チェルニー30番21 演奏解説

 チェルニー30番21を録音した。1月の半ば頃から何度か録音したのだけど、その度に気に入らなくてやり直した。うまくいかないときはテンポを落として練習するのは重要だなあと思うわけだが、気が急いてなかなか我慢が利かない。
 今ではチェルニー30番を始めた当初みたいに頑張って練習しておらず、ダラダラと練習しているとその内脱力できるようになってテンポも上げられるというスタイルでやっている。常に2曲を練習して、一方をメインに練習してもう一方は一度通すだけという練習の仕方である。1曲目が完成する頃にはもう1曲の方は脱力して弾けるようになっているといった様子である。進度は遅いけどダラダラ練習できて尚且つ微妙に上達してるような気がするので、このやり方は僕にはあってると思う。真剣にうまくなりたいと思っている方はまあ真面目に頑張ってくださいとしか言えない。それでも、一応この解説が演奏に関しての一助になればよいなとは思う。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。音楽性とかいった曖昧で難しい部分は割と閑却して、メカニカルな部分を中心に低レベルな解説をする。

テンポについて
 今回は事前のボツにした録音を反省して、安定したテンポは無理だと断じて、テンポに緩急をつけることで誤魔化した。誤魔化したという表現だと人聞きが悪いのだけど、一貫したテンポだと演奏自体に面白みがないので敢えて緩急を付けたという面もある。
 それはそうと、4分音符で138bpmで16分音符メインの曲なので、速いことは速いけど常識的な速度と言える。普通に、これくらいかなと思った速度で合っている。当然だけど、脱力せずにこの速度を出そうとすると相当無理があるとは思う。

曲全体について
 半音階の練習について、解説では以下のように書いてある。

 両手のための半音階練習です。半音階の指使いはいろいろありますが、普通は黒鍵に3指を用いる譜例Aの指使いが用いられます。しかしこの曲ではBが使われていますので、よく注意して弾いてください。

 僕の場合、このA、Bどちらの指使いも指くぐりが多くて気に入らなかったので、下に示すように出来る限り指くぐりを排した運指に変えた。チェルニーの言いつけなんて知ったこっちゃねえ。
 できるだけ鍵盤の手前側で打鍵する。半音階スケールがテーマなので黒鍵のある奥の方を弾いてしまいがちだが、鍵盤の奥の方は白鍵が狭くてミスタッチしやすい上に黒鍵と黒鍵の隙間となっているため、打鍵の際に取り得る手指の動きが非常に制限されるので弾きにくい。黒鍵と黒鍵の隙間を押す関係上、ある程度指を上げないと手を移動する際に指が黒鍵に引っかかってしまう。なお、指定の指使いだと黒鍵と黒鍵の隙間の白鍵を弾く必要のない運指となっているのでいらぬ悩みである。
 pの部分は力を抜いて離鍵を意識した軽いタッチで弾く。キーを鍵床まで押し込む必要はない。キーが投げ放ったハンマーが弦に当たりさえすれば良いというくらいに軽く弾く。
 半音階は移動が細かいのでミスタッチしやすい。手元をよく見ることで命中精度が上がりミスタッチを減らすことができる。できるだけ手元を見ずに練習しようというコンセプトでチェルニー30番を始めたのだけど、譜読みが済んで曲全体を通して弾けるようになってしまえば手元を見ないことに拘ることもないのかもしれない。

1,3,17,19小節の4音の半音階下降の繰り返し

 ◎4→3→2指と進む時、4指は白鍵の先端、3指は黒鍵の手前、2指は黒鍵の先端という順に打鍵位置が鍵盤の手前から奥へと移る。この際、手のポジションを手前から奥へと移動させることで、指は脱力してまっすぐ下ろすだけで正確に弾ける。最後の1指は2指の黒鍵を押した時のポジションが丁度よい打鍵位置になっているので2指の打鍵で手の移動は止まり、1指で打鍵したら手を手前に引く。各拍で手は手前→奥という動きを繰り返すことになる。

2小節

 ☆2、4小節右手。3拍目までは下りの半音階下降なので手の先端が少し左を向く形になるが、そのままだと4拍目はすごく弾きにくいので、2小節目は少し右向きに、4小節目は正面に手が向くように肘を動かす。18-20小節も同様。また、同時に手首をロールして指の動きが少なくて済むように動きを助ける。
 ■2拍目右手。Des-Cを2-1で取るときに1指と2指が交差して戻る動きになる。このとき、1指が完全に離鍵できていないとDのキーが沈んだ形になっており、Cのキーとの間が段差になっていて1指をCの上に移動するときに段差に引っ掛けて指の移動に失敗する。しっかり離鍵しておかなければならないが、1指の動きが忙しくて余裕が無いときは手全体を持ち上げることで離鍵を助けてやる。どうしても上手くいかないなら、手の動きを見て弾くと成功率が上がる。手の動きを見て弾くと成功率が上がるというのは、視覚情報を元に手の動きを無意識の内に補正するためである。逆に、このために上手く弾けない原因を求めるのが難しくなる。駄目な部分を見出そうと観察すると上手く弾けてしまうから。不確定性原理ではないが、観察によって結果が変わってくる。
 手元を見ずに弾くために:左手、次の音はDの半音上なので離鍵した後に手を動かさずにその場でじっとしておくこと。半音上のEに1指を置いて、このキーを基準にF、Aの位置を決める。

5小節右手

 半音階の上昇のときは手の先端側を左に向けると指くぐりをしやすくなる。
 2指を離鍵した後、しっかり上げて1指がくぐれる空間を作ること。

7小節

 ▲右手3拍目E。このEをちゃんと離鍵しないと4拍目最初のEを押すときにキーが下がった状態のままでキーを押せなくなってしまう。
 左手1拍目。この和音を離鍵したら、このBの右側の黒鍵と黒鍵の隙間(H,Cの上)にテキトーに5指を滑り込ませる。この5指を右に移動させると黒鍵(Des)の側面に触れる。この位置がCである。このCを起点としてたのキーの位置を確定させる。

8小節右手

 ※打鍵しない指型の指の動きにつられて降りてこないよう注意する。スタッカートで練習するのは効果的。

9小節左手

 ここから12小節までは左手を注視する。この長さは手元を見ていないとどこを弾いているのかわからなくなってしまう。
 ●最初の部分。5-4で弾き始めると4指の打鍵タイミングがかなり早くなってしまうことがある。急いで弾くとそれが特に顕著になる。4指と5指は腱を一部共有しており、5指の動きに4指がつられてしまうため、本来4指を動かし始めるタイミングで既に4指はキーを半ばまで押しているせいである。意識して4指の動きを抑えるとか、いっそゆっくりと弾き始めるとかするとよい。18番の出だしのところを参考にするのも良い。

10小節左手

 ✡上昇スケールは手の先端を右に向けると弾きやすくなるのだが、このGは黒鍵と黒鍵の隙間なので手を傾けたままだと左右の黒鍵に阻まれて高い確率でミスタッチする。だから、こういう部分では手を真っ直ぐにするとよい。

13小節右手

 *このタイミングで手元を確認するときに次に押すべきGの位置だけでなく、周りの鍵盤の配置を一緒に見て、そのイメージを記憶する。この記憶に頼って3拍目のDや14小節最初のHの位置を定める。

15小節右手

 ☆Desは5指で弾くには遠い位置にあって弾きづらい。A-B-H-Cを通常の手が正面を向くポジションで弾き、4指でCを押した直後に4指を中心に手をひねって、手の先端を左に向けるようにして5指が鍵盤の奥に近くなるポジションにして5指でDesを押す。Desを押したらすぐに手の向きを元に戻して続きを弾く。

16小節右手

 4拍目。Cis-D-Dis-Eのところを2-2-3-3と、黒鍵から隣接する白鍵に同じ指で滑りおろして取ることで指くぐりを避けることができる。

23小節

 ■22→23小節に移るところ。半音階から分散和音に移り変わるところでついつい急いでしまうけど、早く入りすぎないこと。22小節の最後の方で僅かにテンポを遅らせて、一呼吸入れるような気持ちで23小節に入るくらいで良い。急いでも分散和音が崩れるばかりで良いことがない。
 ◎23小節1拍目右手Fisの2指は離鍵した後しっかりと指を上げないと4→1のポジション移動の際に1指の通り道を2指が塞いでしまう。ここは指くぐりせずに手の形そのままにポジション移動する方が良い。このポジション移動奏法はピアノ脱力奏法ガイドブック 2で好んで勧めているけど、何故かこの21番では書かれていない。不思議だ。
 ✡3拍目左手。この子ょ右折は右手を注視しなければならないので、この部分は目視確認できない。23小節に入って右手に視線を向ける直前に一瞬だけ真ん中のCのあたりを見て、だいたいの位置を把握しておく。左手最初のFBを話したら2指をその位置に持っていく。BとDesの間、HCの上に2指を置いたら手を右に移動させる。するとDesの側面に接触するので其一がCであると分かる。このCを基準にして残りのFとEsの位置を確定させる。

24小節

 どうせ指定の指使いを守るつもりがないので、左手取りでズルする。

関連エントリー
 20190815 チェルニー30番28 演奏解説
 20190609 チェルニー30番27 演奏解説
 20191007 チェルニー30番26 演奏解説
 20190211 チェルニー30番25 演奏解説
 20180817 チェルニー30番24 演奏解説
 20180721 チェルニー30番23 演奏解説
 20180513 チェルニー30番22 演奏解説
 20171230 チェルニー30番20 演奏解説
 20170905 チェルニー30番19 演奏解説
 20170806 チェルニー30番18 演奏解説
 20170506 チェルニー30番17 演奏解説
 20170107 チェルニー30番16 演奏解説
 20170303 チェルニー30番15 演奏解説
 20161123 チェルニー30番14 演奏解説
 20160910 チェルニー30番12 演奏解説
 20160429 チェルニー30番10 演奏解説
 20160424 チェルニー30番9 演奏解説
 20160301 チェルニー30番6 演奏解説
 20160101 チェルニー30番5 演奏解説
 20151218 チェルニー30番4 演奏解説
 20151211 チェルニー30番3 演奏解説
 20151213 チェルニー30番 演奏時間

ひとり、ふわり。

 失われた未来を求めてより、「ひとり、ふわり。」を録音した。
 このゲームをプレイしたのは随分前だけど、取り敢えずという感じでミュージックモードから直接全曲録音した。んで、折角クリアしたんだし何か弾いてやろうと思って選んだのがこれ。
 なお、作曲者の羽鳥風画によると当初発注の際には「ゆいのテーマ2」という名前が付いてた(ツイログ)とのこと。
 それはそうと、タイトルだけど「ひとり、ふわり。」。最後にマルが付いている。上のツイートではマルがついていないので、自分が間違えてたかなと思って確認したところ、やっぱり「ひとり、ふわり。」で正しいらしい。マルを付けたことを作者も忘れていたと。不遇であるけど、曲自体の人気は高そう。
 そんで、何となく耳コピしつつ、頑張ってなんとか弾けないこともないという感じに仕上げてみたのだけど、なんか難しかったのでそのままお蔵入りになっていた。いつか弾かないといかんなと思って常に目につくところに置いていたのだけど、今になって漸く弾く気になったわけである。その間に、漫画は2シリーズ出版したしアニメ化もした。そういう世の流れを無視して僕はこの曲を閑却し続けてきたわけである。

 具体的に何が難しいかっていうと音域が広いのでちょくちょく10度の和音が出て来るってのと、5~8小節は態々「ベースはnon legatoで」と書いてペダルを踏んではいけないと指示しているため、分散させて逃げることができないあたりである。9小節以降の4声も地味に大変である。

7小節

 5小節の上にある「ベースはnon legatoで」という指示はこの段、5~8小節(より正確には5~8小節前半)だけに適用するようにした。9小節以降もノンレガートで弾こうかとも考えたのだけど、ペダルがあった方がいいなと思ったので、ペダルを踏むようにした。
 それで、ここで問題となるのは7小節目後半の真ん中のD。これを押してると、左手最後のAとは11度の距離となる。右手で取るとD-Fの10度なんだけど、間に挟まるFの所為でDFFという音の並びになると指が届かない。2-5指で8度は届くけど、その手の形だと1指はさらに外のキーの方向を向いていないので無理。
 で、どうするかというとで4つほど解決案を考えた。

1.ソステヌートペダルを使う
 グランドピアノの3本あるペダルの真ん中のペダルをソステヌートペダルといって、ペダルを踏んだときに上がっているダンパーをそれ以上下げないようにする機能がある。つまり、今押しているキーの音がペダルを踏んでいる間中伸び続けるというもの。なお、ピアノペダルの使い方ではプロロゲメントペダルと表記しているのだけど、この本以外で見たことがない言葉である。
 7小節目後半の最初の音を打鍵した直後にソステヌートペダルを踏んでFDAを保持。8小節頭でペダルを離す。ソステヌートペダルは踏むタイミングが難しいけど、出来ることが色々増えるので結構重要なペダルだったりする。ただ、アップライトとか2本ペダルのグランドピアノにはないので、楽器によって弾けない曲が生じることになる。世の中、ベーゼンドルファーのフルコンでないとキーが足りなくて弾けない曲もあるらしいからそんなんと比べたらどうということもない。
2.右手で取って、途中から左手に指を変える
 これは手の大きさに大きく依存するのでできない人はいくら練習しても手が大きくなるわけではないのでできない。
 僕の場合、11度は届かないのだけど、横から引っ掛けるだけならできる。だから、Dを押すときは右手で取っておいて、後半3音目、左手がA、右手がAEを押したらすぐに左手の1指でDを押さえるという方法。手のひらを鍵盤の手前側にべたっとくっつけるようにして手を広げると左手1指がDに届く。
3.ベースのAをスタッカーティシモにする
 2.で11度が届かない場合、ベースのAの保持を捨てるということ。これは楽譜に示された音を鳴らせないのであまり好きではない。
4.ペダルを踏む
 色々と面倒なことは諦めて普通にペダルを踏んでしまえば問題など最初からなかった。「ノンレガート? ここだけだからちょっと許せ」とまあ、こんな感じの意識で弾く。露骨にペダルを踏むと目立って仕方がないからハーブペダルとか1/4ペダルとかで微妙に残響を残すような形にしても良いかもしれない。

 以上のような感じである。なお、僕は2.で弾いた。というか、11度を取り入れて曲を書いてみたかったというのがあるので、この弾き方をせざるを得なかった。結局、ミスしやすいし練習しても上達が見込めないしであんまり良い演奏方法ではないなというのが正直なところである。普段通りペダルを踏みまくって細かい部分はごまかしてしまうのが楽である。

 アップした楽譜はテキトーに繰り返すというようなイメージで書いていて、最後は終止線なのか複縦線なのか判断できないような描き方をしている。元々、始めに戻るような書き方をしてたのだけど、そんなことを明記しなくても弾く人が弾きたいように弾くだろうと消した。
 僕の場合は、最後の16小節後半のDmに続くコーダを以下のように書いた。

 主調であるe mollからDのオクターブを経て、平行調であるG durに移調し、序奏部を移調した(ただし左手はそのまま)旋律から最後はテキトーにG durの分散和音だかスケールだかの音の連なりから平行調のままIの和音で終わる。ピカルディの3度みたにできないかなと思ったのだけど、ただ単にコーダで転調しただけとなった。

プリンタの詰め替えインク

 昨今のプリンタメーカーはどれだけインクを無駄に浪費させて新しいインクを買わせるかというところに命を賭けている、というようなことは度々言ってきたし、インクジェットプリンタを使用している方はよくわかっているのじゃないかと思う。使い方にもよるけど、普通の純正インクを言われるがままに使うと1枚50円以上のコストがかかっていると感じる。モノクロであればコンビニにPDFデータを持っていって印刷したほうが遥かに安い。
 今回はプリンタの詰め替えインクについて。一応、1年使った実績を元に書いておく。使用するプリンタはEPSON EP-806AB。はっきり言って糞である。アマゾンのレビューで星が3.7付いているのが不思議でならない。レビュアーは白痴ばかりなのだろうか。というか、それ以前に糞でないプリンタが現代の世の中に存在するのかが全くもって疑問である。
 詰め替えインクの方はサンワサプライINK-E70S30S6U。お値段は3600円と、純正のアマゾン価格3300円よりも少し高めだが、詰め替え4回分とのことなので、遥かに安いことになる。また、後述するように余計なインクの漏出を一部防ぐ事ができる。
 また、この商品にはインクのICチップをリセットして残量パラメーターを新品同様にするというリセッターが付いているため、値段が高くなっているのかと思ったのだが、サンワサプライのサイトを見るにリセッターの付いていない6色セットのものは販売していないようである。リセッターのないものは単品でなら売っているが、例えば黒(INK-E70BK30)だとアマゾン価格で1293円となっている。こちらは決して安くないのでリセッター付きの6色セットを買ったほうがお得である。一色だけ飛び抜けて使用量が多いとかなら単品を買うのもありかも知れないが、プリンタ自体が何かとインクを消費しようとするので、だいたい均等に使用していく。ちなみに、モノクロで印刷しても容赦なく黒以外の色も使用する。黒だけを使えばいいのに黒以外のインクを混ぜて黒を表現するとかアホじゃないかと思うのだが、インクを浪費させるための知恵である。

・詰替方法
 取説に書いてあるのだけど、一応詰め替え方法を説明する。
1.通常通り、プリンタからインクカートリッジを取り出す。
2.リセッターをUSBで繋いで、カートリッジのICチップをリセットする。
 リセッターにUSBを繋いで電源が供給されると、下の写真みたいにLEDが赤く光って点滅したりする。

 リセッターに生えている端子にカートリッジのICチップを写真の向きで押し付けると、LEDが赤から緑に変わる。
 これで、インク残量はリセットされる。


 カートリッジをリセッターに押し付けたままにしていると緑になったのが再び赤になったりするので、緑になった瞬間を狙って離す。再び赤くなったときにどうなるかとか試していないから、問題ないのかもしれない。
3.インクを詰める。
 一応、液が漏れたりしたときのために下にティシューを敷いておく。
 カートリッジのインクが染み込んでそうなところに液を垂らすとカートリッジ内に入っていく。この際、カートリッジの端っこにある穴にインクが付いたらいけないらしい。
 また、インクは欲張ってたくさん入れたところで最後まで無くなる前にプリンタ側がかってになくなったと判断するので必要以上に入れることに意味はない。寧ろ、溢れたり濡れたりで良くないことが起こる。写真カートリッジ左端のチップのすぐ右のあたりに窓があるので、この窓が低くなるようにカートリッジを傾けた状態でインクを注入して窓にインクが付くようになったら注入終了とするくらいで良い。


4.インクを注入した部分をティシューに押し付けてインクを拭う。

 多分、繊細な部分なので、擦ったりせずにそっと押し付ける。
 写真はインク注入で欲張ったせいか大量にインクが漏れてきた。
5.カートリッジをプリンタに戻す。

 通常のインク交換と同じで良い。
 この後、純正インクではないと文句を言ったり、ノズルが詰まっても知らねーよとか脅してくるけど、気にしなくて良い。
 後は普通に使うだけ。

 さて、インクの詰め替えは以上の通りだけど、このEP-806ABというプリンタはインクを交換する度に何かゴソゴソと作業をしてインクを消費する。多分、ノズルにインクを充填するとかそんなことをやっているのだと思う。それはいいんだけど、全くけしからん事に、交換したカートリッジ以外もインクを減らしているのである。どうあってもインクを浪費させなければ気がすまないらしい。
 次のスクリーンキャプチャはマゼンダがなくなったからとインクを詰め替えた後、2~3枚位印刷して今度はライトシアンがなくなったから交換しろと言ってきて交換し、それから1枚も印刷することなくブラックがなくなったので交換したところのもの。

 ブラックの減少量がカートリッジ設置時に消費する量であり、見ての通りライトシアンがその倍ほど減っている。つまり、使いもしないのに消費しているということ。そして、マゼンダが半分近くなくなっている。もはや何がなんだかわけがわからない。1nm2も印刷していないのにインクはなくなっていく。
 ①インクを交換する→②インク交換時の処理でインクを消費→③別のインクがなくなる→①に戻るというコンボが発生することになる。この減少量を見ると6連鎖からの無限地獄とか起きそうな気がしてくる。ホント、EPSONサイテーだ。
 この負の連鎖を断ち切るためには、一気に全部リセットして詰め替えてしまえば良い。
 実は上のキャプチャはブラックと一緒にライトマゼンダも詰替をしている。そして、この後、シアンがなくなったと言ってきたのでマゼンダ、シアン、イエローを一緒に詰め替えた。複数のカートリッジを同時に詰め替えることで、詰替時のインクの浪費を抑制することが出来る。ってことに今更気づいた次第である。これは通常のカートリッジ交換ではなかなかできない。
 そんなわけで、詰替えインクはお勧めである。是非ともプリンタメーカーの悪逆な仕打ちに一擲を食らわしてやりたいものである。

関連エントリー
 20160529 EPSON EP-806AB

チェルニー30番20 演奏解説

 チェルニー30番20を録音した。今回はいつも以上に時間がかかった。これを練習している間にショパンの練習曲25-9がほぼ完成してしまったくらいである。この曲が難しいからというわけではなく、曲に魅力がなくてモチベーションが上がらないというのと、僕の練習方法がいくらかまずかったというのもあったかもしれない。本エントリーはその反省を踏まえての演奏解説でもある。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。音楽性とかいった曖昧で難しい部分は割と閑却して、メカニカルな部分を中心に低レベルな解説をする。

テンポについて
 テンポは付点4分音符で60bpmと、19番と同じ速度の指定になっているため19番→20番と順に演奏する場合はとっつきやすいかもしれない。とはいっても、初めて練習するときはゆっくり弾くところから始めるので、19番と同じ速度であることによるお得感はあんまりない。
 僕の演奏はそれよりも少し早めのテンポになっている。テンポを早くして演奏がふらつくくらいならゆっくりにしたらいいのにと思うのだけど、演奏中に自分のテンポを認識できないのでメトロノームに合わせて弾くくらいしか対策がとれない。あるいは、さらに長大な時間をかけてテンポが安定するまで練習するか。ただでさえ時間をかけまくってるのに、チェルニー30番ごときにこれ以上時間を取られたくないというのが正直なところ。
 過去何度も書いてると思うけど、弾けていないと思ったら間違いなく弾ける速度までテンポを落とすという勇気は必要である。弾けてないのに徒に弾いても、練習した気になるだけで実際は練習になっていない。そうやって弾ける速度を少しずつ引き上げていく中で、引っかかる部分を分析して、何故引っ掛かるのか、どうやったら解決できるのかを考えるのが重要である。

曲全体について
 全体的に音域が高めなので真ん中よりも右に座ると良い。具体的にはGの辺りが体に中心に来るくらい。11~12小節が少し弾きにくくなるので、このときだけは上体を左に移動して弾きやすい姿勢を取る。11~12小節さえなければもっと右に座りたくなる。
 4指の弾きにくい箇所は腕・肘を低くして指をまっすぐに伸ばすようにすると弾きやすくなる。あるいは椅子を低くすると弾きやすくなるが、曲によって椅子の高さを変えるのは勧めない。
 右手のトリルみたいな、和声音から2度の隣接音で装飾して元の音に戻る音を刺繍音という。全音の解説文では1音1音丁寧に弾いてくださいと書いてある。それは当然のこととして、刺繍音は最初の1音と続く2音では最初の1音が圧倒的に重要であるので続く2音を意識するあまり続く1音目がないがしろになるくらいなら2,3音目を雑に弾いちゃった方がまだマシである。勿論、練習曲としての課題を考えるのならテンポを落として弾けということになる。
 ピアノ脱力奏法ガイドブック 2にある、全ての音をスタッカートにして弾くという練習方法は指を独立して動かす筋肉を鍛えることになって、より滑らかに弾けるようになるのでお勧めである。

1, 2, 4小節

 ☆右手。1→3指で6度の跳躍を行う。直前に1-5指で5度上の位置を確認しておいて、それより1つ上のキーに跳躍する。手が馴れてくると、確認なしでいきなり跳躍出来るようになる。なお、僕は95%以上の確率で成功するようになったけど、このパターンの跳躍の出現回数を考えると、この成功確率は低すぎて話にならない。

6-7小節

 手元を見ずに弾くために:※6小節後半左手。この3音のうちCは次も同じキーを押すので2指をキーの上から動かさないでおく。他の2音はそれぞれ次の音で半音上がる。結局どの音もこの3音の位置が重要な手がかりとなるため、離鍵後手を動かさずに次の音の準備をすること。
 ◎6小節1拍目、7小節5拍目右手。4-5-4のトリルで4指を自由に動かすのはとても難しい。解剖学的に4指は動きづらいように人体はできているのだ。脱力ができていないのだけど、自分の意志で脱力できるわけでもない。この拍の間だけ指を真っ直ぐにして、手を鍵盤の上に平ぺったく乗せるようにして弾くと取り敢えずクリアできる。

9小節

 手元を見ずに弾くために:✡9小節後半左手。1泊目で押したEの位置をある程度覚えておいて、そのあたりに2指を持っていく。テキトーにそのあたりに指を持っていけばEかFのどちらかの上なので、そこから指を左に移動させると黒鍵の側面に触れる。その下がEである。このEを起点として他のキーの位置を確定させる。

11-14小節

 ■11~14小節右手。基本的に1指が2指の下に潜り込んだ形で演奏しなければならず、弾いていてとても不快感が強い。それでも我慢して馴れなければならない。11~12小節ではコンパス弾きのような弾き方になる。
 コンパス弾きというのは多分根津栄子の造語で、1指あるいは5指で同じ音を叩く合間に残りの指で別の音を挟み込むときに手首の回転を使って弾く方法。根津栄子編のチェルニー30番(下)で説明がある。チェルニー30番の13番はコンパス弾きの練習である。13番を解説する機会があれば、コンパス弾きについて、尺骨と橈骨の動きと一緒に説明したい。
 弾きづらいポジション移動の中で4指の弱い力では最後までキーを押し下げる事ができず、音が出ないことがよくある。4指を最後まで押し下げるよう意識して弾くこと。
 1→2拍目はちゃんとポジション移動すること。ポジション移動を怠けて同じポジションで弾こうとすると、5指がCを押すときに一緒にHを引っ掛けてしまって、キーが下がった状態になり、次のHを打鍵できなくなってしまう。
 ▲12小節右手。G-Fis-Gは手の位置を高くした方が弾きやすく、C-H-Cは手の位置を低くした方が弾きやすい。これらが交互に訪れるため、拍ごとに手を上げ下げしなければならない。楽して手を動かさずにいようとすると離鍵に失敗して次の音が出なかったりする。
 ☆13小節4拍目右手。ここが弾きにくいと感じるのはHのせい。2つ前に2指でBを押しており、Bを離鍵した位置からHを押そうとするとBのキーが邪魔になる。また、BとHのキーの段差があるため打鍵のタイミングがずれる。3拍目のBは指を変えた2指で押すので外しやすい。このBを外して、間違ってHを押してしまうと、次の拍の2指で押すHをもっと上にあるはずだと脳が勘違いして変な位置を押そうとするせいでミスタッチにつながる。 そんな訳で、このBは外すと影響の大きい音なので特に注意すること。

16小節

 4拍目右手。この直前までHには♮がついていて、繰り返し押している内に手がHに馴れてしまっており、ここで突然♭になるので指が咄嗟に対応できなくなってしまっている。これまでとは違うということをよく意識して弾くこと。  5,6拍目右手。ABHを122と指使いを変更した。BHのところ、指くぐりを嫌って指を滑らせてズルをしている。

17-18小節

 17小節後半~18小節前半左手。ヘクサコードが出てくる。左手の指は5本なのに音が6つあるので弾きにくいと感じるのだけど、ここでは中間の半音部分が黒鍵→白鍵となっているので指を滑らせてズルをする。
 17,18小節の左手の音型はこの曲の主旋律と対応している。こういった細かい芸はインベンションで学ぶことができる。

24小節

 ※右手。分散和音とかの跳躍時に指くぐりのところはちゃんと離鍵すること。しっかりと離鍵せずにキーを沈めたままでいると、指くぐりのポジション移動の際に指を引き摺る形になり、隣のキーの端に指をぶつけたり擦りつけたりで結構痛い。
 左手3拍目。F→Fのオクターブのところ。 スタッカートが付いているので素早く離鍵する必要があるが、離鍵した勢いに乗って手を動かさないこと。1オクターブ下の次のFの位置はこの離鍵したFを基準に測るので、手を動かしてしまうと次のキーがどこにあるのかわからなくなってしまう。

関連エントリー
 20190815 チェルニー30番28 演奏解説
 20190609 チェルニー30番27 演奏解説
 20191007 チェルニー30番26 演奏解説
 20190211 チェルニー30番25 演奏解説
 20180817 チェルニー30番24 演奏解説
 20180721 チェルニー30番23 演奏解説
 20180513 チェルニー30番22 演奏解説
 20180216 チェルニー30番21 演奏解説
 20170905 チェルニー30番19 演奏解説
 20170806 チェルニー30番18 演奏解説
 20170506 チェルニー30番17 演奏解説
 20170107 チェルニー30番16 演奏解説
 20170303 チェルニー30番15 演奏解説
 20161123 チェルニー30番14 演奏解説
 20160910 チェルニー30番12 演奏解説
 20160429 チェルニー30番10 演奏解説
 20160424 チェルニー30番9 演奏解説
 20160301 チェルニー30番6 演奏解説
 20160101 チェルニー30番5 演奏解説
 20151218 チェルニー30番4 演奏解説
 20151211 チェルニー30番3 演奏解説
 20151213 チェルニー30番 演奏時間

OpticBook3800で綺麗にスキャンしたい

 以前、ブックスキャナーPlustek OpticBook3800の説明をしたのだけど、その際に微妙に焦点があっておらず使えねーというようなことを書いた。
 この件について、ピントが合わないのなら読み取り面とCCDの距離を前後させてスキャンしたらぴったり焦点の合うポイントがあるのではないかと思った。とはいえ、読み取り面を近付けるのは始めから付いているアクリル板をどうにかしないといけないのでちょっと難しい。そんなわけで、読み取り面を離して焦点の合うポイントがないかを探った。
 結論を言ってしまうと、より綺麗に読み取れるポイントはなかった。
 大したことではないが、調べた方法を書いておく。

 最終的には正確に距離を測るためには固くて撓りの少ない板状の素材を使ってスキャンするのがよいと考えた。それよりもまず、読み取り面とカメラの距離を近づけたら良いのか離したら良いのかという点を明らかにする必要があるので、テキトーに距離の近い部分と遠い部分が連続的に変わるような読み取り方をする。
 実際にやることは簡単で、下の写真のように本を伏せて押さえつけないようにしてスキャンする。ノドの部分はどうしても浮いてしまうので、自動的に読み取り面が離れることになる。
 Role&Roll154のコード:レイヤードの記事タイトル部分をスキャンした。コード:レイヤードは別に好きなルールというわけではないけど、イラストは結構好きである。孔明ちゃんかわいい。スキャンの解像度は300dpiとした。

 読み取った結果は次のような感じになるのだけど、フルサイズはファイルサイズが大きくなって邪魔くさいのでアップしない。

 カラーとグレースケールでそれぞれスキャンしたときに品質が変わる可能性を考えて、それぞれスキャンしてみたけど、下に示すように特に違いはなかった。
・グレー

・カラー

 この通り、ほとんど違いがわからない。カラーのほうが少し色が薄いなあという気がするけど、焦点が合わないという問題に対しては何の影響もなさそうである。
 そんなわけで、これ以降はグレースケールを使って記述することにする。
 スキャンしたページの一部を端からノドまで切り抜くと次のようになっている。

 右が端側で左がノド側となっている。普通のコピー機やスキャナと同様、ノドの方がピントがズレた上に黒くなっている。
 これを見て分かるように右のほうがピントが合っており、左に行くほどピントがズレている。途中でより綺麗に撮れている部分というのは存在しないことからこの試みは上手くいかないという判断ができる。

 これで結論は出たわけだけど、もうちょっと掘り進めてみようと思う。
 上の試みでは読み取り面を離すという方向で調査したが、それなら近付けると上手くいくかということだが、残念ながら上手くは行かないことが予想される。
 というのは、比較のためにEP-806ABで同様にスキャンしたところ、そういう結論に行き着いた。

 上と同様サイズの小さい画像を表示しているのだけど、OpticBook3800と比較してノド周辺のピントのズレがより激しくなっている。上と同じ部分を切り抜くと次のようになっている。

 端の方はよりはっきりとピントが合っており、ノドはピントがより外れている。つまり、EP-806ABではOpticBook3800よりも綺麗にスキャンできる代わりに、距離がずれると途端に読めなくなってしまうという設定になっている。読み取れる距離をシビアにすることで綺麗に読めるようにしているのである。一方OpticBook3800では少しくらい距離がズレていてもそれなりのものが撮れるが全体的にぼやけたものになるという性質がある事がわかる。
 つまり、OpticBook3800は読み取り面と焦点距離があっていないのではなく、そもそもそれほど綺麗にスキャンできる機械ではないということである。結局、小細工を弄してきれいに撮れないかと頑張っても無駄ということ。スキャナとしての本質的な性質が明らかに劣っているので、どうしようもない。なんか色々と残念なスキャナである。

関連エントリー
 20170814 OpticBook3800買ったよ