IRスペクトルを描きたい

 前回、Gaussianをネタにしたので、ついでにこれを書いておきたくなった。
 GaussianではIRとかVis-UVとかNMRとかいったスペクトルをシミュレートする機能がある。そこで得られたスペクトルというのは実測するのとは大分違った形で表記される。今回はIRを例にとって話を進める。
 Gausianプログラムで学ぶ情報化学・計算化学実験には、アセトアルデヒドのIRスペクトルの計算値と実測値との比較と称して次の表が載っている。

 折角なのでこれを使う。表のB3LYP/6-31G(D)にある振動子強度とscaledが必要な値なので、他の部分には目をつぶる。これを書き出すと以下のとおりとなる。

scaled 振動子強度
148.7 0.002806
487.5 0.128902
749.8 0.006655
859 0.082468
1093.1 0.246019
1100.4 0.014986
1348.9 0.185796
1390.5 0.123765
1432.3 0.169904
1441.5 0.093053
1771.6 1.56687
2784.6 1.3846
2926 0.025906
2980 0.093043
3042.1 0.104524

 "scaled"が横軸波数(cm-1)で、"振動子強度"が縦軸となる。振動子強度は縦軸をモル吸光係数としたときのピーク面積に比例する値[2]なのだが、ピークがシャープなのかブロードなのかで見た目がだいぶ変わるため、振動子強度にあまり多くの意味を込めることは出来ない。
 15個数値があるのは、アセトアルデヒドは原子の数が7個あり、分子の基準振動の数は(3n-6)で与えられるため。
 これをグラフにすると次のような棒グラフができる。

 このグラフの描き方はいつものようにアップしたエクセルのシートを見てもらえれば分かるのだけど、Aの列に横軸をテキトーに並べて、BにAの値が"scaled"の値を跨いだかを判別して、跨いでいたらCに振動子強度の値を入力する、跨いでいなければテキトーなマイナスの値を入力するとしている。
 この描き方はXRDで既知のチャートを一緒に表示するときなんかにも使える。
 論文とかの硬派なメディアで開陳するならこのきっちりと理想の数値をひとつだけ表す棒グラフがよいのだけど、ブログとかの軟派な場ではもっとキャッチーな表現をしたくなる。具体的には普通に測定したIRスペクトルのようなものを描きたい。
 Gauss Viewなんかを使えばそれらしいものを見せてくれるのだけど、マニュアルを見るとピークの幅なんかはテキトーに合わせているらしい。それなら自分でもエクセルで作れるんじゃないかと思ってやってみた。
 とはいっても、それぞれのピークについて正規分布のグラフを作って、最後に全部足し合わせるだけなので特に苦労はない。
 正規分布は、
{ \displaystyle f(x) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} \exp\lbrace- \frac{(x- \mu )^2}{2 \sigma^2} \rbrace }
で示される。
 x=μのときにexpの中は0となるので、e0=1であり、この関数は最大値、つまり(2πσ2-0.5となる。ここから、μとσ2を求めることができる。
 強度をI、ピークの波数をνとすると、
{ \displaystyle \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} = I \\ \displaystyle \frac{1}{2 \pi \sigma^2} = I^2 \\ \displaystyle \sigma^2 = \frac{1}{2 \pi I^2} }
μ=ν
となる。
 これでそれっぽいグラフになるのだけど、普通IRは縦軸を透過率で表すので、そういう形にしたい。
 縦軸の値を100から引くだけでは強度が弱すぎてスペクトルが見えてこないので、最も吸収の大きい波数のところが15%くらいになるように強度を補正する。さらに、ベースラインが100%のところにあるのはあまりにも不自然だから98%がベースラインとなるように全体を縮めてみると次のようにIRのスペクトルを描くことができる。

 あとついでに、強度が変化しないようにσ2に手を加えるとピークをシャープにしたりダルくしたりできる。

 なお、アセトアルデヒドのIRスペクトルの実測データは下の通り[1]

 何をどう帰属して表4-1のようになったのかよくわからんけど、取り敢えず強度はそのままのスケールじゃなくて対数に取ったほうがいいのかなという気はする。Lambert-Beerの法則では対数が出てくるので、強度を対数表記したほうがそれっぽいのかもしれない。でも1以下の数値を対数に入れると何か良くないことが起こりそう。そこら辺はなんとかするとして、それと、振動強度が面積を示すんならルートを付けた値としたほうがいい気がする。

 そんなわけで、取り敢えず対数とルートを取り込んで吸収強度の格差の解消を試みてみた。

 ついでに、実測のグラフに合わせて縦線を追加してみた。
 少しは格差は減った感じはするのだが、見ての通り全然である。
 縦線を追加したせいで実測との数値の違いが明確になっている。
 まあ、現時点(とはいっても、参考資料は10年以上前の書籍だが)での計算性能はこんなもんということである。本エントリーはピークの数値からIRのチャートを描くことだから、計算性能はあんまり考慮に入れる必要はないので、そこは深く追求するところではない。

 いつものようにエクセルファイルを上げておく。
 IR 20171107.zip

参考文献
 [1]NIST Chemistry WebBook(魚拓)
 [2]富士通

関連エントリー
 20200512 IRスペクトルの帰属

トーリタキセルA

 化学探偵Mr.キュリー6にトーリタキセルA(Toritaxel A)という架空の物質が出てきた。
 以下、ネタバレがあるので、これから読もうという人はその点、了承の上で読んでほしい。
 ミステリーの本質部分は報告された構造が間違っていたということ。その中で、計算機によるシミュレーションが出てくる。本文中には「これが論文報告された構造ですが、エネルギー的には最も安定なものではありません。ベストと思われる構造はこちらです」というセリフとともに以下のように報告された構造と最安定構造が示される。

 右の方のNが3つある周辺の構造が異なっている。
 計算機のシミュレートによってどちらがより安定であるかということは予測できるが、実はそれ自体には何の意味もない。
 異性体を考えたときに最安定構造しか存在が許されないなどということはなく、例えばブタンとイソブタンを考えてみれば分かるように、どちらも自然界に普通に存在する。
 一方、計算機で何かするときに構造最適化して最安定構造を探すのは、複数の構造を比較するときにそれぞれ同じ条件にしておかなければ比較できないからである。例えば、下のエタンの2つのニューマン投影図で(a)と(b)を同じと扱う訳にはいかない。
[1]
 普通、計算機ではより安定な(b)の構造を使う。

 しょうもないツッコミだけど、全合成で目的とする物質が異なっていれば、目指す物質がそうなるだけで、合成自体が不可能となるわけではない。
 それと、「最も安定と思われる構造の部分的な合成を行いました。重要な中心部分のみを作り上げ、天然から得られた、『本物』のトーリタキセルAのNMRデータと比較したところ、非常に良い一致が見られています」この2つの物質がほとんど同じ構造であることを考えればNMRスペクトルもかなり近いものになりそうだけど、重要な中心部分だけを取り上げてより合致するスペクトルが得られるとは思えないんだよなあ。

 それはそうと、トーリタキセルAについて構造最適化してエネルギーを比較してみた。
 使用したソフトはGaussian 03で、構造最適化はHF/3-21g*で行い、エネルギー計算はb3lyp/6-31g*で行った。
 今時は、STO-3Gや3-21Gなどの低レベルの基底関数は、論文を作成するときに使うには不十分とされている[2]そうなのだが、一応末尾に"*"が付いてるし、論文書いてるわけでもないから特に気にしないでもいいかなと思ってる。
 実はb3lyp/6-31g*で構造最適化をしてみたのだけど、Maximum Force = 0.000004, RMS Force = 0.000001とそれぞれ閾値以下になったのだけど、Maximum Displacement = 0.039368, RMS Displacement = 0.007607とかなり高いのにもかかわらず"Optimization completed on the basis of negligible forces."という通常とは異なる表記を残して構造最適化を終了してしまった。多分、最適構造付近にいるんだけど、ステップ間の変化が大きすぎるとかいう状態なんじゃないかと思う。一応、正常に終了しているけど、なんか気持ち悪いので採用するのは止めた。
 計算結果は報告された構造で-1491.93475559A.U. 、最安定構造で-1491.94981676A.U.となった。差は0.015061A.U.。1A.U.=627.510 kcal/molなので、9.451kcal/molの差がある。
 こうやってエネルギー差を求めることはできるが、上で書いたようにだからどうしたという話である。
 それぞれの構造をステレオ図で描いてみた。立体視のできない人でも立体メガネを使うと飛び出て見える。

報告された構造


最安定構造


 せっかくだから、各原子の位置も上げておく。
報告された構造

C1 -8.113558 -2.625006 0.028936
C2 -6.849950 -2.143362 -0.710689
C3 -5.850140 -1.473299 0.251839
C4 -4.559549 -0.968894 -0.438752
C5 -3.879196 0.031206 0.503026
O6 -2.725137 0.612599 -0.131860
C7 -3.622690 -2.146325 -0.797288
C8 -2.639668 -1.824715 -1.938806
C9 -2.123162 1.729614 0.573907
C10 -1.368511 2.559449 -0.453709
C11 -0.287043 3.246169 -0.102366
C12 -1.892888 2.418704 -1.872841
C13 -1.214656 1.173731 1.713867
C14 0.156849 1.880719 1.906541
C15 0.055027 3.344179 1.397711
C16 1.354359 1.064978 1.305073
C17 1.273305 0.732736 -0.221288
C18 0.690962 3.753680 -1.146100
C19 2.096619 3.077344 -1.087858
C20 2.296520 1.521244 -1.105839
C21 2.114101 0.993571 -2.543861
C22 2.625007 -0.454700 -2.713755
C23 1.163746 -0.805680 -0.621758
C24 2.256045 -1.403626 -1.539519
H25 0.348533 1.928668 2.975673
C26 3.771733 1.324864 -0.678660
C27 0.940407 -1.802349 0.527174
N28 3.419891 -1.801359 -0.744060
N29 2.176620 -2.068032 1.262134
C30 3.321558 -2.285008 0.562608
N31 4.342171 -2.904309 1.013341
C32 4.612035 -2.436232 -1.338082
C33 5.379592 -2.880483 -0.052727
C34 2.092141 -2.609607 2.622935
C35 1.770844 -4.114278 2.649925
C36 -1.078996 4.111034 2.138658
C37 1.324352 4.149862 1.775614
H38 1.710434 -4.465868 3.674466
H39 2.561185 -4.650783 2.143469
H40 0.824742 -4.322942 2.162459
H41 -8.814302 -3.086405 -0.658035
H42 -8.613423 -1.792996 0.513661
H43 -7.855588 -3.354283 0.789602
H44 -7.130367 -1.430780 -1.480095
H45 -6.383838 -2.986598 -1.206495
H46 -1.985139 -2.669164 -2.131344
H47 -2.050227 -0.961889 -1.676565
H48 -3.184438 -1.606516 -2.851921
H49 -5.581350 -2.172759 1.039545
H50 -6.356035 -0.636560 0.727302
H51 -4.219679 -3.003369 -1.086860
H52 -3.071436 -2.434391 0.093769
H53 -4.829291 -0.437135 -1.345441
H54 -3.593109 -0.474930 1.419822
H55 -4.579617 0.821493 0.759846
H56 1.295435 4.343115 2.842576
H57 1.338331 5.107937 1.269244
H58 2.247567 3.638900 1.573796
H59 -0.902473 4.083979 3.209361
H60 -2.063042 3.719904 1.949426
H61 -1.072428 5.148158 1.820890
H62 4.425315 1.795856 -1.408871
H63 4.022669 0.282661 -0.596974
H64 3.963302 1.795445 0.278167
H65 1.330868 -2.048381 3.151230
H66 3.045821 -2.440466 3.097290
H67 -1.675301 3.292722 -2.468844
H68 -2.963749 2.279478 -1.852907
H69 -1.473329 1.547027 -2.364650
H70 2.655502 1.628092 -3.238529
H71 1.063250 1.049174 -2.811843
H72 2.609540 3.457839 -0.224583
H73 2.653647 3.458034 -1.940555
H74 5.831582 -3.854457 -0.162355
H75 6.150714 -2.161515 0.196071
H76 5.179504 -1.742287 -1.936853
H77 4.327129 -3.290680 -1.947305
H78 0.538410 -2.720943 0.102991
H79 0.210163 -1.427205 1.224507
H80 3.697758 -0.436354 -2.831544
H81 2.214223 -0.862708 -3.630913
H82 1.822595 -2.305626 -1.971958
H83 0.261610 -0.866622 -1.218575
H84 0.323820 1.103649 -0.540811
H85 1.438593 0.154430 1.875493
H86 2.265071 1.606339 1.511706
H87 -1.057173 0.135234 1.469554
H88 -1.765743 1.205891 2.646611
H89 -2.936969 2.306431 0.997654
H90 0.861508 4.820512 -1.027270
H91 0.278400 3.611632 -2.132591


最安定構造

C1 7.534721 -3.885350 -0.616359
C2 6.301406 -3.367239 0.149336
C3 5.522018 -2.322079 -0.672552
C4 4.273397 -1.760328 0.051021
C5 3.859961 -0.464550 -0.656559
O6 2.792815 0.183329 0.062245
C7 3.128375 -2.799482 0.066070
C8 2.080728 -2.551832 1.167565
C9 2.498010 1.540924 -0.350703
C10 1.818641 2.231878 0.818423
C11 0.977138 3.235815 0.606886
C12 2.154346 1.642853 2.173851
C13 1.607426 1.505980 -1.628389
C14 0.501068 2.597006 -1.709440
C15 0.860267 3.803088 -0.814950
C16 -0.918351 2.013118 -1.435343
C17 -1.168390 1.182298 -0.126006
C18 0.009749 3.697147 1.683742
C19 -0.979196 2.571330 2.100582
C20 -1.938397 1.900177 1.062417
C21 -2.694621 0.809274 1.890277
C22 -1.901563 -0.494312 1.992310
C23 -1.835338 -0.165692 -0.545988
C24 -1.800196 -1.195940 0.618007
H25 0.469805 2.954081 -2.735770
C26 -3.000418 2.931471 0.622780
C27 -3.232053 -0.038507 -1.177464
N28 -2.829160 -2.248926 0.477911
N29 -3.642664 -1.374701 -1.563123
C30 -3.610554 -2.394451 -0.621253
N31 -4.345681 -3.412378 -0.866111
C32 -2.749260 -3.412559 1.380566
C33 -3.989433 -3.541485 2.277689
C34 2.201522 4.444921 -1.265127
C35 -0.168110 4.942594 -0.990930
C36 -4.770807 -1.644331 -2.466919
C37 -5.034000 -3.158058 -2.162594
H38 8.081081 -4.613212 -0.026788
H39 8.208227 -3.068670 -0.854158
H40 7.235542 -4.358683 -1.545574
H41 6.618988 -2.915586 1.083988
H42 5.658706 -4.203537 0.397055
H43 -3.888225 -4.399328 2.934758
H44 -4.857161 -3.680905 1.650201
H45 -4.122871 -2.652915 2.882764
H46 1.292007 -3.295715 1.118999
H47 1.656724 -1.567815 1.052794
H48 2.544347 -2.615371 2.147025
H49 5.216820 -2.760575 -1.619407
H50 6.202895 -1.506491 -0.903413
H51 3.547138 -3.789253 0.206126
H52 2.646245 -2.797522 -0.907675
H53 4.540951 -1.505502 1.071342
H54 3.551568 -0.689099 -1.672648
H55 4.712305 0.208066 -0.704268
H56 -0.189862 5.229895 -2.037178
H57 0.127801 5.812388 -0.415032
H58 -1.167160 4.672777 -0.702696
H59 2.103361 4.824919 -2.277522
H60 3.033776 3.762576 -1.245428
H61 2.439679 5.277059 -0.612273
H62 -3.592284 3.216594 1.487460
H63 -3.674645 2.525184 -0.120160
H64 -2.561114 3.830116 0.222178
H65 -1.855213 -3.303247 1.979790
H66 -2.657032 -4.306777 0.779376
H67 1.848893 2.296651 2.977722
H68 3.225538 1.495105 2.244566
H69 1.696940 0.672121 2.312071
H70 -2.367880 -1.159549 2.704219
H71 -0.901839 -0.287715 2.354844
H72 -3.658241 0.594199 1.448773
H73 -2.891702 1.205733 2.880714
H74 -1.616303 2.983966 2.878905
H75 -0.398447 1.786723 2.563020
H76 -6.088121 -3.378343 -2.084132
H77 -4.604177 -3.782367 -2.935989
H78 -4.502254 -1.459963 -3.496747
H79 -5.631382 -1.035012 -2.202749
H80 -3.172559 0.572005 -2.067679
H81 -3.952052 0.412793 -0.508236
H82 -0.834180 -1.685998 0.569341
H83 -1.219751 -0.580256 -1.335773
H84 -0.203127 0.902580 0.267128
H85 -1.103799 1.350261 -2.273972
H86 -1.647993 2.803268 -1.526669
H87 1.152294 0.524864 -1.639291
H88 2.243703 1.575470 -2.503037
H89 3.446739 2.016408 -0.569442
H90 -0.539831 4.567425 1.364191
H91 0.548627 3.989490 2.579965

 HTMLの都合上、データの隙間が半角スペース1個しかなくて読みにくいかもしれないけど、コピペするなら関係ないので特に手を加えずに上げる。
 このデータをChem3Dに入れて立体メガネで見ながら絵をくるくる回すのは結構面白いのでお勧めである。

参考文献
[1] A.Streitwieser, C. H. Heathcock, E. M. Kosower, Introduction to Organic Chemistry, Macmillan Coll Div(1992)
[2] 堀賢次, 山本豪紀, Gaussianプログラムで学ぶ情報化学・計算機化学実験, 丸善(2006)

官報 静穏の保持 豆乳

 20171020官報より、国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律にて、民進党本部周辺地域の告示があった。民進党って解散したんじゃなかったのかとか思ったのだけど、参議院とか地方とかでまだ民進党所属になってる人がいるのかな。住所は民主党本部と同じだけど、立憲民主党の住所はどうなってるんだろう。そう思って調べてみたら、立憲民主党の住所は東京都港区東新橋1-10-1とのこと。総務省政治筋規制法に基づく政治団体の届出(DL)に出ていた。
 そんな訳で立憲民主党もそのうち登録するんだと思う。

平成29年10月20日官報p2
民進党本部周辺地域


 官報の静穏の保持に関する件について別にページを設けたいことを前から書いていたのだけど、取り敢えず作ってみた。
国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律まとめ
 このページの位置づけについてちょっと悩むところで、定期的に更新しなければならないのだけど、政治関係のページをトップページからリンクしたくはない。仕方なく、このページから繋げるに留めるのだけど、それだとあまりに目立たなすぎる気がするので、どうするかちょっと考えたい。


 もう1件は個人的に気になったもので、豆乳について。
 最近、マルサン豆乳麦芽の販売を止めてしまった。マルサンによると製造が追っつかなくて販売休業とのこと。

2017.10.16 【お知らせ】休売商品の一部販売再開(豆乳飲料麦芽1000ml)及び、「豆乳飲料ベリーミックス200ml」終売のご案内(PDF 43KB)(DL)
2017.08.18 【お知らせ】一部商品の緊急休売のお詫び(PDF 45KB)(DL)

 今調べたところ、10月23日から豆乳麦芽については販売再開するらしい。
 このタイミングで官報から豆乳の豆乳業者の認定についてどうこう言ってるので何かあったのかと勘ぐってしまう。

平成29年10月20日官報p2, p3



関連エントリー
 20170904 官報 静穏の保持 不当廉売
 20170625 官報 静穏の保持に関する法律 刑法
 20170406 官報 静音の保持に関する法律 消費税
 20170208 官報
 20151107 民主党関連
 20150214 国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律の規定により、政党事務所周辺地域を指定する件
 20141021 国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律の規定により、政党事務所周辺地域を指定する件
 20131013 豆乳麦芽

最高裁判所裁判官国民審査

 衆院選のついでに毎回行われる最高裁判所裁判官国民審査の候補者について調べてみようかと思った。
 新聞なんかだと候補者の素性を書いていたりすると思うのだけど、ネットで検索してみるとあんまり新聞社はヒットしない。辛うじて朝日新聞時事通信社東京新聞が引っ掛かったのみ。それぞれの新聞社らしい偏った見方の質問がなされているけど、どの裁判官も議論があるような質問には言及を避けていて全く参考にならなかった。
朝日新聞 国民審査を受ける最高裁裁判官7人のアンケート回答全文
時事ドットコム 対象7裁判官にアンケート=憲法改正、原発訴訟など-国民審査【17衆院選】
東京新聞 最高裁7裁判官に審判 「期日前」告示翌日から可能に
 今回、審判を受ける裁判官は以下の7名。括弧の中は最高裁に就職する前にやっていたお仕事。
小池裕(裁判官)
戸倉三郎(裁判官)
山口厚(大学教授)
菅野博之(裁判官)
大谷直人(裁判官)
木澤克之(弁護士)
林景一(行政官)
 少し調べた結果、NAVERまとめが一番良く纏まっていた。とはいえ、あんまり大した内容はないのでその点は残念。
 なお、平和フォーラム(魚拓)というサイトで幾つかの判例を踏まえてこいつらに×を付けろ、という活動をしているけど、誰が何をしたかという紐付けをしていないので読者自身の考えで判断することができない。仕方ないので、それぞれの事例について調べなければならなかった。平和を謳っている連中ってこういう所で露骨に全体主義を露わにするから駄目だなって思う。
 取り敢えず、自分が調べた中で各人において興味を引いた事例をピックアップしてみた。普段のニュースなんかでは記事の魚拓を取るようにしてるんだけど、今回は件数が多くて大変であることに加えて、時事ネタなので記事のリンクだけにしておく。
 ここに載せた事例は僕の興味を引いたというだけで、できるだけ僕の判断は載せないようにしている。これを読んだ御自身が×を付けるかどうかを判断してもらいたい。

・小池裕
厚木基地訴訟、飛行差し止め認めず
14年衆院選比例は「合憲」 1票の格差訴訟、最高裁が上告棄却
慰安婦著書「捏造」 著者の中央大名誉教授の敗訴確定
夫婦別姓は合憲
NHK“差別表現”訴訟 台湾先住民側の逆転敗訴確定
令状なしのGPS捜査は強制捜査 任意捜査ではなく違法
勤務先で、通名でなく韓国名を言うように強要された在日男性が完全勝訴

・戸倉三郎
グーグルさんに聞くと何故かパンツを被った男の写真が大量に出てくる。犯人はコイツ(魚拓)らしい。
キチガイ無罪を認めず妄想型精神分裂病に罹患している被告人の犯行(傷害)につき、精神分裂病に基づく明らかな幻覚妄想の上に行われたもので心神喪失状態にあつた旨の精神鑑定の結果を排斥
年末手当の減額抗議文書を撤去 JR東海の逆転敗訴が確定

山口厚
法務省内に設置された有識者会議「性犯罪の罰則に関する検討会」(1)強姦罪の法定刑(3年以上20年以下の懲役)の下限を引き上げる(2)強姦罪の加害者を男性、被害者を女性と規定している性差をなくす(3)家族や教師などの地位・関係性を利用した性的行為の処罰規定創設(4)被害者の告訴がなくても捜査機関が性犯罪を立件できる「非親告罪化」、性犯罪の公訴時効の撤廃・停止や、強姦罪の構成要件である「暴行・脅迫要件」の緩和、暴行・脅迫がなくても強姦罪が成立する「性交同意年齢(13歳)」の引き上げ
学者が弁護士枠から就任したことについてご立腹の弁護士がいるらしい。
児童に対する性的虐待でも金めあてなら強制わいせつにならないって変な話 最高裁が47年ぶりの判例変更へ
22歳男の無期懲役確定へ=千葉・船橋の少女生き埋め殺害
令状なしのGPS捜査は強制捜査 任意捜査ではなく違法

菅野博之
グーグル検索結果の一部削除、最高裁も認めず
辺野古訴訟で沖縄県の敗訴確定 最高裁が判決
強制送還中の死亡、遺族の逆転敗訴が確定
アレフ信者の敗訴が確定 公安庁調査巡る訴訟で最高裁
令状なしのGPS捜査は強制捜査 任意捜査ではなく違法

・大谷直人
裁判員裁判の少年事件で初の死刑が確定
文京区幼女殺人事件検察官の懲役18年の求刑に対して、被告人Aに懲役14年の判決をした。検察官は量刑が不当に軽いという理由で控訴した。
夫婦別姓は合憲
NHK“差別表現”訴訟 台湾先住民側の逆転敗訴確定
脱原発テント、撤去命令が確定 経済産業省前、市民団体側の支払額は3800万円
令状なしのGPS捜査は強制捜査 任意捜査ではなく違法
勤務先で、通名でなく韓国名を言うように強要された在日男性が完全勝訴

・木澤克之
橋下徹氏の敗訴が確定…新潮社の名誉毀損訴訟
「自衛隊パレード反対」石川の市民団体、敗訴確定 最高裁が上告を退ける
風俗案内所規制は合憲学校や病院から200メートル以内での風俗案内所の営業を禁じた京都府条例の規定
公務員は酒気帯び運転でも馘首にならない
令状なしのGPS捜査は強制捜査 任意捜査ではなく違法

・林景一
日中大使、英BBCトーク番組で舌戦 司会者の日本攻め質問に苦戦?
平松元市長が敗訴、橋下徹氏らに損害賠償求めた訴訟
大分で元妻の母殺害 33歳男の懲役22年確定へ

 こんなかんじとなった。最後の林景一氏は判事に就任して日が浅い事から実績が少なく、判断材料に乏しい。
 とにかく、国民審査の参考になったらよいと思う。

チェルニー30番19 演奏解説

 チェルニー30番19を録音したので例によって解説を書く。
 いつも通り、楽譜は全音版を使う。例によって、演奏する上で特に注意するべきことは楽譜の解説に書いてあるので、その部分は割愛し、もっと瑣末なメカニカルな部分を始め低レベルな解説をする。まともな解説はピティナが行っているのでそちらを参照されたし。

テンポについて
 この曲の三拍子は11番と同じ形をしている。テンポも11番が付点4分音符で66bpmであるのに対して、19番は60bpmで似たようなものである。しかし、11番は32分音符のスケールをメインにしているのに対して、16分音符の装飾音なので演奏速度としてはかなり弾きやすい。
 この19番と次の20番は付点4分音符で60bpmという比較的ゆっくりの曲なので、演奏速度を上げるための努力というものは畢竟要らない。チェルニー30番の序盤はやたらと速度の速い曲ばかりだったので、指定のテンポなんてアスリートのやることだとか思ったけど、このあたりでは速度以外に求めたいものがあるらしい。
 それほどテンポが速くないため、練習課題が一つ減るとはいっても曲自体は簡単ではないのでちゃんと取り組まないといけない。

リズムについて
 左手は17~23小節のユニゾン部分以外は難しい部分もなく、殆どが3拍子を刻むだけなのだけど、右手が忙しい場所では左手の動きに気が回らなくて2,3拍目の1指がキーを底まで押し込めておらずに音が出ていないということがあった。これは一人で練習していてもまずもって気づけない。ピアノの先生について指導を受けるか、録音・録画するかで客観的に演奏を見ないと分からない。忙しくなってくると自分の出す音に耳を傾ける余裕もなくなってくるから。
 右手各拍の(32分音符2つ→16分休符)という特徴的なリズムは最終的に前の音を装飾音とする形で演奏することになるけど、最初はゆっくり正確な音価で練習しなければならない。正しいタイミングで打鍵して正しいタイミングで離鍵する。それができるようになってから速度を上げること。ある程度速度を上げると正確なタイミングを認識できなくなってくるのでそうなると装飾音として弾いているように聴こえるようになる。

8小節

 ※右手1拍目。2-1-2という指使い。2-1で指くぐりをした後に1-2で3度の跳躍となるため、かなり急がないと遅れてしまう。それに加えて、2音目から1-2-3-4指と全て3度の音程で進行した後、3-1指が2度の距離となるため、相当に指を柔軟にしておかなければならない。
 ☆右手5音目のEs。ここに限ったことではないが、黒鍵を押すときはできるだけ指を伸ばしたほうが良い。伸ばした指と黒鍵が交差するように押すことで命中精度が良くなる。

11~12小節

 手元を見ずに弾くために:11から12小節に移る部分の左手。左手のベース音は両小節ともBだけど、4→5と指を変える。音符の下に指番号を書くだけだと、段を移動した際の視線の移動に忙殺されて見落とすので、11小節を演奏中に5指に移動することが分かるように書き込んでおく。

17~23小節

 32分音符で表記されてるけど、これは装飾音。装飾音のユニゾンをぴったり合わせるとか尋常ではない。バッハなんかのテンポの遅い曲の装飾音であれば正確に合わせると言われても頷けるが、これは頭おかしいテンポ指定で知られたチェルニーである。
 演奏するとなると当然左右の手がバラバラになるのだけど、17~19小節がB:V、21~23小節がB:Iの和音で一貫しているのでタイミングがズレてもそれほど違和感はない。この速度ではペダルなんか踏まなくっても残響で十分音が混淆する。だから休符さえちゃんとしてれば雑に弾いても酷くはならない。

24~29小節

 ※24~28小節右手、分散和音の途中、4指で白鍵を押すときにできるだけ4指だけを動かして他の指が4指につられて動いたり手が下がってきたりしないようにする。ポジションが安定するため、続く指くぐりで失敗しづらくなる。
 全て124124という指使いとなっている。白鍵だけの27小節を除いて3指を上げておかなければならない。3指が下りてくると黒鍵に触れてしまう。指定の速度で演奏する動きで3指が落ちて来て黒鍵に触れると必ずキーを押し下げてミスタッチになってしまう。
 ☆25~29小節右手。開始音はA→B→C→Dという順番。分散和音はV→I→V→Iとなっていることが分かると覚える量が少なくて済む。
 一方、左手。24~29小節の間、Fをベースの音として、上の2音は3度の和音で1音ずつ上下する。

44小節

 ※右手2拍目。鍵盤の右の方なので弾きにくい。体を右の方に持っていって手先を左に向けて指をキーに近付ける。あるいは、指を真っ直ぐに伸ばすかしなければ指が届かなかったりして外してしまう。
 4指は動きが悪いため離鍵が遅れがちで2回めのBのときに準備ができていないことがある。離鍵の際に手を上に反らすことで手全体を使って離鍵の動きを助ける。Cを5指の根本で押すことになるけど問題ない。
 当然だが、変な動きをするためピアノの先生はいい顔をしないと思う。

関連エントリー
 20190815 チェルニー30番28 演奏解説
 20190609 チェルニー30番27 演奏解説
 20191007 チェルニー30番26 演奏解説
 20190211 チェルニー30番25 演奏解説
 20180817 チェルニー30番24 演奏解説
 20180721 チェルニー30番23 演奏解説
 20180513 チェルニー30番22 演奏解説
 20180216 チェルニー30番21 演奏解説
 20171230 チェルニー30番20 演奏解説
 20170806 チェルニー30番18 演奏解説
 20170506 チェルニー30番17 演奏解説
 20170107 チェルニー30番16 演奏解説
 20170303 チェルニー30番15 演奏解説
 20161123 チェルニー30番14 演奏解説
 20160910 チェルニー30番12 演奏解説
 20160429 チェルニー30番10 演奏解説
 20160424 チェルニー30番9 演奏解説
 20160301 チェルニー30番6 演奏解説
 20160101 チェルニー30番5 演奏解説
 20151218 チェルニー30番4 演奏解説
 20151211 チェルニー30番3 演奏解説
 20151213 チェルニー30番 演奏時間