原発とかエネルギーとかについて

「安全デマ」を流す御用学者、原発関係者を東京地検に一斉告発

 広瀬隆氏と明石昇二郎氏が行なった刑事告発が悪質だということはそこら中の記事やブログで語られているので、今更どうこう言うつもりはないけど、この告発内容は原発推進派によるネガティブキャンペーンに見えてくる。「反原発派はこんな基地外ですよ」といった感じで。


 原発に関して色々思うところもあるのだけど、スラッシュドットでgedo氏が僕の言いたいことを大方代弁してくれてるので、そこに乗っかって継ぎ足す形にする。

Re:主義主張を通す前に・・・


>あと、原発の話をしているのに、いきなり火力が減る分まで混ぜるのは違和感がありますね。

今の燃料費やCO2関連の情勢が変わらない限り、火力は長期的には減らさざるを得ませんし、そのため福島の事故前までは、火力を減らして原子力を50%まで増やすという政府の将来計画でした。
その状況で自然エネルギーで賄うというなら、長期的には将来の原発依存分もカバーできる目処をつけないと、結局電力は不足してしまいます。

>太陽光の方は十分あります。

これも、ビル影とかが多いので都市部では計算通りは厳しいのではないでしょうか。実際都市部ではせっかく太陽光パネルを設置したのに、近くにビルやマンションが建って台無しというケースがよくありますし。

>その後は、電池系の蓄電技術との併せ技でなんとか…という感じかと思います。

何とかなるかもしれない...な状況ですと企業が逃げてしまう心配があります。そういうリスクにも反応してしまいますから。

Re:影あるところ光あり


>そもそも「影ができる」って事は、その影を作っているところに太陽電池があればいいって事でしょうが。なので、影の有無に関係なく、単純に総面積で計算すればいいの。

ビルと、その影の形を想像すれば分かると思いますが、ビル影を作っているのはビルの天井よりむしろビルの壁面によって遮られるの面積です。
だからといって壁面に太陽光パネルを付けても、メンテナンスにコストがかかる割に稼働率の低いパネルを量産するだけで、経済的に割に合わないでしょうし、特殊な用途のビルでもない限り窓なしというわけにもいかないのでつけられない部分もあります。
ですから単純に総面積というのは無理があります。

Re:主義主張を通す前に・・・


>10年後に再度見直しを行い、どうしても必要であれば(10年後ではまだ原発全廃は実現
できてないでしょうから)原発を運用延長する、あるいは若干は増設するといった回避策を
とっても十分間に合います。したがって、現時点で「数十年後には原発を全廃する方向で
政策を進める。ただし10年毎に実現可能性に関して再検討も行う」といった政策を定めても
特にリスクはありません。

技術開発というのは、難航して予想より遅れたり、青色LEDのように逆に早くなったり、最悪モノにならなかったりと読めませんから、ドイツのようにワーストケースやその対策(ドイツの場合いざダメとなったら隣国から電力輸入と石炭資源、ロシアからのガスパイプラインなど複数の対策がありますから)、どうしても痛みが出てしまう人への救済も想定して政府が現実的な方針を説明して決め、国民も覚悟を決めた上で、結果をフィードバックしながら社会の改造と合わせて時間をかけて進めていくのであれば、チャレンジするのは悪くないでしょう。
ただ、日本の脱原発派にはイデオロギーを動機として「四の五の言わずに即止めろ!」「自然エネルギー一点勝負!」な人が多いので(そしてこれがまた「北風と太陽」で原子力村の閉鎖性を増す)、どうしでも悲観的にならざるをえませんし、本当に彼らの言う通りにやったら相当に悲劇的なことになるでしょう。政治というのはワーストケースも想定して手を打たないと国民に塗炭の苦しみを味合わせることになるものですから。(それに対して菅首相は...)
あと、もし後で原発建設再開の可能性を残すなら、スリーマイル島の事故以来、新規増設をしない間に原発関連技術のロストテクノロジー化が進んだアメリカの二の舞をどう防ぐかも課題になります。

#ワーストケースやその対策をしていないという意味では原子力村も同じですが

Re:主義主張を通す前に・・・


>だいたい常識的に考えて原発の代替えは火力+自然エネルギーだと思うけど、どんな方と議論したんですか

まず火力は高騰を続ける燃料費とCO2(排出権)の問題があり、いずれも外国から買わなければなりません。(しかも日本は外交下手で他国より不当に厳しい制限を課されています)
そして、今はとりあえず火力で凌ぐためにこれらを買いまくって日本は貿易赤字に陥っています。
しかし日本は工業で稼いで自国の農業生産能力を大幅に越える人口養うために(これまた高騰し続ける)食糧を海外から買って回っている国ですので、これが長期化すればいずれは外貨が枯渇して飢餓に陥りますし、そもそも燃料を買えません。さらに付け加えるなら電力不足で企業の海外流出や付随して技術流出や頭脳流出が広がれば、日本はさらに稼げなくなり悪循環に陥ります。
つまり日本社会を持続するには火力の出力は貿易赤字にならない範囲に限定されます。
自然エネルギーも風力も太陽光も、気候の変動の大きさや人口密度の高さ、急峻な地形などで敵地はあまりありません。(ロクに発電できなかったり故障つづきだったり)

そういうわけで、どうしても原発が嫌なら選択肢はエネルギーの消費を劇的に減らすしかありません。
それには、国民意識や価値観、ライフ&ワークスタイル、産業構造、社会や都市や国全体の構造など多岐に渡る大変革と、人口始め国家規模を自然エネルギーと補助としての火力エネルギーと自国の農産物だけで支えられる規模に縮小することが必要になります。
それでも、50年ぐらいかけられればまだ激変まではいかないかもしれませんが、その場合原発の寿命から考えて今後20年程度は原発の新設を続けることになりますし、それより短縮するなら度合いに応じて失業や移民放出など激痛が出るでしょう。

#と書いていると原発推進派とか国士様とかネトウヨ扱い

Re:主義主張を通す前に・・・


>気候変動、人口密度、地形のいずれをとっても、太陽光発電導入に関しては問題になりません。
>日本は、ヨーロッパ北部などに比べれば、太陽光に関してはむしろ適した緯度です。
>太陽電池は可動部がないので、原子力や火力と比べても、故障は非常に少なくメンテナンスも
>はるかに楽です。

太陽光の最大の問題はメンテナンスではなく、そのエネルギー密度の低さなのですけど。
しかも日本は平地が少ないので、住居や産業用の土地と食い合ってしまいます。だからと言って斜面に作っては日照時間は大幅に減って平地でも12%といわれる稼働率はさらに下がってしまいます。
建築物に強制的につけてもビル蔭だらけです。つけることは可能でも必要な電力が選られるでしょうか?

>太陽光に関する問題は、コストと、冬場の蓄電手段でしょう。

コストに関しても、設置工事費と化学的に本質的な部分で火力並に下げるのは厳しいと聞いております。
さらに蓄電手段にしても、電池メーカーは一生懸命研究していますが、現状を見ると今後数年とか20年程度で何とかなるというのは夢見すぎでしょう。

>#もっともらしく大嘘を書いてますので、残念ながら自業自得かと思います。

#自然エネルギー派は夢想家が多いですね。技術は魔法ではありません。

 こんな感じ。特に反論する部分もない。

 言葉について。
 「自然エネルギー」とか「再生可能エネルギー」とかいった言葉を最近よく聞く。定義がイマイチ曖昧な感じがするのだけど何となくクリーンなイメージをしているのかなぁと文脈から判断される。そういえば昔、バトルメックでクリーンなエネルギーニュークリアとか言いながらメルトダウンアタックを敢行していたなぁ。今やると怒られるかな。
 再生可能エネルギー。エネルギーというものは一方的に消費するばかりのものであり再生できるものではないといことは熱力学の講義を受ければ最初の日に聞くことができる。エントロピーは基本的に増大する方向へ動く、減少させようとするならエネルギーを消費しなければならない。そんなわけで再生可能エネルギーという言葉からして矛盾している。敢えて、再生という言葉に重きを置いて語るのならくたびれたプルトニウム塊を再濃縮する高速増殖炉こそが再生可能エネルギーという言葉に相応しいのだけれども、もんじゅがあの様子では無理そうだし、この時勢の中で高速増殖炉を推進したりすればキチガイ扱いされそうだ。gedo氏が言ってる原発推進派とか国士様扱いも同じようなものか。
 自然エネルギー。人間が自転車漕いで発電する以外はみんな自然エネルギーって言っていいんじゃあないかなと。「自然」の対義語は「人工」だそうな。

 近頃は東電が静かだからかあまり東電叩きというのを見ないが、一時期東電が定期的にネタを投下して叩かれまくっていた。東電を叩くということは東電の原発管理が悪かったということで叩くのだからその人達は反原発を叫ぶのではなく原発の安全管理を叫ぶべきなのだが、反原発を叫び東電を叩いているという人が多くいそうに思える。勿論、東電が積極的に原発推進したという言い訳は通用する。それにしても安全に運転できるのなら原発動かしてもいいよ、という声があまり聞こえてこない。僕が日頃目にするメディアが偏ってるだけなのかな。

 実際のところ、日本の産業は安定した電力供給に支えられている部分が少なからずあるわけで、これが不安定になったらイコール日本の凋落となる。日本が落ちぶれて喜ぶ人も世の中にはいるだろうけど、一応日本人としてそういうのは出来れば避けたいとは思う。
 今後は原発を縮小させるにしても、発電方式は多様であるほうがよい。1種類に集中するようだと何か問題が起きたときに受ける打撃が大きいのは生物の多様性と似ている。今回の件では、原発が槍玉に挙がった形だが、例えば電力の70%を原発に依存していたとすると、今のこの騒動で原発停止とかいった状況になると残りの30%しかなくなる。火力発電では燃料が高くなったとか、枯渇したという事態が当然想定される。そんなわけで、リスク分散のために色んな種類の発電方法を持っていたほうがよい。
 火力発電では化石燃料を消費する以上そのうち枯渇する。原子力もそのうちウランが尽きる。それが30年後か300年後かは分からない。現在のやりかたは持続可能な代替エネルギーを見いだすまでの繋ぎでしかないと考えるべき。
 現時点で使えそうなのは水力と地熱。水力は日本にはもうあんまり土地が残ってないので大規模な発電所は作れない。徳山ダムを改造してパワーアップするとよいかも知れないけど、今更感が強い。20080108水力発電のススメなんていう文章を書いていた。ちょっとコスト高いけどちっこい発電所をそこら中に作れということ。地熱は温泉街とかだと住民の反対があったりするそうだけど、ダム作るために住民立ち退かせるよりは楽じゃあないかな。バイオエタノールは有効かどうかイマイチ分からない。風力、太陽光は全く期待できない。

太陽光の利用に関して
 太陽光発電は全く期待できないが、地球上で利用できるエネルギーは原子力を除けば基本的に太陽からのエネルギーの転用であることを忘れてはいけない。つまりどれだけ効率よく太陽から送られるエネルギーを蓄えることができるかということにも繋がってくる。
 よく言われるように太陽光はエネルギー密度が小さいので有効利用するのが難しい。現状の太陽電池だと紫外領域の光しか利用できないとか言われていた気がする。それで、可視光でも発電できるようにと色素増感太陽電池を研究しているみたいだけど、そこに使う色素というのがルテニウムを中心金属とする錯体ルテニウムなんていう希少金属太陽電池パネル表面にまぶして、なんていうことをするほど地球上にルテニウムが存在するのか疑問。足りなかったら加速器で原子1個1個作りますか?
 それでも人間が継続して得られるエネルギーは太陽から送られてくるエネルギーだけなので、それ無駄に反射させて「地球は青かった」とか言って宇宙人を喜ばせるだけにしか役に立たないのではあまりにもエネルギーが勿体ない。取り敢えず、太陽からのエネルギーを地球に固定するところから考えてみようか。
・地球を黒くして光エネルギーを熱エネルギーに変換して保存とか思い付いてみたり。スパロボとかTRPGのシナリオのネタとしてはいけるかもしれん。これで一本シナリオ作ってみるか。
・地表を植物で覆い尽くす。これは結構イカス。ただし、現状では全然炭素が足りない。46億年前は大気の97%が二酸化炭素だったらしく、それが植物とか化石燃料に固定されて現在の0.1%に落ち着いているとか。とすると、もっと石油を燃やして二酸化炭素を増やしてやらんとダメ? なんか段々ネタとして面白くなってきたぞ。これでもシナリオ作れそうだな。地球の独裁者が緑化のために石油を燃やしまくって云々・・・・。
 ネタしか出てこんかった。結局、エネルギー問題の現実的な対策としては油とかを精製する植物を効率よく育てる、というくらいしかないカナと思う。あとは何かしらイノベーションに期待するくらいか。