宇宙の地平線

Mittwoch 25. April 2007.
 「宇宙の地平線」という言葉がある。宇宙物理っぽい用語なんだけど、意味合いとしては自分の位置から見渡せるぎりぎりのライン。「見渡せる」といったが、「観測できる」と云う意味だ。
 具体的な計算方法は至って簡単、宇宙の年齢に光の速度を掛けた距離だけ自分から離れた点の集合。光の速さは秒速30万キロメートル、宇宙の年齢が150億年くらいだとして試算すると、だいたい150億光年。全く計算していませんね。とにかく、そんな離れた場所に宇宙の地平線はある。
 地平線があるということはそれより先にも宇宙は広がっているということになる。無数の星が浮いている宇宙の中に一カ所ちょっと大きめの真球状の空間を切り取ったところを想像してもらいたい。その球状の空間が僕たちの認識できる場所、その沿辺部が宇宙の地平線、その中心に地球があるというわけ。別に天動説ではない。観測する者にとっては「主観」が働くというだけだ。分かってもらえたかな。
 さて、アインシュタインは光の速さを超えられないと云っていた。光の速さで右に行く僕と光の速さで左に行く君がいるとしよう、僕から君を見ると二人の離れていく速度は光の速さを超えられない。そういうことだった。
 本当ならば、ここで時間についても語らなければならないけど、今回の話題では時間は余り重要ではないので割愛しよう。気が向いたらまた語ることにする。さて、宇宙の始まりがビッグバンだと云ったのはだれだっけな、ハッブルか誰かだと思う。まぁ、誰でもいいや。
 ある日、ある点で大きな爆発が起こりました。宇宙の始まり、ビッグバンです。この爆発でいろんな破片が周囲に散らばります。この散らばった破片の広がりが宇宙です。この端っこに地球になるもとみたいな塊もあったことでしょう。地球が誕生するのはまだ100億年近くも先のことです。
 この爆発は非常に激しいものであり、一番速い破片は光の速さで中心から遠ざかっていきました。だから、一番端っこの破片とそこから中心を挟んだ逆側の端っこの相対速度は光の速さの2倍ということになります。いえ、なりません。相対性理論の制約があるので、光の速さぎりぎりいっぱいのところです。ただし、爆発の中心のあたりからは両方の端っこの破片はどちらもほぼ光の速さで遠ざかっていきます。これは先日話した「連続する隣の次元」とよく似た現象だと思って受け入れてください。光の速さを超えられないのでこんな変な現象になるのです。光の速さを超えられない代わりに一番遠い端っこは別の点から見るのとは違った風に見えたかも知れません。速度によるものの見え方の違いについてもまた別の機会に譲りましょう。とにかく、宇宙のどこにいても宇宙全体を見渡せるのです。それから150億年後、現在です。宇宙のある端っこには地球という青い星があり、そこには人間というどうしようもない生き物がはびこっています。その人間から見ても宇宙の端っこは見えてしまう訳です。しかも一番端っこは、ビッグバンの瞬間が見えてしまう。というか、見え続けてしまう。届く光の量が少ないから暗くて見えないだろうけど。
 というわけで、宇宙の地平線と云ったら、宇宙の本当の端っこまで見えちゃうんだよと説明してあげなければなりません。面倒だなぁ。適当に話を合わせて相づちを打って他方が100万倍楽だ。

 コレを書くのにだいたい30分くらいかかった。やればできるじゃん、って思う。でもこんな下らないことを思いつくままに書くだけだから短時間で書けるのであって、もっと真面目な物を書こうとすると1時間でも数行書けるか書けないかって言うところ。もっとまともな物を短時間で書けるようにならないと物書きにはなれないなぁ。


Donnerstag 26. April 2007.
 前回の話では宇宙の果てまで観察可能だということに落ち着いたけど、やっぱりあれは嘘だ。間違いを発見してしまった。
 前提条件である。何でもそうだが前提条件を見直すと間違いを発見することがよくある。前提条件が間違っているとそれまでしてきた議論が無駄になるから、愚かな人間どもががっかりしているところを見て神様も喜ぶんだろう。
 ビッグバンの瞬間のことである。宇宙は直径0mmの球体が爆発して年をおって現在の形になったとイメージしていた。でもこのビッグバン以前の宇宙のサイズはある程度の大きさがなければならない。「ある程度の大きさ」といっても宇宙レベルのある程度だから、あまりにも想像が難しい。具体的に云うとシュバルツシルト半径よりも大きくないと爆発できないことになってしまうのである。それで、宇宙の質量に相当するシュバルツシルト半径ってどんなものだろう、と思うわけだが。あいにくと僕は宇宙の質量がどれだけあるのか知らない。したがって、計算はできないけど、このときのシュバルツシルト半径は少なくとも光で距離を測るくらいの大きさはあるだろう。というか、普通のブラックホールのシュバルツシルト半径だって光で距離を測りそうなものだろう、それすらも無数に含有しているのだからもっと大きくて当然。というわけで、ビッグバンの瞬間も宇宙は結構でかかったという結論に達した。そうすると、宇宙の地平線はちゃんと存在することになる。一応宇宙はビッグバンで始まったと云うことになっているから、開闢の瞬間は宇宙の果てどころか、目の前も見えないことになるのだから。
 そんなわけで訂正します。宇宙の地平線はちゃんと存在すると。
 ちなみに、今回の議論で前提条件となっており今後掬われる可能性の高い理論として、時間によらず物理法則は普遍だということ。当然だが、これは頗る怪しい。時間によらず物理法則が不変なら宇宙がある一瞬から始まったと云うことはなく、それ以前から連綿と続く歴史があるはずだからだ。

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