Synthogy IvoryII

 いつの間にかIvoryIIが発売していたので買った。
 半年以上待ってたんだけど、販促サイトにはずっと発売日未定と書いてあり、ものすごく騙された気分。
 amazonの少し安い設定のを買ったところ、なかなか送られてこなくてある日品切れと言われ、結局正規版を買った。
 フルインストールで77GBになるため、HDが少し心許ないと思い速度は遅くなるがバックアップ用に買った外付けHDDにインストールすることにした。通常、ソフト音源はレスポンスにタイムラグが発生するため敢えて遅い外付けHDDから読み込むというのは愚行と言えるが、僕の場合、DAWでリアルタイムに鳴らしながら編集するということをせず、オフラインレンダー専用とするため、遅いのは問題にならない。また、CPU自体も推奨スペックに届いてないのであまりハードに使ってやろうと考えても仕方がない。
 とにかく、何も考えずインストール。DVD11枚はさすがに多い。途中、ご飯を食べに出かけたり、旅に出たりとだらだらしながらインストール完了した。取り敢えず、スタンドアロンで立ち上げて弄くり回してみるが全く音が出ない。iLokというのが必要らしいということはあらかじめ分かっているのでこの当たりは想定の範囲内。iLokも一緒に購入済みなので登録の仕方とかをネットで調べて登録完了。
 ここまでは苦戦しながらなんとかゆっくり順調に攻略。さて、下準備は済んだし、もしかしたらコレでいけるかな、とか思ったけどそんなに甘くはなかった。まず、スタンドアロン用にセッティングされているCantabile2.0というソフトのGUIが使いにくいの何のって。Windows7風のデザインにしてみたそうなのだが酷く混沌としている。初めてWindows3.1を触った日を思い出す。
 3時間ほど掛けて音を出すことに成功。サウンドカードを設定していなかったのが原因。図のように"Select Audio Driver:"を変更できることに気付くのにものすごく時間がかかったということ。右端の▼がスクロールで半分切れており極めて認識しづらい仕様となっている。

 これで何とか音は出るようになった。次はMIDIの読み込みだが、"ファイルを読み込む"とかドラッグ&ドロップなどといった常識的な方法では当然読み込まない。ここらでいい加減マニュアルを読むことにした。ウィンドウ右上の?マークをクリックするとマニュアルが起動する。PDFで100ページ以上ある。勿論全文英語。そして索引は存在しない。
 英語読むのか、うぜーな。とか思いつつ最初から読み始めるが目次の半分も読まないうちにこんなに読めるか、と言って挫折。ちなみに英語自体は平易な表現を使っており非常に読みやすいです。もしかしたら中学卒業レベルの英語力で読めるかもしれん。
 索引がないので検索性がかなり悪いことと、PDF自体が読みづらいため、いっそ印刷、ファイリングすることにした。そういえば、一太郎とかには索引を作るという機能があった気がするけど、多分僕の使用方法ではやる価値はない。だいたい、紙で出力すること自体かなり無駄なんだから。それにしても電子書籍は僕には向いてないのかな。
 さてさて、マニュアルをテキトーに眺めていたところ、"Cantabile's Main Widnow"という項目がある。次の図がメインのウィンドウということだそうな。

 どう見ても違う。次の図が僕のインストールしたCantabileのメインウィンドウ。

 ウィンドウ周辺が青かったり黒かったりするのは変更可能だけど、それによって中身が変わることはない。で、更に3時間ほど色々弄くり回していたら遂に気付いた。右上の"Show/Hide Panels"というパネル、

 これを開くと、

 色々出てくるので、全部チェックすると下図のようになる。

 "Recordings", "Media Files", "Keyboard"が新たに出現。このうち、"Media Files"の"+New Media File"でMIDIデータをロードできる。
 ここまでやったところで力尽きて寝る。ちなみに夜の12時頃にインストール終了してこの頃には既に日が昇ってたり。この後、ノロわれてるのを我慢しながらTRPGしたりしてたけど、まぁそれは関係ないからいいや。

 マニュアルを眺めていると、91ページの辺りに"Offline Renderer"という項目があるのを発見。これですよ。これをやりたいのですよ。他のあらゆる機能はどうでもいいからこれができれば全て満足なのですよ。オフラインレンダーというのはMIDIとかのファイルをこの音源で鳴らしたWAVEファイルを出力する、という機能。再生しながら録音するということではなく、完全にコンピュータ内でMIDIからWAVEに変換するということ。ですから、マシンパワーが極端に欠けていたとしても時間がかかるだけでちゃんと出力してくれるのです。
 そんなわけで、書いてある通りにやってみよう。


To use the offline renderer:
 1. Load the MIDI or Audio media file that you want to render.
 2. Set the media file synchronisation options so that it is the master transport. See Timing and Synchronisation.
 3. Optionally set the play range if you only want to render a portion of the file.
 4. From the application menu’s Import/Export sub-menu, select Offline Render.
 5. Check and adjust any settings as required (see below).
 6. Press OK to start the render process.

 1.MIDIファイルをロードする。これは上で出来るようになったのでクリア。
 2."synchronisation option"を"the master transport"にする。先のShow/Hide Panelsで出現させたMediaFiles下図の○で囲った部分。を"master"にすることと思われる。

 3.一部分だけレンダーしたいならその範囲を指定してください、みたいな。「全部だ」と言うなら何もする必要はないと判断。
 4.アプリケーションメニューにある"Import/Export"から"Offline Render"を選択しろと。
 結局、ここで止まった。だってアプリケーションメニューを開いても下図のとおり"Import/Export"っていう項目がないもん。

 ちなみに、マニュアルの図にはちゃんとある。

 これまで、幾度となくマニュアルとソフトの不整合があり、かなり不信感が募っていたのだけど、そろそろ確信してもいいんじゃあないかな。つまり、このソフトはマニュアルに書いてあるのとは別物じゃあないのかと。
 そもそも、左上のアプリケーションメニューにあるロゴだって違うし。
 そんで、今度は真面目にマニュアルを最初から読み始めたところ分かったことが。というか、一番最初に書いてある。このCantabileというソフトには3種類のエディションがあってそれぞれ"Lite", "Solo", "Performer"というらしい。IvoryIIに同梱してあるこのCantabileは多分Liteだと思われるがどこにも記述がない。只々、"Cantabile 2.0.0.2034"とだけ書かれている。
 マニュアルのどこを見てもそれぞれの機能をどのエディションで使えるか使えないかということが書かれていない。不親切きわまりない。10年以上前に買ったCakewalkHomeStudioにはその当たりは完璧に表示されてたんだけどな。これは日本人の繊細さによるものか? でもRolandは国産企業だけどCakewalkアメリカ発なんだよな。
 そんなわけで、ここからはネットでリサーチすることになる。

 残念ながらネット上にはあんまり情報がない。かといって2chとか見てると時間ばっかり過ぎてくだけだし。
 3種類のエディションの機能の比較があった。"Offline Renderer"に関して記述がないけど、「オーディオレコーディング対応」という項目なのかな。ソフトの値段がSolo$40, Performer$100となっているが現在はもう少し高い。この記事自体が2009/1/5となっており、2年以上前のもの。
 Cantabileの公式サイト。ここで購入することができるが、まず試用版を使うことにする。値段はSoloが$49、Performerが$139となっている。円高で安くなるかと思いきや、おもくそ値段つり上げてきてる。そして、Performerを絶賛お勧めしてくる。きたねーよアメリカ人。一応、どのエディションでどの機能を使えるかは書いてあるけど、大雑把でよくわからん。
 これは実際にDLして調べてみるしかない。幸い30日の試用期間があるのでそんだけあれば分かるでしょう。取り敢えずSoloをDL。
 インストールすると分かることがある。ちゃんと"Cantabile Solo"と書いてある。ホントにIvoryIIに付いてきたヤツは何なんだ。
 ちなみに、Soloでは何の苦もなくOfflineRenderできてしまったのでもうこれ以上は書くまい。
 これで目的達成できることが分かったので購入。Cantabileの英語は易しいので購入も非常にしやすい。その上、購入ページで"Japan"と国を選ぶと、文章が日本語になる。毛唐のくせに日本語使ったぜ、と指さしたくなった。折角購入しようとした客をぎゃっちりキャッチするためなんだろうな。あざといぜアメリカ人。

 そんなわけで無事IvoryIIも使えるようになった。
 実際音を鳴らしてみると、どの音源でも結構音が硬い感じがするので下図のようにヴェロシティカーブをすこし弄った。

 Pichを442Hzにして、ヴェロシティー0を無音とし、ハーフペダルオンとした。ヴェロシティーカーブはHardnessというパラメータを-27%にすることで下に凸の曲線となる(デフォルトは直線)。たぶん指数関数の係数を弄ってるんだと思う。
 楽器はベーゼンドルファーインペリアル、ハンブルクスタインウェイモデルD、ヤマハC7の3種類だけど下図に示すように無数に設定があるため、どれを選んだらいいかわからないのでテキトーに一番上のヤツを選んだ。

 3種類の楽器の音はそれぞれ違うけど、それぞれの特徴をよく捉えているかというと耳の悪い僕にはよくわからん。一応、昔弾いた別れの曲をそれぞれの楽器で録音してみた。
 ベーゼンドルファー
 スタインウェイ
 ヤマハ
 となっている。ちなみにヴェロシティーカーブの設定はヤマハで合わせているので録音条件としてヤマハが有利になってる。とはいえ細かい設定が色々あるので何が良いのかよく分かってない。
 この録音を聞いた感じだと、ベーゼンドルファーは出だし明るすぎる感じがするけど、中間部で重低音の爆発力がすごい。スタインウェイは弱音が美しいけど、中間部の強打が軽い気がする。あと弦の共鳴がきつい・・・・、これは演奏者の所為か。ヤマハベーゼンドルファーの特徴を弱めた感じがする。あと高音でピコピコ変な音がなってる所があるのはmp3にした所為なのかな。

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