ショパン エチュードOp.25-2 演奏解説

 20100203の再掲。ショパンエチュードOp.25-2を録音した時の解説文です。多分、これが一番最初に書いた演奏解説。


 Mittwoch 3. Februar 2010.
 たまには演奏の解説でもしようと思う。
 技術的な点などを踏まえて説明してみる。曲目はショパンエチュード25-2、昨年の暮れ頃に録音した。

 玉を転がすような細かい動きが要求される。一部フォルテの箇所もあるが、曲全体にわたって殆どがピアノで演奏することになる。弱音の細かなパッセージは粒の揃っていない箇所があると非常に目立つ。全体に均一な音を出せるよう練習しなければならない。が、そういった鬱陶しい練習方法についてはここでは語らない。コルトー版の解説でも読んで練習すれば身につくと思う。
 楽して弾けるようになりたいとは誰もが思うことだが、ショパンエチュードはどれも必要な筋力がなければちゃんと音を出せるようにはならない。脱力するから筋力はいらないというのは脱力を知らない者の言葉である。キーを押すだけの力がないのに脱力をしても意味がないということは理解しなければならない。ショパンエチュードを弾くだけの筋力が備わっていない場合はいくら楽をしようとしても結局は筋力を付けるために練習量が必要になる。そして、筋力を付けた先で脱力が有効となる。
 音は違うが似た動きをする部分は指使いを同じにしたほうがよい。指使いを1パターンに限定するという前提がある。自分の中で複数の指使いを共存させるとどれがよいかその時になって迷う可能性があるから。そして、似た部分で異なる指使いをすると、同じようにどっちだったか混乱するためだ。そういった演奏中の事故になりうる要素というものは極力排除したほうがよい。
 同じ音型が繰り返し使われているため、譜読みが非常に楽だ。例えば、1~2小節と同じ小節は9~10小節、20~21小節、28~29小節、51~52小節、59~60小節と合計6回同じ2小節を使う。また、1~17小節は20~36小節と同じだし、1~8小節は20~27小節、51~58小節とほぼ同じ。こういった構造が複数あるので、譜読みは一気に最後まで弾こうとはせずフレーズ毎に弾けるようにしていった方が効率がよい。譜読みに関して非常に参考になるサイトがあったのだが、今少し探してみたところ全く見つからなかった。英雄ポロネーズを例に譜読みの仕方を解説していたのだが。。。
 この曲はエチュードの中では簡単な部類に入り、基本が筋トレなので、あまり演奏の参考になるアドバイスのようなものはない。筋トレ以外で解決する点について説明する。

 では、最初から。

 コルトー版では終止ウナコルダで演奏することになっている。ウナコルダにするかしないかは奏者の好きにしたらよい。それから、ペダルの指示だが、小節の前半をペダルオンにしている。実はこの曲、僕の個人的な見解がある。練習曲の裏メニューとしてペダルを殆ど使わず、左手のベース音を保持して演奏する。左手の1小節の広がりは大抵10度になっている。平均的なピアノ弾きの手のサイズとして、鍵盤の横から10度が届く程度というのがあるような気がする。多くの作曲家は横からでもとにかく10度が届くことを前提として曲を作っていることが多い。左手のベース音と5指で保持しながら10度を弾くという奏法は例えば、ショパンのコンチェルトなどでは多用されている。ショパンエチュードがコンチェルトのための練習曲と考えたとき、左手はベース音を保持しておくという方向性は自然なものではないかと思うのだ。同じ意見に出逢ったことはないけど。そんなわけで、ペダルについては基本的にベース音を保持できない程の範囲で左手が広がるときと小節の継ぎ目において音が切れてしまうときを除いて使わない。小節の継ぎ目は例えば、4-5小節目の継ぎ目の部分みたいなポイントになる。ペダルを踏むのは4分音符1つ分だけとなる。
 これをやると、ペダルによる誤魔化しがきかなくなるため、技術的なハードルは高くなる。音の粒を揃えるために音の強さ、次の音までの時間に加えて、離鍵のタイミングも揃える必要がある。

 コルトー版ではベース音を保持するポイントが書いてあるが、僕のやり方とは多分違う目的で書いている。よく分からない。


7小節

 ナショナルエディションでは最高音の指使いをカッコ書きで(453)と付している。できるだけ1,5指で黒鍵を取りたくないので、僕はこちらを採用している。
 4指の下を5指がくぐる形になるのだが、このDesは4指をまっすぐに伸ばして弾く。そして、次のCは5指を曲げて弾くことになる。4指を伸ばした状態で5指を曲げるのは人間の身体の構造上楽な行為ではない。そのため、4,5指が独立して自由に動かないと音を外しやすい。エチュード10-2でしっかり鍛えたらいいかも。

 さて、特に説明することもないので、いきなりコーダ付近まで飛ぶ。

 57小節目は7小節目と殆ど同じ形だが、最後の4音にスタッカートが付いている。しかも、その上にスラーが入っているので、メゾスタッカート。4分の3の長さだけキーを押さえる。速度指定がプレストの曲でスタッカートとメゾスタッカートの違いを表現できる人間が世の中に存在するのか、という疑問が生じる。この曲の中ではかなり重要なポイントであり、色んなCDの演奏を聴いても三者三様にこの部分をパスしている。中には全く無視して演奏する人もいるが、大抵の人はここで速度を落とす。指定の速さでスタッカートを表現するのは極めて難しいから、ということと、この速さでスタッカートにしても聞いている人は気付かない可能性が高いからだと思われる。僕の場合だと、この曲自体を少しゆっくり目のテンポで弾くが、それでもこの部分をスタッカートにするのは難しいため、56小節の後半くらいから僅かに速度を落とし、スタッカートのポイントをクリアしたらすぐに元の速度に戻るようにしている。

62小節

 62小節目のあたりからコーダに突入するっぽい。画像ではペダルの指示があるが、ペダルは踏まない。通常の少し早い下降スケール。普通にピアノを習っている人などはこういったところは難なく弾いてしまうのかも知れない。僕みたいに基礎訓練を疎かにしているとこういうところでボロが出やすい。66、67小節にも共通するのだが、右手の肘を開き気味にして弾くと音が揃いやすい、多分指くぐりをしやすいポジションになるから。ちなみに、この小節、ナショナルエディションではオシアが準備されているけど、特に右手の忙しいポイントなので無視した。

63小節

 この部分、譜例のように指使いをい変えている。この弾き方だとF-Desを4-3で取ることになり、4-3で取るにしては極端に遠くなってしまうため、あまりお勧めできない。元の通り53215321でいいと思う。あるいは54321321もありかもしれない。

65小節

 65小節目。元から書いてある運指だと気に入らなかったので思いっきり無視している。この運指だと3指だけ白鍵で他は黒鍵となる。3指だけキーまでの距離が長いため、音が崩れやすい。そこで、指とキーの距離をできるだけ均等にするため、手を寝かせて指の腹で打鍵する。あるいは、コーダにかこつけて思いっきり減速してごまかす。
 この部分は脱力して弾こうとすると指がうまく動かないので、力ずくで指を動かす。あまりよくないことだけど、指が動かないのだから仕方がない。この指の配置自体がポジション移動を少なくするというだけの目的であり、ショパンの演奏理念に反しており、非常に弾きにくい。そのため、この指使いは非推奨とする。敢えて茨の道を行くこともない。

67小節

 ここはオシアを弾く。というか、このオシアを弾くためにこの曲を弾いた。この部分と最後の2小節はペダルを踏む。最後の装飾はCDでも聞いて好きな奏者の真似をすればよい。ちなみに、コルトー版では次のようになっている。


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桜井神社の算額より2

 安城の桜井神社に算額が奉納されている。

 以前のエントリーで、この「中円」と書かれた円と三角形と正方形の大きさについて説明した。
 今回は大円、中円、小円の大きさの関係について説明する。とはいっても、地道に計算するだけなので、あんまり面白みはない。
 なお、算額の問題自体はこちら(魚拓)に解説がある。


図のように3つの円と直線がそれぞれ接しているとき、3つの円の半径をそれぞれr1, r2, r3(r1≧r2>r3)とすると、
{ \displaystyle  \frac{1}{\sqrt{r_1}}+\frac{1}{\sqrt{r_2}} = \frac{1}{\sqrt{r_3}} }
となる。


 3つの円をそれぞれ、円1、円2、円3として、その半径をr1, r2, r3とする。なお、r1≧r2>r3とする。これらの円の中心同士の横方向の距離を図のようにd12, d13, d23とする。
 d12は、円1と円2の中心を結んだ線分を斜辺とする直角三角形を使って、以下のように求められる。

{ \displaystyle {d_{12}}^2+(r1-r2)^2 = (r1+r2)^2 \\ \displaystyle {d_{12}}^2 = (r1+r2)^2 - (r1-r2)^2 \\ \displaystyle \qquad = {r_1}^2+2r_1 r_2 + {r_2}^2 -({r_1}^2 - 2r_1 r_2 + {r_2}^2) \\ \displaystyle \qquad = 4r_1 r_2 \\ \displaystyle d_{12} = 2 \sqrt{r_1 r_2} }
 同様に、
{ \displaystyle d_{13} = 2 \sqrt{r_1 r_3} \\ \displaystyle d_{23} = 2 \sqrt{r_2 r_3} }
となる。
 d12はd13とd23を足した長さに等しいので、
{ \displaystyle d_{12} = d_{13} + d_{23} }
 これを展開するとr1, r2, r3の関係が求められる。
{ \displaystyle 2 \sqrt{r_1 r_2} = \sqrt{r_1 r_3} + 2 \sqrt{r_2 r_3} \\ \displaystyle \sqrt{r_1 r_2} = ( \sqrt{r_1} + \sqrt{r_2})\sqrt{r_3} \\ \displaystyle \sqrt{r_3} = \frac{\sqrt{r_1 r_2}}{\sqrt{r_1} + \sqrt{r_2}} \\ \displaystyle \frac{1}{\sqrt{r_3}} = \frac{\sqrt{r_1} + \sqrt{r_2}}{\sqrt{r_1 r_2}} \\ \displaystyle \frac{1}{\sqrt{r_3}} = \frac{1}{\sqrt{r_1}}+\frac{1}{\sqrt{r_2}} }
 以上。あんまり面白くない導出である。

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チェルニー30番21 演奏解説

 チェルニー30番21を録音した。1月の半ば頃から何度か録音したのだけど、その度に気に入らなくてやり直した。うまくいかないときはテンポを落として練習するのは重要だなあと思うわけだが、気が急いてなかなか我慢が利かない。
 今ではチェルニー30番を始めた当初みたいに頑張って練習しておらず、ダラダラと練習しているとその内脱力できるようになってテンポも上げられるというスタイルでやっている。常に2曲を練習して、一方をメインに練習してもう一方は一度通すだけという練習の仕方である。1曲目が完成する頃にはもう1曲の方は脱力して弾けるようになっているといった様子である。進度は遅いけどダラダラ練習できて尚且つ微妙に上達してるような気がするので、このやり方は僕にはあってると思う。真剣にうまくなりたいと思っている方はまあ真面目に頑張ってくださいとしか言えない。それでも、一応この解説が演奏に関しての一助になればよいなとは思う。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。音楽性とかいった曖昧で難しい部分は割と閑却して、メカニカルな部分を中心に低レベルな解説をする。

テンポについて
 今回は事前のボツにした録音を反省して、安定したテンポは無理だと断じて、テンポに緩急をつけることで誤魔化した。誤魔化したという表現だと人聞きが悪いのだけど、一貫したテンポだと演奏自体に面白みがないので敢えて緩急を付けたという面もある。
 それはそうと、4分音符で138bpmで16分音符メインの曲なので、速いことは速いけど常識的な速度と言える。普通に、これくらいかなと思った速度で合っている。当然だけど、脱力せずにこの速度を出そうとすると相当無理があるとは思う。

曲全体について
 半音階の練習について、解説では以下のように書いてある。

 両手のための半音階練習です。半音階の指使いはいろいろありますが、普通は黒鍵に3指を用いる譜例Aの指使いが用いられます。しかしこの曲ではBが使われていますので、よく注意して弾いてください。

 僕の場合、このA、Bどちらの指使いも指くぐりが多くて気に入らなかったので、下に示すように出来る限り指くぐりを排した運指に変えた。チェルニーの言いつけなんて知ったこっちゃねえ。
 できるだけ鍵盤の手前側で打鍵する。半音階スケールがテーマなので黒鍵のある奥の方を弾いてしまいがちだが、鍵盤の奥の方は白鍵が狭くてミスタッチしやすい上に黒鍵と黒鍵の隙間となっているため、打鍵の際に取り得る手指の動きが非常に制限されるので弾きにくい。黒鍵と黒鍵の隙間を押す関係上、ある程度指を上げないと手を移動する際に指が黒鍵に引っかかってしまう。なお、指定の指使いだと黒鍵と黒鍵の隙間の白鍵を弾く必要のない運指となっているのでいらぬ悩みである。
 pの部分は力を抜いて離鍵を意識した軽いタッチで弾く。キーを鍵床まで押し込む必要はない。キーが投げ放ったハンマーが弦に当たりさえすれば良いというくらいに軽く弾く。
 半音階は移動が細かいのでミスタッチしやすい。手元をよく見ることで命中精度が上がりミスタッチを減らすことができる。できるだけ手元を見ずに練習しようというコンセプトでチェルニー30番を始めたのだけど、譜読みが済んで曲全体を通して弾けるようになってしまえば手元を見ないことに拘ることもないのかもしれない。

1,3,17,19小節の4音の半音階下降の繰り返し

 ◎4→3→2指と進む時、4指は白鍵の先端、3指は黒鍵の手前、2指は黒鍵の先端という順に打鍵位置が鍵盤の手前から奥へと移る。この際、手のポジションを手前から奥へと移動させることで、指は脱力してまっすぐ下ろすだけで正確に弾ける。最後の1指は2指の黒鍵を押した時のポジションが丁度よい打鍵位置になっているので2指の打鍵で手の移動は止まり、1指で打鍵したら手を手前に引く。各拍で手は手前→奥という動きを繰り返すことになる。

2小節

 ☆2、4小節右手。3拍目までは下りの半音階下降なので手の先端が少し左を向く形になるが、そのままだと4拍目はすごく弾きにくいので、2小節目は少し右向きに、4小節目は正面に手が向くように肘を動かす。18-20小節も同様。また、同時に手首をロールして指の動きが少なくて済むように動きを助ける。
 ■2拍目右手。Des-Cを2-1で取るときに1指と2指が交差して戻る動きになる。このとき、1指が完全に離鍵できていないとDのキーが沈んだ形になっており、Cのキーとの間が段差になっていて1指をCの上に移動するときに段差に引っ掛けて指の移動に失敗する。しっかり離鍵しておかなければならないが、1指の動きが忙しくて余裕が無いときは手全体を持ち上げることで離鍵を助けてやる。どうしても上手くいかないなら、手の動きを見て弾くと成功率が上がる。手の動きを見て弾くと成功率が上がるというのは、視覚情報を元に手の動きを無意識の内に補正するためである。逆に、このために上手く弾けない原因を求めるのが難しくなる。駄目な部分を見出そうと観察すると上手く弾けてしまうから。不確定性原理ではないが、観察によって結果が変わってくる。
 手元を見ずに弾くために:左手、次の音はDの半音上なので離鍵した後に手を動かさずにその場でじっとしておくこと。半音上のEに1指を置いて、このキーを基準にF、Aの位置を決める。

5小節右手

 半音階の上昇のときは手の先端側を左に向けると指くぐりをしやすくなる。
 2指を離鍵した後、しっかり上げて1指がくぐれる空間を作ること。

7小節

 ▲右手3拍目E。このEをちゃんと離鍵しないと4拍目最初のEを押すときにキーが下がった状態のままでキーを押せなくなってしまう。
 左手1拍目。この和音を離鍵したら、このBの右側の黒鍵と黒鍵の隙間(H,Cの上)にテキトーに5指を滑り込ませる。この5指を右に移動させると黒鍵(Des)の側面に触れる。この位置がCである。このCを起点としてたのキーの位置を確定させる。

8小節右手

 ※打鍵しない指型の指の動きにつられて降りてこないよう注意する。スタッカートで練習するのは効果的。

9小節左手

 ここから12小節までは左手を注視する。この長さは手元を見ていないとどこを弾いているのかわからなくなってしまう。
 ●最初の部分。5-4で弾き始めると4指の打鍵タイミングがかなり早くなってしまうことがある。急いで弾くとそれが特に顕著になる。4指と5指は腱を一部共有しており、5指の動きに4指がつられてしまうため、本来4指を動かし始めるタイミングで既に4指はキーを半ばまで押しているせいである。意識して4指の動きを抑えるとか、いっそゆっくりと弾き始めるとかするとよい。18番の出だしのところを参考にするのも良い。

10小節左手

 ✡上昇スケールは手の先端を右に向けると弾きやすくなるのだが、このGは黒鍵と黒鍵の隙間なので手を傾けたままだと左右の黒鍵に阻まれて高い確率でミスタッチする。だから、こういう部分では手を真っ直ぐにするとよい。

13小節右手

 *このタイミングで手元を確認するときに次に押すべきGの位置だけでなく、周りの鍵盤の配置を一緒に見て、そのイメージを記憶する。この記憶に頼って3拍目のDや14小節最初のHの位置を定める。

15小節右手

 ☆Desは5指で弾くには遠い位置にあって弾きづらい。A-B-H-Cを通常の手が正面を向くポジションで弾き、4指でCを押した直後に4指を中心に手をひねって、手の先端を左に向けるようにして5指が鍵盤の奥に近くなるポジションにして5指でDesを押す。Desを押したらすぐに手の向きを元に戻して続きを弾く。

16小節右手

 4拍目。Cis-D-Dis-Eのところを2-2-3-3と、黒鍵から隣接する白鍵に同じ指で滑りおろして取ることで指くぐりを避けることができる。

23小節

 ■22→23小節に移るところ。半音階から分散和音に移り変わるところでついつい急いでしまうけど、早く入りすぎないこと。22小節の最後の方で僅かにテンポを遅らせて、一呼吸入れるような気持ちで23小節に入るくらいで良い。急いでも分散和音が崩れるばかりで良いことがない。
 ◎23小節1拍目右手Fisの2指は離鍵した後しっかりと指を上げないと4→1のポジション移動の際に1指の通り道を2指が塞いでしまう。ここは指くぐりせずに手の形そのままにポジション移動する方が良い。このポジション移動奏法はピアノ脱力奏法ガイドブック 2で好んで勧めているけど、何故かこの21番では書かれていない。不思議だ。
 ✡3拍目左手。この子ょ右折は右手を注視しなければならないので、この部分は目視確認できない。23小節に入って右手に視線を向ける直前に一瞬だけ真ん中のCのあたりを見て、だいたいの位置を把握しておく。左手最初のFBを話したら2指をその位置に持っていく。BとDesの間、HCの上に2指を置いたら手を右に移動させる。するとDesの側面に接触するので其一がCであると分かる。このCを基準にして残りのFとEsの位置を確定させる。

24小節

 どうせ指定の指使いを守るつもりがないので、左手取りでズルする。

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ひとり、ふわり。

 失われた未来を求めてより、「ひとり、ふわり。」を録音した。
 このゲームをプレイしたのは随分前だけど、取り敢えずという感じでミュージックモードから直接全曲録音した。んで、折角クリアしたんだし何か弾いてやろうと思って選んだのがこれ。
 なお、作曲者の羽鳥風画によると当初発注の際には「ゆいのテーマ2」という名前が付いてた(ツイログ)とのこと。
 それはそうと、タイトルだけど「ひとり、ふわり。」。最後にマルが付いている。上のツイートではマルがついていないので、自分が間違えてたかなと思って確認したところ、やっぱり「ひとり、ふわり。」で正しいらしい。マルを付けたことを作者も忘れていたと。不遇であるけど、曲自体の人気は高そう。
 そんで、何となく耳コピしつつ、頑張ってなんとか弾けないこともないという感じに仕上げてみたのだけど、なんか難しかったのでそのままお蔵入りになっていた。いつか弾かないといかんなと思って常に目につくところに置いていたのだけど、今になって漸く弾く気になったわけである。その間に、漫画は2シリーズ出版したしアニメ化もした。そういう世の流れを無視して僕はこの曲を閑却し続けてきたわけである。

 具体的に何が難しいかっていうと音域が広いのでちょくちょく10度の和音が出て来るってのと、5~8小節は態々「ベースはnon legatoで」と書いてペダルを踏んではいけないと指示しているため、分散させて逃げることができないあたりである。9小節以降の4声も地味に大変である。

7小節

 5小節の上にある「ベースはnon legatoで」という指示はこの段、5~8小節(より正確には5~8小節前半)だけに適用するようにした。9小節以降もノンレガートで弾こうかとも考えたのだけど、ペダルがあった方がいいなと思ったので、ペダルを踏むようにした。
 それで、ここで問題となるのは7小節目後半の真ん中のD。これを押してると、左手最後のAとは11度の距離となる。右手で取るとD-Fの10度なんだけど、間に挟まるFの所為でDFFという音の並びになると指が届かない。2-5指で8度は届くけど、その手の形だと1指はさらに外のキーの方向を向いていないので無理。
 で、どうするかというとで4つほど解決案を考えた。

1.ソステヌートペダルを使う
 グランドピアノの3本あるペダルの真ん中のペダルをソステヌートペダルといって、ペダルを踏んだときに上がっているダンパーをそれ以上下げないようにする機能がある。つまり、今押しているキーの音がペダルを踏んでいる間中伸び続けるというもの。なお、ピアノペダルの使い方ではプロロゲメントペダルと表記しているのだけど、この本以外で見たことがない言葉である。
 7小節目後半の最初の音を打鍵した直後にソステヌートペダルを踏んでFDAを保持。8小節頭でペダルを離す。ソステヌートペダルは踏むタイミングが難しいけど、出来ることが色々増えるので結構重要なペダルだったりする。ただ、アップライトとか2本ペダルのグランドピアノにはないので、楽器によって弾けない曲が生じることになる。世の中、ベーゼンドルファーのフルコンでないとキーが足りなくて弾けない曲もあるらしいからそんなんと比べたらどうということもない。
2.右手で取って、途中から左手に指を変える
 これは手の大きさに大きく依存するのでできない人はいくら練習しても手が大きくなるわけではないのでできない。
 僕の場合、11度は届かないのだけど、横から引っ掛けるだけならできる。だから、Dを押すときは右手で取っておいて、後半3音目、左手がA、右手がAEを押したらすぐに左手の1指でDを押さえるという方法。手のひらを鍵盤の手前側にべたっとくっつけるようにして手を広げると左手1指がDに届く。
3.ベースのAをスタッカーティシモにする
 2.で11度が届かない場合、ベースのAの保持を捨てるということ。これは楽譜に示された音を鳴らせないのであまり好きではない。
4.ペダルを踏む
 色々と面倒なことは諦めて普通にペダルを踏んでしまえば問題など最初からなかった。「ノンレガート? ここだけだからちょっと許せ」とまあ、こんな感じの意識で弾く。露骨にペダルを踏むと目立って仕方がないからハーブペダルとか1/4ペダルとかで微妙に残響を残すような形にしても良いかもしれない。

 以上のような感じである。なお、僕は2.で弾いた。というか、11度を取り入れて曲を書いてみたかったというのがあるので、この弾き方をせざるを得なかった。結局、ミスしやすいし練習しても上達が見込めないしであんまり良い演奏方法ではないなというのが正直なところである。普段通りペダルを踏みまくって細かい部分はごまかしてしまうのが楽である。

 アップした楽譜はテキトーに繰り返すというようなイメージで書いていて、最後は終止線なのか複縦線なのか判断できないような描き方をしている。元々、始めに戻るような書き方をしてたのだけど、そんなことを明記しなくても弾く人が弾きたいように弾くだろうと消した。
 僕の場合は、最後の16小節後半のDmに続くコーダを以下のように書いた。

 主調であるe mollからDのオクターブを経て、平行調であるG durに移調し、序奏部を移調した(ただし左手はそのまま)旋律から最後はテキトーにG durの分散和音だかスケールだかの音の連なりから平行調のままIの和音で終わる。ピカルディの3度みたにできないかなと思ったのだけど、ただ単にコーダで転調しただけとなった。

プリンタの詰め替えインク

 昨今のプリンタメーカーはどれだけインクを無駄に浪費させて新しいインクを買わせるかというところに命を賭けている、というようなことは度々言ってきたし、インクジェットプリンタを使用している方はよくわかっているのじゃないかと思う。使い方にもよるけど、普通の純正インクを言われるがままに使うと1枚50円以上のコストがかかっていると感じる。モノクロであればコンビニにPDFデータを持っていって印刷したほうが遥かに安い。
 今回はプリンタの詰め替えインクについて。一応、1年使った実績を元に書いておく。使用するプリンタはEPSON EP-806AB。はっきり言って糞である。アマゾンのレビューで星が3.7付いているのが不思議でならない。レビュアーは白痴ばかりなのだろうか。というか、それ以前に糞でないプリンタが現代の世の中に存在するのかが全くもって疑問である。
 詰め替えインクの方はサンワサプライINK-E70S30S6U。お値段は3600円と、純正のアマゾン価格3300円よりも少し高めだが、詰め替え4回分とのことなので、遥かに安いことになる。また、後述するように余計なインクの漏出を一部防ぐ事ができる。
 また、この商品にはインクのICチップをリセットして残量パラメーターを新品同様にするというリセッターが付いているため、値段が高くなっているのかと思ったのだが、サンワサプライのサイトを見るにリセッターの付いていない6色セットのものは販売していないようである。リセッターのないものは単品でなら売っているが、例えば黒(INK-E70BK30)だとアマゾン価格で1293円となっている。こちらは決して安くないのでリセッター付きの6色セットを買ったほうがお得である。一色だけ飛び抜けて使用量が多いとかなら単品を買うのもありかも知れないが、プリンタ自体が何かとインクを消費しようとするので、だいたい均等に使用していく。ちなみに、モノクロで印刷しても容赦なく黒以外の色も使用する。黒だけを使えばいいのに黒以外のインクを混ぜて黒を表現するとかアホじゃないかと思うのだが、インクを浪費させるための知恵である。

・詰替方法
 取説に書いてあるのだけど、一応詰め替え方法を説明する。
1.通常通り、プリンタからインクカートリッジを取り出す。
2.リセッターをUSBで繋いで、カートリッジのICチップをリセットする。
 リセッターにUSBを繋いで電源が供給されると、下の写真みたいにLEDが赤く光って点滅したりする。

 リセッターに生えている端子にカートリッジのICチップを写真の向きで押し付けると、LEDが赤から緑に変わる。
 これで、インク残量はリセットされる。


 カートリッジをリセッターに押し付けたままにしていると緑になったのが再び赤になったりするので、緑になった瞬間を狙って離す。再び赤くなったときにどうなるかとか試していないから、問題ないのかもしれない。
3.インクを詰める。
 一応、液が漏れたりしたときのために下にティシューを敷いておく。
 カートリッジのインクが染み込んでそうなところに液を垂らすとカートリッジ内に入っていく。この際、カートリッジの端っこにある穴にインクが付いたらいけないらしい。
 また、インクは欲張ってたくさん入れたところで最後まで無くなる前にプリンタ側がかってになくなったと判断するので必要以上に入れることに意味はない。寧ろ、溢れたり濡れたりで良くないことが起こる。写真カートリッジ左端のチップのすぐ右のあたりに窓があるので、この窓が低くなるようにカートリッジを傾けた状態でインクを注入して窓にインクが付くようになったら注入終了とするくらいで良い。


4.インクを注入した部分をティシューに押し付けてインクを拭う。

 多分、繊細な部分なので、擦ったりせずにそっと押し付ける。
 写真はインク注入で欲張ったせいか大量にインクが漏れてきた。
5.カートリッジをプリンタに戻す。

 通常のインク交換と同じで良い。
 この後、純正インクではないと文句を言ったり、ノズルが詰まっても知らねーよとか脅してくるけど、気にしなくて良い。
 後は普通に使うだけ。

 さて、インクの詰め替えは以上の通りだけど、このEP-806ABというプリンタはインクを交換する度に何かゴソゴソと作業をしてインクを消費する。多分、ノズルにインクを充填するとかそんなことをやっているのだと思う。それはいいんだけど、全くけしからん事に、交換したカートリッジ以外もインクを減らしているのである。どうあってもインクを浪費させなければ気がすまないらしい。
 次のスクリーンキャプチャはマゼンダがなくなったからとインクを詰め替えた後、2~3枚位印刷して今度はライトシアンがなくなったから交換しろと言ってきて交換し、それから1枚も印刷することなくブラックがなくなったので交換したところのもの。

 ブラックの減少量がカートリッジ設置時に消費する量であり、見ての通りライトシアンがその倍ほど減っている。つまり、使いもしないのに消費しているということ。そして、マゼンダが半分近くなくなっている。もはや何がなんだかわけがわからない。1nm2も印刷していないのにインクはなくなっていく。
 ①インクを交換する→②インク交換時の処理でインクを消費→③別のインクがなくなる→①に戻るというコンボが発生することになる。この減少量を見ると6連鎖からの無限地獄とか起きそうな気がしてくる。ホント、EPSONサイテーだ。
 この負の連鎖を断ち切るためには、一気に全部リセットして詰め替えてしまえば良い。
 実は上のキャプチャはブラックと一緒にライトマゼンダも詰替をしている。そして、この後、シアンがなくなったと言ってきたのでマゼンダ、シアン、イエローを一緒に詰め替えた。複数のカートリッジを同時に詰め替えることで、詰替時のインクの浪費を抑制することが出来る。ってことに今更気づいた次第である。これは通常のカートリッジ交換ではなかなかできない。
 そんなわけで、詰替えインクはお勧めである。是非ともプリンタメーカーの悪逆な仕打ちに一擲を食らわしてやりたいものである。

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 20160529 EPSON EP-806AB