再起動してプリンタの電源を入れ直すと起動するのだけど、その度にどういうわけかインクを消費するので、何もしていないのにインクが減っていく。
 その上、プリンタを起動しても「本体が使用中か準備中のため、処理を実行できません。使用可能になるのを待って、再度実行してください。」というエラーがでて反応しないことが多々ある。そして、電源を切ろうとすると、「パネルは排紙トレイ収納後に手で押して収納して下さい。」の表示で固まる。どうしようもないから主電源を切りたいのだけど、そんなものはないのでコンセントを抜くことになる。

 上記の廃インク吸収パッド交換のページでは感想欄を含めて同様の事例が書かれてないし、ググっても出てこないので僕のところでしか起こっていないのかなと思う。吸収パッドリセットプログラムでフリーズした事も含めてレアケースだったのかな。もしかして、プログラムのキーを購入する際にケチってアルゼンチンペソで支払ったのがまずかったのかとも一瞬思ったけど、僕以外では起こってない現象なのであんま関係ないよね。
 まあ、ともかく今手元にあるインクを使い切ったらプリンタは交換しよう。次はちゃんと手差しトレイのあるものを探そう。

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